Volume 273,
Issue 6,
2020
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特集 Onco-Cardiologyの最前線
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医学のあゆみ 273巻6号, 481-481 (2020);
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がん医療の進歩とOnco−Cardiology
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医学のあゆみ 273巻6号, 483-488 (2020);
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近年のがん治療の急速な進歩と新しい抗がん剤の登場によりがん患者の予後が著明に改善する一方で,がん治療の長期化とともにがんサバイバーへの対応が問題となっている.成人がんサバイバーの長期予後に影響を及ぼす最も重要な要因のひとつにがん治療関連心血管疾患が考えられているが,治療で投与された抗がん剤や放射線照射の影響により出現する心血管合併症のうち,成人がんサバイバーの予後に大きく影響する晩期心毒性についてはその病態ならびに治療など,いまだ不明な点が少なくない.今後,複雑化するがん診療において増加するがん治療関連心血管疾患ならびに晩期心毒性へ対応することが長期間にわたるがん治療の適正化のみならず成人がんサバイバー対策として重要であり,この領域における腫瘍循環器医の役割が期待されている.
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医学のあゆみ 273巻6号, 489-491 (2020);
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思春期・若年成人の英語“adolescent and young adult”の頭文字を略し“AYA 世代”とよぶ.2018 年3月に閣議決定されたわが国の“第3 期がん対策推進基本計画”では,AYA 世代のがんの医療を充実させることとともに,ライフステージに応じてがんとの共生をはかる対策を推進していくことが目標として掲げられ,以降,その実装に向けた取り組みが進んでいるところである.本稿では,AYA 世代のがんの問題を長期予後の改善に向け,腫瘍循環器学(Onco-Cardiology)が果たす役割について述べる.
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医学のあゆみ 273巻6号, 493-497 (2020);
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新薬の開発や多種多様な治療を選択できる今,不治の病と恐れられていたがんは治療可能な疾患となっており,がんサバイバーは年々増加している.その一方で,治療中ならびに治療後にさまざまな問題を抱えているがんサバイバーも増加している.がんサバイバーの増加とともに,今まで顕在化していなかったがんサバイバーの生活の質(QOL)と循環器疾患についての関連性が指摘されてきた.抗がん剤や分子標的薬のなかにもその副作用として心毒性を生じるものがあり,このような副作用は抗がん剤治療の継続を制限するのみならず,患者のQOL も著しく低下させる.本稿では,がんサバイバーが安心してがん治療を受け,がん治癒中,治療後のQOL を維持・向上するための研究のひとつとして腫瘍循環器学(Onco-Cardiology)研究の重要性を論じたい.
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循環器研究の進歩とOnco−Cardiology
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医学のあゆみ 273巻6号, 499-503 (2020);
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がん化学療法剤の開発・進歩に伴い,がん死亡率は低下し,がんサバイバーは増えている.一方,化学療法剤は直接的に,機能的または器質的な心血管障害をきたし,がん治療関連心血管疾患(CTRCD)として克服すべき新たな臨床課題である.なかでも心不全は,がん患者のQOL や生命予後に影響する合併症である.化学療法による心不全の管理は,ハイリスク患者とハイリスク治療の同定が基本であり,がん治療を妨げることなく心不全リスクを最小化することである.心不全管理ではこれまでに循環器疾患の診断・治療で確立された方法を利活用しているが,臨床的妥当性が確立されたものはない.心不全発症を予測し,早期診断・早期治療を行うための質の高いエビデンスの集積が喫緊の課題である.
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レギュラトリーサイエンスとOnco−Cardiology
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医学のあゆみ 273巻6号, 505-510 (2020);
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医薬品開発において心毒性評価は最も重要であり,患者における予測性の高い評価法の開発が期待される.ヒトiPS 細胞由来心筋細胞を用いたQT 間隔延長および催不整脈リスク評価法が開発され,国内外のコンソーシアムによる検証を経て,2018 年秋より医薬品規制調和国際会議(ICH)において議論が開始された.近年,がん治療の進歩により患者の生命予後が延長したこと,新たな作用機序を有する分子標的治療薬が登場をしたことなどにより,抗がん剤による不整脈,心筋障害などの循環器系有害事象が注目を集め,Onco-Cardiologyとよばれる学際領域の重要性が増している.抗がん剤によるさまざまな心毒性に対しても,ヒトiPS 細胞由来心筋細胞の活用が期待される.著者らは,抗がん剤による左心室機能障害に着目し,in vitro 評価法の開発に取り組んだ.ヒトiPS 細胞由来心筋細胞の動きを高解像度カメラで取得した画像の解析により,収縮・弛緩を評価できる新たなイメージング評価法を開発した.また,陽性対照物質となる抗がん剤による心毒性を評価できることを見出し,国際的な議論を進めている.本稿では,抗がん剤による心毒性評価に関する最新の研究や国際動向,将来展望について紹介したい.
