Volume 244,
Issue 6,
2013
-
あゆみ 肝線維化研究Update―基礎から臨床へ
-
-
Source:
医学のあゆみ 244巻6号, 513-513 (2013);
View Description
Hide Description
-
Source:
医学のあゆみ 244巻6号, 515-520 (2013);
View Description
Hide Description
コラーゲンは動物の細胞外マトリックスの主成分をなす線維性構造蛋白質である.コラーゲン分子の総量は精妙に調節されているが,さまざまな病的要因により組織中に過多に蓄積される病態が組織・臓器線維症の実体である.分子レベルでみるコラーゲンはさまざまな型が存在し,線維を構築する過程で果たす役割が異なっている.著者らは皮膚創傷治癒過程における新生コラーゲン構築をコラーゲン遺伝子の型別に解析し,そのなかで希少コラーゲン分子種であるⅤ型コラーゲンα3 鎖が,コラーゲン線維の会合・集束を抑制することで過剰形成を抑制する働きを見出した.コラーゲンは多細胞組織に必要とされる生育環境の土台でもあり,コラーゲン線維の産生は細胞が生育環境をつくりだそうとする自己防衛反応であるが,線維構築を制御し安定終息させる生体側の仕組みの観点から,機序の解明が期待される.
-
Source:
医学のあゆみ 244巻6号, 521-525 (2013);
View Description
Hide Description
各種肝病態下において,肝星細胞はPDGF を代表とする増殖因子,TGFβ1 などのサイトカインを主とする炎症性メディエーター,酸化ストレスなどの刺激により筋線維芽様細胞へと変化してⅠ型コラーゲンなどの細胞外マトリックスを産生する.肝線維化は,これら細胞外マトリックスの過剰な蓄積により引き起こされると考えられている.これまで肝星細胞の活性化,線維化に関連するさまざまな遺伝子解析や蛋白発現解析がなされてきたが,最近のゲノム・トランスクリプトーム解析により,蛋白質をコードしていないと考えられるnon-coding RNA のなかに,低分子RNA であるマイクロRNA が存在し,転写・翻訳レベルで遺伝子発現を制御していることがわかってきた.本稿では,肝線維化を中心に肝疾患とマイクロRNA の関連についての著者らの研究成果と最近の知見について概説する.
-
Source:
医学のあゆみ 244巻6号, 527-532 (2013);
View Description
Hide Description
Toll 様受容体は哺乳類においては10 種類以上が同定されているが,自然免疫反応を調節する主要なパターン認識受容体であり,外因性の病原体関連分子パターンおよび内因性のダメージ関連分子パターンを認識する.その下流にMyd88 依存的経路とTRIF 依存的経路を有し,NF-κB およびMAPK を活性化するとともに,type 1 IFN の産生を促進する.肝は門脈を介して腸管からの血流が最初に到達する臓器であり,腸管由来の病原体関連分子パターンへの曝露がその病態機序に大きな役割を果たす.とくに現代の肝臓病は非アルコール性脂肪肝炎やアルコール性肝障害のみならず,生活習慣に基づく腸内環境と腸管由来因子に病態の多くを規定される.肝線維化に中心的な役割を果たす肝星細胞にはほぼすべてのToll 様受容体が発現しており,それらを介した肝星細胞の活性化制御は今後肝線維化の重要な治療ターゲットとなるものと予想される.
-
Source:
医学のあゆみ 244巻6号, 533-537 (2013);
View Description
Hide Description
TGF-βは組織線維化を強力に誘導する主要因子である.その産生は正常な組織修復過程では一過性でほどなく停止するが,障害刺激が繰り返されるとTGF-βが持続的に産生されるようになり,組織線維症が引き起こされる.TGF-βは潜在型複合体として産生された後に標的細胞周囲で活性化反応を経て活性型TGF-βとなるが,その作用機序は臓器や病期により異なる.ここでは肝線維化初期段階でみられるセリンプロテアーゼの血漿カリクレイン(PLK)依存TGF-β活性化反応を標的とした肝線維化の治療・予防法,TGF-βのプロペプチドであるlatency associated protein(LAP)の分解産物(LAP 断片)を指標とした診断法開発の試みについて紹介する.
-
Source:
医学のあゆみ 244巻6号, 539-543 (2013);
View Description
Hide Description
Autotaxin は生理活性脂質リゾホスファチジン酸(LPA)の産生に重要な酵素である.肝線維化において,Autotaxin およびLPA の血中レベルが上昇すること,LPA レベルはAutotaxin 活性により規定されていることが明らかとなっている.これら変化の病態との関連は未解明であるが,肝疾患特有の痒みや線維肝から好発する肝細胞癌との関与が推定され,これらに対する治療への応用が期待されている.また,臨床的にはAutotaxinは肝線維化血中マーカーとして有用であることも報告されている.
