Volume 251,
Issue 2,
2014
-
あゆみ 血小板研究の最近の進歩
-
-
Source:
医学のあゆみ 251巻2号, 135-135 (2014);
View Description
Hide Description
-
Source:
医学のあゆみ 251巻2号, 137-141 (2014);
View Description
Hide Description
◎新規血小板活性化受容体C-type lectin-like receptor 2(CLEC-2)は血小板活性化蛇毒ロドサイチンの受容体として同定され,その生体内リガンドはポドプラニンという膜蛋白であった.CLEC-2 欠損マウスの解析を通じて以下の機能が明らかになった.①腫瘍細胞のポドプラニンと結合して血行性転移を促進する,②胎生期に主静脈から初期リンパ囊が発生する過程で,リンパ管内皮のポドプラニンと結合して血小板を活性化し,放出されたTGF-βファミリーがリンパ管内皮の増殖や遊走を抑制することで,リンパ管と血管の分離を促進する,③炎症時毛細血管やリンパ節内高内皮細静脈のintegrity を保つ,④流血中で血栓を安定化する.CLEC-2 の発見を契機として血小板の血栓止血にとどまらない,多彩な役割が明らかとなった.
-
Source:
医学のあゆみ 251巻2号, 143-148 (2014);
View Description
Hide Description
◎ヒト多能性幹細胞は試験管内で無限に増殖可能であることから,細胞療法の有益なソースとして期待されている.とくに自己の体細胞を初期化することで誘導する誘導型多能性幹細胞(Induced Pluripotent StemCell:iPSC)は移植時に拒絶を受けないことから,iPS 細胞を用いた再生医療の研究が加速している.著者らは,さきにヒトiPS 細胞から生体内で血栓形成能を保持する血小板誘導の過程で見出した解析を通じて,今回ヒトiPS 細胞由来血液前駆細胞にc-MYC/BMI1/BCLXL を一定の法則に沿って導入することで不死化巨核球細胞株を作製することに成功した.この細胞は外来性の3 遺伝子の発現制御を行うことで輸血後の循環,止血機能を有する血小板を産生する.多能性幹細胞は無限に増殖可能である一方で,現段階では目的細胞への誘導効率は低い.著者らが提示する目的分化細胞あるいはその前駆細胞段階での細胞不死化技術は,再生医療実現への貢献が期待できる.
-
Source:
医学のあゆみ 251巻2号, 149-156 (2014);
View Description
Hide Description
◎血栓性微小血管障害症(TMA)は,破砕赤血球の出現を伴う溶血性貧血,血小板減少,血栓による臓器障害を特徴とする.TMA を起こす代表的な疾患として血栓性血小板減少性紫斑病(TTP),溶血性尿毒症症候群(HUS)と非典型HUS(aHUS)がある.子供に多いHUS は腸管出血性大腸菌(O157 など)の感染がおもな原因であり,予後良好である.一方,TTP は未治療では致死的であるが,正しく診断して血漿交換を行えば救命率は8 割に達する.TTP の再発・難治例に対して海外では抗体医薬リツキシマブが広く使われている.あいにく国内では適応外使用されており,ドラッグラグ解消のため厚生労働省の研究班を立ちあげ,医師主導治験を進めている.aHUS は病気そのものが広く知られておらず,これまでTTP またはHUS の亜型として血漿療法が行われ,死亡率が約1 割,末期の腎不全に至る割合が約5 割と予後不良であった.aHUS の新規治療薬として補体第5 因子(C5)に対する抗体医薬エクリズマブが2013 年に登場し,aHUS の治療が大きく進歩した.本稿では,TTP とaHUS の最新治療について解説する.
-
Source:
医学のあゆみ 251巻2号, 158-163 (2014);
View Description
Hide Description
◎これまで肝切除後の肝再生の機序に関する多くの研究が行われてきた.そのなかで肝再生にかかわる重要な因子として,サイトカインではIL-6 ならびに腫瘍壊死因子(TNF-α),また増殖因子として肝細胞増殖因子(HGF)などが報告されている.一方,血小板に存在する顆粒や濃染顆粒には,肝細胞増殖因子(HGF),上皮増殖因子(EGF),血管内皮増殖因子(VEGF),セロトニンなどのさまざまな増殖因子や生理活性物質が含まれており,これらは創傷治癒に重要な役割を果たしていることが報告されてきた.近年,肝再生においても血小板が重要な働きをしていることが報告され,血小板のもつ肝再生機序が明らかになりつつある.本稿では,肝切除後の肝再生における血小板の役割について,これまでの報告,ならびに当科における最近の検討結果を中心に概説したい.
