Volume 266,
Issue 11,
2018
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特集 エピジェネティック作用薬:現状と将来
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医学のあゆみ 266巻11号, 821-821 (2018);
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医学のあゆみ 266巻11号, 823-829 (2018);
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DNA メチル化異常は突然変異や染色体欠失と並び,がん抑制遺伝子の不活性化の原因であり,がんの発生・進展に関わる.アザシチジン(AZA),デシタビン(DAC)などのDNA 脱メチル化剤によりメチル化異常が除去できる.AZA,DAC は現在,血液疾患に対しては臨床応用されており,固形腫瘍に対しても多くの臨床試験が行われている.これらは当初は殺細胞薬として開発されたが,その後,分化誘導効果や特定遺伝子の脱メチル化効果が明らかとなった.最近は複数遺伝子,複数パスウェイの脱メチル化によるリプログラミング効果を引き出すために,低用量での抗がん剤併用治療の開発が進められている.また,がん精巣抗原の発現誘導やウイルス感染模倣作用によるがんの免疫応答増強効果も明らかとなり,免疫療法との併用も注目されている.同時に,より安定な新しいDNMT 阻害剤の開発も進められている.
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医学のあゆみ 266巻11号, 830-833 (2018);
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ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤は,HDAC による脱アセチル化反応を阻害することでヒストンのアセチル化を亢進し,種々の発がん抑制に働く遺伝子群の発現を促進することにより抗腫瘍効果を示す.さらに,ヒストン以外のさまざまな機能性蛋白質もHDAC 阻害剤によりアセチル化され,それらの機能変化によっても抗腫瘍効果を示す.分子標的抗がん剤として複数のHDAC 阻害剤がすでに認可されているが,適応のあるがん腫は限られている.その要因のひとつは,HDAC 阻害剤の効果予測マーカー分子が発見されていないことである.またHDAC 阻害剤は,それ自体の抗腫瘍効果だけでなく,ほかの抗がん剤や放射線の感受性を増強すること,あるいは耐性を克服することが基礎研究で見出されており,現在のHDAC 阻害剤の開発は併用療法が主体となってきている.
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医学のあゆみ 266巻11号, 834-839 (2018);
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EZH2(enhancer of zeste homolog 2)は遺伝子発現を調節するヒストンメチル化酵素である.EZH2 はポリコーム抑制複合体2(polycomb repressive complex 2:PRC2)蛋白質複合体のコアサブユニットのひとつとして,ヒストンH3 蛋白質の27 番目のリジン(H3K27)をメチル化し遺伝子の発現を抑制する.これまでのがんゲノムシークエンス解析によって,EZH2 の変異が発がんや腫瘍形成に深く関与していることがわかった.さらに最近では,EZH2 はヒストンメチル化酵素としての機能のほかに,ヒストン以外の蛋白質をメチル化し遺伝子の発現を調節する機能や,転写因子のコアクチベータとして遺伝子発現を活性化する機能があることがわかってきた.これらの多岐にわたるEZH2 の機能は現在さまざまながんにおいて,重要な治療標的としての可能性が期待されている.本稿ではEZH2 の細胞内機能についての基礎的研究から,近年開発が進められているEZH2 阻害剤の現状について解説したい.
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医学のあゆみ 266巻11号, 840-845 (2018);
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イソクエン酸脱水素酵素(IDH)変異は,急性骨髄性白血病(AML)や神経膠腫,軟骨肉腫,胆管癌などさまざまな悪性腫瘍において高頻度にみられる機能獲得型の遺伝子変異である.IDH 変異により産生される2 ヒドロキシグルタン酸(2HG)は,TET やヒストンメチル化酵素などを阻害して細胞の分化を抑制し,DNA やヒストンの異常なメチル化をもたらすことで腫瘍の悪性化に寄与している.IDH 変異をもつ悪性腫瘍においては,変異型IDH 阻害薬が有効な治療選択肢となる可能性があり,現在国内外で臨床応用に向け開発が進んでいる.本稿では,これまでのIDH 変異の研究と変異型IDH 阻害剤の開発状況について概説する.
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医学のあゆみ 266巻11号, 846-849 (2018);
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BET 阻害剤は,がんを中心に現在多くの臨床試験が進行中のエピジェネティック作用薬である.BET 蛋白質はそのブロモドメインを介してヒストンN 末端のアセチル化リジンと結合し,さまざまな蛋白質複合体と協調することで遺伝子の転写伸長を制御する“クロマチンリーダー(Reader)”である.これまでの報告でBET阻害剤は炎症,動脈硬化,心筋障害,さまざまな悪性腫瘍などの病態制御に有効である可能性が示されている.とくに腫瘍に対してはがん遺伝子c-MYC の発現低下を介した抗腫瘍効果が有名であるが,著者らは患者由来膵癌モデルを用いてBET 阻害剤が腫瘍随伴性線維芽細胞の活性化を抑制することによる新たな抗腫瘍効果機序を報告した.BET 阻害剤は細胞系譜ごとに特定の遺伝子発現に影響することが知られており,その効果の特異性を上げることで臨床応用への可能性がさらに高まると期待される.