-
Source:
医学のあゆみ 244巻6号, 544-548 (2013);
View Description
Hide Description
エラストグラフィ(広義の硬度画像診断)は2005 年以降,肝生検に代わりうる“非侵襲的”な肝線維化進行度診断法として注目され,発展を遂げてきた.現在数種の技法が確立され,臨床使用されている.本稿では超音波を用いた動的エラストグラフィとしてフィブロスキャンとARFI,静的エラストグラフィとしてリアルタイムエラストグラフィ,MRI を用いた動的エラストグラフィとしてMR エラストグラフィについて詳述する.いずれの技法もその肝硬変診断能は高く,軽度線維化診断能はすこし劣る傾向にある.わが国においてはフィブロスキャンが2011 年より保険収載され,エラストグラフィが肝疾患診療に定着してきている.今後は各技法の共通性,長所・短所の明確化,用語の統一化がなされ,さらに日常診療に役立つと考えられる.また,エラストグラフィ技術をもとにしたあらたな組織性状診断技法の開発も望まれる.
-
Source:
医学のあゆみ 244巻6号, 549-554 (2013);
View Description
Hide Description
最近まで肝の線維化は不可逆性であると考えられていたが,近年の研究から肝硬変など線維化が進行し小葉構造の改築が進んでいる場合でも肝線維化は可逆性であることが明らかになっている.線維化進展の中心細胞が肝星細胞(HSC)であることからHSC を中心標的としてさまざまな治療薬の開発が行われており,新規化合物などを用いた臨床試験が進行中である.しかしこれら新規薬剤は解決すべき問題点も多く,実地医療にはいまだ時間を要するものと思われる.そこで,すでに臨床で使用されている薬剤のうち,HSC に対し抑制作用を有する薬剤を肝線維化治療に用いる試みが行われている.本稿では明日の臨床から使える治療という観点から,現在臨床で使用可能となっている薬剤で肝線維化抑制効果を有する可能性が示唆されている薬剤を中心に,作用機序とのかかわりを含めて概説する.
-
Source:
医学のあゆみ 244巻6号, 555-557 (2013);
View Description
Hide Description
骨髄由来幹細胞を用いた肝修復,再生療法は世界的に広がりをみせており,さらに低侵襲,より効果のある治療法の開発が求められている.本稿では著者らが開発した肝硬変症に対する自己骨髄細胞投与療法の基礎・臨床研究の結果および,それらの知見をもとに今後の展望について報告する.
-
連載
-
-
疾病予防・健康増進のための 分子スポーツ医学 7
-
Source:
医学のあゆみ 244巻6号, 564-568 (2013);
View Description
Hide Description
骨格筋はおもに遅筋線維,速筋線維の2 つの線維から構成され,これらの線維が各筋ごとに一定の割合でモザイク状に配列している.遅筋線維はおもに糖質および脂質の有酸素的な代謝を行い,収縮速度は遅いが疲労耐性が高い.一方の速筋線維は主として糖質の無酸素的分解をATP 再合成に用い,収縮速度は速いが疲労しやすい.骨格筋の収縮特性は優位に発現しているミオシン重鎖によって規定されている.齧歯類の遅筋はおもに1 型と2 A 型ミオシン重鎖,速筋は2X 型,2B 型ミオシン重鎖を発現している.骨格筋の収縮・代謝特性はスポーツ活動によりダイナミックに変化する.たとえば,持久性トレーニングによって骨格筋の筋線維タイプが速筋型から遅筋型へと変化することが知られている.スポーツ活動による筋線維タイプ移行のメカニズムは完全には明らかではないが,筋収縮に伴う細胞内カルシウム関連のシグナル伝達がこの過程に重要な役割を果たしていると考えられている.
-
フォーラム
-
-
Source:
医学のあゆみ 244巻6号, 569-571 (2013);
View Description
Hide Description
-
パリから見えるこの世界 13
-
Source:
医学のあゆみ 244巻6号, 572-576 (2013);
View Description
Hide Description
-
ヘルスプロモーションの国際的動向 4
-
Source:
医学のあゆみ 244巻6号, 577-579 (2013);
View Description
Hide Description
-
TOPICS
-
-
生理学
-
Source:
医学のあゆみ 244巻6号, 559-560 (2013);
View Description
Hide Description
-
病理学
-
Source:
医学のあゆみ 244巻6号, 560-562 (2013);
View Description
Hide Description
-
腎臓内科学
-
Source:
医学のあゆみ 244巻6号, 562-563 (2013);
View Description
Hide Description