Volume 261,
Issue 13,
2017
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特集 胎児治療の最先端
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医学のあゆみ 261巻13号, 1201-1201 (2017);
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医学のあゆみ 261巻13号, 1203-1207 (2017);
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先天性横隔膜ヘルニアの重症例では,生命学的予後不良例や呼吸障害などの長期予後不良例が存在する.諸外国では胎児気管閉塞以前より胎児治療の有効性が検討されているが,いまだ明確な結論はでていない.そこで現在は,ヨーロッパを中心としてランダム化比較試験が実施されている.わが国でも2013 年より3 年間,臨床試験(早期安全性試験)を行った.
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医学のあゆみ 261巻13号, 1209-1212 (2017);
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胎児心臓病に対する胎児治療は約30 年の歴史がある.現在の胎児治療の適応疾患は,①重症大動脈弁狭窄症,②卵円孔閉鎖・高度狭窄を伴う左心低形成症候群,③重症肺動脈弁狭窄症・純型肺動脈閉鎖症,④不整脈(徐脈・頻脈),⑤心囊液を伴った心膜・心筋疾患,である.このうち胎児頻脈性不整脈に関しては,わが国では多施設共同研究が進行中である.重症大動脈弁狭窄症に関しては,現在バルーン大動脈弁形成術を施行すべく,倫理委員会の審査を通過し,体制の整備中である.本治療は左心低形成症候群への進行を防ぐことをおもな目的とし,適応はBoston Children’s Hospital のグループの基準に準じて行う予定である.アメリカ心臓病学会のstatement によると,その推奨の程度はⅡb,証拠のレベルはB という位置づけである.技術的には約80%で成功が得られ,胎児死亡は約10%である.徐脈等の合併症は約40%に認められる.
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医学のあゆみ 261巻13号, 1213-1218 (2017);
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脊髄髄膜瘤とは神経管閉鎖不全が原因で生じる高頻度に認める先天性奇形のひとつであり,生涯にわたる下肢機能・膀胱直腸機能障害や,ChiariⅡ奇形を高率に合併しhindbrain herniation や水頭症を呈する.脊髄髄膜瘤に対する胎児手術のtranslational research は1995 年頃よりはじまり,大動物実験,クリニカルトライアルを経て,2011 年に前方視的ランダム化比較試験において有効性が示されるに至った.現在では,生後に髄膜瘤閉鎖術が行われる従来法に加えて,妊娠中期の経腹経子宮胎児髄膜瘤閉鎖術も治療選択肢のひとつである.本稿では,胎児手術が臨床応用するまでの歴史を振り返り,胎児手術・周術期管理の実際,胎児手術の治療成績を述べる.
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医学のあゆみ 261巻13号, 1219-1222 (2017);
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超音波診断の進歩に伴い,胎児期に下部尿路閉鎖症(LUTO)が診断されるようになった.下部尿路の通過障害の程度が強い重症例は,羊水過少に引き続く肺低形成により生命予後不良となる.また,水腎症や腎異形成を合併することがあり,生存例の半数は腎機能障害や膀胱機能障害が問題となる.羊水過少を伴うLUTO の重症例を対象にした胎児治療として膀胱羊水腔シャントが行われてきたが,この治療は短期生命予後の改善効果を認めたものの,腎機能や膀胱機能を含む長期的なQOL の改善という点では十分な効果は示されなかった.一方,近年ではLUTO に対する胎児膀胱鏡(FC)の有効性が示唆されている.LUTO のなかでも,より予後不良である尿道閉鎖と後部尿道弁の鑑別が重要であるが,FC によってその診断精度が上昇する.また,後部尿道弁の場合はFC 下にレーザーを用いた尿路通過障害の解除が可能である.そしてFC は従来の管理に比して救命率の上昇だけでなく腎機能の保護という利点が示された.わが国においても,FC の導入が望まれている.
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医学のあゆみ 261巻13号, 1223-1227 (2017);
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強出力集束超音波(HIFU)は,出力の強い超音波を照射し,プローブから離れた任意の部分に選択的に焦点領域をつくりだし,熱エネルギーやキャビテーション作用で深部組織を凝固壊死に導く.超音波が集束していない超音波の透過経路には作用を及ぼさない.そのため体外からHIFU 照射を行うことで外科的な侵襲を加えず腫瘍を焼灼し治療することが可能であり,近年さまざまな領域で臨床応用されている.HIFU を用いた胎児治療について,これまで著者らが行ってきた基礎研究から臨床応用および今後の展望について述べる.
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医学のあゆみ 261巻13号, 1229-1234 (2017);
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画像診断や遺伝子診断など,出生前診断技術の進歩によって,さまざまな先天性疾患を妊娠早期に診断できるようになってきた.その進歩に伴って,出生前から胎児を治療する“胎児治療”の概念が生まれた.現在は外科的治療方法がその中心ではあるが,将来的には胎児期幹細胞移植(IUTx)も有効な治療方法であり,幅広い先天性疾患・遺伝性疾患に応用することが可能と考えられている.しかし,動物実験ではさまざまなモデルに治療有効性が示されているにもかかわらず,実際には,ヒトへの臨床応用でIUTx の有効性が証明された疾患は,いまのところ先天性免疫不全症候群だけである.現在その障壁を克服するためにさまざまな研究が行われている.その結果,いくつかのIUTx の臨床応用が実際にはじまりつつある.日本でもIUTx の実現に向けて,現在準備を進めているところである.
