Volume 251,
Issue 12,
2014
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あゆみ 神経幹細胞研究の最前線
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医学のあゆみ 251巻12・13号, 1105-1105 (2014);
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医学のあゆみ 251巻12・13号, 1107-1112 (2014);
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◎神経幹細胞は活発に増殖しつつ,ニューロン,オリゴデンドロサイト,アストロサイトの3 種類の細胞を産生する.これら3 種類の細胞運命決定時には,それぞれ特異的なbHLH 因子が持続発現して細胞分化過程を制御する.不思議なことに,このbHLH 因子群の発現は,神経幹細胞ではいずれも振動していた.すなわち,bHLH 因子の発現は神経幹細胞では振動し,運命決定時には持続することがわかった.光遺伝学的手法によってbHLH 因子Mash1 の発現を振動させると神経幹細胞の増殖が活性化されたが,持続発現させると神経幹細胞は増殖を止めてニューロンに分化した.したがって,同一のbHLH 因子が発現動態を変えることによって逆の活性を示すことが明らかになった.光遺伝学的手法を用いるとbHLH 因子の発現動態を自由に変えることが可能であることから,今後,神経幹細胞を使った再生医療への応用が期待される.
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医学のあゆみ 251巻12・13号, 1113-1117 (2014);
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◎胚性幹細胞(ES細胞)や組織幹細胞は,発生過程においてその分化能を制限しつつ,われわれの体を構成するさまざまな細胞に分化する.分化関連遺伝子群において分化刺激に応じて活性化可能な“転写待機状態(poised state)”を形成することは,幹細胞の大きな性質のひとつである分化能を規定するといえる.ポリコーム群蛋白質複合体(PcG)は,この“poised state”を形成する中心的なメカニズムと考えられている.実際にPcGは,ES細胞をはじめとして神経幹細胞や血球系幹細胞などのさまざまな組織幹細胞の維持に必須の役割を果たしている.最近,PcG はこれまで考えられてきた以上に多様な複合体が協調して働き,幹細胞やその分化過程において発生の時間軸に従って適切な遺伝子発現制御を行っていることがわかってきた.本稿ではこれら最新の知見に基づき,神経幹細胞に加えES細胞や他の組織幹細胞で明らかになってきたPcGの機能を紹介しながら,今後の研究の展望について議論したい.
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医学のあゆみ 251巻12・13号, 1118-1122 (2014);
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◎複雑な脳の構築は遺伝的プログラムによって厳密に制御されている.胎生期の脳で発現する遺伝子群のなかでも,Pax6は神経幹細胞特異的にその発現が認められる.Pax6 は神経幹細胞の維持および分化という相反する事象の両面に重要な役割を果たす.その理由として,Pax6は転写制御因子をコードし,その蛋白質は種々の局面において異なる下流因子を制御することがあげられる.近年の網羅的解析の発展によってPax6の下流因子が明らかになり,それらの下流因子が神経幹細胞の運命決定を行う鍵を握る.また,胎生期のみならず成体の神経幹細胞にもPax6が発現し,増殖・分化に影響を与えていることから,胎生期~成体期にわたってPax6が神経幹細胞の運命決定に関与すると考えられる.
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医学のあゆみ 251巻12・13号, 1123-1128 (2014);
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◎大脳皮質の高次機能の発現には発生過程で多様なニューロンが産生され,秩序だった三次元の神経回路網が形成されることが重要である.これらの細胞は,発生期に神経幹細胞が非対称分裂を繰り返すことにより経時的に異なるサブタイプのニューロンが生み出されるが,近年の研究の進展により,大脳皮質の各層ニューロンの分化決定を担う転写因子群が同定されている.本稿では,これら転写因子間の相互作用とその下流分子を介した大脳皮質ニューロンの運命決定機構について最新の知見を記述し,大脳皮質の各層ニューロンの産生とこれらの相対的なバランスを制御する機構について概説する.さらに,近年トランスクリプトームやシーケンス解析により見出された種特異的な遺伝子発現制御を介した分化調節機構についても紹介し,ヒト大脳皮質神経回路の形成機構の理解に向けて考察する.
