医学のあゆみ

Volume 256, Issue 1, 2016
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【1月第1土曜特集】 アトピー性皮膚炎Update
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- 疫学・病態生理
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アトピー性皮膚炎の疫学
256巻1号(2016);View Description
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◎アトピー性皮膚炎(AD)は乳幼児に多く,年齢とともに軽快・寛解するといわれることがある.しかし有症率の全国調査では,地区ごとにばらつきがあるものの小児期から20 歳代までは10~15%程度で推移し,有症率が明らかに減少するのは30 代以降である.沖縄県の石垣島で行われた乳幼児検診や広島県の安佐地区で行われた小学校検診では,成長とともに軽快する児も多いが,成長とともにあらたに発症する児も相当数いることを示しており,AD の経過が症例ごとにかなり異なることがわかる.AD の発症には先天的な要因のみならず,後天的な要因も大きく関与しているとされ,疫学調査を通じて後天的な要因が明らかになれば,発症の予防や治療につながることが期待できる.本稿ではAD の有症率と重症度について,これまでに報告されたわが国の疫学調査を中心に概説する. -
アトピー性皮膚炎と衛生仮説
256巻1号(2016);View Description
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◎多くの疫学調査により,乳幼児期までの感染症の曝露,あるいは非衛生的環境がアレルギー疾患の発症低下に寄与していることが判明している.このメカニズムとして,これまではナイーブT 細胞からのTh1 細胞とTh2 細胞の分化のバランスをもとに説明されてきた.最近では制御性T 細胞あるいはエピゲノムの関与も推察されている.本稿では衛生仮説について概説し,この仮説をもとに行ったアトピー性皮膚炎(AD)モデルマウスを用いた研究を紹介したい. -
アトピー性皮膚炎のT細胞の異常
256巻1号(2016);View Description
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◎アトピー性皮膚炎(AD)は,皮膚バリア障害とアレルギーによる慢性湿疹を特徴とする皮膚疾患である.ADの免疫異常は基本的にTh2 型であるが,急性期にはγδT 細胞やTh17 細胞由来のIL-17 も関与する.一方,慢性期に浸潤するTh22 細胞はIL-22 を産生し,表皮肥厚,バリア障害の増悪,Th1 型反応を誘導する.Th2細胞が分泌するIL-31 はそう痒を惹起する.皮膚バリアが正常なAD(内因性AD)はTh17・Th22 型の免疫異常が優勢である.Th2 細胞,濾胞ヘルパーT 細胞(TFH 細胞)はIL-4 を分泌し,IgE の産生をつかさどる.免疫反応を抑制するFoxp3+制御性T 細胞は慢性期のAD 病変部に多数浸潤するが,その詳細な役割は明らかでない.AD は遺伝的背景・環境因子・免疫系が絡んだ多因子性疾患である.今後AD の治療と予防を達成するためには,これらの因子を総合的に理解することが必要となろう. -
アトピー性皮膚炎の病態形成におけるB 細胞の役割
256巻1号(2016);View Description
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◎ B 細胞は,単なる抗体産生細胞としてだけでなく,各種サイトカイン産生やT 細胞の活性化などを通じて免疫反応において重要な働きを担っている.しかし,アトピー性皮膚炎(AD)ではこれまでおもにT 細胞に注目が集まってきていたため,B 細胞は単なるIgE を産生する細胞としてしか認識されてこなかった.近年になり,AD においてB 細胞はIgE 産生のみならず,抗原特異的T 細胞の増殖に影響を与えたり,Th2 シフトを促進させることにより,病態形成に大きな役割を担っていることが明らかにされてきた.さらに,抗CD20 抗体を用いてB 細胞を除去することにより,重症AD が著明に改善することが示された.本稿では,近年明らかにされてきたB 細胞のAD の病態形成における役割と,B 細胞を標的とした治療への展望を概説する. -
