Volume 244,
Issue 3,
2013
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あゆみ 胎児治療の最前線
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医学のあゆみ 244巻3号, 203-203 (2013);
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医学のあゆみ 244巻3号, 205-208 (2013);
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周産期予後不良であった双胎間輸血症候群(TTTS)の主病因である胎盤吻合血管を内視鏡下に凝固する胎児鏡下レーザー凝固術は児の生命予後や神経学的予後を改善する効果が確認され,治療の第一選択として認知された.しかし,一絨毛膜双胎では典型的TTTS に該当しないが類縁疾患といえる特有の病的状態があり,管理に難渋することも多い.本手術は妊娠26 週未満の重症TTTS に適用されてきたが,従来の適応には該当しない新しい3 つのcriteria[双胎間羊水不均衡症(TAFD),重症selective IUGR を伴う一絨毛膜双胎,妊娠26週以降のTTTS]に関してもこの手術の効果が期待され,現在,臨床試験が開始され,結果が待たれる.
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医学のあゆみ 244巻3号, 209-212 (2013);
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強力集束超音波(HIFU)はミリメートル単位の微小な領域に超音波エネルギーを集め,瞬時に組織温度を上昇させ組織に変性をもたらすことができる.また,超音波は生体深部の任意の場所に集束させることができる.これらの特徴を生かし超音波を利用する治療法は腫瘍治療の領域で進んでおり,子宮筋腫などではすでに臨床応用されている.本稿では胎児治療の歴史と現状,およびHIFU のメリットを生かし胎児治療に応用した例を紹介し,胎児治療におけるHIFU 治療の展望について述べる.
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医学のあゆみ 244巻3号, 213-218 (2013);
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先天性横隔膜ヘルニア(CDH)は横隔膜の先天的欠損により腹部臓器が胸腔へ脱出することで肺低形成を生じ,重度の呼吸不全を呈する予後不良な疾患である.CDH は周産期医療の発展によりその生命予後は飛躍的に改善してきているが,重症例の生命予後はいぜんとして不良である.このような背景から,胎児治療によってCDH の予後を改善させる試みが1980 年代よりなされてきた.当初は脱出臓器を腹腔内へ還納する胎児手術も行われていたが,現在は気管を閉塞させることで肺低形成を防ぐtracheal occlusion(TO)がCDH における胎児手術の主流となっている.とくに,胎児鏡を用いてバルーンにより胎児気管を閉塞させるfetal endoscopictracheal occlusion(FETO)はヨーロッパ,南米において期待できる成績が得られており,現在,ヨーロッパを中心としたランダム化試験であるThe tracheal occlusion to accelerate lung growth(TOTAL)trial が進行中である.わが国においてもTOTAL trial への参加が国立成育医療研究センターを中心に検討されており,重症CDH に対する胎児期からの治療介入の体制が整いつつある.
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医学のあゆみ 244巻3号, 219-223 (2013);
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超音波検査機器の進歩により心臓病もより詳細な診断が可能となってきた.そして胎生期の病態の変化までもとらえられるようになってきた.たとえば,大動脈弁狭窄症などは胎児期に病状が進行し,左心低形成症候群に進行することがあることがわかってきた.左心低形成は治療成績が著しく悪い最重症疾患のひとつであるが,胎児期の治療介入によって病状の進行を防ぎ,出生後の病状,治療方針を大きく変えようとする試みがなされている.現在日本で行われている心疾患に対する胎児治療は,胎児不整脈に対する経胎盤的抗不整脈薬投与のみである.アメリカのボストン小児病院や,オーストリアのリンツ周産期病院などから報告されているように,海外では重症大動脈弁狭窄症,左心低形成症候群における狭小心房間交通,そして重症肺動脈弁狭窄症のような最重症疾患に対してカテーテルを用いた胎児手術が行われている.本稿では胎児への不整脈治療,なかでも海外で行われているカテーテル胎児手術について述べる.
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医学のあゆみ 244巻3号, 224-232 (2013);
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脊髄髄膜瘤胎児手術の現況をManagement of Myelomeningocele Study(MOMS)の結果をもとに概説した.MOMS が示すところは,キアリ奇形の軽減・予防,水頭症予防,下肢運動機能改善などの手術効果が確認された一方で,母体合併症および胎児手術後の早産など無視できない問題も少なくないことが明らかとなった.胎児にとっての恩恵は大きいものの,健康な母体を危険にさらす胎児脊髄髄膜瘤手術に取り組むにあたっては,このことを念頭におく必要がある.現在の脊髄髄膜瘤胎児手術は直視下修復術が主流である.母体合併症回避のために,今後はより侵襲の少ない内視鏡下手術の確立が模索されている.手術成績改善のためには,周産期の母体・新生児管理のさらなる進歩も欠かせない.胎児手術は,早期治療により生命・機能予後を改善する点に意義がある.しかし,健康な母体も危険を負うことになるため,家族に対し十分な心理的助言・支援を与える環境づくりも重要である.今後,国内で胎児脊髄髄膜瘤手術に取り組む際には,産科・新生児科も含めた包括的な医療体制のもとではじめることが望まれる.