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わが国におけるOnco−Cardiologyへの期待
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医学のあゆみ 273巻6号, 511-515 (2020);
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わが国では著しい高齢化とともに,循環器疾患を原因とした心不全パンデミック(心不全患者の急激な増加)が現実のものとなってきている.また近年,早期発見および外科治療・分子標的薬を含むがん化学療法の進歩により,がん患者の生命予後がめざましく改善してきている.がん患者が単に循環器疾患を併発することもあれば,がん化学療法によって生じる心血管イベント(心毒性,不整脈,血栓塞栓症など)を生じることもある.さらにこれらの副作用により,日常診療においてがん治療が完遂されないこともあり,がん診療の懸念材料のひとつとなっている.化学療法施行後早期の合併症だけでなく,晩発性に生じる心血管リスクも指摘されており,長期フォローアップも必要とされている.このように,がん患者の心血管イベントの予知や予防,早期治療介入の重要性が増してきたことから,がん診療医と循環器内科医の連携の窓口が必要となってきた.本稿では腫瘍循環器外来の役割について概説する.
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医学のあゆみ 273巻6号, 517-521 (2020);
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がん医療の進歩に伴い,がん患者の生存期間は延長しているが,一部のがんでは心血管疾患による死亡率ががんによる死亡率より高くなっている.心血管疾患の発症リスクが高い患者に対してがん医療を行う場合,心機能を的確に評価し治療方針を慎重に決めていく必要がある.そのため循環器科医と腫瘍科医の連携が重要で,互いに重要事項を共有し連携を円滑に進めるために,腫瘍循環器学(Onco-Cardiology)に関する質の高いガイドラインが必要となる.2017 年に日本腫瘍循環器学会が設立し,ガイドライン作成委員会が組閣された.ガイドライン作成委員会では,実臨床に役立つ腫瘍循環器領域のガイダンスとエビデンスに基づいたガイドラインの二本立て作成することにしている.ガイドラインはがん患者の心血管疾患に対して,がん治療前のリスク評価,がん治療期間の管理,がん治療後のフォローアップ,薬剤別・症候別の管理にわたってカバーしていきたいと考えている.
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医学のあゆみ 273巻6号, 523-527 (2020);
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がんの治療成績の向上に伴って,化学療法や放射線治療による心血管合併症が生命予後やQOL を左右する大きな要因となってきている.がん治療による心血管系への影響は多岐にわたっており,循環器医の専門的な対応を必要とするケースが増えている.このような状況のなか,新しい臨床研究分野としての腫瘍循環器学(Onco-Cardiology/Cardio-Oncology)が立ち上がった.欧米での動きに遅れる形とはなっているが,わが国でも腫瘍循環器学への関心は高まりつつあり,専門性の高い医療を提供する施設が増えてきている.また日本腫瘍循環器学会事務局が設立され,この領域におけるさまざまな課題を克服するための活動がはじまっている.がん診療科と循環器科との間の連携や協働が診療や研究,教育へと今後ますます拡がることが期待される.
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巻頭カラー
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医学のあゆみ 273巻6号, 0-0 (2020);
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連載
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老化研究の進歩 9
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医学のあゆみ 273巻6号, 535-540 (2020);
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免疫系は宿主の体内に侵入した病原微生物などの異物を非自己として認識し,これらを取り除くことで個体の恒常性を維持する高度に制御された生体機能のひとつである.われわれヒトを含めた高等動物の免疫システムは性質の異なるさまざまな病原体に対して,それぞれに適応した免疫応答することを特徴としているが,加齢により免疫系が受ける変化,すなわち機能低下には大きく2 つに分けられる.ひとつは,個々の免疫細胞やリンパ組織の機能が低下することによる,病原体を処理する能力の低下である.もうひとつは,適応免疫機能の低下により個々の病原体に対して適切な応答ができなくなることである.その結果,非特異的な応答が増加し,炎症や自己組織を標的とした応答が慢性化する.また,免疫細胞だけでなく,リンパ組織など免疫細胞の産生や活性化の場の老化も免疫系に影響している.本稿では,加齢に伴う免疫系の変化が免疫機能の低下や慢性炎症を引き起こすメカニズムについて,最新の知見を交えて紹介する.
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NEW 再生医療はどこまで進んだか
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医学のあゆみ 273巻6号, 541-542 (2020);
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再生医療はどこまで進んだか 1
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医学のあゆみ 273巻6号, 543-549 (2020);
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再生医療の臨床応用は眼科領域がそのトップを走っている.それは2014 年にiPS 細胞から作製した網膜色素上皮細胞(RPE)の加齢黄斑変性患者移植手術が,世界ではじめて日本で行われたことも要因のひとつとしてあげられる.その自家移植手術から約5 年が経過したが,安全性(たとえば,腫瘍形成など)に関して問題はなく,移植後の患者本人由来のiPS 細胞由来RPE シートは網膜下に長期にわたり生着している.2017 年には,他人の細胞を移植するいわゆる他家移植手術が同じiPS 細胞由来RPE 細胞を用いて行われた.HLA を合わせるなどの免疫拒絶反応の対策をして臨床試験が行われたが,懸念された拒絶反応は加齢黄斑変性移植患者の5 例中1 例でみられており,また,いくつかの有害事象がみられた.本稿では,著者らのこれらの移植の現状と今後の予定・取り組みについて言及する.
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TOPICS
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再生医学
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医学のあゆみ 273巻6号, 529-530 (2020);
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免疫学
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医学のあゆみ 273巻6号, 530-531 (2020);
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再生医学
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医学のあゆみ 273巻6号, 532-533 (2020);
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