外因性と内因性アトピー性皮膚炎―臨床的二大分別法
256巻1号(2016);View Description
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◎アトピー性皮膚炎(AD)は外因性と内因性に分けることができる.外因性は血清IgE が高値で,皮膚バリア異常を背景とした通常のタイプである.一方,内因性AD は血清IgE が正常域であり,皮膚バリアの機能低下が外因性ほど顕著でないタイプである.内因性AD はAD 全体の約20%を占め,女性に多いのが特徴である.外因性AD は皮膚バリア障害に基づき,蛋白抗原に反応したTh2 細胞による通常のタイプであり,フィラグリン遺伝子変異率が高い.一方,内因性AD はフィラグリン遺伝子変異率が低く,免疫学的にはIL-4,IL-5,IL-13 の発現が外因性ほど高くない.末梢血では健常人よりTh2 に変調しているものの,インターフェロン(IFN)-γ産生性のTh1 細胞割合が高い.内因性AD ではニッケルやコバルトのパッチテスト陽性率が高く,金属アレルギーを有している患者が多い. -
アトピー性皮膚炎のバリア異常
256巻1号(2016);View Description
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◎アトピー性皮膚炎(AD)は以前から,Th2 優位の免疫異常が病気の本態と考えられていた.しかし,免疫系の異常だけでなく,皮膚におけるバリア異常がアトピーの病態形成に重要であることが近年明らかになってきた.角質水分量の低下や経表皮水分喪失の増加は,病変部皮膚だけでなく病変周囲の皮膚でも確認されている.角質細胞間脂質として保湿作用を有するセラミドの低下,同じく天然保湿因子であるフィラグリンの発現低下,human-β-defensin などの抗菌ペプチドの低下がAD 患者で報告されている.フィラグリンの発現低下はAD に特異的ではなく,乾癬や皮膚リンパ腫の病変皮膚でも確認されている.AD と皮膚リンパ腫では免疫がTh2 優位に偏っており,そのために抗菌ペプチドなどが十分産生されず,ウイルスや細菌の感染を起こしやすくなっていると考えられる. - 診断・治療
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アトピー性皮膚炎のガイドライン概説
256巻1号(2016);View Description
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◎ 2015 年に改訂された日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎(AD)診療ガイドラインを中心に概説する.①瘙痒,②特徴的皮疹と分布,③慢性・反復性経過,の3 基本項目を満たすものを,症状の軽重を問わずAD と診断する.治療方法は,①薬物療法,②皮膚の生理学的異常に対する外用療法・スキンケア,③悪化因子の検索と対策,の3 点が基本になる.薬物療法の中心は,抗炎症外用薬であるステロイド外用薬とタクロリムス軟膏である.ステロイド外用薬は薬効の強さにより5 つに分類されるが,“個々の皮疹の重症度”にみあったランクの薬剤を適切に選択することが重要である.タクロリムス軟膏はとくに顔面・頸部の皮疹に対して高い適応のある薬剤として位置づけられている.抗ヒスタミン薬は痒みの緩和を目的に補助療法として用いられる.スキンケアの基本は皮膚の保湿である.悪化因子は年齢による特徴もあり,個々の症例で十分に吟味する必要がある. -
アトピー性皮膚炎の病勢を示す検査値
256巻1号(2016);View Description
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◎アトピー性皮膚炎(AD)の病勢を反映するマーカーには,長期的な指標となるimmunoglobulin E(IgE)や,短期的な指標である好酸球数,乳酸脱水素酵素(LDH)値,TARC 値などがある.近年,IL-18,IL-31,IL-33などのサイトカイン,ペリオスチン,可溶性E セレクチン,P セレクチン,SCCA なども,AD で高値を示す短期的マーカーとして報告された.AD 治療は,薬物療法において皮疹の重症度を評価しながらステロイド外用療法を進めることが基本となる.同時に病勢を反映するマーカーはAD の重症度や治療の推移を反映することができ,治療効果をみるうえで,あるいは診療における外用療法のアドヒアランスの向上において有効と考えられる. -
