Volume 261,
Issue 11,
2017
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特集 IL-7 Biology
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医学のあゆみ 261巻11号, 1057-1057 (2017);
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医学のあゆみ 261巻11号, 1060-1064 (2017);
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骨髄の造血幹細胞(HSC)は,間葉系前駆細胞や内皮細胞が形成するHSCニッチで自己複製する.また,HSCは多能性造血前駆細胞(MPP),リンパ球性共通前駆細胞(CLP)に分化した後,さらにサイトカインIL-7 依存的にB 細胞に分化する.しかし,この造血系細胞分化が骨髄内のどこで,どのようにして起こっているのか明らかではなかった.著者らは,骨髄のIL-7 産生性ストローマ細胞の分布を明らかにし,MPP とBLP(Ly6D+CLP)初期B 前駆細胞がIL-7 産生性ストローマ細胞に近接して存在することを見出した.さらにIL-7 産生性ストローマ細胞は,間葉系前駆細胞の約60%および少数の内皮細胞から構成されていることが判明した.また,間葉系前駆細胞からIL-7 を欠損させたマウスでは,初期B 前駆細胞が減少した.このことから,HSCニッチを構成するストローマ細胞のなかには,分化方向を決定するサイトカインを産生する亜集団が存在しており,これがMPP 以降の分化を支持する特異的なニッチを形成していることが明らかとなった.
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医学のあゆみ 261巻11号, 1065-1071 (2017);
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IL-7 レセプター(IL-7R)はおもにリンパ球(B 細胞,T 細胞,自然リンパ球)に発現している.IL-7R シグナルは生存と増殖を誘導するため,IL-7 やIL-7R の欠損マウスではリンパ球が減少する.しかし,IL-7R シグナルは生存と増殖を支持するだけではなく,胸腺においてはγδT 細胞の抗原受容体のV-J 組換えを誘導するという重要な役割を担う.近年,胸腺T 細胞分化初期でIL-7R シグナルが分化進行を抑制しているステージがあること,分化後期ではCD8 T 細胞の分化にとくに重要であることなど,T 細胞分化過程における詳細な役割も明らかになってきた.末梢T 細胞では断続的なIL-7R シグナルが生存に重要であり,また,IL-7R シグナルが抗原応答性を正に制御していること,活性化T 細胞の機能的分化に影響を与えること,メモリーT 細胞の脂質代謝を制御することで長期生存を可能にしていることなども報告されている.本稿ではT 細胞のさまざまなステージにおけるIL-7R シグナルの役割を最近の知見を含めて紹介する.
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医学のあゆみ 261巻11号, 1073-1076 (2017);
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インターロイキン7(IL-7)は,リンパ球の増殖・維持にかかわるサイトカインである.IL-7 はリンパ組織のみならず,皮膚や腸管といった末梢組織においても発現が認められることから,リンパ節や末梢組織におけるリンパ球の増殖・維持に重要な役割を果たすことが明らかになった.皮膚においてはおもに表皮角化細胞がIL-7 を産生しており,皮膚T 細胞の増殖・維持にかかわる.表皮角化細胞でIL-7 を過剰発現させたマウスでは,皮膚内のT 細胞が過剰に増殖し皮膚炎を引き起こす.ヒトでも皮膚内に多くのリンパ球が浸潤する皮膚リンパ腫患者の皮疹部においてはIL-7 の発現が亢進している.さらに皮膚リンパ腫モデルマウスにおいては,IL-7 産生の阻害によりリンパ球の浸潤,皮膚炎がともに抑制される.したがって,IL-7 は皮膚T 細胞の増殖や維持のみならず,皮膚疾患にも関与しており,あらたな治療のターゲットとして注目される.
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医学のあゆみ 261巻11号, 1077-1081 (2017);
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末梢リンパ組織で抗原に出会ってはじめてサイトカイン産生能を獲得するαβ型T 細胞と異なり,γδ型T細胞は胎児胸腺で分化する過程で,すでにインターロイキン17 A(IL-17 A)やインターフェロン(IFN)γ産生能を有している.γδ型T 細胞の分化と維持にはNotch シグナルによるIL-7Rα発現が必須であり,とくにIL-17 Aγδ型T 細胞の胸腺での分化と末梢での維持にIL-7 が重要な役割を担う.IL-17 A 産生γδ型T 細胞は,大腸菌(Escherichia coli)に代表される細胞外寄生性細菌感染に対してのみならず,Mycobacteriumbovis bacille Calmette-Guerin(BCG)などの細胞内寄生性細菌の感染早期の防御に働く.IL-7 産生リコンビナントBCG(rBCG-IL-7/Ag85B)はIL-17 A 産生γδT 細胞を増加させ,さらに結核感染防御に重要なマイコバクテリア特異的CD4+Th1 細胞を増加させる.
