Volume 278,
Issue 2,
2021
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特集 災害メンタルヘルス
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医学のあゆみ 278巻2号, 127-127 (2021);
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医学のあゆみ 278巻2号, 128-132 (2021);
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精神保健福祉センターは精神保健福祉法第6 条によって都道府県ならびに指定都市に設置が義務づけられており,全国に69 カ所ある.その業務は行政面,相談診療面など多岐にわたり,近年では災害発生時における地域住民への支援も大きな役割となっている.筆者は2014 年から現職に就いて以降,これまでにいくつかの災害を経験した.とりわけ大きかったのは2 回の豪雨災害と昨今の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大である.豪雨災害においては災害派遣精神医療チーム(DPAT)が,COVID-19 対応においては新型コロナウイルス感染症医療調整本部の役割が重要であった.本稿ではそれら体験に基づき,精神保健福祉センターの立場から災害が心に与える影響について総論的に述べるとともに,支援における組織的なアプローチの重要性について触れてみたい.
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医学のあゆみ 278巻2号, 133-136 (2021);
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大規模自然災害など一度に多数の人々が被害に遭う災害では,その影響は個人だけではなく,人々の属するコミュニティや地域など社会全体に広範な被害が及び,人々のメンタルヘルスにも影響する.このため,災害後の支援においては個人レベルだけではなく,社会的なレベルにおいても包括的で多層的な支援や介入が必要であり,災害後のメンタルヘルスは地域やコミュニティ全体の復興・回復に深く関わっている.地域において最良の支援をもたらすのは地域コミュニティの人々であり,また文化,信条,価値を共有するプログラムであるという.ここでは,こうした地域の回復に向けた支援活動の例として,東日本大震災後に地域に寄り添う形で継続的に支援を行ってきた,みやぎ心のケアセンターの活動についても紹介した.
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医学のあゆみ 278巻2号, 137-141 (2021);
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子どもは,大人の庇護を要することや発達途上にあることも相まって,災害の心身への影響が無視できない.子どものメンタルヘルス上の影響は行動面や身体面にも現れやすく,誤解を受ける場合が少なくないため,細やかな注意を要する.周囲による影響,被災前から潜在する問題の顕在化,時間経過に伴う変化も考慮すべき重要な要因である.被災体験に限らず後続するストレスの影響や発達課題も相まって,中長期には被災の影響と容易に推察される症状よりも,不登校のように複雑化した不適応がめだってくる.このような子どもや保護者などに対する関わりにおいては,適切な見立てと心理教育,人材育成,啓発が専門的治療と同等に必須である.宮城県仙台市における東日本大震災後の子どもの心のケアは,年月を経ても潰えることなく,母子保健や教育分野における広義のメンタルヘルス支援に発展した.平時からの備えと適時適切な関与によって,被災した子どもの健全な成長を一人ひとりが守っていただけるよう,願ってやまない.
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医学のあゆみ 278巻2号, 143-148 (2021);
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被災後,地域における平時の精神保健医療福祉活動能力が一時的にダメージを受ける.効率的な支援のためには精神保健医療福祉の連携が重要である.災害時の精神面での対応は,医療だけではなく保健・福祉・介護など多岐にわたり広範囲である.災害時のこころのケアは急性期,そして中長期になればなるほど,単に精神面のみならず生活の支援といってもいいと考えられる.組織,チーム,支援者と連携するためには,それぞれの組織,団体,支援者がどのような役割を得意とし,また何が限界点であるかなど,連携する側もよく知っておく必要がある.よく理解していれば,互いに自分のチームの弱点を補強しあったり,活動を強固なものにできる可能性がある.平時から互いに連携する組織の内容を理解し,訓練などで顔の見える関係性を構築し,災害に備えること,そして災害後に協働することが重要であると考える.
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医学のあゆみ 278巻2号, 149-153 (2021);
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災害ストレスに起因する精神症状と脳形態変化について多数報告はあるが,災害ストレス曝露後の横断研究が主であり,脳形態変化との因果関係や脳画大震災前から継続的に脳画像研究を行っており,震災前の脳画像のデータを多数保有していた.これらデータを活用した震災経験を挟んだ縦断脳画像研究を行い,震災後精神症状と脳形態変化の因果関係および回復の予測因子を検証した.震災前の前帯状皮質の灰白質量の減少と前帯状束の白質統合性の低下を震災後の精神症状の脆弱性因子,眼窩前頭皮質の灰白質量減少,左帯状束と鉤状束の白質統合性の上昇を震災後精神症状の獲得因子,右背外側前頭前野の灰白質量の増加と帯状束/鉤状束の可塑性および自尊心の高さが回復の予測因子であることが明らかにできた.脳画像変化が,さまざまなフェーズでの災害ストレスの脳画像バイオマーカーとなることが示唆された.
