Volume 233,
Issue 8,
2010
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あゆみ 食道癌治療の最前線
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医学のあゆみ 233巻8号, 575-575 (2010);
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医学のあゆみ 233巻8号, 577-581 (2010);
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食道癌の診断と治療は 40 年間に大きく変化した.ヨード染色が不可欠とされた食道癌の拾いあげ診断は,光学的画像強調技術の開発により,上皮乳頭内血管を有する茶褐色の領域性の変化を拾いあげることで,患者に苦痛を与えることなく,病巣の発見が可能になった.発見された食道癌の治療方針を決定するには,脈管侵襲やリンパ節転移と密接な関係のある壁深達度を診断することが重要である.深達度は病変の凹凸の程度にほぼ比例しているが,より詳細な深達度診断のために,拡大内視鏡にて食道粘膜の微細血管模様を観察し診断している.治療は外科切除例の成績を踏まえ,リンパ節転移のない上皮内癌と粘膜固有癌には粘膜切除(EMR)を行ってきた.現在は,大きな病変が一括切除できる粘膜下層 / 離術(ESD)と EMR を病変の大きさに合わせ使い分けている.また,食道温存治療は徐々に適応が拡大され,粘膜筋板や粘膜下層の浅層に浸潤する癌に対しても内視鏡治療が行われている.
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医学のあゆみ 233巻8号, 582-588 (2010);
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進行食道癌に対して集学的治療が奨励されている.外科手術,放射線,化学療法を予後改善に向けて活用するためには,病態把握においてリンパ節転移診断,他臓器浸潤診断,化学療法の効果予測,効果判定,予後評価の診断が不可欠であり,そのために高精度の適応評価と効果判定法の確立が課題となっている.本稿では,造影 MD-CT,FDG-PET,perfusion CT,diffusion MRI などの近年進歩した質的診断法をこの課題に応用し,その成績を検討した.高精度リンパ節転移診断,他臓器浸潤診断,CR 判定のための質的画像診断として,造影 MD-CT と FDG-PET の有用性が期待された.また,効果予測においては perfusion CT ならびに diffusion MRI の将来性が示された.
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医学のあゆみ 233巻8号, 589-594 (2010);
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胸腔鏡下食道癌根治術はわが国では 1995 年に開始され,しだいに普及しつつある.しかし,施設によりリンパ節郭清の精度にいまだ差があるのが現況である.鏡視下手術では触覚に劣るが,カメラ近接による拡大視により微細解剖の確認が容易で,良好な視覚のもと精度の高い郭清が可能となる.また,胸壁損傷軽減による呼吸機能の温存も望める.日本内視鏡外科学会による技術認定も 2004 年に開始され,安全確実な手術手技の担保と標準化が期待されている.
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医学のあゆみ 233巻8号, 595-599 (2010);
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放射線療法は,癌に侵された臓器を温存でき,高齢者や合併症を有する患者にも適応可能な quality of life(QOL)の高い,癌の局所療法である.食道癌に対しても放射線療法は有効で,切除不能局所進行食道癌に対しては同時化学放射線療法が標準治療となっている.最近では表在食道癌を含む切除可能例にも化学放射線療法が行われ,手術に匹敵する良好な治療成績が報告されている.照射法の進歩では,照射期間を短縮する加速過分割照射による治療成績の向上や,空間的線量分布に優れリスク臓器への線量を下げ腫瘍に線量を集中することができる強度変調放射線治療(IMRT)の有用性が報告されている.
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医学のあゆみ 233巻8号, 601-606 (2010);
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食道癌治療のなかで全身化学療法単独が適応となるのは,遠隔臓器転移例あるいは術後再発例である.世界的にも全身化学療法と best supportive care とを直接比較した臨床試験の報告はなく,第Ⅱ相試験までの結果に基づいて治療を行っているのが現状である.治療としては cisplatin(CDDP)を key drug とした多剤併用療法を主流とした多くの治療法が報告されてきたが,CDDP/5-fluorouracil( 5-FU)併用療法が標準治療と認識されている.近年,頭頸部 扁平上皮癌を対象とした CDDP/5-FU に taxan 系抗癌剤を加えた 3 剤併用療法の有効性が報告され,扁平上皮癌がほとんどを占めるわが国の食道癌症例に対してもその効果が期待されている.
