Volume 258,
Issue 3,
2016
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あゆみ IgG4 関連疾患の新知見
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医学のあゆみ 258巻3号, 195-195 (2016);
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医学のあゆみ 258巻3号, 197-199 (2016);
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◎“IgG4 関連疾患(IgG4-RD)”は,従来知られていた自己免疫性膵炎(AIP)とミクリッツ(Mikulicz)病が,ともに血中IgG4 が高値であり,かつ組織に形質細胞が浸潤していることから同じ病因病態による同一疾患であることが判明し,さらにさまざまな臓器の疾患が加わってひとつの疾患単位となったものである.本疾患は2011 年に,日米の研究者が中心となって国際会議がもたれ,議論の末国際的に“IgG4 関連疾患(IgG4-relateddisease:IgG4-RD)”と命名されたが,自己免疫性膵炎,Mikulicz 病は,わが国ではともに古くから認識されていたこと,血中IgG4 高値の発見がわが国のHamano,Kawa らによってなされたことなど,本疾患の概念確立と命名はわが国を中心になされたといっても過言ではない.一方,自己免疫性膵炎とMikulicz 病はそれぞれ厚労省の難治性疾患研究班として独立して存在していたが,同一疾患であることが判明したため,2013 年から2 つの班が統一され“IgG4 関連疾患研究班”となった.また,2015 年には国の難病制度が法制化され,本疾患も“指定難病”のひとつに指定され,患者の医療費助成が開始された.その際,厚労省の本研究班が診断基準と重症度分類の策定を行った.
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医学のあゆみ 258巻3号, 201-206 (2016);
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◎IgG4 関連疾患(IgG4-RD)は血清IgG4 高値とIgG4 陽性形質細胞の浸潤を特徴とする病態で,21 世紀に日本から発信された疾患概念である.IgG4-RD は多臓器に病変が生じ,多岐にわたる診療科で遭遇する疾患である.IgG4-RD 包括診断基準(CD criteria)は,専門領域の壁を取り除き,一般臨床医にも使えるように最低限のコンセンサスを目的として厚生労働省難治性疾患克服研究事業の2 つの研究班(梅原班,岡崎班)のメンバーが一体となり世界ではじめて作成された.①病変の存在,②血清IgG4>135 mg/dL,③病理組織におけるIgG 陽性細胞10 個以上かつIgG4/IgG 陽性細胞>40%,の3 項目だけのシンプルなものである.CD criteriaで診断不能症例には,IgG4-自己免疫性膵炎,-胆管炎,-Mikulicz 病,-腎症,-肺疾患,-眼病変の各臓器別診断基準が各学会から発表されている.
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医学のあゆみ 258巻3号, 207-212 (2016);
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◎2012 年にIgG4 関連疾患の病理に関するコンセンサス論文を発表した.それにより本疾患の病理所見は世界的に広く受け入れられたと思われるが,診断の向上のためには以下の3 点についてさらなる努力が必要である.1 つ目は個々の病理所見の解釈・定義について病理医間で意見交換を行い,診断の再現性を高める.2 つ目は生検診断の知識と経験を共有する.3 つ目は組織像が類似した他疾患(idiopathic multicentric Castleman病など)との鑑別点を明確にする.本稿では,これらの点を中心に解説する.
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医学のあゆみ 258巻3号, 213-216 (2016);
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◎Hamanoらがscrelosing pancreatitis 患者の血清中にIgG4 が高値であることを報告したことが,IgG4 関連疾患としてIgG4 と疾患の関係を直接報告したはじまりとされている.いまだIgG4 の役割は不明であるが,その産生機序には Th2 サイトカイン,制御性 T 細胞などの獲得免疫,Toll-like recepto(r TLR)や NOD-likerecepto(r NLR)に代表される自然免疫反応などさまざまな異常が関与している可能性が示唆されている.本稿では,IgG4 関連疾患の病因病態について現在までの報告をもとに概説する.
