Volume 259,
Issue 4,
2016
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あゆみ C 型肝炎SVR 後の肝発癌
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医学のあゆみ 259巻4号, 279-279 (2016);
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医学のあゆみ 259巻4号, 281-286 (2016);
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◎わが国の肝細胞癌の主要な原因として,C 型肝炎はいまだ重要である.C 型肝炎からの発癌リスクとしては,高齢,男性,肝線維化進展などがあげられ,インターフェロン療法によりウイルス排除が得られると発癌リスクが低下することにはエビデンスが確立されている.現在はC 型肝炎ウイルス増殖を直接阻害する新薬(DAAs)により,インターフェロンを用いずに多くの症例でウイルス排除が達成されるようになり,さらなる肝癌抑制効果が期待される.しかし,高発癌リスク症例においてウイルス排除によりどの程度の発癌抑止効果が得られるかは不明である.したがって,今後はインターフェロンフリー治療によるウイルス排除後の発癌リスク因子をあらたに明らかとし,それに基づく肝発癌のスクリーニングプログラムを構築していくことが重要である.
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医学のあゆみ 259巻4号, 287-291 (2016);
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◎インターフェロン(IFN)を用いた抗ウイルス療法により,C 型肝炎ウイルス(HCV)が排除されたSVR 症例において,HCV 排除による生命予後の改善をHCV 持続感染例と比較することにより評価した.HCV が排除されたSVR 例では持続感染例に比べて肝細胞癌の発生率は有意に低く,肝疾患関連の死亡率は低かった.加えて非肝疾患関連死亡率もSVR 例で有意に低かった.その結果,全生存率はSVR 例においてHCV 持続感染例と比較して有意に高率であった.これらの結果はpropensity score matching で背景因子を比較した場合および70 歳以上の高齢者においても同様であった.経口薬によるIFN-free 治療によるSVR においても同様の結果が得られるかは今後の検討が必要である.
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医学のあゆみ 259巻4号, 293-298 (2016);
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◎C型肝炎の治療の目的は,ウイルス排除と,これによる肝炎の沈静化・肝線維化抑制,肝発癌抑止である.これまでIFN によりウイルス排除(SVR)がなされると肝発癌が抑制されることが示されており,この効果は,肝発癌リスクが高い症例で顕著であることが判明している,しかし,SVR 達成後にも肝発癌がみられ,肝線維化,男性,アルコール摂取,肝脂肪化,糖尿病が危険因子としてあげられている.しかし,このことから発癌リスクの高い集団ではIFN によるSVR によって肝発癌は抑制されるものの,いぜん発癌リスクは残存することが示唆される.一方,現在C 型肝炎に対する抗ウイルス療法は,直接作用型抗ウイルス剤(DAA)によるIFN フリーの治療が主体となっているが,これによりSVR が得られた場合の肝発癌リスクが減少するかどうかについては明確なエビデンスはない.また,DAA による治療は高いSVR 率が得られるため,肝発癌が減少することが期待されるが,肝癌治療後の治療では肝癌再発率が上昇するという報告が出され,あらたな議論になっている.しかし,これに対する反証論文もただちに提出され,今後の症例蓄積とともにあらたな展開が期待される.
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医学のあゆみ 259巻4号, 299-304 (2016);
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◎C型肝炎の抗ウイルス治療は,DAA の登場により飛躍的な進歩を遂げた.ほとんどの症例でHCV の排除が可能となったいま,SVR 後発癌が大きな課題となっている.肝発癌症例の非癌部の検討でも,TP53,CTNNB1 といった発癌関連遺伝子の変異が認められることが報告され,HCV の感染により臨床的には腫瘍の存在を認めない段階から遺伝子異常が潜在していることが推定される.HCV の排除により累積発癌率は低下するが,一定数の発癌は存在する.線維化進行例,高齢,男性,アルコール多飲,糖尿病,SVR 達成時AFP高値,SVR 達成時ALT 高値といった高リスク因子をもとに,高リスク群の囲い込みが重要となる.当施設の検討では,SVR 症例において5 年累積発癌率は3.6%であり,肝発癌の高リスク因子として治療前のM2BPGiおよびAFP,治療終了時のM2BPGi およびAFP,SVR 達成時のFib-4 index の5 因子が検出された.SVR後発癌の機序については不明な点も多く,今後さらなる解明が望まれる.