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医学のあゆみ 261巻13号, 1235-1239 (2017);
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「人工子宮-人工胎盤」という概念は古くからあるものでさまざまな考え方があるが,現代の研究者の間では,“出生後の環境および呼吸循環動態では生存不可能な胎児を対象とし,体外循環による呼吸のtotal supportを長期間にわたって行い,胎外生存可能な状態になるまで,子宮内に近い条件で成長・成熟させるsystem”と受けとめられている.最初の取組み以来,すでに約60 年が経過しているが,いまだ臨床応用の目処が立っているとはいえない.しかし近年,人工肺や体外循環の技術的進歩を背景に,この領域の開発研究の著しい活性化が認められている.アメリカ,オーストラリア,日本などの研究グループによる精力的な取組みの結果,この“古い”概念が,改めて脚光を浴びるようになり,昨年(2016)からは2 編のreview1,2)が専門誌にあいついで掲載されている.さらに本年(2017 年)4 月,この分野で画期的な進展がChildren’s Hospitalof Philadelphia(CHOP)のグループから報告された3).大きなグラントを背景に,動物実験による安定的長期子宮外保育に向けての方法論がほぼ確立したことが示されてきている.著者は,以前所属していた東京大学産婦人科において,1980 年代から90 年代にかけてこの分野の研究に従事していた.著者らのグループでは,ヤギ胎仔を対象としてA-V ECMO を用いた長時間子宮外保育実験を行い,現時点でも最長保育期間である3週間の子宮外保育を1993 年に報告している4).この古い記録も,(大変悦ばしいことに)Philadelphia のグループからの論文がでることでその役割を終えようとしている.本稿では,ようやく将来展望がみえてきた人工子宮開発の,これまでの動物実験による研究の経過とそのなかで明らかになってきた臨床応用上の諸課題について概観する.
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連載
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性差医学・医療の進歩と臨床展開 18
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医学のあゆみ 261巻13号, 1245-1252 (2017);
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◎厚生労働省の平成25 年国民健康・栄養調査報告1)によれば,高LDL-コレステロール(C)血症は男性23.8%,女性27.3%であり女性で高率である.この傾向は以前から続いており,閉経後のLDL-C 上昇も誘因となっているが,女性ではLDL-C が高いだけではプラークが形成されていない場合も多い.日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012」2)は,心血管死をエンドポイントとしたNIPPON DATA を利用してリスクチャートを作成し,治療目標値を決定しているため,心血管死の少ない女性では正確な治療目標が設定できていない.したがって女性では,頸動脈エコーにより内膜中膜厚(IMT)肥厚やプラーク存在の有無を確認したうえで,LDL-C 低下治療を施行するか否かを決定すべきである.スタチンによるLDL-C低下療法は,男性と比較し,女性でよりプラーク退縮効果が期待できる.また,LDL-C 値を上昇させるのは食事中のコレステロールではなく,飽和脂肪酸(SFA)とトランス型一価不飽和脂肪酸(MUFA)の過剰摂取であることを医師は正しく知っておき,患者に指導する必要がある.
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臓器移植の現状と課題 3
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医学のあゆみ 261巻13号, 1253-1259 (2017);
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◎臓器移植レシピエントの感染症は,病原体側の因子(疫学的曝露)とレシピエント側の因子(免疫抑制状態)の2 つバランスにより決まる.そのため,一般的な感染症と,臓器移植の知識の両方がないとうまく管理できない.免疫抑制薬により感染初期の発熱はマスクされ,病原体量がかなり多くなってから発熱する.また,免疫抑制療法下での抗体検査があまり役立たないために,コストが高いPCR 検査や侵襲性が高くなる組織診を必要とされることが多い.これらのことから,臓器移植後感染症を早期診断することは難しい.臓器移植後からの発症時期を考えることは,原因病原体を予想するときに有用なことがあるが,予定外に免疫抑制療法を強化したときには,感染症がリセットされる.高齢や糖尿病合併臓器不全患者も臓器移植のメリットを受けることができる時代であり,免疫抑制薬以外でも免疫が抑えられているレシピエントが増えてきていることには注意が必要である.
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TOPICS
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耳鼻咽喉科学
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医学のあゆみ 261巻13号, 1241-1242 (2017);
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腎臓内科学
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医学のあゆみ 261巻13号, 1242-1243 (2017);
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免疫学
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医学のあゆみ 261巻13号, 1243-1244 (2017);
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FORUM
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研究医育成の現状と課題 7
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医学のあゆみ 261巻13号, 1261-1264 (2017);
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医学のあゆみ 261巻13号, 1265-1266 (2017);
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医学のあゆみ 261巻13号, 1267-1270 (2017);
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