Volume 233,
Issue 6,
2010
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あゆみ 血小板機能検査による抗血小板療法の個別化
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医学のあゆみ 233巻6号, 445-445 (2010);
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医学のあゆみ 233巻6号, 447-450 (2010);
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動脈硬化病変は,炎症性・免疫性機転を基盤として発症・進展することが明らかにされている.通常,正常な血管内皮は抗血栓性に作用するとともに,血小板などの細胞成分の活性化を抑制している.しかし,高脂血症や糖尿病,高血圧などのリスクファクターにより血管内皮の機能が障害されることにより,血小板の粘着や活性化,単球/マクロファージの血管内膜への遊走および酸化 LDL の蓄積による細胞泡沫化をきたし,動脈硬化の初期像を呈するようになる.血小板は動脈硬化の終焉像である動脈血栓を形成し,血管を閉塞するのみならず,血小板の粘着・活性化そのものが動脈硬化病変の初期像の形成およびその進展に関与していることが明らかにされつつある.本稿では動脈硬化病変形成における血小板の役割に関して,最近の知見を概説する.
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医学のあゆみ 233巻6号, 451-457 (2010);
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抗血小板薬はその作用メカニズムにより, ①種々の刺激による血小板活性化シグナルを阻害する薬剤と, ②抑制シグナルである cAMP または cGMP の産生を増加させる薬剤,に大別される. ① に属する代表的薬剤としてはアラキドン酸代謝のシクロオキシゲナーゼ-1(COX-1)阻害剤であるアスピリンと,ADP 受容体(P2Y12)阻害剤としてチクロピジンやクロピドグレルが属し,血小板に比較的スペシフィックに作用するが,② に属する薬剤として PGI2アナログ(べラプロスト),cyclic nucleotide 分解酵素 phosphodiesterase-3 A(PDE-3 A)阻害剤であるシロスタゾール(PDE-3 A 阻害剤)があり,血小板機能を阻害するとともに血管弛緩作用などの薬理作用を有する.EBM レベルが高く日本でもよく使われている抗血小板薬はアスピリン,クロピドグレル,シロスタゾールである.
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医学のあゆみ 233巻6号, 458-461 (2010);
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血小板は生理的止血反応のみならず,病的血栓形成にも関与しており,抗血小板療法はアテローム血栓症に対する薬物治療の中心を担っている.これまで,血小板機能低下症の鑑別診断における重要性が認識されてきた血小板機能検査であるが,アテローム血栓症の発症・進展に密接に関連している血小板機能亢進の評価が今後,重要になってくると考えられる.この目的には従来からの透過光法による血小板凝集能検査では感度の悪さから限界があると考えられている.現在,新しい原理による,より鋭敏な血小板機能検査が開発されており,いくつかのものはその将来性が期待されている.
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医学のあゆみ 233巻6号, 462-465 (2010);
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長い間,血小板凝集能のモニターは Born の比濁法が標準であった.これは全血を遠心して得た多血小板血漿を用い,専用装置で測定する方法で,設備,時間,要員の観点から臨床応用にはきわめてハードルが高い血小板機能モニター法であった.1990 年代後半から全血を用いて簡単に血小板機能をモニターする方法が複数開発されるようになり,10 年以上を経て多くのデータが蓄積されてきた.一方,近年アスピリン,クロピドグレルといった抗血小板薬の服用にもかかわらず十分な薬効が得られないケースがかなりの割合で存在し,心血管リスクが高いままにされていると報告されるようになった.このような中 2009 年末,クロピドグレル服用患者の臨床転帰を予測するにはどの血小板機能モニター法が適当なのか直接比較したはじめての大規模試験“POPular”の成績が発表され,血小板機能簡易モニター法を用いた“抗血小板療法の個別化”への扉が開かれようとしている.本稿では,簡易血小板機能モニター法として VerifyNow,Plateletworks,および PFA-100を個別に紹介する.
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医学のあゆみ 233巻6号, 466-471 (2010);
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抗血小板薬は一定量を投与することが一般的であるが,抗血小板薬の作用が減弱する“抗血小板薬抵抗性”の患者の存在が話題となっている.血小板凝集能検査などを用いて抗血小板薬の作用をモニタリングすることはいまだ一般的でないが,多くの基礎・臨床研究により抗血小板薬抵抗性のメカニズムやその臨床的意義が報告されている.アスピリンは,標的となる血小板シクロオキシゲナーゼ-1 の抑制についてはほとんどの患者で十分であるが,クロピドグレルの場合は肝でのチトクローム 450 による薬剤代謝の違いにより,薬剤量が十分でない患者群が存在する.新規チエノピリジン系薬剤やモニタリングによる薬剤量の調節で動脈血栓症の臨床予後が改善するという臨床研究も報告されており,今後は日常臨床において抗血小板薬療法のモニタリングが重要な意義をもつ可能性がある.
