Volume 244,
Issue 11,
2013
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あゆみ 呼吸機能検査Update
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医学のあゆみ 244巻11号, 949-949 (2013);
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医学のあゆみ 244巻11号, 951-956 (2013);
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広域オシレーション法は,非侵襲的に安静換気で測定可能な呼吸機能検査方法である.今回の診療報酬改定でも新しく点数として反映されることになった.おもに閉塞性呼吸器疾患領域の病態診断や薬剤効果判定,疾患管理などにきわめて有効と期待されている.測定指標は呼吸抵抗(Rrs)および呼吸リアクタンス(Xrs)共振周波数,などである.Rrs の周波数依存性は比較的重症の喘息と慢性閉塞性肺疾患(COPD)症例でみられる.5 および20 Hz におけるRrs の差であるR5-R20 は周波数依存性を示す指標であるが,末梢気道抵抗値と考えることは適切ではない.R5-R20 は健常成人ではしばしば負の値を示すが,正方向に大きくなる場合は小児の場合か,成人で換気不均等などの異常がある場合である.モストグラフはRrs およびXrs の0.25 秒ごとの周波数特性の曲線を時系列で並べ,3D カラーグラフィックスによって表示が可能である.視覚で訴えるため医療側および患者側の双方にわかりやすく,患者指導で活かされやすい.
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医学のあゆみ 244巻11号, 957-961 (2013);
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スパイロメトリーはもっとも基本となる呼吸機能検査であり,呼吸器系全体の換気能力にかかわる基本的な評価を行うことができる.スパイロメトリーで閉塞性換気機能障害を認めた場合は,鑑別診断を進めていくうえで気管支拡張薬を吸入後に気道可逆性を評価することが行われる.気道可逆性試験は歴史的に気管支喘息とCOPD の鑑別に用いられてきたが,近年では気道可逆性は喘息に特異的な所見ではないと考えられている.気道可逆性の意義について再考する時期にきている.
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医学のあゆみ 244巻11号, 962-966 (2013);
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国際的に身体活動の健康,経済,環境などに与える影響が注目され,身体活動を向上させるさまざまな取組みが展開されている.身体活動の評価では簡易的には調査票や歩数計が用いられる.最近では二次元,三次元の加速度軸をもつ加速度センサーの開発が進み,活動量計の測定精度が向上,身体活動の評価に活動量計が用いられるようになった.また,長時間メモリーやバッテリーの内蔵により,いつ,どの程度の強度で活動しているのか解析できるようになった.生活習慣病の予防効果は身体活動量の増加に従って上昇することが知られているが,慢性閉塞性肺疾患(COPD)を対象とした研究では身体活動量が疾患進行や予後に影響することが明らかになりつつある.COPD 患者は発症早期から活動量が低下することから,活動量はCOPD のもっとも強い予後予測因子で,非活動的,著しく非活動的なCOPD 患者は活動的な患者群に比べて有意に予後不良となる.今後は,COPD の薬物療法,非薬物療法による臨床試験のアウトカム評価に活動量評価が組み込まれていくことが推測される.
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医学のあゆみ 244巻11号, 967-972 (2013);
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従来の呼吸機能検査ではマウスピースやマスクの着用を要する場合が多く,自然な呼吸運動の解析は難しかった.FG(fiber grating)センサーでは,体幹部に投影された数百の輝点の動きをCCD カメラで撮影することにより非接触の状態で呼吸運動を解析することが可能である.このシステムでは呼吸による体幹部の体積変化を定量的に測定可能であり,胸部と腹部の運動を個別に解析することもできる.このシステムを用い,睡眠時無呼吸症候群の診断,COPD 患者の呼吸運動解析,運動中の呼吸評価など,さまざまな側面での臨床応用が期待される.
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医学のあゆみ 244巻11号, 973-976 (2013);
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近年,胸部CT 解析の進化に伴い,放射線科などの読影医が,いわば主観的に行ってきた各種評価を客観的かつ定量的に行えるようさまざまな研究が行われている.閉塞性障害をきたす代表的疾患である慢性閉塞性肺疾患(COPD)においては,病理学的に肺の気腫化と気道狭窄をきたす.CT を用いてそれらの病変について定量的に解析することが可能となっており,気腫の面積や気道壁の厚さ・断面積など画像解析から算出された各種指標と呼吸機能検査結果との相関について,多くの報告がなされるようになってきている.拘束性障害をきたす代表的疾患である特発性肺線維症(IPF)においても,CT での病変の広がりと拡散能を中心とした呼吸機能検査値との相関が示されている.また近年,CT 上の気腫と線維化を合併したThe syndrome of combinedpulmonary fibrosis and emphysema(CPFE)という概念が提唱され,スパイロメトリーはおおむね正常であるが著しい肺拡散能低下をきたすとされる.
