Volume 271,
Issue 6,
2019
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特集 ゲーム依存
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医学のあゆみ 271巻6号, 565-565 (2019);
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医学のあゆみ 271巻6号, 567-571 (2019);
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ゲームへの没頭によって健康や社会生活障害をきたす者の存在が指摘されるなか,2019 年5 月,ゲーム障害が収載された国際疾病分類第11 版(ICD-11)が承認され,オンラインゲームとオフラインゲームの両方を含むゲーム障害が正式に疾患として位置づけられた.診断ガイドライン,評価尺度ともに開発中であり,いまだゲーム障害の有病率は世界的に明らかになっていない.ただし,DSM-5 インターネットゲーム障害(IGD)の診断基準に基づく評価尺度を用いた諸外国の報告や,平日に5 時間以上ゲームをする者が若い男性で1%を超えることから,わが国でもゲーム障害は1%を超えることが推測される.本稿では,ゲーム環境の変化とゲーム障害について確認した後に,わが国の中高生・成人の全国調査の結果を用いて,インターネットやゲームの利用に関する疫学調査の結果を述べる.
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医学のあゆみ 271巻6号, 573-578 (2019);
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『精神疾患の診断・統計マニュアル第5 版』(DSM-5)において,今後の研究課題として“インターネットゲーム障害(IGD)”が登場し,2018 年にICD-11 に“ゲーム障害”が採択され,この数年でゲーム障害は急速に注目されるようになってきている.その神経基盤の研究としては,機能的磁気共鳴画像法(fMRI)によるものが多く,構造的核磁気共鳴画像法(sMRI),ついで陽電子放出断層画像(PET),単一光子放出型コンピューター断層撮影法(SPECT)などの研究が行われている.障害部位としては報酬系に関わる腹側線条体(側坐核を含む),帯状回,報酬の予測などの動機づけ,行動抑制に関わる前頭前野の一部である眼窩前頭皮質(OFC)や背外側前頭前野(DLPFC)などの構造的・機能的障害との関連など,物質依存やギャンブル障害との共通点が多く指摘されている.本稿では,IGD と既存の物質依存やギャンブル障害に関するこれまでの脳画像研究を,アディクションの特徴であるドパミン神経系(報酬系),報酬と罰への感受性の変化,手がかり刺激と渇望,衝動性,損失忌避に分類して概説した.
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医学のあゆみ 271巻6号, 579-582 (2019);
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2000 年代前後のインターネットの急速な普及によって,インターネットは日常生活に欠かせない重要なインフラとなった.スマートフォンは時間や場所を選ばず手軽に利用でき,ゲームをはじめとしたさまざまなコンテンツを,いつでもどこでも利用できるようになった.それとともに,インターネットコンテンツ,とくにゲームをやめられないといった症状を示す症例が世界で多数報告されるようになり,さまざまな議論の結果,世界保健機関は,“ゲーム障害”をギャンブル障害とともに嗜癖行動による障害(disorders due toaddictive behavior)に分類した.ゲームになぜ依存するのかについてはユーザー側の特性といった内的要因や,ゲームの依存性といった外的要因が指摘されている.ゲームへの依存は単一の原因ではなく,さまざまな要因が複雑に絡みあい生じている可能性がある.原因の究明にはさらなる研究の推進が必要である.
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医学のあゆみ 271巻6号, 583-586 (2019);
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国際疾病分類第11 版(ICD-11)にゲーム障害(gaming disorder)が収載された.ICD-11 は今後,2022 年1 月に発効の予定であり,ゲーム障害が疾病として扱われる.ゲーム障害の診断ガイドラインではゲームのコントロール障害,ほかの活動よりゲームを優先する,問題が生じているにもかかわらずゲームを続ける,日常生活において支障をきたしている,そして,そのような状態が原則として12 カ月以上持続した場合に診断を行う.ゲーム障害では睡眠障害やうつといったメンタルヘルスの問題,遅刻や欠席といった学校や職場での問題,体力低下や肥満,視力低下といった身体問題,課金に伴う金銭問題,そして家族との不和や暴言・暴力といった対人関係の問題が生じる.ゲーム障害の診断を行う際にはガイドラインに記載された症状とともに,これらの生活上の問題が生じているか丁寧な聴き取りを行うこととなる.
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医学のあゆみ 271巻6号, 587-590 (2019);
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1990 年代より開発されたオンラインゲームは急速に一般に広まったが,2000 年ごろよりインターネットやオンラインゲームの依存的使用が青少年を中心に問題化するようになった.そのような流れから,『精神疾患の診断・統計マニュアル第5 版』(DSM-5)にインターネットゲーム障害(IGD)の診断基準が収載され,今後利用される予定の国際疾病分類第11 版(ICD-11)でもゲーム障害の診断基準が収載された.治療は,ゲーム障害に対する心理・精神療法と,合併精神疾患(発達障害)に対する薬物療法,に大別される.久里浜医療センターではおもに専門デイケア(集団心理療法),家族会,入院治療,治療キャンプなどのゲーム障害に関する専門治療を提供している.この疾病に対して家庭,教育,行政,医療が協力して対処していく必要があり,さらなる研究や治療・予防の普及が望まれる.
