Volume 252,
Issue 11,
2015
-
あゆみ ネフローゼ症候群Update
-
-
Source:
医学のあゆみ 252巻11号, 1133-1133 (2015);
View Description
Hide Description
-
Source:
医学のあゆみ 252巻11号, 1135-1138 (2015);
View Description
Hide Description
◎ネフローゼ症候群は,3.5 g/day 以上の大量の蛋白尿とこれに伴う低アルブミン血症(3.0 g/dL)をきたす症候群と定義される.低アルブミン血症に伴う浮腫と,肝でのコレステロール産生亢進による高コレステロール血症を合併する.ネフローゼ症候群の治療効果判定基準は尿蛋白の減少量を基準として決定され,尿蛋白が0.3 g/day 未満を完全寛解と定義することが一般的である.わが国では尿蛋白が1g/dayになると予後が良好であることから,1g/day未満を不完全寛解Ⅰ型とする.不完全寛解Ⅱ型は1g/day以上3.5g/day未満とし,ネフローゼ症候群をきたす蛋白量3.5g/day以上を無効と定義する.ステロイドの有効性は4週で判断し,4週間で尿蛋白が1g/day未満に至らない場合はステロイド抵抗性ネフローゼ症候群と定義する.また,あらゆる治療を6カ月行っても不完全寛解Ⅰ型に至らない場合,難治性ネフローゼ症候群と定義する.ステロイドを減量,または中止すると再発する場合で,6 カ月に2回以上再発する場合を頻回再発型ネフローゼ症候群とする.
-
Source:
医学のあゆみ 252巻11号, 1139-1144 (2015);
View Description
Hide Description
◎わが国の高齢化率が上昇しつつあるなかで,成人ネフローゼ症候群の約4 割を高齢者が占めている.若年では微小変化型ネフローゼ症候群・巣状分節性糸球体硬化症を主体とする一次性疾患が主であり,20歳未満ではその約9割を占める.年齢が進むにつれて二次性疾患の比率が増加し,30歳代ではループス腎炎の比率が大きく,40歳代以後では糖尿病性腎症あるいは腎アミロイドーシスが増加する.高齢者ではIgA腎症を含む一次性疾患が61.9%を占めるが,とくに膜性腎症が36.5%であり,ついで糖尿病性腎症(9.9%),アミロイド腎(7.6%)と難治性疾患の比率が高くなる.高齢者においても一次性疾患の治療反応性は比較的良好であるが,75歳以後の治療反応性の遅延や感染症などの重篤な合併症を伴う.今後,高齢化に伴う難治性ネフローゼ症候群の克服が課題となる.このような疾病構造の変化に対応した調査・研究のための次世代コホートの構築が,日本腎臓学会において進められている.
-
Source:
医学のあゆみ 252巻11号, 1145-1149 (2015);
View Description
Hide Description
◎日本ネフローゼ症候群コホート研究(JNSCS)は,日本における一次性ネフローゼ症候群に対する診療パターンの実態とその腎予後や生命予後などのさまざまなアウトカムの発症頻度を明らかにすることを目的とした,追跡期間5年間の前向きコホート研究である.微小変化型ネフローゼ症候群(162例),膜性腎症(158例)を中心とした一次性ネフローゼ症候群396例が登録され,現在免疫抑制療法などの治療介入および死亡,末期腎不全などのアウトカムの発症を追跡中である.微小変化型ネフローゼ症候群および膜性腎症に対する免疫抑制療法には,明らかな地域差が存在していた.とくに静注メチルプレドニゾロンの処方率の地域差が大きく,その適応にコンセンサスがいまだ形成されていない実情が明らかである.疫学研究であるJNSCSは今後解決すべき数多くのリサーチクエスチョンを提案している.
-
Source:
医学のあゆみ 252巻11号, 1150-1153 (2015);
View Description
Hide Description
◎特発性膜性腎症は腎糸球体ポドサイトの免疫複合体による細胞傷害が原因となる糸球体腎炎のひとつである.その責任抗原は長らく不明であったが,2009年にBeckらによって特発性膜性腎症の責任抗原のひとつとしてホスホリパーゼA2受容体(PLA2R)が発見された1).PLA2R抗体は活動型の特発性膜性腎症患者の血中のみに認められ,その濃度は腎機能と相関する.そのため,PLA2R抗体のモニタリングは特発性膜性腎症の鑑別と治療効果の判定に有効であることから,PLA2R抗体測定の膜性腎症診療への今後の活用がおおいに期待されている.
