Therapeutic Research

Volume 42, Issue 2, 2021
Volumes & issues:
-
SERIES:臨床高血圧125周年~論点の整理と将来展望
-
-
脳心血管疾患リスクとしての脈波速度,中心血圧:家庭血圧,24 時間測定血圧との比較の現状
42巻2号(2021);View Description
Hide Description
血管は“血液を末梢臓器に効率的に運搬し,その効率を維持する” 機能を有する1)。脳心血管疾患発症予測および予後予測において,Framingham risk score など古典的なリスク評価方法には限界があることが指摘されている。そして血管機能検査は,このリスク評価の精度を向上させることが期待されている2)。脈波速度,中心血圧はこうした血管機能検査の代表的検査指標である。いくつかのメタ解析で両者が診察室血圧とは独立した予後予測指標であることが報告されている3 ~ 6)。一方,高血圧診療では治療効果・予後評価には家庭血圧,24 時間測定血圧の有用性が示されている7)。 本稿では,脳心血管疾患リスク指標としての両指標の有用性と家庭血圧,24 時間測定血圧の関連について述べる。 -
治療抵抗性高血圧と腎交感神経除神経:再評価2021
42巻2号(2021);View Description
Hide Description
交感神経は血圧上昇に作用し,動物実験では,腎除神経が高血圧発症・進展を抑制することが示されていた。さらに,臨床的にも外科的腎除神経も治療抵抗性高血圧の降圧に有用であることが報告されていた。こうした背景から,ラジオ波焼灼カテーテルを用いた経皮的腎交感神経除神経(RND) が治療抵抗性高血圧の降圧に有効であることがSYMPLICITY HTN‒1 試験およびHTN‒2 試験として連続して報告された。これらの試験はOpen‒label 試験であったため,Sham‒control を用いた試験(SYMPLICITYHTN‒3)が実施された1)。しかし,HTN‒3 試験ではRND の有効性を証明することができなかった。治療抵抗性高血圧に対するRND の有効性を検証するため実施されたHTN‒3 試験において指摘された問題点を,“腎除神経研究論文吟味での注意事項”として表1にまとめた2, 3)。RND の有効性を確立するために,こうした問題点を検証・解決することが必須である。 本稿では,このような項目を踏まえて,治療抵抗性高血圧・高血圧へのRND の適応・効果の現状について論述する。
-
-
Symposium:第56回埼玉不整脈ペーシング研究会
-
- 一般演題
-
老健入所中の超高齢者に発症したペースメーカージェネレーターが原因と考えられる心窩部の難治性皮膚潰瘍の1例
42巻2号(2021);View Description
Hide Description
わが国の65 歳以上の人口は増え続け,2015年に26.7%であったが,2018 年に27.7%と超高齢化社会になっており1),高齢者を収容する施設での医療体制の充実が望まれる。今回われわれは,ペースメーカーを植込んだ超高齢者が感染症を発症して対処に難渋した症例と,わが国の高齢者医療の現状について報告する。 -
肺静脈隔離術におけるAblation Index を利用した低侵襲化への試みと治療成績の検討
42巻2号(2021);View Description
Hide Description
心房細動におけるアブレーション治療は2018 年に改訂された不整脈非薬物治療ガイドライン1)において,症状の有無や持続時間にかかわらず適応が広がり確立した手技となった。一方で肺静脈隔離術(PVI)は他の不整脈治療に比較し手技時間,透視時間が長いという報告がある2)。医療被ばく情報ネットワークが2020 年に公開した日本の診断参考レベル(Nationaldiagnostic reference levels in Japan:JapanDRLs)3)でも,非PVIと比較して診断参考レベル(DRL)値が高値に設定されており,侵襲が高い傾向にある。CARTO3 mapp–ing system によるAblation Index(AI)は,従来のcontact force と通電時間を指標としていた焼灼(Force time integral:FTI)から,contact force と通電時間に出力を加え,lesion depthの相関性が高くなる変数を加えた計算式を用いることで,より効果的な通電指標を期待したテクノロジーである。今回われわれは,AIによる通電指標を含めた治療ストラテジーを見直すことで低侵襲化を試みた。それにより得られた治療成績を比較検討したので報告する。 -
左房外構造物に由来した瘢痕組織により左房起源マクロリエントリー性心房頻拍を呈した3例
42巻2号(2021);View Description
Hide Description
マクロリエントリー性心房頻拍は, 一般的に外科手術やアブレーションなどの侵襲的介入後の瘢痕, もしくは心筋症等による基質異常に伴い生じることが知られている。一方で, 手術や心臓病の既往がない患者においても, まれに左房外構造物に由来すると考えられる左房内瘢痕が原因でマクロリエントリー性心房頻拍が生じることが報告されている1, 2)。 今回, 左房外構造物由来と思われる瘢痕によりさまざまな左房起源マクロリエントリー性心房頻拍を呈した3症例を経験したので報告する。
-
原著
-
-
SGLT2 阻害薬の至適投与方法についての検討―常用量の半量投与における効果と意義―
42巻2号(2021);View Description
Hide Description
低用量Sodium‒dependent glucose transporter2 阻害薬(SGLT2i)の有用性に関する報告が増加しており,各種SGLT2i を常用量の半量で投与開始された2 型糖尿病患者101 例において,体重,腹囲およびHbA1c の投与後48 週までのデータを後ろ向きに収集して統計学的に解析することで,その効果や意義を検討した。SGLT2i 常用量の半量投与24 週後に,体重,腹囲およびHbA1c は,いずれも有意に減少を認め(おのおの,p<0.001),常用量への増量48 週後に体重およびHbA1c はさらに有意な減少を認めた(おのおの,p=0.011 およびp=0.006)。回帰分析では,増量24 週後のHbA1c 変化量と半量投与4 週後のHbA1c変化量との間に有意な負の関連性,半量投与開始前の腹囲との間には有意な正の関連性を認めた。①内臓脂肪過多が推察される患者,②肥満患者,③わずかな改善で目標HbA1c 値を達成できるような状況にある患者,④半量投与4 週後の血糖降下率が大きくない患者を除いて,SGLT2i の半量投与の継続は,効果および医療経済的に有意義な2 型糖尿病の治療方法として期待される。
-
-
報告
-
-
消化器系専門医が市中病院消化器内科外来で遭遇した疾病について-第2 報-
42巻2号(2021);View Description
Hide Description
市中病院消化器内科では,専門性はあるものの,さまざまな他分野の疾患の診察を依頼されることも多い。そこで今回,市中病院の専門外来でどれだけ他分野疾患と遭遇してきたのかを記録し,考察した。なお,当記録の前調査の結果は第1報1)として発表しており,今回の調査結果を第2報として報告する。
-
-
INFORMATION
-
-