経皮感作とアレルギーマーチ
256巻1号(2016);View Description
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◎アレルギーマーチは,乳児期におけるアトピー性皮膚炎(AD),食物アレルギー(FA)の発症にはじまり気管支喘息やアレルギー性鼻炎の発症へと移行あるいは合併していく一連のアレルギー性疾患の進展を意味する.元来,AD ではTh2 性のアレルギー炎症が病態を形成していると考えられていたが,近年,皮膚バリア機能の低下により惹起される経皮感作がその発症に強く影響していることが明らかになった.さらに,動物実験や疫学研究の知見によりFA,気道アレルギーの発症にも経皮感作が重要であることが広く認識されるようになっている.つまり現在のところ経皮感作がアレルギーマーチの進展において非常に重要な働きをしているといえる.そのため,今後は経皮感作の予防・阻害をターゲットとした治療がアレルギーマーチの治療戦略の一部を占めることが期待される. -
アトピー性皮膚炎と食物アレルギー
256巻1号(2016);View Description
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◎アトピー性皮膚炎(AD)と食物アレルギー(FA)が乳幼児期に合併しやすいことはよく知られるが,その関連について不明な点も多い.最近,湿疹に伴う皮膚バリア異常が経皮感作を通じてFA を起こすことが提唱されているが,すでにFA がある場合,併存するAD をどう管理するかを別途考える必要がある.たとえ食物に感作されていても,それがFA の症状をもたらし,とくにAD を増悪させるとは限らない.食物の関与に関する検査は,スキンケアや薬物療法,環境整備を行ってもAD の症状が改善しない場合に施行する.食物除去療法は実際にFA と診断あるいは証明されたケースに限り,その特定の食物のみで必要最小限に行うべきであり,血清IgE 値やプリックテストの結果だけをみてやみくもに制限してはならない.主要な食物抗原は早期に耐性が誘導されやすく,その後の制限も必要ない. -
小児アトピー性皮膚炎の治療のポイント―母親をよき治療者に
256巻1号(2016);View Description
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◎小児のアトピー性皮膚炎(AD)診療がうまくいくかどうかは,治療のキーパーソンである母親に,正しい日常のケアと治療を,手を抜かずに日々実践してもらえるかどうかにかかっている.したがって,われわれ皮膚科医は,日々のスキンケアや軟膏処置,環境を整え悪化因子を避ける対策などをしてくれる母親をいかに教育・指導し,手助けするかに精力を注ぐべきと思う.そのためにはまずは母親を味方につけたうえで,AD の病態は皮膚が乾燥しやすくバリア機能が弱い性質とアレルギーを起こしやすい性質とを素因としてもっていることを理解させ,治療に重要な3 本柱について説明する.AD 治療の基本原則は,①悪化因子の検索とその対策,②スキンケア,③薬物療法の3 本柱であり,そのなかでも軟膏の選択と塗り方はもっとも大切である.軟膏の塗り方はかならず実践して塗り方をみせ,塗らせてみて,適量を毎日塗れるように指導する.さらに,プロアクティブ療法で寛解維持をすることの必要性を,小児の生活のQOL や心身の発達にも寄与することを強調し,母親のモチベーションを高める. -
アトピー性皮膚炎の治療アドヒアランス
256巻1号(2016);View Description