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医学のあゆみ 259巻4号, 305-310 (2016);
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◎抗ウイルス治療によるC 型肝炎ウイルスの駆除によって肝発癌の発生は抑制されるも一部の例では癌化する.IFN をベースにした治療でHCV を駆除した例での発癌例の特徴としては,①高齢者,②男性,③飲酒者,④脂肪肝合併例,⑤肝線維化進展例,⑥血小板数低下,⑦AFP 高値例,⑧M2BPGi 高値例などが報告されている.そのようななかでも,AFP 値とM2BPGi 値は,未治療例,HCV 治療例での肝発癌リスクマーカーであり,治療後AFP 非低下例,M2BPGi 非低下例はHCV 排除後もいぜんとして発癌リスクが高いことを前提に患者の経過観察を行うべきである.
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医学のあゆみ 259巻4号, 311-315 (2016);
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◎C型慢性肝炎の治療法としてDAA が登場して以来,飛躍的にHCV 排除率は改善したが,IFN 治療対象者と比較すると,高齢者,線維化進展例が多く,SVR 後発癌例はIFN 症例に比べ増加すると予想される.したがって発癌のリスク因子である,男性,高齢化,線維化進展例,AFP 高値例などの高危険群の囲い込みが重要である.C 型慢性肝炎の治療は,HCV が排除できれば,感染症としての治療は成功であるが,持続感染の結果として生じた肝線維化をはじめとした慢性肝臓病が治癒するわけではない.HCV 排除が最終目標ではなく,発癌抑制を介した予後の改善が目標であり,これこそが今後の重要な課題であると考えられる.
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医学のあゆみ 259巻4号, 316-319 (2016);
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◎多数例のC 型慢性肝炎の後ろ向き研究では,インターフェロン治療でウイルス排除(SVR)が得られると無治療に比べて1/10 近くまでの肝癌発癌率低下が得られた.しかし,肝硬変に至った症例ではSVR が達成できても発癌抑制効果は鈍く,無治療例の約1/2 程度にとどまった.SVR となった症例に対して根治的な肝切除やラジオ波焼灼治療を行うと,通常のC 型慢性肝疾患合併肝癌より発癌率は有意に低下するが,10 年後・15 年後でも再発率曲線が上昇していくことには留意すべきである.一般にSVR となった症例では肝機能悪化が起こらないために,より根治的,より積極的な治療が可能となるため,生存予後は改善する.インターフェロンフリーの内服直接型抗ウイルス薬(DAA)は,高齢者や線維化進行例にも高率にウイルス排除が可能であるが,これら発癌高危険群での発癌抑制効果は今後の課題である.
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医学のあゆみ 259巻4号, 320-324 (2016);
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◎HCV 関連肝細胞癌(C 型肝癌)は,肝切除やラジオ波治療などの根治治療後であっても,きわめて高率に再発をきたす.C 型肝炎に対するIFN 治療による肝発癌抑制効果はすでに明らかとなっているが,C 型肝癌根治治療後においても,IFN 治療によりウイルス排除(SVR)が得られれば,長期的には肝癌再発抑制効果や生命予後改善効果が得られることがいくつかのランダム化比較試験やメタアナリシスにおいて報告されている.現在,C 型肝炎に対して行われているDAAs 治療は,高齢,肝硬変,HCV genotype 1 型などのIFN 難治症例にも高いSVR 率が報告されている.今後,肝癌治療後のDAAs 治療によりSVR 症例が増加することで,C 型肝癌の長期成績の向上が期待されており,今後の検証がまたれる.
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連載
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グローバル感染症最前線―NTDs の先へ 10
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医学のあゆみ 259巻4号, 329-334 (2016);
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◎熱帯病の治療薬として天然化合物が大きく寄与していることは,2015 年のノーベル生理学・医学賞がオンコセルカ症治療薬のイベルメクチンとマラリア治療薬のアルテミシニンの業績に与えられたことからもよくわかる.ここではNTDs を中心とした熱帯病治療薬のうちとくに微生物由来の抗生物質に焦点を当てて,その貢献を紹介するとともに今後についても考えてみる.また,線虫治療薬としてオンコセルカ症やリンパ系フィラリア症に用いられているイベルメクチンに関しては,発見の経緯から現在に至るまでを詳しく解説していく.
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フォーラム
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医療機関のダイバーシティ 8
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医学のあゆみ 259巻4号, 335-337 (2016);
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医学のあゆみ 259巻4号, 338-339 (2016);
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医学のあゆみ 259巻4号, 340-341 (2016);
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TOPICS
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医動物学・寄生虫学
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医学のあゆみ 259巻4号, 325-326 (2016);
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加齢医学
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医学のあゆみ 259巻4号, 326-327 (2016);
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糖尿病・内分泌代謝学
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医学のあゆみ 259巻4号, 327-328 (2016);
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