Volume 261,
Issue 4,
2017
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特集 心血管疾患発症予防からみた糖尿病治療
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医学のあゆみ 261巻4号, 279-279 (2017);
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医学のあゆみ 261巻4号, 281-285 (2017);
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糖尿病未発症者において,食事・運動療法による生活習慣の改善が糖尿病発症を抑制することが多くの介入研究により示されているが,2 型糖尿病患者における心血管疾患の発症に関しては,Look AHEAD に代表される介入研究などでは有意な抑制効果は示されていない.しかし,食事・運動療法は2 型糖尿病治療の基本であり,また多くの観察研究では身体活動量や最大酸素摂取量,食物繊維摂取量や塩分摂取量などと心血管疾患発症との関連が示されており,個々の症例に対し適切にかつ積極的に勧めるべきものである.食事療法は肝のインスリン抵抗性や脂肪肝の改善効果を示し,一方,運動療法は骨格筋のインスリン抵抗性や骨格筋細胞内脂質の改善効果を示すことが明らかとなっており,食事・運動療法による疾患予防のメカニズムのひとつと推測される.
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医学のあゆみ 261巻4号, 286-291 (2017);
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血糖介入により糖尿病合併症の発症・進展を抑制できるかどうか,またどのレベルまで血糖を低下させるメリットがあるかなどについて,優れた大規模臨床研究結果が報告されてきた.本稿では,DCCT からACCORD,ADVANCE,VADT までの試験について,追跡調査結果も含めて詳述する.
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医学のあゆみ 261巻4号, 292-296 (2017);
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糖尿病治療発展の歴史は,インスリン製剤開発の歴史といっても過言ではない.近代医療において,糖尿病治療薬の開発はめざましいが,そのうちもっとも古くから存在し,かついまだに進化を続けている薬物がインスリンである.これまでの大規模臨床研究では,糖尿病合併症の発症・進展,内服薬との比較など多くの研究で,インスリンがスタンダードとして用いられてきた.心血管疾患発症予防を目的とした大規模臨床研究として,欧米ではDCCT/EDIC Study,ACCORD Study などでエビデンスが蓄積されている.わが国でも現在J-DOIT3 が全国規模で行われ,その結果報告が待たれている.糖尿病患者における心血管疾患発症予防においては,血糖コントロールが重要な要素であるが,低血糖,そのなかでもとくに,重症とされる低血糖を避けたうえでの血糖コントロールであることをつねに念頭におきながら,患者個々の病態や,生活環境に応じた治療法を選択することが重要である.
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医学のあゆみ 261巻4号, 297-301 (2017);
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「血糖値が食後に一過性に,過剰に上昇し,速やかに降下する状況」である食後過血糖の時期に,頸動脈エコーで測定した内膜中膜複合体肥厚度が,同年齢の2 型糖尿病患者と同程度に厚くなっていることを約25 年前に著者らは見出した.現実に食後過血糖のステージに脳梗塞・心筋梗塞が多発していることを治療現場でよく経験する.まして2 型糖尿病患者においては毎食後に,より高血糖域に上昇し,降下しにくい血糖応答を繰り返していることから,食後高血糖是正をめざした積極的な治療介入が求められる.αグルコシダーゼ阻害薬の臨床応用による食後高血糖の改善が,血管壁や細胞内での酸化ストレスや血液凝固系の亢進,単球やマクロファージの接着などを介して進行する血管内皮細胞傷害を防止することが証明されている.2 型糖尿病の治療の目標が内因性インスリン分泌の活用による,安定した生理的な血糖応答の維持にあることを勘案すれば,インスリン分泌に負担をかけないαグルコシダーゼ阻害薬は特異な位置づけを有する薬剤である.
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医学のあゆみ 261巻4号, 302-305 (2017);
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大規模臨床研究UKPDS において,メトホルミン投与により糖尿病関連エンドポイントは-32%,心筋梗塞-39%,全死亡-36%といずれも有意な抑制がみられ,メトホルミンの有用性が明らかにされた.発売後50 年近くを経てふたたび脚光を浴びることになり,海外では糖尿病治療の第一選択薬になった.メトホルミンには血糖低下作用のみならず,オートファジー誘導に加えeNOS 活性化や抗酸化作用など抗動脈硬化作用も有していることが明らかにされた.
