Volume 273,
Issue 7,
2020
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特集 未診断疾患イニシアチブ(IRUD)の成果
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医学のあゆみ 273巻7号, 553-553 (2020);
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医学のあゆみ 273巻7号, 555-560 (2020);
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未診断疾患イニシアチブ(IRUD)は,希少・未診断疾患患者に対して,包括的診断体制の全国整備,次世代シークエンサーを含めた革新的検査の利活用,海外とも共有可能な臨床情報データベース構築を目的としている.IRUD はコーディネーティングセンター(IRUD-CC),拠点病院,臨床専門分科会,解析センター,データセンター,リソースセンターで構成されている.拠点病院におけるIRUD 診断委員会が,エントリーから最終的な診断までを担当する.2019 年9 月末時点で13,289 検体・4,658 家系のエントリー,3,634 家系の解析完了,1,593 家系の診断確定(診断率43.8%),35 疾患における新規原因遺伝子同定・新規疾患概念確立を達成した.IRUD Beyond においてIRUD の成果をさらに発展させる研究も進行中である.すべての希少・未診断疾患の克服をめざして,引き続きIRUD を推進する必要がある.
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医学のあゆみ 273巻7号, 561-565 (2020);
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未診断疾患イニシアチブ(IRUD)において患者の紹介,インフォームドコンセント(IC)の実施,検体の採取などを担当する病院を拠点病院,高度協力病院,協力病院と分けて業務分担をしている.協力病院は主に患者の紹介,拠点病院・高度協力病院は主にIC の実施,検体採取などを担当する.より円滑な運営のために運用上の工夫を行っており,本稿ではそれらを解説する.IRUD 第2 期において,京都大学は拠点病院取りまとめ機関の指定を受けた.37 拠点病院間の課題や情報の集約を積極的に行っていきたいと考えている.IRUD拠点病院の組織のあり方,コンサルシートの工夫から診断委員会のあり方,採血の工夫,IRUD Exchange への全例登録,臨床専門分科会などの情報共有は重要と考える.
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医学のあゆみ 273巻7号, 566-569 (2020);
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未診断疾患イニシアチブ(IRUD)の開始から約5 年が経過した.これまで未診断疾患患者を対象に全エクソーム解析(WES)を主軸とした解析で,数多くの遺伝子変異が同定されている.現在,IRUD 解析センターは国立成育医療研究センター,慶應義塾大学,大阪大学,名古屋大学,横浜市立大学の5 箇所である.本稿では,横浜市立大学IRUD 解析センターでの解析の現状と問題点,ならびにその問題点を解決しうるロングリードシークエンスについて紹介する.
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医学のあゆみ 273巻7号, 570-574 (2020);
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未診断疾患イニシアチブ(IRUD)は多臓器にわたる先天的な症状を呈する,あるいは兄弟/親子間など家族歴を有する原因不明で遺伝学的な異常が推定される患者の疾患原因を解明するために開始されたプロジェクトである.このプロジェクトを通じて見つかる疾患は希少疾患であることが多く,診断や病態解明のためには,多くの患者を集めること,さまざまなバックグラウンドを持つ医師や研究者と連携することが求められる.IRUD では,IRUD-Exchange とよばれるデータベースを作成し,参加する患者の症状,見出された原因候補となる遺伝子異常を登録している.これらのデータを国内外で共有し,新規症候群を確立すること,創薬に結びつけることが期待されている.
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医学のあゆみ 273巻7号, 575-577 (2020);
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未診断疾患イニシアチブ(IRUD)では,希少・未診断疾患患者の情報共有と診断確定,さらに治療を見据えた病態解明と治療法開発を目的としている.次世代シークエンスを軸とする技術革新により,原因不明であった希少遺伝性疾患症例における原因遺伝子やその病態が次々と明らかになってきている.希少遺伝性疾患の病態が詳細に解明されることにより,治療に向けての道筋が開かれてきた.思いがけない疾患であることが判明して治療に結びついた例や,新規疾患の同定がなされ適用外の治療薬が奏効した例などが認められている.海外では,希少疾患の詳細な病態解明により当該疾患の治療を越えて他の疾患の治療へと応用された事例も認められており,IRUD 研究の将来的な成果として期待が寄せられる.
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医学のあゆみ 273巻7号, 579-582 (2020);
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未診断疾患イニシアチブ(IRUD)プロジェクトで,多くの希少・未診断疾患の原因遺伝子候補が同定されている.それらのin vivo における機能的関与は不明なことが多く,疾患への関与を確定できない.著者らは,小型モデル生物を用いることで,in vivo での疾患候補遺伝子の機能解析を試みている.モデル生物研究者のネットワークにより,すでに100 を超える遺伝子で検討中である.それらの一端を紹介したい.
