Therapeutic Research
Volume 43, Issue 6, 2022
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全国レセプトデータベース(NDB)の解析により,高血圧治療者数は約2700万人,高血圧服薬者数は約2400万人-わが国の高血圧性疾患患者の実態が初めて明らかに
43巻6号(2022);View Description Hide Description日本高血圧学会は6月10日,国民のレセプトデータベース(NDB)を用いた日本高血圧学会・医療経済研究機構・東京大学の共同研究で,わが国の高血圧性疾患の受療者数は約2700万人,服薬者数は約2400万人であることを初めて明らかにした。同日に開催されたプレスセミナーで,三浦克之氏(日本高血圧学会理事,滋賀医科大学)がわが国の高血圧の現状に関する解析結果を報告した(本研究論文はHypertension Researchに同日オンライン公開)。
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Lecture:J–CLEAR 講演会
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個別最適化治療を可能とする医工計測情報の革新的多次元解析技術の開発
43巻6号(2022);View Description Hide Description桑島 今回のJ – CLEAR 講演会では,後藤信哉先生が第14 回中谷賞大賞を受賞しました『個別最適化治療を可能とする医工計測情報の革新的多次元解析技術の開発』について解説していただきます。後藤 中谷財団(中谷医工計測技術振興財団)は,シスメックス株式会社が設立し,医工計測技術の先端研究への助成・表彰活動をしています。今回のわれわれの研究は計測技術を開発するというより,計測技術を使って個別最適化医療を可能にするような計測情報解析技術の開発をしたことが評価され,第14 回中谷賞大賞を受賞しました。本日は,われわれが開発した解析技術について,前半は「帰納的論理」,後半は「演繹的論理」による研究の概要をご紹介します。
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Symposium:第58回埼玉不整脈ペーシング研究会
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- 一般演題
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致死性不整脈予測心電図指標(Transmural dispersion of repolarization)に及ぼすSGLT2阻害薬長期投与の影響-冠動脈疾患合併糖尿病症例における検討-
43巻6号(2022);View Description Hide Description冠動脈疾患合併糖尿病症例においてSGLT2は生命予後を改善し,致死性不整脈指標(心電図再分極指標)の改善をするとの報告があるが,詳細は不明である。SGLT2阻害薬であるルセオグリフロジン長期投与の12 誘導心電図TDR(Transmural dispersion of repolarization)に及ぼす影響を検討した。方法:冠動脈疾患合併2 型糖尿病20 症例(77±10 歳)を対象とした。ルセオグリフロジン 2.5mgを39±15 ヵ月間連続投与し,前後の12 誘導心電図からTDRを算出した。TDRはT 波のpeakからendまで(Tpe)の持続時間の最大値と最小値の差とした。結果: ルセオグリフロジン投与によりHBA1c は7.4±0.2 から6.9±0.2%に低下した。RR間隔・QT時間の変化は認められなかった。TDRはルセオグリフロジン投与により減少が認められた(35±15 vs. 24±14 ms, p<0.05)。結語:ルセオグリフロジンの長期投与は冠動脈疾合併糖尿病症例で致死性不整脈作用を抑制する可能性が示唆された。 -
Confirm RXのECGゲイン調整機能が不整脈診断に有用であった3例
43巻6号(2022);View Description Hide Description植込み型心臓モニター(ICM)は原因不明の失神と潜在性脳梗塞における心房細動(AF)検出に対して適応で,ICMは従来の心電図検査に比べAFの検出率が高いと報告1, 2)されている。また,遠隔モニタリング(RMS)にはエピソードの即時性かつ有効性が示されていることから3),ICMのRMSでの運用は,より有用性が高まると考えられる。さらに,Confirm RX(Abbott社)のRMSにはECGゲイン調整機能(EGMゲインビューア)にて波形の拡大,感度調整,キャリパー機能で1 拍ごと詳細に確認できる機能が搭載されている(図1)。今回われわれは,EGMゲインビューアが不整脈診断に有用であった3 症例を経験したので報告する。 -
中心臓静脈からの通電を要した顕性WPW症候群の1例
43巻6号(2022);View Description Hide Description症例は37 歳,男性,主訴は動悸。20 歳ごろから動悸が出現するようになった。動悸発作は突然生じ,突然停止していた。現在は年4 ~ 5 回程度,持続時間は2 時間以内であった。健康診断で心室早期興奮を指摘され,当院を受診した。検査所見について,心電図ではデルタ波を認めており,デルタ波の立ち上がりはI 誘導で陽性,II 誘導では陰性で,V1誘導でのR/S比は1 未満であり,副伝導路は心外膜下に存在することが示唆された。心臓電気生理学的検査では冠静脈洞内のカテーテルからは副伝導路の局在部位は左後壁(僧帽弁輪6 時あたり)であった。経大動脈的に弁上・弁下からmappingを行ったが早期性はなく,心臓静脈内のmappingを行った。冠静脈洞造影では左後壁に中心臓静脈を認め,この中心臓静脈にアブレーションカテーテルを挿入したところ,房室伝導ならびに室房伝導が心房波・心室波の融合する電位が記録された。同部位で通電したところ,これらの伝導は消失した。中心臓静脈からの通電を要した顕性WPW症候群の1例を報告した。 -
