Therapeutic Research
Volume 45, Issue 6, 2024
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Topics:第66回日本老年医学会学術集会
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高齢者総合機能評価(CGA)に基づく診療・ケアガイドライン2024公表
45巻6号(2024);View Description Hide Description2024年6月,日本老年医学会は『高齢者総合機能評価(CGA)に基づく診療・ケアガイドライン2024』を長寿医療研究開発費研究班および国立長寿医療研究センターと合同で公表した。第66回日本老年医学会学術集会(2024年6月13日/名古屋)で,CGA(comprehensive geriatric assessment)に関しては21年ぶりとなる本ガイドラインの概要について,研究代表者/ガイドライン作成代表者の秋下雅弘氏(東京都健康長寿医療センター)が解説した。
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Topics
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免疫系に作用する老化細胞除去薬の同定-加齢関連疾患への臨床応用の確立に向けて-
45巻6号(2024);View Description Hide Description順天堂大学循環器内科学の勝海悟郎特任助教,南野徹教授らの研究グループは,糖尿病治療薬のSGLT2阻害薬が老化細胞除去薬として作用することをNature Aging誌のオンライン版に2024年5月30日付で発表した(Nat Aging 2024 May 30. doi: 10.1038/s43587-024–00642–y)。加齢やメタボリックストレスなどに伴い蓄積する老化細胞を除去することにより,代謝異常や動脈硬化,フレイルの改善,早老症マウスの寿命延長が確認され,さまざまな加齢関連疾患への治療応用の可能性が示唆される。その背景や作用機序など研究の概要について,南野徹氏による解説を紹介する。
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Information:メディアラウンドテーブル
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6月1日施行「診療報酬改定」医療現場における高血圧治療補助アプリが発揮する価値とは
45巻6号(2024);View Description Hide Description2024年6月から診療報酬が改定され,特定疾患療養管理料の対象疾患から糖尿病,脂質異常症,高血圧が除外された。生活習慣病管理料や要件などが見直され,効果的・効率的な疾病管理および重症化予防の取組みが求められる。今回の診療報酬改定による医師や患者への影響,および治療アプリが期待される役割について谷川朋幸氏が解説した。
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Symposium:第62回埼玉不整脈ペーシング研究会
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- 一般演題
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両室ペーシング機能付植込み型除細動器でペースメーカ起因性頻拍の経験
45巻6号(2024);View Description Hide Descriptionペースメーカ起因性頻拍(PMT:Pacemaker Mediated Tachycardia)は,デュアルチャンバペースメーカで発生しうる不適切動作の一つである1)。PMTはペースメーカ症候群2)の原因となることもあり,心機能の低下した両室ペーシング機能付植込み型除細動器(Cardiac Resynchronization Therapy Defibrillator:CRTD)植込み患者では,特に注意が必要である。PMTの回避で設定変更を必要とした2 症例を報告する。 -
片肺全摘周術期重症出血性ショックモデルにおける不整脈発生機序と人工酸素運搬体(HbV)の抗不整脈効果-Optical Mappingによる検討-
45巻6号(2024);View Description Hide Description周術期出血は胸部肺外科手術の主な合併症である。人工酸素運搬体(Liposome – encapsulated hemoglobin vesicles[HbV])の左片肺全摘切除出血性ショックラットモデルにおける蘇生効果および抗不整脈作用をOptical Mapping解析(OMP)で検討した。SDラット(n= 40)を対象に左片肺全摘モデルを作成した。大腿動脈脱血蘇生による50%血液交換モデルを作成した。Sham群(NL),HbV投与群(HbV群),洗浄赤血球投与群(wRBC群)および5%albumin投与群(ALB群)を作成し,右室/ 肺動脈圧と動脈平均血圧(MBP)を記録した。脱血蘇生後心摘出し,不整脈誘発法(EPS)を含むOMPを実施した。左片肺全摘で右室/肺動脈縮期圧は上昇した(18 ±2 vs. 52 ±4 mmHg, p<0.01)。動脈脱血蘇生後20 分間で,HbV群・wRBC群ではMBPは正常に保たれたが,ALB群では有意に低下した(MBP:HbV群,wRBC群 vs. ALB 群; 125 ±30,128 ±28 vs. 68 ±20 mmHg, p<0.05)。脱血蘇生中のモニター心電図の心室性不整脈頻度はALB群で有意に多く,OMP・EPSでも頻回に誘発された。OMP の催不整脈指標であるAction potential duration dispersion 増加抑制とEPSによる致死性不整脈抑頻度はHbV群とwRBC群では同程度であった。結語:左片肺全摘周術期出血性ショックモデルにおいて,致死性心室性不整脈が惹起しやすいことが認められ,Action potential duration dispersion増加がその機序と示唆された。また,HbVには血行動態保持と抗不整脈作用があり,本知見はHbV臨床治験の実施に有用と考えられる。 -
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症例
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嵌頓整復後の鼠径部膀胱ヘルニアに対するTAPP法施行の2例
45巻6号(2024);View Description Hide Description鼠経ヘルニア嵌頓整復後のCT検査で鼠径部膀胱ヘルニアと診断し,transabdominal preperitoneal repair (TAPP)法を安全に施行した2例を報告する。症例1は72歳男性。以前から右鼠径部膨隆を認めていたが,突然の右鼠径部痛が出現し当科受診。右鼠経ヘルニア嵌頓が疑われた。症例2は86歳男性。症例1と同様に以前から右鼠径部膨隆を自覚していた。突然の右鼠径部痛が出現し右鼠径ヘルニア嵌頓が疑われた。2症例とも整復直後のCT検査で右鼠径ヘルニアを認め,ヘルニア内容は膀胱であり腸管に異常所見は認めなかった。術中診断はいずれも腹膜側型の鼠径部膀胱ヘルニアであり,腸管の性状は問題なかった。鼠径部膀胱ヘルニアで膀胱を損傷せずより安全にTAPP法を行うには,術前CT検査で膀胱ヘルニアを診断し,鏡視下で膀胱下腹筋膜を正確に認識しながら剥離することが肝要である。
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Information
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