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医学のあゆみ 266巻11号, 850-854 (2018);
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ヒストンのメチル化はエピジェネティックな遺伝子発現を調節する分子基盤のひとつであり,可逆的に制御される.近年,がんなどのさまざまな疾患の発症にエピジェネティックな異常もかかわることが明らかになり,実際,エピジェネティック制御因子であるDNA メチル化酵素およびヒストン脱アセチル化酵素の阻害剤は抗がん剤として臨床の場で使用されている.ヒストンのメチル化を触媒する酵素についてもがんなどの疾患治療の有望な分子標的になると考えられ,複数のヒストンメチル化酵素の阻害剤開発が試みられている.ヒストンメチル化酵素で阻害剤開発が進んでいるのはヒストンH3K27 のトリメチル化酵素であるEZH2 であるが,本稿ではEZH2 以外のメチル化酵素で阻害剤開発が活発に行われているDot1L,G9a を中心に,それらの阻害剤開発状況と疾患治療への試みについて概説する.
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医学のあゆみ 266巻11号, 855-858 (2018);
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メチル化されたヒストンを取り除く酵素であるヒストン脱メチル化酵素のアイソザイムのいくつかは,がん細胞の増殖に関与することから,ヒストン脱メチル化酵素は抗がん剤の分子標的として期待されている.これまでに数多くのヒストン脱メチル化酵素阻害剤が見出され,それらの抗がん効果とそのメカニズムが調べられてきた.たとえば,フラビン依存的ヒストン脱メチル化酵素(LSD)1 に対する阻害剤は,ヒストン修飾の制御や蛋白質-蛋白質相互作用の阻害により,がん細胞の分化を誘導し,少ない副作用で抗がん効果を発揮する.いくつかのLSD1 阻害剤は抗がん剤として臨床開発が進められている.また,ヒストン脱メチル化酵素はがん以外の疾患にも関与することがわかってきており,がん以外の疾患の治療をめざしたヒストン脱メチル化酵素阻害剤の開発も進められている.ヒストン脱メチル化酵素阻害剤は,あらたな作用機序の治療薬として強く期待されている.
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医学のあゆみ 266巻11号, 859-864 (2018);
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SWI/SNF クロマチンリモデリング複合体は15 個ほどのサブユニットから形成されている.それらの構成遺伝子はさまざまながんで高頻度に変異している.さらに全がんの20%においていずれかの構成遺伝子の異常がみられる.それらの遺伝子異常のほとんどは機能喪失型変異であるため,合成致死性に基づいた弱点をみつけることが最適化治療につながる.このようにSWI/SNF クロマチンリモデリング複合体はp53 に次ぐ重要ながん抑制因子といえる.SWI/SNF クロマチンリモデリング複合体は転写,DNA 修復,染色体分配などさまざまな役割をもつことからそのぶんだけ,それらの機能が喪失したときに弱点も多くなる.実際にSWI/SNF クロマチンリモデリング複合体欠損がんに有望な合成致死標的がつぎつぎに報告されている.本稿では,SWI/SNF クロマチンリモデリング複合体構成遺伝子の変異に基づく合成致死性を利用した分子標的治療から免疫治療による最適化治療について紹介する.
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連載
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Sustainable Development を目指した予防医学 19
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医学のあゆみ 266巻11号, 869-874 (2018);
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近年,建造環境・地域環境と健康に関する研究が進んでいる.環境を整えることで個人の行動や選択に働きかけ,その結果として健康の増進を目指すアプローチを“ゼロ次予防”戦略の健康まちづくりとして位置づける.この“ゼロ次予防”戦略の健康まちづくりとして,住空間について室内化学物質を低減した空間づくり,温度差のない空間づくり,社会的なつながりを生む空間づくりの観点から,著者らの研究や国内外の研究を紹介する.また,これらの研究成果を,社会実装としてひとつの住宅に結実させたプロジェクトを紹介する.
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移行期医療 ― 成人に達する/達した患者への医療 12
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医学のあゆみ 266巻11号, 875-880 (2018);
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◎医療と社会的な支援の向上とともに,成人期を迎える染色体異常症が増加しつつある.また,かつては原因不明とされていた奇形症候群あるいは著しい発達遅延が,染色体解析技術の進歩に伴い染色体構造異常と診断される疾患も増加しており,染色体異常症が多様化している.出生時期の医療的な管理だけなく,成長とともに思春期・青年期・成人期の医療的管理・生活支援が必要となり,染色体異常症にも移行期医療が問題となっている.在宅医療,医療的ケア児への支援が押し進められるなか,染色体異常児の生活の場が病院から在宅や教育現場まで選択の幅が広がり,医療関係者のみならず,生活にかかわる多様な人材と対応が求められる時代となった.本稿では,成人診療科がかかわる機会が多いDown 症候群を中心に移行期医療について述べる.
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TOPICS
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免疫学
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医学のあゆみ 266巻11号, 865-866 (2018);
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疫学
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医学のあゆみ 266巻11号, 866-867 (2018);
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救急・集中治療医学
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医学のあゆみ 266巻11号, 867-868 (2018);
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FORUM
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医療社会学の冒険 5
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医学のあゆみ 266巻11号, 881-885 (2018);
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