Volume 239,
Issue 12,
2011
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あゆみ C型肝炎―最新治療コンセンサス
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医学のあゆみ 239巻12・13号, 1151-1151 (2011);
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医学のあゆみ 239巻12・13号, 1153-1157 (2011);
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C 型肝炎に対する治療は1992 年のインターフェロン単独24 週間投与,2004 年のペグインターフェロン+リバビリン(PEG‒IFN/RBV)併用療法48 週間投与,さらに2011 年9 月に承認されたPEG‒IFN/RBV+プロテアーゼ阻害剤と,治療法の進歩が著しいのが現状である.本ガイドラインでは,C 型慢性肝炎のGenotype1b・高ウイルス量に対するPEG‒IFN/RBV 48 週間投与と,延長72 週間投与についての指針を明示した.一方,Genotype 2・高ウイルス量に対しては,現在のPEG‒IFN/RBV 24 週間投与,およびIFNβ/RBV24 週間投与により88%の効果があることから,Genotype 2 に関してはほぼ治療は完成し,今後は内服薬のみの治療が選択肢となる.一方,低ウイルス量に関しては,インターフェロン療法の効果はGenotype 1b およびGenotype 2a・2b もそれぞれ40~60%の効果があり,また再治療の効果は80%以上の効果があることから,現在の治療で十分である.最終的には,日本の高齢化社会においてはIFN なしの治療の開発が急がれる.
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医学のあゆみ 239巻12・13号, 1159-1164 (2011);
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C 型慢性肝炎の治療は,インターフェロン(IFN)単独治療からペグインターフェロン+リバビリン(PEG‒IFN/RBV)併用療法の登場により飛躍的な進歩を遂げ,さらにプロテアーゼ阻害剤をはじめとするHCV 選択的抗ウイルス剤の登場によりあらたな展開を迎えようとしている.しかし,新規抗ウイルス薬の適応のない症例ではPEG‒IFN/RBV 併用療法が第一選択となる.PEG‒IFN/RBV 併用療法の治療効果を向上させるためには,難治性であるgenotype 1 型高ウイルス量症例では個々の症例の抗ウイルス療法への反応性を考慮に入れたresponse‒guided therapy が重要であり,ウイルス陰性化時期の遅い症例には72 週長期投与が有用である.また,genotype 1 型のPEG‒IFN/RBV 非著効例では,前治療においてp‒EVR が達成できた症例において再治療効果が得られやすく,再治療時の期間の延長が治療効果を向上させる.PEG‒IFN/RBV 非著効例に対する再治療の導入に際してはこのような点を考慮しながら適応症例を決定する必要がある.
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医学のあゆみ 239巻12・13号, 1165-1170 (2011);
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インターフェロン(IFN),リバビリン(RBV)に続く,新しい抗ウイルス剤telaprevir がわが国でも認可され,C 型肝炎の抗ウイルス療法はあらたなステージに入った.Telaprevir/PEG‒IFN/RBV の3 剤併用療法12 週間+PEG‒IFN/RBV 12 週間の治療では,24 週間と従来のPEG‒IFN/RBV 療法の半分の治療期間で,初回治療例の著効率が48%から73%に向上した.また,前治療再燃例,IL‒28B 遺伝子型major 例では90%を超える高い著効率が得られた.一方,3 剤併用療法の難治はIL‒28B 遺伝子型non‒major 例,前治療無効例で,これにHCV コアアミノ酸70 の変異が加わると,さらに難治となることがわかった.すなわち,3 剤併用療法ではホスト因子とウイルス因子から治療効果の予測が高い精度で可能となった.今後,実際臨床の場での治療法の工夫により,難治例の治療効果のさらなる改善が期待される.