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医学のあゆみ 278巻2号, 154-158 (2021);
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近年,被災者のみならず災害支援者のメンタルヘルスが注目されている.主として災害急性期に活動する職業的救援者(消防職員や自衛官など)や災害派遣医療チーム(DMAT)隊員などは惨事ストレスに曝されるリスクが高く,心的外傷後ストレス障害(PTSD)に罹患することもある.また,行政職員をはじめとする被災地支援者は自身も被災しながら中長期にわたって被災者支援を続けなければならない.深刻なオーバーワークから燃え尽き,休職や離職に至ることもまれではない.こうした災害支援者のメンタルヘルスケアは平常時における職場のメンタルヘルスの基本に則して実施される.すなわち,メンタルヘルスに関する教育,セルフケア,リーダーや管理職などによるラインケア,職場・組織によるフォローアップ,外部専門機関との連携が必要となる.常日頃から職場や組織のメンタルヘルス体制を整備しておくことこそが,災害時に支援者の心身を守るために最も大切である.
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医学のあゆみ 278巻2号, 159-163 (2021);
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災害時には,精神保健専門家による支援とともに多層的な精神保健・心理社会的支援が必要となる.なかでも,誰もが取り組める手法として世界保健機関(WHO)などが推奨しているのが心理的応急処置(PFA)である.PFA は,深刻な危機的出来事に見舞われた人に対して行う,人道的,支持的,かつ実際的な支援であり,被災者の尊厳,文化,能力を尊重しながら支援をするための枠組みといえる.PFA の活動原則は,準備,見る,聞く,つなぐことを通して,害のない支援を行うことである.そのため,人々の気持ちを落ち着かせるための手法などとともに,すべきこと・してはならないことを明記し,支援者と被災者双方にとって安全なやり方で,誰かを傷つけることなく支援するための方法を示している.障害者権利条約を中心とする人権ツールも参照しながらPFA を活用し,精神障害や知的障害のある人を含むすべての人の心のウェルビーイングの保護と促進を“誰一人取り残さない”形で,多セクターに主流化していくことが求められている.
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連載
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この病気,何でしょう? 知っておくべき感染症 12
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医学のあゆみ 278巻2号, 169-173 (2021);
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肺犬糸状虫症はDirofilaria immitis という寄生虫を原因とした人畜共通感染症で,ヒトの体内に入った寄生虫が肺梗塞病変を形成する疾患である.今回,健診の胸部X 線検査で異常陰影を指摘され病院を受診し,確定診断目的に外科的切除を行い診断に至った肺犬糸状虫症の症例を経験した.肺犬糸状虫症は肺癌やその他の腫瘍性病変との鑑別が困難なことが多い.診断が困難な場合は積極的な外科的切除による治療が望ましいと考える.
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いま知っておきたい最新の臨床検査 ─ 身近な疾患を先端技術で診断 11
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医学のあゆみ 278巻2号, 174-179 (2021);
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◎膠原病および類縁疾患の診療において,自己抗体検査は診断に役立つのみでなく,疾患活動性の評価,予後の推測,また治療方針を決める際にも非常に有力な手がかりとなる.現在保険収載されている検査法として,Hep2 細胞を用いた蛍光抗体間接法(IIF)とELISA 法があるが,実臨床においては各々の利点と欠点を理解した上で適切に組み合わせることにより,自己抗体の有無と意義を正確に評価することが重要である.とくに全身性強皮症と皮膚筋炎においては自己抗体と臨床症状の間に強い相関があり,悪性腫瘍との関連(抗RNA ポリメラーゼⅢ抗体,抗TIF-1γ抗体)や短期予後を左右する急速進行性間質性肺疾患との関連(抗MDA5 抗体)は実臨床においてきわめて重要である.ELISA 法が実臨床において幅広く普及したことにより新たに得られた知見も報告されており,常に知識をアップデートして診療に臨む姿勢が求められる.
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TOPICS
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神経内科学
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医学のあゆみ 278巻2号, 164-165 (2021);
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臨床検査医学
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医学のあゆみ 278巻2号, 165-166 (2021);
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脳神経外科学
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医学のあゆみ 278巻2号, 167-168 (2021);
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FORUM
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パリから見えるこの世界 101
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医学のあゆみ 278巻2号, 180-183 (2021);
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日本におけるワクチン不信を巡る謎 4(最終回)
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医学のあゆみ 278巻2号, 184-188 (2021);
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速報
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医学のあゆみ 278巻2号, 189-190 (2021);
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