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医学のあゆみ 233巻6号, 472-477 (2010);
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アスピリン投与にもかかわらず血小板機能抑制効果が弱い患者群をアスピリン抵抗性(aspirin resistance)と定義した場合,アスピリンによる効果的な血小板機能低下が認められるアスピリン感受性を示す患者群と比較して,アスピリン抵抗性群では心血管イベントの再発が有意に高いとの報告が増加し,“アスピリン抵抗性”という概念が改めて注目を集めるようになった.しかし,そのメカニズム,診断基準について明確に確立されているとはいえず,現時点ではこの概念を実臨床に導入して抗血小板療法に介入すべきではない.今後,著者らが実施している多施設共同前向きコホート研究を含めてさらに検討され,アスピリン服薬患者において明確な定義により心血管イベント発症に対するリスク因子を抽出できるかどうか,また,その因子に対しての介入が患者予後改善につながるかどうかを明らかにできたとき,その用語の適切性も含め“アスピリン抵抗性”が確立されることとなる.
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医学のあゆみ 233巻6号, 478-483 (2010);
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クロピドグレルは,心冠動脈疾患や脳血管疾患において標準的薬剤として広く使用されている第二世代チエノピリジンである.しかし 2002 年に,はじめてクロピドグレルの効果の個体間多様性が報告されて以降,クロピドグレルへの反応性が乏しい患者群(いわゆる“クロピドグレル抵抗性”)の問題がクローズアップされており,その原因のひとつとして肝代謝酵素である cytochromeP450(CYP)の遺伝子多型の関与があげられており,注目を集めている.とくに CYP2C19 の遺伝子変異の有無がクロピドグレルの抗血小板効果に与える影響について多数報告されており,また PPI などのCYP2C19 代謝を受ける薬剤に競合阻害される可能性が示唆されている.日本人を含むアジア人でその遺伝子変異の発生頻度が高いとされており,クロピドグレルの抗血小板効果には個人間多様性が存在することを認識する必要がある.
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フォーラム
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異状死をさぐる②
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医学のあゆみ 233巻6号, 485-488 (2010);
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日本では,多数の高齢者が入浴中に予期しない“浴中死”を遂げている.多くの医師は,虚血性心疾患等と診断しているが,災害死(溺死)と考える医師もいる.内因死・外因死の判断が法的問題につながる事例もある.“日本式入浴様式”では,圧受容体反射の不調から神経調節性失神が起こり溺死する可能性が指摘されている.本稿では,浴中死の問題点を,死亡の機序と関連して解説する.
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第74回日本循環器学会総会・学術集会レポート③
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医学のあゆみ 233巻6号, 490-493 (2010);
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心臓突然死の犠牲者は日本でも毎年 5~6 万人発生しているにもかかわらず,そのほとんどはこれまで救命されずに救急医か監察医のもとに行き着くだけであった.循環器医がその実態に触れることは少なく,対策を怠ってきたのも事実である.ところが,ICD の普及や AED の一般解禁に伴い,多くの心室細動による心停止患者が救命されるようになると,その原因を究明し,再発を防ぐうえで循環器医の担う役割は急速に重要なものとなりつつある.本セッションでは,この心臓突然死を防ぐにはどのような手だてがあるのか,循環器医がなにをしなければならないのか,を幅広く考えてみることにした.
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連載
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女性医師復帰支援プログラム
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医学のあゆみ 233巻6号, 501-501 (2010);
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医学のあゆみ 233巻6号, 503-507 (2010);
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昨今,日本の企業では女性の活躍を支援する取組みが活発化の様相を呈してきており,業種や規模の大小を問わずさまざまな企業が模索をはじめている.トータルヘルスケアカンパニーであるジョンソン・エンド・ジョンソングループにおいても全世界的に女性の活躍推進を“企業の経営戦略”と位置づけ,さまざまな取組みを行っている.本稿ではおもに“女性の職場復帰支援”に関する取組みを,“制度面の整”と“組織の意識変容”という 2 つの側面から紹介する.医療業界においても医師不足が声高に叫ばれるなか,解決の手段のひとつとして女性医療従事者への何らかの支援の必要性が指摘されている.本稿が女性活躍推進に向かって企業間または業界を飛び越えて一石を投じ,取組みの参考となり,その結果,大きなうねりを起こすことができるならば幸いである.
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TOPICS
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生理学
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医学のあゆみ 233巻6号, 497-497 (2010);
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腎臓内科学
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医学のあゆみ 233巻6号, 498-499 (2010);
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麻酔科学
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医学のあゆみ 233巻6号, 499-500 (2010);
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