Volume 254,
Issue 6,
2015
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あゆみ 睡眠呼吸障害と循環器疾患Update
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医学のあゆみ 254巻6・7号, 465-465 (2015);
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医学のあゆみ 254巻6・7号, 467-472 (2015);
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◎睡眠時無呼吸症候群(SAS)は日中の強い眠気から交通事故にまで発展する病気として,いまや世間に広く知られる病気となった.かつては呼吸器科医が中心となって扱っていた病気であるが,循環器疾患との関連が明らかになるにつれ,日本の循環器科医にも高血圧,心不全,脳卒中などの心血管病につながるものとして認識されるようになり,一次予防,二次予防いずれにおいても注目されるようになってきている.循環器疾患との関連においては“睡眠呼吸障害(SDB)”という表現が好まれる.本稿ではまずSDB にまつわる用語の定義や診断,分類方法などについて概説する.その後,SDB と循環器疾患の関連について,疫学的な観点,病態生理学的な観点からoverview を示したいと思う.疫学研究については,アメリカで行われている大規模コホート研究を中心に概説する.病態生理については,今回本特集で扱う高血圧,冠動脈疾患,心不全,不整脈,大動脈疾患に及ぼす影響を理解するための鍵になる機序に焦点を当てる.
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医学のあゆみ 254巻6・7号, 473-477 (2015);
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◎睡眠呼吸障害(SDB)は閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)と中枢性睡眠時無呼吸(CSA)に大別され,とくに中枢型呼吸イベントと換気量が漸増漸減する過換気を繰り返すものをチェーン・ストークス呼吸(CSR)とよぶ.SDB 診断のためには睡眠ポリグラフ検査が行われるが,スクリーニングや診断の補助として簡易ポリグラフ検査やパルスオキシメーターが用いられることもある.OSA の治療では根治療法は困難なことが多く,持続気道陽圧(CPAP)が中心的な役割を担う.CSA(とくにCSR)においてもCPAP を含む陽圧呼吸療法が近年話題となっている.
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医学のあゆみ 254巻6・7号, 479-484 (2015);
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◎夜間の低酸素を伴う閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSAS)は,夜間血圧を上昇させるだけでなく,日中の血圧も上昇させ治療抵抗性高血圧の原因となる.重症OSAS のゴールデンスタンダードの治療は持続陽圧呼吸(CPAP)であるが,昼間の眠気のない高血圧合併のOSAS 患者へのCPAP の介入はコンプライアンスの維持に難渋する.また,OSAS の無呼吸に伴う一過性の血圧上昇もリスクになる可能性もあり,過去には観血的な血圧モニターでしか評価できなかったが,最近では家庭血圧計を応用した機器での評価も可能である.OSASを合併する患者は,高血圧だけでなく他の心血管リスクファクターも合併することが多い.最終的な目標である心血管イベント抑制のためには単に無呼吸だけでなく,総合的なリスク評価と介入が必要であるといえる.
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医学のあゆみ 254巻6・7号, 485-489 (2015);
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◎冠動脈疾患(CAD)患者には睡眠呼吸障害(SDB)が30~40%に合併し,急性冠症候群(ACS)にはさらに高率に合併することが明らかとなった.閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は,間欠的低酸素や交感神経活性の亢進などが酸化ストレス,炎症,血管内皮機能障害,インスリン抵抗性などのさまざまな機序を介して冠動脈硬化を進行させるほか,ACS や冠攣縮性狭心症の発症に関与し,急性心筋梗塞の梗塞サイズや梗塞後の心機能や予後にも悪影響を与えることが報告されてきた.持続陽圧呼吸(CPAP)療法による治療介入がCAD の一次予防,二次予防に有効であることが報告されているが,真に予後の改善が得られる治療であるかは無作為割付試験を含めたさらなるエビデンスの蓄積が必要である.
