Volume 259,
Issue 9,
2016
-
あゆみ 緩和ケア:最新トピック
-
-
Source:
医学のあゆみ 259巻9号, 893-893 (2016);
View Description
Hide Description
-
Source:
医学のあゆみ 259巻9号, 895-899 (2016);
View Description
Hide Description
◎緩和ケアとは“重い病を抱える患者やその家族一人ひとりの身体や心などのさまざまなつらさをやわらげ,より豊かな人生を送ることができるように支えていくケア”である.2007 年のがん対策基本法の施行から10年,国民にも医療者間にも緩和ケアに対する関心は高まっている.第2 期がん対策推進基本計画では“がんと診断されたときからの緩和ケア”として,がん診療にかかわるすべての医療者が診断早期より患者と家族のさまざまな苦痛に対応できる“基本的緩和ケア”を行えることを目標として掲げている.各がん診療連携拠点病院を中心に,緩和ケアチーム,緩和ケア病棟,在宅ホスピスなどで“専門的緩和ケア”を行う体制が整えられている.日常診療のなかで“基本的緩和ケア”を行い,問題が生じた際に“専門的緩和ケア”へ紹介できる組織,関係づくりが重要である.基本的緩和ケアを系統的に学ぶ場として“がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会”が各自治体単位で開催されている.
-
Source:
医学のあゆみ 259巻9号, 900-904 (2016);
View Description
Hide Description
◎緩和ケアでは,対象患者の苦痛の原因となっている病態や,家族の苦痛をスクリーニングし,多職種で患者にかかわること,そして包括的な評価を行い,病状,今後の治療方針や予後の見通しを主治医と共有し,患者と家族の今後のすごし方が最適になるようプランを立てることが重要である.患者の症状は病状の進行とともに変化していき,それに伴って包括的な評価も変わってくる.それゆえ包括的評価は初診時だけにとどまらず,経時的に反復して行う必要がある.緩和ケアの対象患者の苦痛はシシリー・ソンダースの全人的苦痛1)にあるように,身体的苦痛だけでなく精神的・社会的・スピリチュアルな苦痛も併せもつといわれている.われわれ医療者は,こうした多様な苦痛にも目を向ける必要があり,それらをスクリーニングによって包括的に評価し,適切に対応することが不可欠である.本稿では,患者と家族の苦痛のスクリーニングと包括的評価について述べる.
-
Source:
医学のあゆみ 259巻9号, 905-911 (2016);
View Description
Hide Description
◎がん疼痛はがん患者の半数以上が経験するといわれている.患者の生活の質(quality of life:QOL)を維持するためのがん疼痛緩和はまず鎮痛目標を設定し,つぎに痛みを評価することからはじまる.がん疼痛はその性状・病態から内臓痛・体性痛・神経障害性疼痛に分類される.薬物療法はWHO 三段階除痛ラダーに沿って痛みの程度に応じて開始する.基本的には5 原則に則って薬剤を開始するが,薬剤の種類や投与経路は多岐にわたるため,基本的な知識を得ておく必要がある.オピオイド鎮痛薬をはじめとするすべての鎮痛薬には副作用もあるため予防に努めることが重要である.痛みは放置することで,さらに強い痛みへ変化しうることがあるため(痛みの悪循環),早期からのがん疼痛緩和が重要である.薬物療法だけでなく,放射線療法や神経ブロック,手術療法などが有効な場合も多くあるため,その施行については専門家へコンサルトする.
-
Source:
医学のあゆみ 259巻9号, 913-916 (2016);
View Description
Hide Description
◎WHO(世界保健機構)から1986 年に『がんの痛みからの解放』の第1 版が,1996 年に第2 版が出版1)され,世界各国の臨床の場で広く用いられている.がん疼痛は,がんによる痛み,がん治療による痛み,がん・がん治療と直接関連のない痛みの 3 つ2,3)に分類される(図 1).WHO 方式がん疼痛治療法1()図 2,表 1)に則った痛み強度に応じてオピオイド鎮痛薬を含めた各種鎮痛薬,鎮痛補助薬の投与とレスキューを使用する痛み治療は,がん自体による痛みに対して適応がある一方,術後の慢性創部痛などの抗がん治療に伴う痛みや,担がん患者の帯状疱疹後神経痛,腫瘍浸潤後の後遺症などの合併症に含まれるような非がん性慢性疼痛では通常行うべきではない4).今回オピオイド鎮痛薬の乱用・依存を生じた症例をもとに,その背景や原因と経過,そして問題となるオピオイド鎮痛薬のがん疼痛患者への投与について,問題提起を含めて考察する.
-
Source:
医学のあゆみ 259巻9号, 917-922 (2016);
View Description
Hide Description
◎2012 年,がん対策推進基本計画が見直され“チーム医療の推進”“診断されたときからの緩和ケア”が掲げられた.患者や家族のさまざまなニーズを多職種が個別に多角的に評価しながら協働するチーム医療が,緩和ケアでは不可欠となっている.患者や家族のより複雑な課題を達成するためには,各専門職が協働・連携してチームのなかで果たすべき役割を担うことに重点をおいたinterdisciplinary team を組むことが必要である.緩和ケアチームにおいては自分以外の他職種の専門性を理解したうえで,重複した領域の役割を解放・共有できるかが鍵を握る.緩和ケアチームにおける医師には,オープンマインドなコミュニケーション,相互に信頼と相手を尊重する姿勢が求められる.組織のなかで責任感をもって協働する謙虚な姿勢が緩和ケアチームにおける医師の資質として重要である.