心房細動合併急性非代償性心不全の特徴-クリニカルシナリオ分類は急性非代償性心不全初回入院症例の心房細動合併率と相関する-
43巻6号(2022);View Description Hide Description急性非代償性心不全(ADHF)は何らかの基礎心疾患を有する症例が罹患することが多いが,心房細動(AF)以外に基礎心疾患が明確でない症例も多い。そこで本研究ではAF合併ADHF症例の臨床的特徴を明らかとすることを目的とした。 -
当院におけるOptiVol Fluid Index®陽性患者の検討
43巻6号(2022);View Description Hide DescriptionOptiVol Fluid Index®の上昇は胸郭インピーダンス低下による。原因としては,うっ血による胸水貯留があげられる。心原性胸水では両側性81%,右側性12%,左側性7%,肝性胸水では両側性15%,右側性70%,左側性15%,低下アルブミン血症では貯留はまれだが,90%以上で両側性に貯留する。
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原著
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エスフルルビプロフェン貼付剤の疼痛改善効果と安全性に関するアンケート調査
43巻6号(2022);View Description Hide Descriptionエスフルルビプロフェン貼付剤(SFPテープ:旧製剤)を処方された68 名の患者(平均年齢73.1 歳,女性72%)を対象として,その疼痛改善効果と安全性(剥がし方とかぶれの発生を含む)に関する前向きアンケート調査を行った。初診時と再診時(4 週後)の2 回のアンケートが回収できたのは20 名(平均年齢73.3 歳,女性60%)で,回収率は29.4%であった。平均の貼付時間は17.9時間であった。全例8時間以上で,24時間が最も多く33%であり,次いで12時間が28%であった。face scale score(疼痛の指標)の平均値は,初診時の3.2から,再診時は1.9まで有意に減少した(減少率40%)。また,貼りやすさについては,ふつう(74%),貼りやすい(26%)の順に多かったが,剥がしやすさについては,ふつう(53%)が多かったものの,剥がしにくいという意見も31%にみられた。かぶれ(有害事象)を予防するための推奨される剥がし方を順守していたのは68%,していなかったのが32%であった。かぶれが発生した患者ではかぶれが発生しなかった患者に比べて,入浴後からの24 時間貼付の割合が高く(80%),剝がし方の順守率が低かった(40%)。SFPテープでは,かぶれの発生を減らすためには,推奨される剥がし方の順守が重要であり,医師や薬剤師から,指導箋を使った患者への説明の徹底が必要と考えられる。
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症例
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Endovascular Repair for an Aberrant Left Subclavian Artery Aneurysm at a Rare Location A Case Report
43巻6号(2022);View Description Hide DescriptionA 56‒year‒old man with a right aortic arch and an aberrant left subclavian artery aneurysm was referred to our hospital. This saccular aneurysm was in a very rare location, unlike the Kommerell diverticulum. Endovascular treatment was performed using two covered stents and coil embolization. The postoperative course was uneventful. He was discharged 6 days after the procedure. At a 1‒year follow‒up visit, enhanced computed tomography showed no enlargement of the aneurysm, and there was no difference in blood pressure between both brachial arteries. When the anatomical condition is suitable, peripheral stent grafting with coil embolization is a safe and effective treatment for aberrant intrathoracic aneurysms in the endovascular era.
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Information
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