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医学のあゆみ 239巻12・13号, 1171-1174 (2011);
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高ウイルス例のC 型慢性肝炎に対する第一選択剤はペグインターフェロン+リバビリン(PEG‒IFN/RBV)併用療法である.しかし,この治療は,種々の合併症がみられうるため,70 歳以上の高齢者あるいはうつ状態の症例などではしばしば治療が断念される.一方,インターフェロンβ+リバビリン(IFN‒β/RBV)併用療法はこれらの症例に対しても治療を行える可能性がある.実際,IFN‒α製剤にてうつ症状を呈した14 症例に,精神科医とのタイアップによりIFN‒β/RBV 併用療法を施行したところ,中止例はなく,5 例(35.7%)でウイルス排除が行えた.また,70 歳代の症例にIFN‒β/RBV 併用療法を施行したところ,ウイルス排除率はgenotype 1b では5 例中2 例(40%)であり,genotype 2 では8 例中5 例(63%)であった.したがって,軽度のうつ傾向・うつ状態の症例あるいは70 歳以上の高齢者でも,IFN‒β/RBV 併用療法の治療適応について考慮してみる価値はあると思われる.
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医学のあゆみ 239巻12・13号, 1175-1181 (2011);
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臨床試験中のあらたなC 型肝炎の薬剤は30 種程度あり,前臨床のものを含めれば50 種程度の薬剤が開発途中にある.これら新規薬剤はおもにプロテアーゼ阻害薬,ポリメラーゼ阻害薬,NS5A 阻害薬などの直接的抗C 型肝炎ウイルス薬や,C 型肝炎ウイルス増殖に必要な宿主因子を標的とした薬剤や,インターフェロン(IFN)関連薬剤である.これら薬剤のなかには,単独でも強力な抗C 型肝炎ウイルス効果を発揮するものもあるが,直接的抗C 型肝炎ウイルス薬ほど薬剤耐性の問題があり,現段階ではどうしても併用療法が中心とならざるをえない.その際の組合せは,注射薬であるIFN の併用療法から経口薬のみの併用療法へとシフトしそうである.この10 年以内に,①小児や高齢者にも安全で,②効果の高い,③経口薬のみの治療,が確立されると期待される.
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医学のあゆみ 239巻12・13号, 1183-1188 (2011);
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C 型慢性肝疾患患者に対するインターフェロン(IFN)治療における治療効果にきわめて強く関連する予測因子として,IL‒28B 遺伝子多型が報告された.また,IL‒28B 遺伝子多型はC 型肝炎ウイルス(HCV)の自然排除,人種間における治療効果の違いにも関連していることが示された.IL‒28B は19 番染色体長腕に位置し,type ⅢのIFN のひとつであるIFN‒λ3 をコードする.IFN‒λは,受容体は異なるがIFN‒αと同じシグナル伝達系であるJAK/STAT 経路を活性化し,その下流に存在するIFN 誘導遺伝子群を誘導して抗ウイルス効果をもたらす.IFN‒λの産生,受容体の分布には細胞あるいは組織特異性のあることが特徴である.現在,IFN‒λ1の臨床試験が進行中であり,IL‒28B 遺伝子多型とIFN‒λ3 やIFN 誘導遺伝子群の発現,IFN‒α/βとの相互作用,自然免疫系とのかかわりなどをはじめとしたHCV の感染制御のメカニズムが解明されることが期待される.
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医学のあゆみ 239巻12・13号, 1189-1192 (2011);
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C 型慢性肝炎に対するペグインターフェロン+リバビリン(PEG‒IFN/RBV)併用療法では,投薬中にしばしば溶血性貧血のためにリバビリンの減量を余儀なくされる.最近,ゲノムワイド関連解析(GWAS)によって,ITPA 遺伝子領域にある2 つのSNP(日本人では1 カ所のみ)がリバビリン誘導性貧血の程度に強く関連していることが明らかにされた.日本人の75%は溶血誘導型のITPA をもつ.このITPA 遺伝子多型はリバビリン投与量減量の程度にはいくぶん影響するものの,最終的な治療効果に対する影響はなかったとする報告が多い.このことはテラプレビルを加えたtriple therapy においても同様であった.しかし,今後リバビリンを含む新しい治療法が考案された際は,ITPA 遺伝子多型の影響の評価は再度必要であろう.また,貧血傾向や心疾患などにより貧血の増悪に慎重であるべきC 型慢性肝炎症例の治療に際しては,ITPA 遺伝子多型情報の有用性はより高まるものと思われる.
