Volume 257,
Issue 3,
2016
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あゆみ 血液細胞の試験管内製造
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医学のあゆみ 257巻3号, 201-201 (2016);
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医学のあゆみ 257巻3号, 203-207 (2016);
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◎近年,試験管内において赤血球を大量生産しようとする試みが行われている.以前より試験管内赤血球の生産源として期待されてきた造血幹/前駆細胞や多能性幹細胞からはすでに機能を有する赤血球の生産が可能となっており,現在でも大きな可能性を秘めている.一方で,実用化のためにはより簡便にかつ大量の赤血球を生産する必要がある.このような観点から著者らは,新しい細胞源の開発を試み,無限増殖能を有しながら分化誘導により脱核赤血球を生産できる不死化赤血球前駆細胞株の樹立に成功した.現段階ではまだ開発途上であり,これらのいずれが赤血球最適生産源となりうるかは判定し難い.しかしどの細胞源を用いた場合においても,赤血球大量生産実現のためには,①それぞれの細胞源がもつ欠点(増幅効率や脱核効率)の改善,②機能・安全性に関するより詳細な検討,③安価な大量培養法の開発,が必須であり,今後のさらなる研究開発が期待される.
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医学のあゆみ 257巻3号, 208-212 (2016);
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◎健常ボランティアの献血から製造される血小板製剤は,血小板の数や機能が低下した患者に対して止血あるいは出血の予防を目的として輸血される.献血者の減少に伴う輸血不応時に使用されるHLA 適合血小板の需給逼迫状況や細菌・ウイルスの混入リスクといった課題により,献血に依存しない血小板製剤の製造が注目されるようになった.そのひとつのアイデアが,さまざまなHLA タイプを準備できるiPS 細胞から製造することである.著者らは,c-MYC/BMI1/BCL-XL という3 遺伝子を導入することで,iPS 細胞から血小板産生細胞である巨核球を細胞株化する技術を開発し,大量の製剤を供給するための最初のブレークスルーに成功した.現在は,血小板放出が実際に起こる骨髄環境を模倣して,生体外で効率よく血小板が産生されるシステム開発を進めており,産生効率の改善にも成功した.
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医学のあゆみ 257巻3号, 213-218 (2016);
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◎再生医療の輸血医療への応用に対する期待が高まるなか,さまざまな細胞をソースとしてin vitro で血球を作製する研究が進められている.なかでも血小板製剤は短い保存期間や繰り返し輸血による同種抗体の産生など多くの問題点があり,新規輸血療法の開発が試みられている.著者らは,皮膚線維芽細胞を用いた巨核球・血小板へのダイレクトリプログラミング,そして脂肪組織由来間質(幹)細胞(ASC)を用いた組換えTPOの添加を必要としない巨核球・血小板への分化誘導に成功した.分化誘導によって得られた細胞は,いずれも巨核球/血小板特有の細胞表面抗原の発現・形態を認め,また血栓形成能を有していることが示された.本稿では,体細胞・体性幹細胞から巨核球/血小板への分化誘導に関する検討およびその有用性について概説する.
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医学のあゆみ 257巻3号, 219-225 (2016);
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◎ T 細胞の試験管内での製造は,他の血液/免疫細胞に比べて難しいと長い間考えられてきた.しかし,2002年にマウスの系で単層フィーダー細胞との共培養法が開発されて以降,事情が一変した.いまではヒトiPS 細胞から高品質なT 細胞を試験管内で分化誘導することが可能となっている.本稿では,T 細胞分化誘導法の開発の歴史を簡単に紹介した後,著者らが取り組んでいる研究について紹介する.著者らは,iPS 細胞技術を用いることによりT 細胞をクローニングし,大量に増殖させることができるということに着目し,これをがんの細胞療法に応用することを考えた.そのアイディアに基づき,悪性黒色腫の抗原に特異的なキラーT 細胞からiPS 細胞をつくること,さらにそのiPS 細胞から元のT 細胞と同じ抗原特異性をもつT 細胞を大量に再生させることに成功した.この戦略は現行のがん免疫療法が直面している壁を突き破ることができると考えられている.さらにこの戦略は,他家移植の系への応用が可能であることから,その実現に向けた将来の展望についても解説する.