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医学のあゆみ 273巻7号, 583-588 (2020);
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希少疾患は,その患者数の少なさから診断,治療などの研究開発に国際連携が欠かせない領域である.IRUD Beyond borders 研究班(以下,当研究班)は,希少疾患領域における海外との共有可能な情報基盤を確立すべく結成され,2 つの組織(Orphanet,Springer Nature)と提携し,活動を進めた.まず,Orphanet への加盟を果たし,その保有情報を利用することが可能となった.疾患概要の翻訳やOrphanet 登録疾患と厚生労働省管理疾患とのマッピングを行い,さらに日本の希少疾患専門施設情報を登録し,国内外の情報を充実させた.また,Springer Nature と協働し,希少疾患に関する日本の研究成果を世界に発信するためのウェブサイト“NAN-BYO RESEARCH from JAPAN”を創設した.研究への患者・市民参画(PPI)の重要性が増すなか,研究者や医療従事者だけでなく患者やその家族にまで情報を届けることを狙い,平易な文章で記事を構成した.当研究班の活動に対し,新聞社の取材や国内外からの問い合わせなど大きな反響があった.今後は,当研究班の確立した基盤を用いて情報交換が行われ,希少疾患の診療や研究成果がさらに発展することが期待される.
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医学のあゆみ 273巻7号, 589-594 (2020);
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網羅的遺伝子解析技術の飛躍的な進歩により,臨床所見のみからは診断が困難であった希少疾患の確定診断や,新規疾患の発見・確立が可能となった.“武内・小崎症候群(OMIM #616737)”は,日本医療研究開発機構(AMED)の難病克服プロジェクトのひとつであるIRUD(未診断疾患イニシアチブ)を通じて,わが国より提唱,確立されたヒト疾患である.本疾患は知的障害,巨大血小板性血小板減少症,リンパ浮腫,感音性難聴,脳構造異常,免疫不全と易感染性,甲状腺機能低下などを呈し,CDC42 遺伝子にヘテロ接合性のアミノ酸置換変異(p.Tyr64Cys など)を有することを特徴とする.関連学会を中心に診断基準が作成され,2019 年7 月から厚生労働省小児慢性特定疾病に収載されている.国内外で複数の本疾患患者が同定されているが,本疾患に対する治療法はいまだ存在せず,疾患特異的治療法の開発が強く望まれている.IRUD をさらに発展させたIRUD-Beyond の一環として,武内・小崎症候群に対する特異的治療法をドラッグリポジショニングにより開発することをめざす“CDC42 阻害剤による武内・小崎症候群の治療法の開発研究班”が組織され,活動を開始した.細胞などを用いたin vitro 実験系と疾患モデル動物などのin vivo 系を組み合わせた研究により,既承認薬のドラッグリポジショニングを効率的に推進し,非臨床POC(proof of concept)を獲得することを目標としている.
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連載
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老化研究の進歩 10
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医学のあゆみ 273巻7号, 600-606 (2020);
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加齢性骨粗鬆症は加齢が最大の危険要因である.著者らは細胞内に分布して活性酸素種制御に主要な役割を担う2 つの抗酸化酵素SOD1 とSOD2 に着目した.それらの遺伝子欠損マウスの骨組織を解析したところ,加齢性骨粗鬆症に酷似した骨代謝異常による骨量減少を示すことを発見した.SOD1 とSOD2 による内因性の活性酸素種調節は,骨を正常に機能させるためには必須であり,その調節不全は骨代謝異常による骨量減少を引き起こすことが明らかとなった.本稿では,酸化ストレスの切り口から,加齢と骨代謝について論じる.
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再生医療はどこまで進んだか 2
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医学のあゆみ 273巻7号, 607-612 (2020);
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人工多能性幹細胞(iPS 細胞),胚性幹細胞(ES 細胞)などの多能性幹細胞を用いた再生医療に期待が寄せられている.なかでもターゲット疾患として,パーキンソン病が注目されている.世界に先がけてわが国で2018 年よりパーキンソン病に対するiPS 細胞由来ドパミン神経前駆細胞の細胞移植が医師主導治験として始まった.本治療では未分化iPS 細胞から約1 カ月をかけて分化誘導したドナー細胞を脳の被殻に直接注入する.移植細胞の分化誘導法や移植法については長年にわたるin vitro,in vivo の実験をもとに確立された.移植後,ドパミン神経として成熟した細胞は宿主の神経とネットワークを構築し,その結果,患者の運動機能の改善が期待される.現在遂行中の医師主導治験では安全性の確認と有効性の評価が行われる.今後は治験の結果を踏まえ,幹細胞移植治療がパーキンソン病の治療オプションのひとつとして普及していくことが期待される.
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TOPICS
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腎臓内科学
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医学のあゆみ 273巻7号, 595-596 (2020);
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遺伝・ゲノム学
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医学のあゆみ 273巻7号, 596-597 (2020);
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細胞生物学
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医学のあゆみ 273巻7号, 598-599 (2020);
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FORUM
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医学のあゆみ 273巻7号, 613-614 (2020);
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パリから見えるこの世界 91
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医学のあゆみ 273巻7号, 615-618 (2020);
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書評
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医学のあゆみ 273巻7号, 619-619 (2020);
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