-
Source:
医学のあゆみ 259巻9号, 923-929 (2016);
View Description
Hide Description
◎気持ちのつらさを扱う際にもっとも重要なのは,抑うつの背景にある病態アセスメントである.めだった症状が“抑うつ”であれ,患者の訴えが“気持ちの落ち込み”であったとしても,それがうつ病であると結論するにはいくつかの手順を踏む必要がある.重症度判断や介入方法の決定はその後のことであり,初期アセスメントを誤ることは患者QOL の著しい低下につながる1).介入が必要な気持ちのつらさと判断されたとしても薬物療法を開始するには慎重な判断が必要である.抗うつ薬は相互作用が複雑で催吐作用をもつものが多く,患者QOL に寄与するように薬剤選択をすることは容易ではない.多くの抑うつの背景が了解可能な不安や心配であることも多い.患者のおかれている状況を整理し,患者がもともともっているコーピングを高めるための働きかけはきわめて有効である.その一方で,重症な抑うつは自殺につながることを忘れてはいけない.メンタルヘルス最大の目的は自殺予防である.がん患者の自殺予防策についてはすべての医療者が十分に理解しておく必要がある.本稿では抑うつ評価についてはとくに誤解されやすい,(低活動型)せん妄,認知症,抑うつの鑑別についてとくに強調し,抑うつへの介入については心配の整理術と自殺予防に重点をおいて概説することとする.
-
Source:
医学のあゆみ 259巻9号, 931-935 (2016);
View Description
Hide Description
◎アドバンスケアプランニング(advance care planning:ACP)は“患者が将来重篤な病気や状態になったときに,どこでどのようにすごしたいかに関する意向や希望を,家族や医療・ケア提供者とあらかじめ話し合うプロセス”のことをさし,高齢化を迎えるわが国の医療において重要な基軸となっていくと考えられる.将来の医療行為と代理意思決定者に関する事前指示(AD)の作成だけでは患者・家族への十分な成果をもたらさないことが明らかになったが,ACP というプロセスを重視した介入は終末期のケアの質や患者・家族の生活の質向上につながることが示されてきている.実際の話し合いの際には,①十分な時間を確保し,話し合いの機会も何度かもてるようにすること,②代理意思決定者にも話し合いの場に同席してもらうようにすること,③話し合いの内容や決断したことに関して医療チーム内でも共有することや決断内容に変更が出た場合は更新できることを保証すること,が重要である.
-
Source:
医学のあゆみ 259巻9号, 936-940 (2016);
View Description
Hide Description
◎看取りは緩和ケアにおいて重要なケアのひとつである.看取りの時期,多くの患者で活動低下,食欲低下,嚥下困難・内服不可となる.また,痛み,呼吸困難,せん妄,気道分泌亢進(死前喘鳴)などが出現することも多い.これらの変化をみて家族も辛さを感じ,とくに看取りの経験の少ない家族は看取りの時期の患者の変化にとまどうことが多い.このような家族の辛さやとまどい,思いを理解し,かつ尊重しながらの対応が不可欠となる.看取り期(終末期)には適切な対応を行っていても耐え難い苦痛を訴える場合がある.このようなときに鎮静が検討される.鎮静によって生命予後が短縮されることはないが,深い持続的鎮静ではコミュニケーションができなくなる.患者・家族の価値観・文化・背景,そして思いを斟酌し,患者,家族,複数の医療従事者で話し合いを重ね,皆が納得できるよりよい看取り(最期)を迎えられる工夫と努力が必要となる.
-
Source:
医学のあゆみ 259巻9号, 941-945 (2016);
View Description
Hide Description
◎非がん緩和ケアでは,患者家族の疾患に対する受容度ががん患者,家族よりも不十分なことが多く,医療者にとっても終焉時期の告知のタイミングが難しいことが多い.そのため事前医療計画(指示書)ACP の必要性ががん患者家族以上に示唆される.しかし,ACP を進めるためには国民の死生観,つまり死をタブー視しない考えが普及してこなければ難しいかもしれない.簡単に普及啓発できる問題ではないと考える.まず,医療者が死をタブー視しない考えをもち患者家族と向かい合わなければいけないと考える.ハード面ではがん,非がんの緩和ケアにおける溝(不具合)に関して関係学会などから法的改正が進むようにご尽力いただきたいと思うのは緩和ケアに携わるすべての医療関係者の願いであると考える.
-
連載
-
-
グローバル感染症最前線―NTDs の先へ 13
-
Source:
医学のあゆみ 259巻9号, 952-960 (2016);
View Description
Hide Description
◎トキソプラズマ(Toxoplasma gondii)は,代表的な人獣共通寄生虫のひとつで,トキソプラズマ症の病原体である.健常人への感染は重篤な臨床症状を示さないことから,顧みられない感染症とされている.しかし,世界人口の約3 割がトキソプラズマに感染していると推定されており,その感染による人間社会への潜在的なリスクを理解しておく必要がある.今回,トキソプラズマ感染の対策に重要となる3 つの点,①環境中へのトキソプラズマの拡散が生態系に与える影響,②感染による妊婦・胎児への影響,③慢性感染がヒトへ及ぼす影響,について着目し,グローバルな人獣共通感染症であるトキソプラズマ症について解説したい.
-
フォーラム
-
-
Source:
医学のあゆみ 259巻9号, 961-963 (2016);
View Description
Hide Description
-
Source:
医学のあゆみ 259巻9号, 964-965 (2016);
View Description
Hide Description
-
Source:
医学のあゆみ 259巻9号, 966-967 (2016);
View Description
Hide Description
-
TOPICS
-
-
免疫学
-
Source:
医学のあゆみ 259巻9号, 947-948 (2016);
View Description
Hide Description
-
腎臓内科学
-
Source:
医学のあゆみ 259巻9号, 949-950 (2016);
View Description
Hide Description
-
脳神経外科学
-
Source:
医学のあゆみ 259巻9号, 950-951 (2016);
View Description
Hide Description