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医学のあゆみ 251巻12・13号, 1129-1136 (2014);
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◎高次脳機能をつかさどる大脳皮質では錐体細胞がおもに層や領域どうしの長距離の興奮性情報伝達を担う一方,インターニューロン(IN)はおもに局所回路を抑制する役割をもつ.抑制性INは皮質にあるニューロンの約2割ほどであるにもかかわらず,多様かつ魅力的なサブタイプから構成されており,それぞれが驚くほど複雑な発生・分化過程を経ることで皮質回路を形成する.皮質IN は皮質自身ではつくられず,大脳GABA産複雑な発生・分化過程を経ることで皮質回路を形成する.皮質IN は皮質自身ではつくられず,大脳GABA産複雑な発生・分化過程を経ることで皮質回路を形成する.皮質IN は皮質自身ではつくられず,大脳GABA産原基)”でおもに生産される.誕生したばかりのIN 前駆細胞は構築途上の皮質板に対して,まずは並行に遊走することで海馬を含む皮質領域の全体に広がっていき,そして移動方向を切り換えることで皮質板に入り込む.生後の回路形成期ではそれぞれのIN は目的の皮質層に仕分けられ,それから標的となるニューロン群の特定の細胞ドメインのみに抑制性シナプスを正確に形成する.このように,神秘的な機構に支えられた皮質INの発生および回路形成メカニズムの解明は,さまざまな神経発達障害の早期診断および治療,細胞移植を駆使した再生医療に加えて,精神疾患をターゲットとした創薬にも必須である.
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医学のあゆみ 251巻12・13号, 1137-1141 (2014);
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◎中枢神経系を構成する主要な細胞種であるニューロンやグリア細胞(アストロサイトとオリゴデンドロサイト)は,共通の神経幹細胞から分化・産生される.しかし,神経幹細胞は発生初期からこれら細胞への多分化能をもっているわけではなく,胎生中期においてまずニューロンのみへの分化能を獲得し,発生が進行した胎生後期にようやくグリア細胞への分化能も獲得して,多分化能をもった細胞となる.神経幹細胞の分化はサイトカインなどの細胞外因子などの作用のみならず,エピジェネティックなゲノム修飾などの細胞内在性プログラムにより時空間的に制御されている.
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医学のあゆみ 251巻12・13号, 1142-1146 (2014);
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◎従来,ニューロンの産生は発生期においてしか行われないと考えられていたが,ヒトを含めた哺乳類の成体の脳においても神経幹細胞が存在し,ニューロンの新生が一生涯続いていることがわかってきた.成体の脳において新生ニューロンが継続的に産生され続けるためには,神経幹細胞の増殖と分化,および休眠状態の厳密な制御が必要になるが,これらの分子メカニズムはいぜん不明な点が多い.著者らは,Notch シグナルが成体脳神経幹細胞の増殖・維持に重要な働きをしていることを明らかにした.また,Notch シグナルだけではなく,胎児発生期の神経幹細胞の増殖・分化制御に重要な多くの因子が,成体脳神経幹細胞の制御においても必須の役割を担っていることが明らかになってきた.一方で,成体脳神経幹細胞は完成した神経ネットワークのなかに存在することから,胎児発生期の神経幹細胞とは異なった制御様式も存在することが明らかになってきている.本稿では,成体脳神経幹細胞の増殖と分化制御機構について,最新の知見を概説する.
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連載
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iPS細胞研究最前線-疾患モデルから臓器再生まで 10
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医学のあゆみ 251巻12・13号, 1153-1159 (2014);
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◎消化器官である膵・肝・小腸は内胚葉由来の臓器であり,ES 細胞(embryonic stem cell)およびiPS 細胞(induced pluripotent stem cell)からの分化誘導技術の開発は再生医療分野において非常に注目されている.さらに,医薬品安全性および毒性試験の材料としてヒトES/iPS 細胞由来肝細胞を用いる試みもすでにはじまっている.著者らはそれぞれの組織への分化に適した培養基材と培養液を組み合わせることで,ES/iPS 細胞から膵・肝・小腸への分化誘導方法を構築してきた.本稿では,著者らが研究を展開してきた内胚葉組織への分化誘導について現状を概説する.各臓器への分化に関して分化誘導のアプローチの違いに分けて説明する.具体的には支持細胞を利用した分化誘導,低分子化合物スクリーニング,ゼノフリー培養,メチオニン除去培地を用いた分化促進,目的細胞の純化,中間細胞の維持および増幅について述べる.
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フォーラム
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近代医学を築いた人々 35
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医学のあゆみ 251巻12・13号, 1161-1161 (2014);
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ノーベル化学賞2014
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医学のあゆみ 251巻12・13号, 1162-1165 (2014);
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続・逆システム学の窓 5
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医学のあゆみ 251巻12・13号, 1166-1169 (2014);
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医学のあゆみ 251巻12・13号, 1171-1172 (2014);
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医学のあゆみ 251巻12・13号, 1173-1175 (2014);
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TOPICS
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再生医学
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医学のあゆみ 251巻12・13号, 1147-1148 (2014);
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免疫学
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医学のあゆみ 251巻12・13号, 1148-1150 (2014);
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癌・腫瘍学
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医学のあゆみ 251巻12・13号, 1150-1151 (2014);
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