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医学のあゆみ 239巻12・13号, 1193-1199 (2011);
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HCV genotype 1b(HCV‒1b)core 領域の70・91 番目のアミノ酸置換は,従来のPeginterferon(PEG‒IFN)/Ribavirin(RBV)併用療法のみならず,新規のPEG‒IFN/RBV/TVR 併用療法におけるウイルス学的治療効果予測因子としても重要である.さらに,肝発癌,インスリン抵抗性,肝細胞脂肪化を含む肝病態にも影響する.将来的には,core アミノ酸置換と宿主要因との関連を解析することが,肝の病態進行・薬剤耐性のメカニズム解明や新規抗HCV 療法の開発につながるものと思われる.
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医学のあゆみ 239巻12・13号, 1200-1207 (2011);
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Interferon Sensitivity Determining Region(ISDR;aa.2209‒2248)はゲノタイプ1b HCV の遺伝子解析により,ウイルスのインターフェロン(IFN)感受性を決定する部位としてIFN 単独療法時代に同定された,HCV のNS5A に存在する遺伝子領域である.すなわち,同40 アミノ酸領域におけるアミノ酸変異数によって,HCV の治療感受性はまったく変化する.近年のペグIFN/リバビリン(PEG‒IFN/RBV)併用療法において,さらに新世代治療であるPEG‒IFN/RBV/テラプレビルの三者併用療法において,治療効果の正確な予測のためにISDR 測定の重要性は増している.
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医学のあゆみ 239巻12・13号, 1208-1211 (2011);
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遺伝子型1b のC 型慢性肝炎に対するペグ(pegylated)‒インターフェロン・リバビリン(PEG‒IFN/RBV)治療応答性の予測にNS5A‒IRRDR 変異が有用であり,IRRDR>6 はsustained virological response(SVR)と高い相関をもつ.IRRDR 変異は独立予測因子であり,他の予測因子と組み合わせることにより,さらに精度の高い予測因子となる.他の遺伝子型2a,2b,4a のPEG‒IFN/RBV 併用療法においても,IRRDR 変異はSVR予測に有用である.IRRDR 領域の前後の配列は高度に保存されているが,IRRDR 領域は各遺伝子型で多様性に富んでおり,PEG‒IFN/RBV 療法感受性を規定する分子機構を考えるうえで興味深い.
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注目の領域
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医学のあゆみ 239巻12・13号, 1218-1222 (2011);
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性同一性障害(gender identity disorder)とは,身体の性(sex)と心の性(gender)が一致しない状態である.ある映画のエピソードのように,男性と女性が心のみ入れ変わってしまったような状態と考えると理解しやすい.治療としては,精神療法,ホルモン療法,手術療法があげられるが,精神療法によって心の性を変えることは不可能であることがわかっている.したがって,ホルモン療法や手術療法を用いて身体の性を心の性に合わせようとする治療が行われる.身体の性を反対の性に近づける手術を性別適合手術(sex reassignmentsurgery:SRS)とよぶ.生殖機能を全廃する手術が含まれるので,可能なかぎり精神科医,婦人科医,泌尿器科医,形成外科医,法律家などの専門家から構成されるジェンダークリニック委員会などによって治療適応が検討されるべきである.
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フォーラム
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医学のあゆみ 239巻12・13号, 1223-1225 (2011);
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書評
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医学のあゆみ 239巻12・13号, 1227-1227 (2011);
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医学のあゆみ 239巻12・13号, 1229-1230 (2011);
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医学のあゆみ 239巻12・13号, 1231-1234 (2011);
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TOPICS
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医動物学・寄生虫学
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医学のあゆみ 239巻12・13号, 1213-1214 (2011);
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腎臓内科学
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医学のあゆみ 239巻12・13号, 1214-1215 (2011);
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神経内科学
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医学のあゆみ 239巻12・13号, 1216-1217 (2011);
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