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医学のあゆみ 258巻3号, 217-222 (2016);
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◎IgG4 関連疾患は,21 世紀に日本より発信された疾患で,IgG4 産生形質細胞が全身諸臓器で腫瘤性病変を形成し,高IgG4 血症を呈する原因不明のリンパ増殖性疾患である.診断は厚労省研究班のIgG4 関連疾患包括診断基準を用いて診断する.病変が涙腺や唾液腺などに限局し自覚症状が乏しい場合は,無治療経過観察も選択肢となりうる.肺,膵,腎など重要臓器病変では早期の治療開始適応がある.治療は副腎皮質ステロイドprednisolone 中等量内服;0.5~0.6 mg/kg/day より開始し,その後に10%ずつ慎重に漸減し,5~10 mg 程度の維持量が必要となる症例が多い.診断が確実であれば,すくなくとも初期のステロイド治療が奏功するため,ステロイド治療抵抗例は鑑別疾患を再度除外する必要がある.欧米ではrituximab が汎用されているが,わが国では本疾患に対する保険適応がなく,rituximab の早期導入は倫理的に問題があり,前向き治療研究として厳密なプロトコール研究として使用されるべきである.
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医学のあゆみ 258巻3号, 223-227 (2016);
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◎IgG4 関連疾患(IgG4-RD)の長期経過として,主要構成疾患である自己免疫性膵炎(AIP)の慢性膵炎への移行,IgG4-RD と悪性腫瘍の合併との関連について概説する.AIP は当初,ステロイド治療に良好に反応して機能的・画像的に正常化し,膵石灰化は認めず,急性期の病態と考えられていた.しかし,長期経過の検討より膵石灰化や膵萎縮をきたし慢性膵炎に移行しうることが明らかになった.膵頭部腫大,膵頭部主膵管狭細が長期にわたる膵液うっ滞をきたし,これが膵石の形成に至る要因と考えられた.一方,AIP ならびにIgG4-RDは長期経過で悪性腫瘍発生と有意に関連していると報告されている.しかし,これらに否定的な報告もあり,一定の見解が得られていない.著者らの検討では,IgG4-RD は悪性腫瘍発症と関連する可能性あり,一部のIgG4-RD は既報のように腫瘍随伴症候群の可能性が考えられた.
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【ayumi TOPICS】
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医学のあゆみ 258巻3号, 229-232 (2016);
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医学のあゆみ 258巻3号, 233-236 (2016);
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医学のあゆみ 258巻3号, 237-240 (2016);
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医学のあゆみ 258巻3号, 241-243 (2016);
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医学のあゆみ 258巻3号, 245-246 (2016);
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連載
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グローバル感染症最前線―NTDs の先へ 1
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医学のあゆみ 258巻3号, 252-257 (2016);
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◎感染症とは,微生物を原因とする伝染性疾病の総称であり,ときに大きな流行を引き起こし,病原性の高い感染症の流行は人びとに甚大な犠牲をもたらしてきた.ドイツの細菌学者ロベルト・コッホは1876 年に炭疽菌,1882 年に結核菌の分離培養に成功し,微生物が感染症の原因であることを証明した.いまから遡ることわずか140 年ほど前の出来事である.Jenner による牛痘を用いた種痘法(1798 年),スノーによるコレラに対する疫学的手法の導入(1854 年),フレミングによるペニシリンの発見(1928 年)などは人類が感染症と闘うためのきわめて重要な武器と科学的知見を提供した1).これらを端緒とした各種病原体の同定,感染経路の解明,病態の理解,適切な診断法,有効な薬剤やワクチンの開発によって人類は感染症との闘いに勝利し,もはや感染症は大きな問題ではないと考えられた時期もあった.しかしながら,21 世紀においてもなお人類は感染症の脅威にさらされつづけている.本稿では,グローバルな視点から昨今の感染症を俯瞰したい.
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輝く 日本人による発見と新規開発 33
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医学のあゆみ 258巻3号, 259-264 (2016);
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フォーラム
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近代医学を築いた人々 54
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医学のあゆみ 258巻3号, 265-265 (2016);
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TOPICS
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神経内科学
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医学のあゆみ 258巻3号, 247-248 (2016);
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遺伝学
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医学のあゆみ 258巻3号, 248-249 (2016);
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麻酔科学
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医学のあゆみ 258巻3号, 249-250 (2016);
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