Volume 38,
Issue 11,
2017
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Series:呼吸ケア・フロントランナー
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Therapeutic Research 38巻11号, 1073-1076 (2017);
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総説
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Therapeutic Research 38巻11号, 1091-1099 (2017);
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薬物相互作用では,薬物動態の代謝の過程に生じる相互作用が多くを占める。その大半はチトクロムP450(CYP)阻害を原因としていることから,薬物相互作用ではCYP の関与を考慮することが重要である。プロトンポンプ阻害薬(PPI)の薬物相互作用の一つは,PPI の主作用である胃酸分泌を抑制することで起こるものであり,抗HIV 薬,抗悪性腫瘍薬など,生命予後への影響が大きい薬剤との併用時には注意が必要である。一方,PPI の代謝にはCYP2C19 およびCYP3A4 が関与しており,CYP を介した薬物相互作用では抗血小板薬クロピドグレルとの併用が注意喚起の対象となっている。これはPPIとクロピドグレルの併用により,クロピドグレルの血小板凝集抑制作用が減弱するという報告を受けてのものであるが,臨床的な影響については議論の余地を残しているというのが現状である。過度な懸念により,行われるべき治療が十分に行われないということを回避するためにも,両剤を必要とする患者には十分な注意を払いながら使用していくことが重要である。
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原著
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Therapeutic Research 38巻11号, 1101-1110 (2017);
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Background:There are few studies investigating bothersome symptoms and treatment satisfaction of chronic constipation in Japan. Since there are no guidelines that define treatment goals, it is being treated at the discretion of the physician. Objective:We aimed to conduct a survey in Japanese physicians and patients to investigate the current status of clinical treatment for chronic constipation and identify the gap in treatment satisfaction levels between physicians and patients. Methods:Responses from 400 physicians treating chronic constipation and 700 patients receiving treatment at hospitals or using over‒the‒counter(OTC)drugs were evaluated through a questionnaire survey. Results:Bloating, followed by infrequent bowel movements, were the most bothersome patient‒reported symptoms. Physicians were conscious of the infrequent bowel movements, followed by hard stool, in the diagnosis. Based on the Bristol stool form scale, the form of stools in patients using osmotic laxatives was classified as type 1 or 2 in 50% and type 3‒5(normal)in 38% of investigated patients. When overall satisfaction with osmotic laxatives was assessed, 81% of physicians reported a“satisfied”or“moderately satisfied”response, while only 46% of patients concurred. Conclusion:Symptoms that physicians emphasize in chronic constipation treatment were objective symptoms such as infrequent bowel movement. On the contrary, the most bothersome symptoms of patients included not only objective symptoms but also subjective symptoms such as bloating. In addition, despite receiving chronic constipation treatments, it was thought that the objective symptoms were not sufficiently improved, which led to a gap in the satisfaction of physicians and patients.
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Therapeutic Research 38巻11号, 1111-1120 (2017);
