Volume 233,
Issue 12,
2010
-
あゆみ アルコール・薬物関連障害
-
-
Source:
医学のあゆみ 233巻12号, 1117-1117 (2010);
View Description
Hide Description
-
Source:
医学のあゆみ 233巻12号, 1119-1125 (2010);
View Description
Hide Description
わが国のアルコール関連障害の既存統計による死亡や有病の動向をみると,減少傾向にあるが,相対的に問題が高齢者や女性にシフトしてきたことが推察される.いままでに全国を代表するような方法で,成人の飲酒実態が 2003 年と 2008 年に調査されてきたが,既存統計で把握されるよりもはるかに多い数のアルコール依存症の疑い者の存在することが示唆されている.男性は問題飲酒者が以前よりは減少している可能性があるが,まだ多くのものが不適切な飲酒を繰り返し,健康問題のみならず飲酒運転やアルコールハラスメントなど多くの社会問題に影響を及ぼしていることが示された.また,若い世代では男女の飲酒問題の頻度の接近が示唆され,とくに若い女性の多量飲酒の問題など心配な状況が示され,今後も実態を注意深くモニタリングしていく必要がある.
-
Source:
医学のあゆみ 233巻12号, 1126-1130 (2010);
View Description
Hide Description
薬物関連精神障害患者の使用薬物としては覚せい剤,有機溶剤が主なものであるが,最近は大麻の割合が増加しつつある.覚せい剤症例においては精神病性障害が中心で,とくに遷延持続性の病態が目立った.有機溶剤症例の割合は年々低下しているが,初回使用薬物,使用歴を有する薬物としては依然として高い水準を示していた.医薬品症例では依存症候群が中心で,睡眠薬および抗不安薬症例の割合が漸増しつつあった.併存する精神疾患としては不安障害・神経症性障害,気分障害の割合がそれぞれ 12.9%,9.6%,反社会性パーソナリティ障害(ASPD),境界性パーソナリティ障害(BPD)は 5%前後にみられた.気分障害,不安障害・神経症性障害,摂食障害,BPD などの併存率,生活史的問題,自傷・自殺企図の既往を有する割合は女性で高い傾向がみられた.治療と回復の阻害要因としては,依存症や遷延・持続性の精神病性障害,併存障害の存在を指摘する割合が高かった.以上から,今後はこれらに配慮した治療プログラムの検討と普及が重要であると考えられた.
-
Source:
医学のあゆみ 233巻12号, 1131-1135 (2010);
View Description
Hide Description
アルコール・薬物関連障害はまず,アルコールや薬物を不適切に使用することからはじまる.使用を繰り返すことによって,その物質に対する依存が生じ,さらに物質を使用するという悪循環に陥る.そして,その過程のなかで中毒症状が生じる.物質の使用を長期間繰り返すことにより,最終的には脳障害などの不可逆的障害が生じる.そのため,早期発見,早期介入が重要であり,アルコール・薬物関連障害の病態,診断,スクリーニング検査について理解しておく必要がある.
-
Source:
医学のあゆみ 233巻12号, 1137-1142 (2010);
View Description
Hide Description
これまでに著者らはアルコールおよび覚せい剤などの依存性薬物による依存のメカニズムについて,動物モデルや培養細胞を用いて多面的な解析を行ってきた.本稿において,アルコールおよび覚せい剤の依存時における L 型高電位開口性 Ca2+チャネルおよびリアノジン受容体の変化について概説する.アルコールおよび覚せい剤による精神依存の形成は,ニフェジピンならびにダントロレンの処置により抑制が認められた.したがって,L 型高電位開口性 Ca2+チャネルの upregulation とそれに続く RyR 活性化による細胞内 Ca2+動態変化は,アルコールおよび覚せい剤の薬物依存に大きく関与する可能性が考えられる.
-
Source:
医学のあゆみ 233巻12号, 1143-1147 (2010);
View Description
Hide Description
物質使用障害(アルコールや薬物の乱用・依存)の治療では,薬物療法はあくまでも補助的なものにとどまり,心理社会的な治療がその中心的な役割を担っている.本稿では,海外の物質使用障害治療に用いられている心理社会的治療として,動機付け面接,認知行動療法,曝露療法,随伴性マネージメント,自助グループを紹介し,その治療効果について論じた.そのうえで,わが国の物質使用障害に対する心理社会的治療の現状を報告するとともに,その課題について指摘した.