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医学のあゆみ 261巻4号, 306-311 (2017);
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チアゾリジン誘導体は日本が世界に先がけて開発した薬剤であり,耐糖能を改善するのみならず大血管イベントを抑制することが大規模臨床試験で明らかになっている.この耐糖能や大血管イベントの抑制メカニズムとしてチアゾリジン誘導体によって上昇するアディポネクチンを介した作用が存在するが,どの程度アディポネクチンを介しているのかについては不明である.著者らはアディポネクチン欠損マウスを用いることにより,低用量のピオグリタゾンではおもにアディポネクチンを介して,高用量のピオグリタゾンではおもに炎症性サイトカインを抑制することにより,耐糖能を改善させることを明らかにした.また短期投与では早期から上昇するアディポネクチンが血管平滑筋細胞の増殖を抑制するのに加えて,長期投与ではcyclin B1 やcyclinD1 を介して血管平滑筋細胞の増殖を抑制し,カフ障害誘導性の内膜肥厚を抑制することを明らかにした.
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医学のあゆみ 261巻4号, 312-317 (2017);
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国内外の基礎研究から,インクレチン関連薬(DPP-4 阻害薬,GLP-1 受容体作動薬)が心血管疾患の発症抑制に資する可能性が示唆されてきた.また,インクレチン関連薬の臨床試験のメタ解析から心血管疾患の発症抑制効果が示されている.ハイリスク者を対象とした心血管安全性を評価する大規模臨床試験から,DPP-4阻害薬,GLP-1 受容体作動薬ともに一定の心血管安全性が示され,一部のGLP-1 受容体作動薬では心血管疾患抑制効果が確認されたことも大変興味深い.加えて,インクレチン関連薬は低血糖リスクが低く,低血糖により誘発される心血管疾患を予防しうる可能性も指摘されている.本稿では,インクレチンによる心血管疾患発症抑制に関する基礎研究の成果を振り返るとともに,これまでに報告のある臨床データを概説しながら,心血管疾患に対するインクレチン関連薬の効果について議論したい.
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医学のあゆみ 261巻4号, 318-324 (2017);
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SGLT2 は腎の近位尿細管に発現し,尿中グルコース再吸収のおよそ90%を担うトランスポーターである.経口血糖降下薬は,①インスリン抵抗性改善系,②インスリン分泌促進系,③糖吸収・排泄調節系,の3 カテゴリーに整理され,2014 年に登場したSGLT2 阻害薬は③糖吸収・排泄調節系に属するが,尿糖排泄促進による直接的な血糖降下作用を有するほかに,全身のエネルギー代謝を糖利用から脂質利用にシフトさせ,体重減少・体脂肪量減少作用とインスリン抵抗性改善作用も有する.ただし,尿路・性器感染症に加え,脱水,重症低血糖,ケトアシドーシス,脳梗塞,全身性皮疹,敗血症などの重篤な副作用報告もあり,「SGLT2 阻害薬の適正使用に関するRecommendation」に従うことが重要である.2015 年に心血管疾患の発症リスクが高い2 型糖尿病に対して,エンパグリフロジンがプラセボ群と比較して心血管疾患を有意に抑制したとする大規模臨床試験の結果が発表され,大きな話題をよんだ(EMPA-REG OUTCOME).ほかのSGLT2 阻害薬も心血管疾患に対して同様のインパクトを有するかどうか注目されている.
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連載
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性差医学・医療の進歩と臨床展開 12
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医学のあゆみ 261巻4号, 330-336 (2017);
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◎運動器疾患の年齢による頻度分布は,男性は比較的平坦であるが,女性は60~79 歳の幅広いピークに向かい加齢とともに増加する山型の分布を示す.平均年齢は女性が高く,これは骨粗鬆症関連骨折や,膝・股関節の変形性関節症が女性が多いことによる.一般に,骨,筋肉にかかわる疾患は女性に多く,過剰な運動負荷が関与すると考えられる脊椎椎間板変性は男性に多い.また,関節の靱帯弛緩性(関節のゆるみ)が関係する,膝靱帯損傷,腰椎辷り症,外反母趾・扁平足障害も女性に多い.性ホルモンの関与についてはまだ意見の一致はみていないが,閉経後女性の骨量,筋力の低下や,思春期から若年成人女性での靱帯弛緩性とエストロゲンとの関係を示す知見が得られてきている.現在は大多数の人が人生の後半に運動器障害を経験する時代である.450 万年前にはほぼ完成品であったヒトの運動器も,長寿社会では未完成品といえる.対策として,運動器の使い方(生活習慣)や性差への配慮が大切である.
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TOPICS
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免疫学
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医学のあゆみ 261巻4号, 325-326 (2017);
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疫学
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医学のあゆみ 261巻4号, 326-328 (2017);
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輸血学
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医学のあゆみ 261巻4号, 328-329 (2017);
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FORUM
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ゲノム医療時代の遺伝子関連検査の現状と展望 12
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医学のあゆみ 261巻4号, 337-339 (2017);
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研究医育成の現状と課題 2
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医学のあゆみ 261巻4号, 340-342 (2017);
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医学のあゆみ 261巻4号, 343-344 (2017);
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医学のあゆみ 261巻4号, 345-348 (2017);
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