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医学のあゆみ 271巻6号, 591-595 (2019);
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既存のゲーム障害の要因に関する先行研究から,ゲーム障害に陥る要因として心理社会的な要因や合併精神障害,社会・人口統計学的要因,インターネットの早期からの頻回な使用などが明らかになっている.また,既存の治療に関する研究のメタ解析などから,認知行動療法や心理教育的プログラム,家族治療,集団カウンセリングなどの心理社会的なアプローチの有効性が指摘されている.ゲーム障害の治療においては,個々の患者の心理的な背景や合併精神障害に十分配慮したうえで,ゲームの使用方法のみならずストレスに対する対処などの適応的なスキルを身につけていくこと,ゲーム以外の活動時間を増やしていくことを目的として実施する.今後,ランダム化比較試験(RCT)などを用いた本認知行動療法のプログラムの有効性の検証,発達段階や合併精神障害,依存しているゲームの種類などに合わせた,より個別のニーズに沿ったプログラムの開発が必要である.
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医学のあゆみ 271巻6号, 597-604 (2019);
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ゲーム依存の拡大に対して,学校教育現場で取り組む予防的な教育についての事例と成果を解説する.スマートフォン(以下,スマホ)所持前に効果的な①家庭状況に応じた誓約書作成ワーク,②道徳科における節度・節制項目の指導と,一定の依存傾向を示すケースが増えてくる中学校後半~高校生向けの③スマホのメリット・デメリットを可視化するワーク,④マンガ教材による不適切利用の自覚,の4 つの事例を取り上げた.いずれも児童生徒らのスマホ・ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)などの利用実態が明らかになるとともに,各々の利用状況をお互いに指摘するなど,学級・学校集団においての共通認識(適切な利用はどういった状況なのか)を得られる成果は大きいといえる.しかしながら,いずれの手法も万能ではなく,効果のある層も限られている.最後に,新たな依存症対策として現行カリキュラムの見直しによる“依存症対策週間”の提案や,次年度から小学校で必修となるプログラミング教育への期待を述べる.
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医学のあゆみ 271巻6号, 605-608 (2019);
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10 代のゲーム依存症と成人のそれとは区別して考えるべきである.家族へのアプローチは家族を支えることからはじまる.家族が問題をどう捉えているのかを知り,問題の捉えなおしをはかる.ゲームの問題によって家族関係がどこまで壊れているかを把握し,これまでの家族の対応で効果のない行動を洗い出す.問題解決に必要な考え方を共有し,本人に対して効果のある対応法を伝授することが家族支援のおもな仕事である.10 代のゲーム依存症の治療目標は“ルールを守り,ゲームを適度に控えること”で,そのために対話という手段を使い行動修正をはかる.成人で借金などの経済的問題が大きい場合は,“ゲームを断つこと”が治療目標である.
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連載
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地域医療の将来展望 8
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医学のあゆみ 271巻6号, 614-619 (2019);
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◎災害大国である日本において災害医療の重要性は増してきており,多くの医療者にはそのエッセンスだけでも理解しておいてほしい.地域医療と災害医療,一見似て非なるものだがその共通点は意外と多い.どちらの医療にも求められることは地域社会との接点が多くならざるをえないこと,需要と供給のアンバランスを是正することがある.そして重要なことは医療供給者側の視点だけではなく,医療を必要とする側の視点も持つことである.災害医療というと,外傷の治療などを想定しがちであるが,それは医療需要のごく一部であり,実際の現場では日常生活が破綻したなかで種々の医療保健活動のニーズが高まっている様子を見ることができる.被災者のニーズを感じ取り,そこに手当てできることが求められる.また近年では,災害医療に対してさまざまな医療者を対象としたロジスティクスを含む災害医療教育もはじまっている.
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診療ガイドラインの作成方法と活用方法 3
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医学のあゆみ 271巻6号, 620-624 (2019);
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医療に関わるさまざまな意志決定において,医療者だけでなく,受療者である患者や市民がより深く関わることを推す動きが進んでいる.この流れは診療に関わる意思決定においても同様である.一方,診療支援を目的とする診療ガイドラインが,学会などによってさまざまな疾患を対象に作成されているなかで,その診療ガイドラインが医療者だけでなく,患者や一般市民に活用され,作成段階においても患者や市民が関わることが期待されている.診療ガイドラインのアウトカムや推奨に患者・市民の価値観や希望を適切に取り入れることで,結果的に,診療ガイドラインが臨床現場での医師と患者の意思決定をより効果的に支援するツールとなりうる.日本医療機能評価機構のEBM 普及推進事業Minds(マインズ)では,診療ガイドラインの普及事業の一環として患者・市民参加を推進している.わが国の医療の質の向上に向けて患者・市民の診療ガイドラインの利用を推進するとともに,作成への患者・市民の参加の後押しを長期的視野のもとに検討していくべきと考える.
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TOPICS
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病理学
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医学のあゆみ 271巻6号, 609-610 (2019);
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救急・集中治療医学
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医学のあゆみ 271巻6号, 610-611 (2019);
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免疫学
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医学のあゆみ 271巻6号, 612-613 (2019);
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FORUM
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パリから見えるこの世界 85
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医学のあゆみ 271巻6号, 625-629 (2019);
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