Volume 246,
Issue 13,
2013
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あゆみ マイクロバイオームと疾患
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医学のあゆみ 246巻13号, 1075-1075 (2013);
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医学のあゆみ 246巻13号, 1077-1082 (2013);
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近年におけるDNA シークエンサーの革新的進歩は,複雑で多様性に富んだヒト常在菌叢の実体解明を可能にした.とくに,健康と疾患に深い関連がある腸内細菌叢の16S リボソームRNA 遺伝子やメタゲノム解析,細菌分離株の個別ゲノム解析,これらの大量のウェットデータを解析するバイオインフォマティクスを用いたゲノム科学的アプローチによって,解析スピードは著しく高速化されるとともに,網羅的かつ定量的な疾患における菌叢構造の評価,および疾患患者の細菌叢に特徴的な細菌種のピンポイントでの特定も可能になってきた.
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医学のあゆみ 246巻13号, 1084-1088 (2013);
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食物摂取は消化管粘膜の形態や機能を大きく変動させる.小腸粘膜は絶食により萎縮するが,再摂食で急速に肥厚し,消化吸収能が回復する.大腸では絶食により大腸上皮の細胞回転は完全に停止するが,再摂食後に増殖細胞数が定常時より増加し,一過性の過増殖を示す.大腸内容物のメタボローム解析,抗生剤投与や成分栄養投与,無菌マウスなどを用いた実験から,この大腸上皮細胞の一過性過増殖は,再摂食後にのみ大腸で増殖する菌が産生する乳酸に依存していることが明らかとなった.再摂食時の増殖上皮細胞では脂肪代謝によるエネルギー産生亢進が起こり,細胞の過増殖を支持している.さらに,大腸発癌物質への曝露が絶食-再摂食期間中の異なったタイミングで起こると,前癌病変の発生頻度が大きく変化する.このように腸内細菌叢の構成,宿主の食習慣と代謝の状態,摂食する食物の内容は,大腸癌発症に対しても直接的インパクトをもつ.
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医学のあゆみ 246巻13号, 1089-1093 (2013);
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齲蝕(虫歯)や歯周疾患の原因菌の究明には過去100 年以上にわたって莫大な時間と労力が費やされてきた.その多大な努力により虫歯菌として広く知られているミュータンス連鎖球菌をはじめとしたいくつかの細菌種が,齲蝕や歯周病の原因菌の有力な候補として注目されているが,いずれの疾患も病因論の全貌解明にはいまだに至っていない.その最大の障壁は700 種を超えて口腔に生息する常在菌の存在である.健康な口腔が無菌であれば,たとえ病原細菌の培養が困難であっても培養法や検出法の技術革新によりそれを克服できるが,健康な口腔であっても相当数の常在細菌が生息しており,これらのなかから病原細菌を特定することはそれほど容易ではない.さらに,通常は人畜無害にみえる常在細菌であっても,その構成比率のバランスが崩壊することで病原性を発揮する可能性も示唆されており,口腔疾患を勧善懲悪的な概念でとらえることは難しい.本稿では,近年の科学技術の進展によって可能となった網羅的口腔マイクバイオーム解析の結果に基づいて,口腔マイクロバイオームと口腔疾患との関連性について概説した.
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医学のあゆみ 246巻13号, 1095-1101 (2013);
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近年,ヒトと共生する腸内細菌の変化がさまざまな病態に関与することが明らかになってきた.しかも,腸内細菌の影響はその代謝物の吸収・輸送により肝など遠隔臓器にも及ぶ.今回著者らは,肥満により変化した腸内細菌が産生する代謝物,デオキシコール酸(DCA)が腸肝循環によって肝に到達し,肝がんの発症を促進することを明らかにした.その分子メカニズムとして,肝に到達したDCA が肝の間質に存在する肝星細胞にDNA ダメージを与え,細胞老化(「サイドメモ」参照)を起こし,それに伴うSASP(senescence-associatedsecretory phenotype)と呼ばれる現象によって産生される炎症性サイトカインが,周囲の肝実質細胞の発がんを促進することを見出した.実際にDCA の産生を阻害したり腸内細菌を死滅させると,肥満による肝がん発症が著しく減少した.これらのことから,DCA により肝星細胞がSASP を起こすことが肥満による肝がんの発症に重要な役割を担っていることが明らかになった.さらに,肝星細胞におけるSASP の誘導はヒトの非アルコール性脂肪性肝炎(non-alcoholic steatohepatitis:NASH)を素地とする肝がん患者の肝がん部においても検出され,ヒトにおいてもマウスと同様のメカニズムが働いている可能性が示唆された.