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医学のあゆみ 257巻3号, 226-232 (2016);
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◎癌とAlzheimer 病の治療法開発は,日本の医学が最優先で解決に取り組むべき課題である.これらの疾患の病態および治療には,樹状細胞やマクロファージというミエロイド系免疫細胞が深くかかわっている.著者らはES 細胞から樹状細胞を作成し,免疫応答を制御するという研究を行ってきた.現在はiPS 細胞を細胞ソースとして用いることによりAlzheimer 病や悪性腫瘍などの疾患治療に役立つような機能を有するマクロファージや樹状細胞を作成し,細胞医薬品(再生医療等製品)として実用化することをめざした研究を行っている.本稿では,これまでの著者らの取組みを中心に紹介したい.
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医学のあゆみ 257巻3号, 233-238 (2016);
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◎ナチュラルキラーT(NKT)細胞は,自然免疫に分類されてはいるが,NK 細胞マーカーとTCR を両方発現しているというユニークな特徴を有するT 細胞のサブセットである.本稿では,iPS 細胞技術によりNKT 細胞を大量培養し,がん免疫療法に適用する研究開発について紹介したい.生体内の樹状細胞,T 細胞,NK 細胞,NKT 細胞などの免疫細胞を生体外で増殖後,患者の体内へ戻す自己免疫細胞活性化によるがん免疫療法と比べて,iPS 細胞技術を利用した方法の利点は,あらかじめ高い抗腫瘍能を有するiPS 細胞由来NKT 細胞を選別(クローン化)することが可能であり,高い治療効果を期待できることである.また,細胞バンクとして異なるHLA 型のクローンを準備しておくことで,適応患者数を増やせること,細胞をある程度増やした状態でバンク化できるため早急に対応できることである.
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医学のあゆみ 257巻3号, 239-243 (2016);
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◎近年,B 細胞性造血器腫瘍に対する治療で,CD19 特異的キメラ抗原受容体(CAR)を用いた養子免疫遺伝子療法がめざましい成果をあげている.がんに対する免疫療法の成否は,がん細胞特異的に免疫反応を示すT 細胞をいかにして活性化するかにかかっている.従来の免疫療法もT 細胞を活性化するという点では同じであるが,活性化されたT 細胞がかならずしもがん特異的に免疫反応を示すわけではなかったため,十分な臨床効果が得られなかった.一方,CAR を用いて遺伝子修飾することで,がんに特異性の高い免疫応答を示すT 細胞の作製が可能となった.本稿では,養子免疫遺伝子療法,とくにキメラ抗原受容体を用いた遺伝子治療の現状と課題について概説する.
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連載
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医学教育の現在―現状と課題 11
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医学のあゆみ 257巻3号, 250-255 (2016);
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◎共用試験が導入されてちょうど10 年が経過し,第11 回正式実施が進行中である.すでに医師のうち6 万人が共用試験を受験している.その一部はすでに大学教員となり,医学教育の現場に共用試験がますます浸透してきている.著者は共用試験の全国組織で運営にかかわる一方,所属大学医学科の教員として実施大学側の運営にも携わってきた立場から,本稿では共用試験CBT,同OSCE の導入目的と正式実施以前から現在に至る経緯について公表された報告書などをもとに振り返り,さらに2015 年度共用試験の受験生から正式実施がはじまった,全国医学部長病院長会議によるStudent Doctor 制度,外部評価が開始された医学教育の分野別認証評価制度,そして臨床実習後OSCE との関連など,課題や今後の展望を含め考察する.
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フォーラム
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近代医学を築いた人々 51
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医学のあゆみ 257巻3号, 257-257 (2016);
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外国人にやさしい医療―言葉の壁をこえて 1
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医学のあゆみ 257巻3号, 259-261 (2016);
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TOPICS
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薬理学・毒性学
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医学のあゆみ 257巻3号, 245-246 (2016);
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癌・腫瘍学
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医学のあゆみ 257巻3号, 246-248 (2016);
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循環器内科学
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医学のあゆみ 257巻3号, 248-249 (2016);
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