-
Source:
医学のあゆみ 233巻12号, 1149-1153 (2010);
View Description
Hide Description
薬物療法は, ①急性期の治療薬と, ②断酒断薬を維持する時期の治療薬とに分けて考える.急性期とはアルコールを含めた薬物がいったん身体の依存を形成した場合に,身体内から薬物が減少することによる薬物離脱症状が起こる時期のことである.自律神経系などのバランスが崩れ,不眠,嘔吐,下痢,発熱などの身体症状や,イライラ・不安などの精神症状が起こる.また,離脱症状としてのてんかん発作や振戦せん妄は適切な治療を行わなければ生命の危機ともなりうるし,ウェルニッケ脳症は初期に十分量の thiamine を投与することによって後遺症を軽くしうる.断酒断薬を維持することを補助する治療薬は,治療薬自体に十分な治療効果が期待されているわけではない.断酒断薬をするモチベーションをどのように支援できるかによって治療の総合的な効果が変わる.総合的な根拠に基づいた薬物治療によって,治療効果は雲泥の差となることを知っておきたい.
-
Source:
医学のあゆみ 233巻12号, 1154-1158 (2010);
View Description
Hide Description
アルコール・薬物関連障害と精神障害の併存は高い頻度で認められ,とくに気分障害や不安障害との併存が非常に高率であると報告されている.併存するパターンは多様であるが,先行する気分障害や不安障害に対するセルフメディケーションとしての飲酒がさらなる症状を惹起することで,悪循環に陥り病態を複雑化しているケースも多い.また多くの場合,併存が経過と予後に何らかの影響を及ぼすと考えられており,QOL の低下や自殺の可能性を高めることなどが示唆されている.ただし臨床場面ではアルコール・薬物関連の症状の出現様式などが,併存する精神障害の病状変化の指標として役立つこともある.よって,その複雑な病態のなかにこそ,よりよい治療へのヒントが隠されているのかもしれず,併存する精神障害が相互に病状に及ぼす影響を視野に入れた治療的アプローチを追求していくことが重要と思われる.
-
Source:
医学のあゆみ 233巻12号, 1159-1163 (2010);
View Description
Hide Description
わが国におけるアルコール消費量は戦後増加の一途をたどったが,ようやく近年頭打ち傾向にある.しかし,女性や若年者の飲酒量はいぜんとして増加傾向にあり,今後その影響が危惧される.過度の飲酒は肝障害,膵炎,発癌,神経障害,心血管障害,糖脂質代謝異常など,さまざまな疾病を引き起こす.一方,少量のアルコール消費による“適正飲酒”は心血管疾患の発症リスクを下げることが欧米を中心に報告されているが,アルコールの許容量には個人差が大きく,とくに日本人の場合,約半数はアルデヒド脱水素酵素(ALDH)活性が遺伝的に低下しているため,欧米の成績がそのまま当てはまらないことに留意すべきである.アルコールによる臓器障害の治療は断酒が基本で,薬物療法は補助的なものにすぎない.断酒を継続させるためには,患者の抱えているさまざまな社会的問題へのアプローチも大切である.
-
フォーラム
-
-
Source:
医学のあゆみ 233巻12号, 1165-1167 (2010);
View Description
Hide Description
-
Source:
医学のあゆみ 233巻12号, 1168-1169 (2010);
View Description
Hide Description
-
連載
-
-
女性医師復帰支援プログラム⑤
-
Source:
医学のあゆみ 233巻12号, 1179-1183 (2010);
View Description
Hide Description
女性医師が生涯医師を続けていくには,臨床との絆をつなぎ続けることが大切である.女性医師が働き続ける状況をつくりだすことは,男女を問わず医師全体にとって働きやすい環境を整備することである.現在の医師の職場環境は,女性医師が自らのライフスタイルを追求しながら無理なく臨床医を続けられるような労働環境になっていない.このことが女性医師の離職や常勤勤務からの撤退を余儀なくされることになっている.近年,多くの医療機関において女性医師復帰,勤務継続支援が計画されるようになり,女性医師支援が注目されるようになってきた.著者らは,種々の理由で離職を余儀なくされたが復帰の意欲のある女性医師の支援として,平成 18 年(2006 年)11 月に女性医師再教育センターを設立した.その活動の一部を報告する.
-
TOPICS
-
-
消化器内科学
-
Source:
医学のあゆみ 233巻12号, 1173-1175 (2010);
View Description
Hide Description
-
膠原病・リウマチ学
-
Source:
医学のあゆみ 233巻12号, 1175-1177 (2010);
View Description
Hide Description
-
腎臓内科学
-
Source:
医学のあゆみ 233巻12号, 1177-1178 (2010);
View Description
Hide Description