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◎治療のアドヒアランスとは,患者が服薬の意義を理解し,積極的に治療方針の決定に参加し,その決定に従って治療を実行し,粘り強く継続する姿勢を重視する概念である.治療のアドヒアランスに配慮した診療を行うことは,慢性疾患の治療効果を高めるうえできわめて重要である.アトピー性皮膚炎(AD)は慢性に経過する疾患であり,外用薬の塗布という手間のかかる治療行為を患者自身が長期間続ける必要があるため,治療のアドヒアランスは低下することが多い.AD の治療効果を高めるためには,医師と患者との信頼関係に基づく良好なコミュニケーションを背景に,年齢層ごとのアドヒアランスを低下させる要因に配慮することが大切である. -
アトピー性皮膚炎のプロアクティブ療法
256巻1号(2016);View Description
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◎アトピー性皮膚炎(AD)の治療の中心はステロイドまたはタクロリムスなどの外用療法であり,これら外用薬で炎症を鎮めた後,保湿薬などによるスキンケアにて寛解を維持し再燃を防ぐことが標準的に行われているが,保湿薬のみでは寛解維持を保てないことはよく経験される.そこで寛解維持のために抗炎症作用を有する外用薬を週1,2 回定期的に外用するプロアクティブ療法が提唱された.タクロリムスは分子量が大きく健常皮膚からはほとんど吸収されないが,バリア機能が障害された湿疹病変では吸収され,効果を発揮することから,AD の再燃予防に適した薬剤であるといえる.さらに,ステロイド外用薬によるプロアクティブ療法の報告も散見され,長期外用による局所副作用の問題があるが,いまのところ大きな問題は起こしていないようである.わが国のガイドラインではタクロリムスのみ言及しているが,今後ステロイドを用いたプロアクティブ療法も広まっていくのではなかろうか. -
食物アレルギー予防介入としての外用療法の意義と方法
256巻1号(2016);View Description
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◎幼小児の食物アレルギー(FA)は乳児期のアトピー性皮膚炎(AD)と関連が深い.その因果関係は,IgE が炎症の発端ではなく,Th2 型皮膚炎症がIgE 産生の増幅機構を担っており,皮膚炎の結果IgE 産生が亢進し,抗原特異IgE が出現すると,つぎに抗原に対する特異的アレルギー反応によってさらに炎症が増強するという悪循環があると考えられる.このことから,FA 予防のためには乳児AD の外用療法による炎症コントロールが介入の鍵ともいえる.しかし,外用薬を処方するだけでは安全・確実な治療効果は得がたく,従来の外用療法を見直す必要がある.著者らは数年来,重症乳児AD に対してステロイド外用療法による早期寛解・維持・漸減療法(厳密なproactive 療法)を実践し,皮膚炎予後の改善とともにFA を相当回避できることを確認している.乳児AD 治療の意義・目標を改めて確認するとともに,外用療法成功の要点を,医師側の要因と,アドヒアランスの要因に分けて解説した. -
インバースアゴニストとしての抗ヒスタミン薬
256巻1号(2016);View Description
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◎アトピー性皮膚炎(AD)において,抗ヒスタミン薬は治療の柱のひとつとなっている.従来,抗ヒスタミン薬は主としてヒスタミンH1 受容体と結合し,ヒスタミンが受容体に結合することをアンタゴニストとして阻害することにより,効果を発揮すると考えられてきた.しかし近年,抗ヒスタミン薬はインバースアゴニストとしても働くことがわかってきた.ヒスタミンH1受容体は,定常状態においては活性型受容体と不活性型受容体とが動的平衡状態を保ちながら並存している.これにヒスタミンが加わると活性型受容体が安定化し,下流へのシグナルが伝わる.一方,抗ヒスタミン薬を投与すると,アンタゴニストとしてヒスタミンの作用を阻害するのに加えて,不活性型受容体を安定化する作用もあることが明らかとなり,この作用をインバースアゴニストとよぶ.インバースアゴニストの考え方に基づくと,抗ヒスタミン薬はヒスタミン受容体の不活化を維持するのに重要であり,AD の臨床現場では症状改善後の維持や再発抑制に応用できるのではないかと考えられている. -
アトピー性皮膚炎の全身療法
256巻1号(2016);View Description
