Volume 250,
Issue 4,
2014
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あゆみ ひきこもりからみた思春期の精神医療
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医学のあゆみ 250巻4号, 243-248 (2014);
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医学のあゆみ 250巻4号, 249-253 (2014);
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ひきこもりは“社会的参加を回避し,6 カ月以上おおむね家庭にとどまり続けている状態”と定義されているが,不登校と同様に異種性の高い概念である.現在,ひきこもりの専門機関はきわめて限定されており,多くの公的あるいは民間団体が支援に取り組んでいる.地域に点在する社会的資源が協力し合い,地域でひきこもりに取り組むことがコミュニティ・ケアだと考えられるが,多機関による多面的な支援を有効にするためには情報の共有や共通した理解,統一した対応が必要である.そのための機関連携のあり方として地域連携ネットワークの構築がある.そこでの事例検討を通じて相互理解の推進,具体的支援策の立案が進み,“顔のみえる”連携へと発展することが期待される.医療機関は精神疾患の有無の判定に加えて,家族要因や愛着などの心理社会的要因の評価において重要な役割を果たす.
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医学のあゆみ 250巻4号, 255-261 (2014);
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不登校,いじめ,虐待,自殺,孤独死とならんで,ひきこもりは戦後共同体の崩壊を示す社会病理であり,早期発見・早期対応,長期化防止,長期化・高年齢化への支援,事件化の防止などが求められている.8 年間にわたって,ひきこもり外来,居場所,親の会を組み合わせた社会参加プログラムを実施し,受診した当事者220 名をコホートとして統計的解析を行ったところ,開始年齢21.1 歳,ひきこもり期間6.2 年,初回受診時年齢26.8 歳と他の統計と比べて低い平均値を得た.また,リーマンショックを境に外来を前期と後期に区分して比較検討したところ,後期にはひきこもり期間の短縮,初回受診年齢の低下,外来比率の増加を認め,社会参加率は就労において上昇しつづけた.これらの所見は,早期発見・早期対応,長期化防止,社会参加にひきこもり外来が有効であり,地域と医療の連携による共生社会づくりの可能性を示したといえる.
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医学のあゆみ 250巻4号, 263-267 (2014);
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思春期を10~17 歳までの年代と規定し,本稿の前半では思春期心性が元来もっているひきこもりへの親和性について論じる.この親和性は経験も能力もいまだ未熟な年代で決定的な母親離れと自己形成に取り組みはじめなければならないことに由来する脆弱性にほかならない.この思春期に発達障害の子どもも遭遇し,通過して大人にならねばならない.しかし,発達障害の子どもは総じて社会性の発達に偏りや遅延が生じやすく,通常発達の子どもに比較すると社会的な場での適応における困難は大きい.その結果,発達障害の子どもは不登校やひきこもりを示す可能性が高いと推測される.本稿の後半ではその推測が正しいということを臨床統計から示すとともに,注意欠如・多動性障害と広汎性発達障害を取りあげ,その障害特性がもつひきこもり親和性とその支援策を示す.
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医学のあゆみ 250巻4号, 269-273 (2014);
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戦後の急激な社会文化変化の過程で,さまざまな社会,および精神病理現象が派生している.そのひとつが1980 年代に急増し,現在社会問題化している若者の社会的ひきこもりである.その人数の多さだけではなく平均ひきこもり年数が10 年以上という長期化が問題である.1990 年代に入り社会的ひきこもりに関する精神医学的研究が進み,人格特徴,発達上の問題1),家族関係2),さらに,社会的要因3)などさまざまな視点から論じられるようになった.大学生のひきこもりの特徴は学力が高いのに反し,ソーシャルスキルの稚拙なことである.そして,その治療には集団精神療法を含めたシステマチックなプログラムが,そして長期化を防止するためにはひきこもり生活に適応する2~3 年内の解決が必要である.著者は2002 年に和歌山大学でひきこもり回復支援プログラムを開発し,大学内外のひきこもる若者を対象に支援活動を展開してきた.