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背景:胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン2015 ではGERD 診療においてPPI(protonpump inhibitor)が第一選択薬とされているが,症状の改善に十分満足していない患者の存在が問題となっている。目的:①従来のPPI による治療で満足していないGERD 患者,および②症状を有する新規GERD 患者を対象にカリウムイオン競合型アシッドブロッカーであるボノプラザンによる症状改善効果,およびQOL の改善効果を検討する。対象と方法:対象は①従来のPPI によるGERD 治療を8 週以上内服治療を行ったにもかかわらず,GERD 症状の改善効果に満足していない,いわゆるPPI 抵抗性GERD 患者37 例,および②上部消化管内視鏡検査を施行し,逆流性食道炎を認め,かつ症状を有する新規GERD患者159 例。①に対してはボノプラザンへの変更前後に,②に対してはボノプラザン投与前後に,症状はFSSG にて,QOL は出雲スコアを用いて評価した。結果:①PPI 抵抗性GERD 患者にPPI からボノプラザン20 mg/日に変更したところ,FSSG総合スコアは平均6.2 点低下(酸逆流関連症状3.6 点低下,運動不全症状2.6 点低下)を認め,いずれも統計学的に有意差を認めた。出雲スケールは,総合スコアで平均8.3 点低下(胸やけスコア1.8 点低下,胃の痛みスコア1.2 点低下,胃もたれスコア2.1 点低下,便秘スコア1.7点低下,下痢スコア1.5 点低下)を認め,いずれも統計学的に有意であった。②新規GERD 患者に対してボノプラザン20 mg/日を投与したところ,FSSG 総合スコアは平均6.8 点低下(酸逆流関連症状4.0 点低下,運動不全症状2.8 点低下)していた。出雲スケールは,総合スコアで平均9.5 点低下(胸やけスコア2.1 点低下,胃の痛みスコア2.2 点低下,胃もたれスコア1.7 点低下,便秘スコア1.4 点低下,下痢スコア2.1 点低下)を認めた。いずれのスコアも統計学的に有意であった。結論:ボノプラザンによるGERD 治療は,従来のPPI で満足していない症例にも新規患者に対しても有用である可能性が示された。
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Therapeutic Research 38巻11号, 1121-1126 (2017);
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目的:先端巨大症は成長ホルモン(growthhormone:GH)過剰により,特有の顔貌や睡眠時無呼吸症候群,耐糖能・脂質異常,高血圧などの代謝異常をきたす疾患である。悪性腫瘍の合併や心疾患や脳血管障害等の増加により予後不良となるため,GH,insulin‒like growth factor‒1(IGF‒1)を正常化させることが重要である。治療の第一選択は外科的アプローチ(経蝶形骨洞下垂体腫瘍摘出術)であり,効果不十分な場合には薬物療法や放射線治療が行われる。本研究では,当院でのオクトレオチドLAR(octreotide[OCT]LAR),ランレオチド(lanreotide[LAN])で治療を行っている症例において,その有効性を比較検討した。対象と方法:当院においてソマトスタチンアナログ製剤で先端巨大症の治療を行っている患者(OCT LAR 群11 例,LAN 群9 例)について,GH,IGF‒1 の薬物療法開始前後での改善率を比較した。また,OCT LAR からLAN へ切り替えた8 例においては,薬剤の切替え前後でのGH,IGF‒1 値の変動を比較した。結果:治療前と比べて平均で,OCT LAR 20mg 群でGH 値2.02 ng/mL,IGF‒1 値258.0 ng/mL,OCT LAR 30 mg 群でGH:4.14 ng/mL,IGF‒1:296.8 ng/mL,OCT LAR 40 mg 群でGH:6.18 ng/mL,IGF‒1:311.8 ng/mL,LAN90 mg 群でGH:3.89 ng/mL,IGF‒1:327.7 ng/mL,LAN 120 mg 群でGH:7.28 ng/mL,IGF‒1:466.3 ng/mL の低下を認めた。OCT LAR からLANへ切り替えた8例においてもその改善効果は持続していた。結論:OCT LAR,LAN ともに用量依存性にGH・IGF‒1 の改善を認めた。OCT LAR からLAN への切替え症例においても一定の効果が得られた。
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Source:
Therapeutic Research 38巻11号, 1127-1134 (2017);
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外来通院中でミグリトール普通錠(50 mg または75 mg)を毎食直前に内服している2 型糖尿病患者23名を対象に,服用中のミグリトールをOD 錠(同用量)に変更した場合の服薬アドヒアランスや血糖コントロール状態について検討した。変更前と変更12 週後にOD錠に関するアンケートを実施し,OD 錠切替え時には普通錠の残薬確認を,以降12 週まで4 週ごとにOD錠の残薬確認を行い,服薬アドヒアランスと血糖コントロールへの影響を検討した。残薬数は28 日分換算で,変更前1 人あたり6錠(中央値)であったが,変更12 週後2 錠(中央値)と有意に減少した(p<0.05)。さらに変更前「残薬あり」と回答した患者数は変更後,有意に減少した(p<0.05)。一方,HbA1c(n=23)は変更前6.9±0.5%から変更12 週後6.9±0.5%,1,5‒AG(n=17)は変更前16.6±7.0μg/mL から変更12 週後16.6±6.4μg/mL とそれぞれ有意な変化を認めなかった。残薬数の変化と1,5‒AG の変化量には有意な負の相関が認められた(r=-0.49,p<0.05)。また,患者アンケートではOD 錠に変更した結果,飲み忘れが少なくなった患者が4 名(17%),薬剤服用時に水を用意しなければならない負担感が減った患者が9 名(39%)であった。ミグリトールOD 錠は2 型糖尿病患者の食前の服薬負担感を軽減し残薬を減少することが示唆され,服薬アドヒアランス向上のための新たな選択肢となり得ると考えられた。
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Source:
Therapeutic Research 38巻11号, 1135-1145 (2017);
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糖尿病治療では患者自身が治療目標を立て,その目標を達成するために治療のモチベーションを高めること,および維持することが重要である。しかし,実際にはモチベーションの維持が困難で病状が悪化してしまうことが多い。そこで今回「糖尿病市民公開講座2016」において,糖尿病治療に対するモチベーションの向上,維持,および病状の悪化や治療の断念の有無との関連性について,その詳細な原因を含めて検討することを目的にアンケート調査を実施した。その結果,病状の悪化や治療の断念は「食事」,「運動」,「自分自身」に関連していた。またその関連性はHbA1c が7%以上の群でより強い傾向がみられた。糖尿病治療満足度質問表(diabetes treatment satisfaction questionnaire:DTSQ)で高血糖の頻度と対比した結果でも同様の傾向がみられた。DTSQ を用いた治療満足度では医療従事者の介入により満足度を高め,病状の悪化や治療の断念に歯止めをかけられる可能性が示唆された。本調査は市民公開講座への参加者という治療意識の高い患者における結果であるが,病状の悪化や治療の断念に陥らずにモチベーションを向上,維持するためには,日常生活において実践可能な食事療法や運動療法の提案と,医療スタッフが患者に対して共感的な態度で挑み,糖尿病治療継続の重圧から気持ちをやわらげる診療が重要であると示唆された。
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Source:
Therapeutic Research 38巻11号, 1147-1150 (2017);
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