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◎アトピー性皮膚炎(AD)の病態として皮膚の生理学的異常,とくに皮膚バリア機能の低下があり,非特異的な刺激に対する被刺激性が亢進し炎症が起こること,さらにアレルゲンの皮膚への侵入しやすさが生じ,免疫・アレルギー反応が誘導されることが考えられている.またAD の皮膚では,瘙痒を伝達するC 線維の分布が通常認められる真皮より表皮内・角層まで伸長しており,痒みが過敏に生じやすいと考えられている1).ADの治療はこれらの病態に基づいて,①薬物療法,②皮膚の生理学的異常に対する外用療法・スキンケア,③悪化因子の検索と対策,を基本とし,個々の患者ごとに症状の程度や背景などを考え含め,組み合わせて行われている.本稿では,そのなかでも全身療法として内服療法,紫外線療法を取りあげる. -
アトピー性皮膚炎とスキンケア
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◎アトピー性皮膚炎(AD)の加療において,保湿剤を用いたスキンケアは重要である.近年,皮膚バリア機能の役割を果たす蛋白としてフィラグリンが注目されている.フィラグリン遺伝子変異とAD の有病率には有意な相関関係があることがわかった.また,フィラグリン遺伝子に変異をもつFlaky tail マウスではAD 症状が発症することが報告されている.著者らはフィラグリン蛋白の発現を促進することでAD の症状を改善させる化合物を見出し報告した.さらに,表皮細胞の分化にJAK-STA シグナルが関与し,新規JAK 阻害剤がバリア機能回復を促すことを明らかとした.今後,フィラグリン発現を亢進させることでAD を改善する治療法の開発が期待される. -
アトピー性皮膚炎に対する生物学的製剤治療―あらたな治療ターゲット
256巻1号(2016);View Description
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◎アトピー性皮膚炎(AD)は増悪・寛解を繰り返す,そう痒のある湿疹を主要な病変とする慢性の皮膚疾患である.近年の研究による新しい知見では,アレルギー性炎症と皮膚バリア機能異常の相互作用がその病態形成に重要であることが示唆されている.とくにアレルギー性炎症に関しては,その形成に重要な分子も続々と発見されており,これらをターゲットとした抗体療法が注目を集めるようになってきた.わが国ではAD に対するインターロイキン(IL)-4 受容体,IL-31 受容体,IL-12/23 p40 を標的とした生物学的製剤の臨床試験が行われているが,海外ではB 細胞,IgE,IL-5,tumor necrosis facto(r TNF)-αなどに対する抗体についても,臨床の現場であらたな治療薬としての可能性が模索されている.これらの臨床試験によりデータの蓄積がなされることで,AD に対するより深い理解が得られ,ひいては生物学的製剤が,いまだ不十分である現在の標準療法に代わる有用な新規治療法となる可能性に期待がもたれている. -
アトピー性皮膚炎の生活指導―外用治療のこつと悪化因子対策
256巻1号(2016);View Description
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◎アトピー性皮膚炎(AD)の生活指導について,不適切な外用療法を含めた多彩な悪化因子の観点から概説する.湿疹性病変は本来ステロイド外用薬が著効するが,皮疹の評価と外用薬の選択,使用方法,外用補助の有無などの影響が大きい.一方,AD の部分症状である痒疹にはステロイド外用薬は奏効しにくく,痒疹治療アルゴリズムで用いられる神経原性炎症を対象とした治療が必要である.AD の基本的病態である皮膚バリア機能障害,瘙痒,炎症に影響するさまざまな生活・環境要素が悪化因子となる.診療においては悪化因子を指摘し,その対策を具体的指示により指導することが重要である.過剰な掻破,入浴時の湯温,石鹸,ストレス,衣類による刺激,温度上昇による瘙痒閾値の低下,発汗,結膜炎による流涙,日用品によるかぶれなどが多い悪化因子である.慢性に経過する本症では,治療意欲の減弱・喪失もケアが必要である.励ましに加え,達成可能な具体的短期目標の設定などの対策が望まれる.
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