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医学のあゆみ 261巻11号, 1083-1087 (2017);
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胸腺・骨髄でリンパ球の分化・増殖をつかさどるインターロイキン(IL)-7 が腸管上皮細胞からも産生されることを著者らが見出して以来,それが腸管粘膜の恒常性維持に重要であることが裏づけられてきた.腸管上皮細胞による構成的あるいはインターフェロン(IFN)-γ応答性のIL-7 産生は,転写因子IRF-2 とIRF-1 による異なった制御によって調節されている.IL-7 に対して腸管粘膜内のリンパ球は末梢血リンパ球と異なる特有の反応を示し,これによって粘膜局所の免疫応答が調節されている.また腸管粘膜の免疫調節に必須の腸管関連リンパ装置(GALT)の形成・発達にIL-7 が関与している.しかしこうした機構が破綻すると異常なCD4+IL-7R+T 細胞が誘導され,腸管組織に慢性の炎症を惹起しうる.今後のL-7 を取り巻く調節機構の解析は,腸管粘膜における免疫調節機構,および炎症性腸疾患(IBD)の病態解明の糸口につながると期待する.
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医学のあゆみ 261巻11号, 1089-1094 (2017);
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敗血症は深刻な細菌感染に起因する全身性の炎症であり,高い死亡率を伴う.敗血症の予後を左右する二次感染が起こる要因のひとつには,リンパ球数減少による免疫抑制が報告されている.ところが,なぜリンパ球数の減少が長期間持続するのかは不明であった.著者らは,敗血症時の骨髄中で急激な骨芽細胞の減少と同時に,リンパ球共通前駆細胞数の減少が起こっていることを見出した.また,骨芽細胞の除去,あるいは骨芽細胞由来のIL-7 を誘導的に欠失させると,造血幹細胞に影響を与えることなく,リンパ球共通前駆細胞数が減少することを明らかにした.これらの事実から,急性炎症が骨構成細胞の障害を誘導した結果,リンパ球減少による免疫不全を引き起こすことを示した.敗血症という全身炎症が骨の構成細胞に影響を与えた結果,骨量減少と同時に免疫不全を引き起こす,骨と免疫の相互作用の重要性が明らかになった.
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医学のあゆみ 261巻11号, 1095-1101 (2017);
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インターロイキン7(IL-7)は,生体内で恒常的に発現し,リンパ球分化,炎症応答の維持,T 細胞のエフェクター誘導といった多彩な側面を持つユニークなサイトカインである.IL-7 を全身投与した場合,胸腺におけるTCR の多様性の増加や,末梢でのエフェクターT 細胞の誘導とその生存,増殖の増強ならびにケモカイン感受性の上昇による腫瘍局所への浸潤により,抗腫瘍効果が発揮される.IL-7 製剤はがん治療のみならず,AIDS などの慢性ウイルス感染に対しても,免疫系の再構築による治療効果が期待されている.T 細胞移入療法において,患者に前もってリンパ球減少状態を誘導することで強力な抗腫瘍効果が誘導される.移入したT細胞のリンパ球減少状態における増殖にも,IL-7 は重要な役割を持つ.一方で,生体のIL-7 は慢性炎症を惹起し,間接的に腫瘍の発生や増殖に対し促進的に働く.がん免疫におけるIL-7 の役割を明らかにし治療へと応用するには,その二面性と作用点を正しく理解する必要がある.
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連載
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性差医学・医療の進歩と臨床展開 16
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医学のあゆみ 261巻11号, 1107-1112 (2017);
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◎循環器疾患においては心血管系組織に対する性ホルモンの作用,疫学・病態・予後などに明らかな性差が存在することがわかってきた.虚血性心疾患においは男女で発症年齢に10 歳程度の差を認め,女性患者の症状は非典型的で冠動脈に有意狭窄が少ない点,心不全の主病態は男性が収縮不全であるのに対し女性は拡張障害である点,心房細動の発症頻度は男性が女性の約2 倍である点などが例として挙げられる.本稿では,虚血性心疾患,心不全,不整脈における性差を中心に概説する.
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NEW 臓器移植の現状と課題
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医学のあゆみ 261巻11号, 1113-1113 (2017);
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臓器移植の現状と課題 1
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医学のあゆみ 261巻11号, 1115-1119 (2017);
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◎世界の臓器移植の歴史は約40 年.日本は脳死ドナーからの臓器提供数が少ないが,今後,現在の5 倍以上に増加することが見込まれている.そのための移植施設と移植医療従事者の数的な充実が課題である.
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TOPICS
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免疫学
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医学のあゆみ 261巻11号, 1103-1104 (2017);
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輸血学
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医学のあゆみ 261巻11号, 1104-1105 (2017);
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腎臓内科学
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医学のあゆみ 261巻11号, 1105-1106 (2017);
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FORUM
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医学のあゆみ 261巻11号, 1120-1122 (2017);
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パリから見えるこの世界 57
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医学のあゆみ 261巻11号, 1123-1127 (2017);
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