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医学のあゆみ 233巻8号, 607-611 (2010);
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わが国では最近の JCOG 臨床試験の結果を受けて,切除可能食道癌に対しては 5-FU と CDDP を併用した術前 FP 療法+手術が標準治療となりつつある.とくに奏効例では術前化学療法により survival benefit が得られる.根治的化学放射線療法(CRT)は有力な治療オプションであり,StageⅠ症例では手術成績に遜色ない成績も出されている.しかし,進行食道癌においてはその局所制御には限界があり,遺残/再発例に対する救済手術(salvage 手術)による補完が不可欠である.一方,海外では術前 CRT+手術が広く行われるようになってきており,わが国と流れを異にする.今後はより奏効率の高い術前化療のレジメンの開発や,欧米標準としての術前 CRT とわが国標準の術前化療の比較検証が必要となってくるであろう.
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医学のあゆみ 233巻8号, 613-616 (2010);
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食道は再生医療の早期臨床応用可能な臓器として期待されている.盛んに再生医療研究が進められているが,現在までに臨床応用された食道再生医療研究はない.著者らは広範な食道内視鏡的切除後の潰瘍に起因する狭窄に対し,細胞シート工学を応用して自己由来の口腔粘膜組織から作製した培養口腔粘膜上皮細胞シートを,経内視鏡的に内視鏡的切除後の潰瘍面に移植するという再生医療的治療法を開発し,世界初の食道再生医療の臨床応用に成功した.現在,症例を集積中であるが,比較的良好な結果を得ている.
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医学のあゆみ 233巻8号, 617-621 (2010);
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食道癌はリンパ節転移が高率で,かつ頸部から腹部まで多方向性に分布する特徴を有しているが,近年 RI法を用いたセンチネルリンパ節(SN)画像診断,生検手技が確立しつつあり,食道表在癌に対する個別化治療が期待されている.食道表在癌の SN 分布状況,転移状況に応じて,画一的な 3 領域郭清を避け個別的な重点的郭清範囲や郭清省略領域を策定することや,食道表在癌に対する SN を照射野に含めた化学放射線療法が検討されている.
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フォーラム
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切手・医学史をちこち101
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医学のあゆみ 233巻8号, 623-623 (2010);
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医学のあゆみ 233巻8号, 625-627 (2010);
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医学のあゆみ 233巻8号, 628-629 (2010);
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医学のあゆみ 233巻8号, 630-634 (2010);
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連載
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女性医師復帰支援プログラム③
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医学のあゆみ 233巻8号, 644-648 (2010);
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地方における医師不足,それに伴う勤務医の労働条件の悪化は地域医療を崩壊の危機に至らしめている.近年,医療の第一線において女性医師の占める割合が増えている.女性医師は出産・育児に伴う休職から離職してしまうケースが少なくない.和歌山県立医科大学では,医師不足問題の対応策として女性医師の職場復帰を積極的にサポートしている.女性医師支援センターを設置し,女性医師の出産育児休業からの職場復帰支援,すなわち女性医師の医療現場への復帰を円滑化することにより大学病院における勤務医の負担を軽減し,より充実した診療体制の強化をはかった.育児支援プログラムを利用して実際に育児休業をとり,現在も育児中である著者にとってこの制度は有用であった.その一方で制度だけでは解決できない問題もあり,それを解決するにはなにが必要なのかについて考えてみた.
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TOPICS
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生化学・分子生物学
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医学のあゆみ 233巻8号, 639-640 (2010);
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神経内科学
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医学のあゆみ 233巻8号, 640-642 (2010);
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麻酔科学
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医学のあゆみ 233巻8号, 642-643 (2010);
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