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医学のあゆみ 246巻13号, 1103-1106 (2013);
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解析技術の進歩に伴い,腸内常在細菌叢(gut commensal flora)の網羅的かつ系統的な解析が可能になり,常在細菌叢の変調と炎症・免疫疾患発症の関連を研究することが可能になった.自己免疫性神経疾患である多発性硬化症(MS)の動物モデルでは,腸内細菌叢の偏倚がTh17 細胞や制御性T 細胞の機能変化を介して自己免疫性脳内炎症の促進または抑制にかかわることが証明されている.わが国のMS の増加傾向は食生活の欧米化による腸内細菌叢異常で説明できる可能性を著者らは指摘し,現在はMS の糞便腸内細菌叢の解析による作業仮説の検証を進めている.なお,消化管の機能性障害を有する自閉症でも腸内細菌異常に基づく自己免疫病説が提起されており,神経疾患と腸内細菌叢の研究はホットなトピックスになっている.
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医学のあゆみ 246巻13号, 1107-1111 (2013);
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消化管はつねにあらゆる微生物侵入の危険にさらされている.そのため,消化管は強い活性をもつ免疫細胞から構成される頑強な免疫システムを備えている.一方で消化管免疫システムは,日常的に接する無害な食物抗原や腸内細菌に対しては不必要に応答しないよう抑制されている.こうした消化管免疫システムの活性化と抑制の調節に,腸内細菌の存在が深く影響していることが古くから知られている.近年,ノトバイオート動物解析や次世代シーケンサー解析によって,個々の腸内細菌種がそれぞれ異なる様式で免疫システムに働きかけ,全体としてうまくバランスのとれた免疫システムを構築していること,そしてその破綻がさまざまな疾患と関連のあることが明らかになってきている.
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シリーズ対談 vol.6
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医学のあゆみ 246巻13号, 1123-1130 (2013);
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連載
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Brain‒Machine Interface(BMI)の現状と展望 15
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医学のあゆみ 246巻13号, 1117-1122 (2013);
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重度の麻痺患者などの運動機能再建のためのブレイン・マシン・インターフェース(BMI)は脳活動から運動意図を推定して装置を制御するだけでなく,感覚フィードバック機構も含めた一体のシステムとして構築する必要がある.そのためには,センサや情報処理システム,ロボット機構などを統合する技術(ロボティクス)が必要である.本稿では,上肢運動機能を再建する電動義手を実例としてあげながらロボティクスの応用としてのBMI 構築について述べる.まず,電動義手の機構や制御方式について述べ,つぎにそれに由来する動作の時間遅れについて電動義手によるタスク遂行中の脳活動をfMRI で測定して評価する.そして健常肢に近い操作感覚が得られる条件とフィードバック方式に関する依存性について得られた知見を示す.
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フォーラム
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サバイバーの時代 “地域におけるがん患者仲間同士の支えあい” 4
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医学のあゆみ 246巻13号, 1131-1133 (2013);
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医学のあゆみ 246巻13号, 1134-1135 (2013);
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医学のあゆみ 246巻13号, 1136-1139 (2013);
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TOPICS
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癌・腫瘍学
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医学のあゆみ 246巻13号, 1113-1114 (2013);
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実験動物
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医学のあゆみ 246巻13号, 1114-1115 (2013);
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消化器内科学
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医学のあゆみ 246巻13号, 1115-1116 (2013);
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