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医学のあゆみ 254巻6・7号, 490-494 (2015);
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◎循環器領域における睡眠呼吸障害(SDB)管理の必要性が認識され,日本循環器学会から「循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン」が発表され1),一般住民と比べて循環器疾患患者では高率にSDB を合併することが報告されている.なかでも心不全患者におけるSDB 合併率は高く,すべての心不全患者へのSDB スクリーニングを推奨している(classⅠ,evidence level C)1).本稿ではSDB と心不全の関連について,心不全に合併するSDB の特殊性,予後へ及ぼす影響,陽圧呼吸療法による心不全改善効果の観点から概説する.
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医学のあゆみ 254巻6・7号, 495-498 (2015);
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◎睡眠呼吸障害(SDB)は夜間就寝中に無呼吸と低呼吸を繰り返し,間欠的な低酸素血症や交感神経活性の賦活化,胸腔内圧の変動を引き起こし,不整脈の発症に関与するとされている.とくに心不全例では多くの疫学研究でSDB と不整脈の合併が報告されている.不整脈発生の機序については完全には解明されていないが,SDB による交感神経活動の亢進は頻脈や末梢血管の収縮,神経体液性因子の亢進,それに続く血圧上昇や体液貯留,組織酸素需要の増大を引き起こす.また,努力呼吸による胸腔内圧の低下は左室後負荷の上昇をきたす.さらに,さまざまな炎症,酸化ストレス,内皮機能,血小板機能障害,心筋虚血を引き起こし,心筋細胞の壊死・アポトーシスから,心筋の線維化を促すとされる.このことからSDB は不整脈の基質形成や修飾因子,誘因として直接的・間接的に関与していると考えられている(図1).本稿では,SDB における不整脈の疫学,病態,治療について,これまでのエビデンスを踏まえて概説する.
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医学のあゆみ 254巻6・7号, 499-502 (2015);
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◎多くの循環器疾患の病態基盤に,睡眠呼吸障害(SDB)が密接に関係していることが明らかにされている.SDB は閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)と中枢性睡眠時無呼吸(CSA)に大別される.とくにOSA は薬剤抵抗性高血圧,虚血性心疾患,心房細動,大動脈瘤・解離などに高率に合併し,それらの病態基盤と発症・進展に密接に関係している.大動脈解離,胸腹部大動脈瘤などの大動脈疾患とOSA との病態生理学的関連性として,OSA によって周期的に惹起される血圧上昇,間欠的低酸素血症,胸腔内の過度の陰圧化,交感神経系賦活化,炎症反応亢進,凝固線溶系異常などが深く関連しているものと考えられる.しかし,その詳細な機序やOSAに対する治療効果の影響はいまだ十分に明らかにされていない.今後,前向きコホート研究や治療介入研究などの形で検討を進めるべきである.
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連載
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補完代替医療とエビデンス 10
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医学のあゆみ 254巻6・7号, 509-515 (2015);
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◎補完代替医療(CAM)において,利用する患者の思いとはどのようなものか,患者の視点から把握することの重要性をエビデンスとの関連から説明する.つぎに,患者視点をとらえた実際の研究として,CAM の利用経験のある患者への面接調査・質問紙調査を通して明らかになった,患者の感じている長所や肯定的な変化を紹介する.面接調査では補完することの意味や,家族という利用背景が浮かびあがり,安心感や充実感,価値観や生き方の変化などが語られた.質問紙調査ではCAM を利用する患者は安心感が得られる76.3%,身体を自分でケアする機会となっている75.2%,気持ちがよい・癒される75.2%,体調改善への希望72.0%,自分で回数や時間を決められる71.7%,病院の治療・薬より副作用が少ない70.3%ことなどを長所と感じていた.また利用後,健康に関する知識が増えた74.3%,心や気持ちが穏やかになった66.5%,体調管理を行う自信がついた65.7%などの肯定的変化が報告された.
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フォーラム
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生物学的人口学の最近のトピック 2
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医学のあゆみ 254巻6・7号, 517-519 (2015);
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近代医学を築いた人々 43
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医学のあゆみ 254巻6・7号, 521-521 (2015);
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TOPICS
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癌・腫瘍学
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医学のあゆみ 254巻6・7号, 503-504 (2015);
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腎臓内科学
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医学のあゆみ 254巻6・7号, 504-505 (2015);
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麻酔科学
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医学のあゆみ 254巻6・7号, 506-507 (2015);
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