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医学のあゆみ 244巻3号, 233-237 (2013);
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人工多能性幹細胞(iPS 細胞)の出現と幹細胞を分化誘導させる技術の向上によって移植・再生療法の適応範囲が広がっており,これまで治療対象にならなかった胎児疾患への応用も期待されている.遺伝性疾患に対する根治療法は現状では困難であり,とくに胎児期から症状が進行する疾患に関しては,生後に開始される治療では効果が限定的である.胎児期初期には免疫寛容が成立することを利用して,1990 年代を中心に子宮内幹細胞移植治療(in utero stem cell transplantation:IUSCTx)が試みられたが,重症複合免疫不全症(SCID)以外の疾患に対しては満足のいく結果を得られなかった.現在,ドナー細胞の生着を制御するメカニズムの解明が進行しつつあり,幹細胞の由来や供給量の問題をクリアする条件も整い,さらにアレイCGH などの新しい遺伝子解析の技術向上によって妊娠初期に出生前診断を行うことが可能になってきていることから,ふたたびIUSCTx の開発が期待されている.
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医学のあゆみ 244巻3号, 239-244 (2013);
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分子遺伝学の発展により遺伝性疾患の原因遺伝子が同定され,遺伝子治療の可能性が現実的になってきた.さらに,画像診断・遺伝診断などの出生前診断の発達により妊娠早期に胎児がどのような遺伝性疾患をもって生まれてくるのかがわかるようになってきた.胎児遺伝子治療はそれら遺伝性疾患を不可逆的な状態にまで病状が進行する前に治療することが理論的には可能である.また,成人と比較すると,①出生後遺伝子導入が困難な臓器への遺伝子導入が可能である,②サイズが小さいため,ベクター使用量が少量ですむ,③免疫系が未熟でありベクター・導入遺伝子産物への拒絶反応がない,④幹細胞が多く存在する,など遺伝子治療を行ううえでの多くの利点もあり,非常に有益な治療方法になりうる.しかし,胎児・母体への安全性の確立などを考慮すると,実現のためにはさらなる研究が必要である.
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連載
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疾病予防・健康増進のための 分子スポーツ医学 5
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医学のあゆみ 244巻3号, 250-257 (2013);
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継続的な運動トレーニングは,スポーツ心臓とよばれる心機能を亢進させる適応が生じる.スポーツ心臓と病的肥大心はともに心肥大を認められるが,その特性や予後はまったく異なり,運動による心臓の適応は疾病予防・健康増進に対する効果が認められている.近年,スポーツ心臓の形成機序を解明するために,分子生物学的手法を用いて検討されてきており,スポーツ心臓と病的肥大心との間には機能的な違いがあるだけでなく,形成時に発現している遺伝子の発現様式にも違いが示されている.さらに,スポーツ心臓の形成過程において,phosphoinositide 3-kinase(PI3K)やmitogen-activated protein kinase(MAPK)といった細胞内シグナル伝達経路が関与することが明らかとなり,細胞内シグナル伝達経路や遺伝子発現の変動様式の多くはスポーツ心臓と病的肥大心との間に違いがあることが解明されてきている.このように,スポーツ心臓と病的肥大心が同じ心肥大を呈していても機能や予後に違いがあるメカニズムとして分子レベルでの違いが影響していると考えられる.
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フォーラム
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近代医学を築いた人々 13
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医学のあゆみ 244巻3号, 259-259 (2013);
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病院内保育所の取組み 2
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医学のあゆみ 244巻3号, 261-265 (2013);
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ヘルスプロモーションの国際的動向 3
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医学のあゆみ 244巻3号, 267-270 (2013);
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TOPICS
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腎臓内科学
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医学のあゆみ 244巻3号, 245-246 (2013);
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移植・人工臓器
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医学のあゆみ 244巻3号, 246-248 (2013);
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耳鼻咽喉科学
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医学のあゆみ 244巻3号, 248-249 (2013);
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