-
Source:
医学のあゆみ 252巻11号, 1155-1159 (2015);
View Description
Hide Description
◎ネフローゼ症候群の治療における中心的な薬剤は副腎皮質ステロイドであるが,ステロイド単独では効果不十分な場合やステロイド使用が不可能な場合では,さまざまな免疫抑制薬(シクロスポリン,タクロリムス,アザチオプリン,ミゾリビン,ミコフェノール酸モフェチル,シクロホスファミド)が使用される.また最近,抗CD20モノクローナル抗体リツキシマブの,小児の難治性ネフローゼ症候群への効能効果が承認され,従来の治療法では効果が不十分だった症例における治療の選択肢が増えてきている.しかし,これらの治療薬の投与方法や有効性・安全性については,症例数の少なさやわが国と欧米での治療成績の違いなどもあり,十分に確立されたとはいえない.各治療薬の保険適用の範囲,副作用などに注意しながら,症例の状態に合わせた薬剤選択と投与量調節を行う必要がある.
-
Source:
医学のあゆみ 252巻11号, 1160-1164 (2015);
View Description
Hide Description
◎成人の一次性ネフローゼ症候群に関する診療指針あるいは治療ガイドラインは,いままで“厚生労働省進行性腎障害に関する調査研究班難治性ネフローゼ症候群分科会”と腎臓学会委員会が合同で作成作業が進められてきた.もっとも新しいガイドラインは2014年度に発表され,これまでに計3度の改定がなされている.また,海外ではKDIGOより“Glomerulonephritis guideline”が2012年に発表されおり,このなかにネフローゼ症候群に関する治療指針が記載されている.ネフローゼ症候群の治療はその組織型により病態と治療反応性が異なるために,組織型に応じた治療戦略が必要となる.近年ではいままで保険上認可されていなかった免疫抑制薬の使用があらたに保険適用薬として認められつつあり,いままでと異なる治療戦略が立てられるようになっている.
-
Source:
医学のあゆみ 252巻11号, 1166-1170 (2015);
View Description
Hide Description
◎臨床的な観察から,微小変化型ネフローゼ症候群(MCNS)とT細胞との関連が指摘されており,MCNSの惹起因子としてT細胞から分泌されるリンフォカイン様物質などが探索されてきた.また,原発性巣状分節状糸球体硬化症(FSGS)の病態に糸球体濾過障壁の蛋白透過性を亢進させる液性因子が関与していることを示す報告も多い.前者には,IL-13やhemopexin,後者にはCCL-1やsuPARがある.また,二次性FSGSの原因遺伝子の検索からポドサイトのスリット膜構成分子がつぎつぎと明らかになっている.このような糸球体濾過障壁の蛋白透過性を亢進させる液性因子やスリット膜構成分子を解明することにより,MCNSやFSGSなどネフローゼ症候群が鑑別可能となるバイオマーカーや治療標的が明らかとなることが期待される.従来のステロイドや非特異的な免疫抑制剤に代わる新規治療薬の登場や,治療の指標となるバイオマーカーの登場も期待される.
-
連載
-
-
iPS細胞研究最前線-疾患モデルから臓器再生まで 17
-
Source:
医学のあゆみ 252巻11号, 1176-1180 (2015);
View Description
Hide Description
◎iPS細胞を用いた心臓再生医療実現のためには,効率的な心臓構成細胞への分化誘導方法を確立することが重要である.著者らは,無血清単層高密度培養系においてActivin A/BMP4/Dkk1などを時期特異的に加えることにより,効率的に心筋細胞を分化誘導する方法を確立した.また,特異的細胞表面抗原であるvascular celladhesion molecule-1(VCAM-1)を用いて高純度に誘導心筋細胞を純化・回収する方法を開発した.さらに分化培養において,血管内皮細胞増殖因子を用いることにより心筋細胞と血管構成細胞(血管内皮細胞・血管壁細胞)を同時に分化誘導する方法を確立し,それらを再構成した心臓組織シートの心疾患モデル動物への治療効果を示した.これらのヒトiPS細胞からの心血管系細胞への効率的分化誘導方法および移植方法は,心臓再生医療への可能性を開くものである.
-
輝く 日本人による発見と新規開発 14
-
-
Source:
医学のあゆみ 252巻11号, 1181-1184 (2015);
View Description
Hide Description
-
フォーラム
-
-
Source:
医学のあゆみ 252巻11号, 1185-1186 (2015);
View Description
Hide Description
-
書評
-
Source:
医学のあゆみ 252巻11号, 1187-1187 (2015);
View Description
Hide Description
-
TOPICS
-
-
免疫学
-
Source:
医学のあゆみ 252巻11号, 1171-1172 (2015);
View Description
Hide Description
-
脳神経外科学
-
Source:
医学のあゆみ 252巻11号, 1172-1173 (2015);
View Description
Hide Description
-
輸血学
-
Source:
医学のあゆみ 252巻11号, 1174-1175 (2015);
View Description
Hide Description