-
Source:
医学のあゆみ 251巻2号, 165-168 (2014);
View Description
Hide Description
◎血小板は止血機構における一次凝集反応に加えて免疫系にも深くかかわっている.その関与は循環血中のPAMPs・DAMPs を最前線で感知して自然免疫を活性化するものであり,血小板膜上にはToll 様受容体が機能的に発現している.そして血小板と白血球との相互作用における炎症反応の増幅の観察は血小板の研究における大きな進歩であった.一方,核を有さない血小板にもアポトーシス,ネクローシスといったプログラム死のプロセスが存在して組織修復と炎症のバランスを巧みに調節している.これらの観察は血栓症の成因を解明するうえで重要であり,血栓症の治療開発における新しい分子標的を探す手がかりになると考える.
-
Source:
医学のあゆみ 251巻2号, 169-172 (2014);
View Description
Hide Description
◎骨髄巨核球は分化・成熟に伴い骨組織辺縁から類洞血管周囲に移動し,血管内に胞体突起を伸長する.血小板産生は巨核球からの放出で終了するのではなく,血小板は循環中に正常大になり,複製もされる.胞体突起形成と血小板成熟・複製には微小管が中心的に働く.先天的に巨大血小板と血小板減少を呈する先天性巨大血小板症は胞体突起形成と血小板成熟・複製機構の異常に起因する.
-
Source:
医学のあゆみ 251巻2号, 173-178 (2014);
View Description
Hide Description
◎近年のゲノム配列解読技術の著しい発展に伴い,大規模ヒト遺伝情報が得られる時代となった.ゲノムワイド関連解析に代表される遺伝統計解析を通じて,血小板数,血小板容積といった血小板関連形質においても,THPO,WDR6,SH2B3,BAK1,vWF など,測定値の個人差に影響する感受性遺伝子領域が多数同定されている.本稿では大規模ヒトゲノム解析の現状や血小板関連形質における感受性遺伝子領域の最新の知見に加え,同定された遺伝子領域の情報を用いて新規創薬をめざす,新しいゲノム創薬の枠組みについても説明する.
-
連載
-
-
iPS細胞研究最前線-疾患モデルから臓器再生まで 3
-
Source:
医学のあゆみ 251巻2号, 185-189 (2014);
View Description
Hide Description
◎近年になって,大人の網膜であってもそこに視細胞の前駆細胞を移植すれば,生着してシナプスを形成することが示され,視細胞の移植による視機能の再構築が現実的な目標となってきた.また,ES/iPS 細胞から自己組織化という培養法により網膜組織が分化誘導できる技術も報告され,移植に用いる視細胞も現実的に分化培養により準備することが可能となってきた.著者らは,臨床応用を前提にマウスの末期変性の網膜下にES/iPS 由来網膜組織を移植し,ホスト網膜との間にシナプス形成する可能性について観察している.ここではその概要と,今後の見通しなどについて述べる
-
輝く 日本人による発見と新規開発 9
-
Source:
医学のあゆみ 251巻2号, 191-196 (2014);
View Description
Hide Description
-
フォーラム
-
-
Source:
医学のあゆみ 251巻2号, 197-198 (2014);
View Description
Hide Description
-
パリから見えるこの世界 33
-
Source:
医学のあゆみ 251巻2号, 199-202 (2014);
View Description
Hide Description
-
TOPICS
-
-
細胞生物学
-
Source:
医学のあゆみ 251巻2号, 179-180 (2014);
View Description
Hide Description
-
耳鼻咽喉科学
-
Source:
医学のあゆみ 251巻2号, 181-182 (2014);
View Description
Hide Description
-
臨床検査医学
-
Source:
医学のあゆみ 251巻2号, 182-183 (2014);
View Description
Hide Description