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医学のあゆみ 244巻11号, 977-980 (2013);
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呼気NO は気道の好酸球性炎症のバイオマーカーであり,呼吸機能の閉塞性指標とは基本的に相関しない.しかし,気管支喘息において治療前後の呼気NO とFEV1 の変化率は相関する.診断やステロイド反応性の予測には呼気NO がFEV1 よりも優れ,両者の併用で増悪を予測することが可能である.肺胞/末梢気道NO は生理学的モデルに基づいて求められ,末梢気道閉塞の指標であるΔN2と強く相関する.また,強制オシレーション法のパラメータ,とくに呼吸リアクタンスの気管支拡張薬投与前後や吸気・呼気間の変動と関連することが示唆される.COPD では呼気NO,肺胞/末梢気道NO ともに健常人と比較して高値あるいは同等と報告によりさまざまであり,測定の意義は今後の課題である.呼気NO は気道収縮により低下する場合のあることも理解するべきである.
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医学のあゆみ 244巻11号, 981-985 (2013);
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呼吸管理中の呼吸モニタリングには,換気力学的モニタリングと血液ガスモニタリングがある.人工呼吸器のグラフィックモニターは高機能となり,患者と人工呼吸器の同調性を改善するのに有用で換気力学的解析も可能となったが,一般には波形データの変化から患者状態を把握しトラブル回避に用いられている.呼吸仕事量のモニタリングは一般的ではないが,実際に患者にかかる負荷をみることができる.Electrical impedancetomography(EIT)は胸郭内の換気分布を三次元的に把握することができ,換気設定の変更や肺保護換気療法(open lung)の評価に有用である.非侵襲的ガスモニターには経皮ガスモニターと吸気・呼気ガスモニターがあるが,前者は新生児・小児領域で広く普及した.後者は機器の小型化により救急領域での有用性が高まり,また医療安全上も人工呼吸中の使用がガイドラインで推奨されている.
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医学のあゆみ 244巻11号, 987-990 (2013);
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一般的に間質性肺炎では,肺の線維化が進行することで呼吸機能検査上,拘束性換気障害をきたす.間質性肺炎のなかでももっとも予後不良である特発性肺線維症(IPF)の重症度の評価にはvital capacity(VC)やforced vital capacity(FVC)を用いることが一般的であり,肺高血圧の合併がある場合にはDLCOの測定が有用である.%FVC 60%未満や%DLCO 40%未満であった場合には予後不良である.また,呼吸機能の長期的な変化はIPF の予後予測因子として重要であり,6 カ月または12 カ月以上の期間における10%以上のFVC の経時的悪化も予後予測因子となる.間質性肺炎の診療において呼吸機能検査は非侵襲的で経時的変化もとらえることができ,さらに予後とも密接に関係する指標であることから非常に重要な検査のひとつであるが,検査自体は患者の努力なくしては評価困難であることや,重症例や気胸合併・既往例では測定困難などの問題もあることから,呼吸機能検査を含めよりよい評価指標の開発が望まれる.
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連載
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疾病予防・健康増進のための 分子スポーツ医学 11
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医学のあゆみ 244巻11号, 995-1003 (2013);
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認知機能の低下は海馬の機能低下が要因のひとつとされるが,その予防・改善には習慣的な運動が有効である.習慣的な運動は海馬の神経新生を高めることでこれに寄与すると想定される.これまでに著者らは,乳酸性作業閾値(LT)未満の低強度運動がそれ以上の強度の運動と同様に海馬の神経活動を活性化すること,一過性の低強度運動が海馬の脳由来神経栄養因子(BDNF)やアンドロゲン(男性ホルモン)などの神経新生促進因子を増加させること,さらに,習慣的な運動による海馬神経新生が低強度運動でも十分に生じることを明らかにしてきた.一方最近,海馬の貯蔵糖質であるグリコゲンの分解により産生される乳酸の利用が海馬のシナプス可塑性を高め,認知機能のひとつである長期記憶の形成に寄与することが報告された.海馬グリコゲンは海馬の神経活動が高まり,そのエネルギー需要が増加すると乳酸に分解され利用される.著者らは,LT 強度の長時間運動が海馬グリコゲンを減少させ,海馬内乳酸を増加させることを見出した.低強度運動はLT 強度運動と同様に海馬の神経活動を活性化することから,海馬グリコゲン由来の乳酸利用を促進し,シナプス可塑性を高めることで認知機能の維持・増進に寄与する可能性がある.したがって,低強度運動は海馬の神経新生を高めるだけでなく,グリコゲン由来の乳酸利用を活性化し,シナプス可塑性を高めることで認知機能の維持・増進に貢献するのかもしれない.
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フォーラム
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近代医学を築いた人々 15
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医学のあゆみ 244巻11号, 1005-1005 (2013);
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医学のあゆみ 244巻11号, 1006-1007 (2013);
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医学のあゆみ 244巻11号, 1008-1009 (2013);
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TOPICS
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糖尿病・内分泌代謝学
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医学のあゆみ 244巻11号, 991-992 (2013);
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麻酔科学
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医学のあゆみ 244巻11号, 992-993 (2013);
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皮膚科学
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医学のあゆみ 244巻11号, 993-994 (2013);
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