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医学のあゆみ 250巻4号, 274-278 (2014);
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本稿では,ひきこもること以上にメリットがあることをひきこもり当事者,および家族に見出してもらう支援のあり方について述べた.まず,ひきこもり当事者と暮らす親と兄弟姉妹に関するデータに基づいて,家族の実態について示した.そのうえで,認知行動療法によるひきこもりの家族支援について論じる前提となる,ひきこもり当事者と家族との関係がどのようなメカニズムで形成・維持されているかという点について,オペラント条件付けの観点から解説した.また,ひきこもりの家族支援として著者が導入しているコミュニティ強化と家族訓練(CRAFT)の概要を紹介するとともに,CRAFT を導入するに至った背景について論じた.最後に,今後の家族支援の課題として兄弟姉妹への支援の充実とひきこもり本人を支えられるコミュニティづくりについての展望を述べた.
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医学のあゆみ 250巻4号, 279-282 (2014);
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藤里町社会福祉協議会では平成18 年度に“ひきこもり者および長期不就労者および在宅障害者等実態把握”を開始し,人口4,000 人たらずの町に100 人以上のひきこもり者等の存在を確認した.医療の専門家ではない社協がひきこもり者等支援にかかわるためらいはあったが,現実のひきこもり者の存在を無視できず,福祉職ができる支援もあるはずだという考え方で取組みの方途を探った.風邪で苦しんでいる人に,薬を処方することも治療することもできないが,汗で濡れた下着の交換の手伝いはできる,食欲が増す食事の工夫はできる.そんな発想で,平成22 年度に福祉の拠点“こみっと”を開設した.ひきこもり者等の居場所づくりをめざし,この4 年間で113 人のひきこもり者等のうち“こみっと”に出てきた人が60 人以上,うち一般就職を決めた人が35 人以上.そしていま,“こみっと”の若者たちを支援が必要な人たちとみるのではなく,高齢化が進んだ過疎の町で,地域活性化の重要な担い手だという地域の期待を集めるようになった.
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医学のあゆみ 250巻4号, 283-286 (2014);
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ひきこもり者への就労支援体制はまだまだ不十分である.就労相談では,“就労支援を望んでいるのはだれか”“何を目標としたいのか”“就労歴”などの聴取が重要である.背景に発達障害が認められることも多く,診断も重要となる.この場合,その特性や二次障害に配慮することが必要となる.就労支援には一般就労と福祉就労の2 つの方向がある.一般就労支援に大きな役割を示すのが地域若者サポートステーションである.職業紹介機関であるヤングハローワークなどとの連携も考慮する.福祉就労は就労継続支援事業所の利用や企業の障害者枠の利用などが考えられ,障害者相談支援事業所や障害者職業センターなどを利用する.ひきこもりに特化した制度が十分にない中,鳥取県では平成14 年(2002)度から県単独事業“ひきこもり者職場体験事業”を行い,就労に向けての効果を認めている.ひきこもり者に対応した新しい制度,事業などが今後,必要となってくる.
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連載
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エコヘルスという視点 13
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医学のあゆみ 250巻4号, 293-298 (2014);
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衛生工学はおもに上水道や下水道などの衛生問題に関する社会インフラを作りあげることに貢献してきた.健康にかかわる工学分野であることから,古くから医学系の研究者とも交流がある.社会状況や自然状況が劇的に変化するなか,その変化に対応するための領域横断的な研究領域としてエコヘルスが提案され,その活動に参加している.とくに,気候変動や社会変動の予測研究と感染症(おもに下痢症)の予測を連携させ,将来の感染者数を予測する研究を行っている.衛生にかかわるインフラ整備が不十分である途上国では感染症による社会的な損失が高く,この傾向は容易には改善しない.定量的な感染症予測を実現することで,今後の社会的損失を定量的に把握でき,インフラ整備の方針を明確に立てることが可能となる.エコヘルス研究はそのような活動のプラットフォームになっており,医学系,工学系の研究者だけでない多様な研究者を包含する,あらたな形の医工連携を実践している.
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輝く 日本人による発見と新規開発 3
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医学のあゆみ 250巻4号, 299-301 (2014);
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フォーラム
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医学のあゆみ 250巻4号, 303-304 (2014);
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医学のあゆみ 250巻4号, 305-306 (2014);
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医学のあゆみ 250巻4号, 307-310 (2014);
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TOPICS
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免疫学
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医学のあゆみ 250巻4号, 287-288 (2014);
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癌・腫瘍学
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医学のあゆみ 250巻4号, 288-289 (2014);
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神経内科学
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医学のあゆみ 250巻4号, 290-291 (2014);
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