Therapeutic Research

家族性高コレステロ-ル血症および高コレステロ-ル血症を適応症とした新たな治療薬として,PCSK9 蛋白質をコ-ドするmRNAを標的とした低分子干渉リボ核酸(siRNA)製剤インクリシランが2023年11月22日に発売された.日本動脈硬化学会はプレスセミナ-で,既存薬と異なる作用機序を有するインクリシランを含めたPCSK9阻害薬を真に必要とする患者像および治療選択を明確にし,適切かつ安全に使用するための見解を示した.

学習指導要領が改正され,がん教育が小学校では令和2年度から全面実施となり,中学校で令和3年度,高等学校で令和4年度から必修化されている.職場でのがん対策を進める「がん対策推進企業アクション」のメディア向けセミナ-が8月27日に都内で開催され,アドバイザリ-ボ-ド議長を16年間務める中川恵一氏(東京大学総合放射線腫瘍学講座)が,「日本人のヘルスリテラシ-の低さが日本のがん対策の遅れに大きな影響を与えており,その突破口にがん教育がなる」と指摘し,日本のがん対策の現状と課題,がん教育の重要性について解説した.

2 型糖尿病を合併する慢性腎臓病の進行にはアルドステロンやその下流のミネラルコルチコイド受容体の過剰活性化が大きく関与している.ミネラルコルチコイド受容体が過剰活性化されると,炎症や線維化を介して臓器障害が引き起こされるため,これらの因子を抑制することが治療の鍵となる.フィネレノンは,非ステロイド型選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬である.2 型糖尿病を合併する慢性腎臓病を対象としたFIGARO‒DKD 試験およびFIDELIO‒DKD 試験にて,フィネレノンをレニン・アンジオテンシン系阻害薬に追加投与することで,腎・心血管イベントリスクは有意に低下した.フィネレノンは2 型糖尿病を合併する慢性腎臓病に対して,レニン・アンジオテンシン系阻害薬との併用意義が証明された初めてのミネラルコルチコイド受容体拮抗薬であり,今後の2 型糖尿病を合併する慢性腎臓病の診療に変革をもたらすことが期待される.

本研究においてゾレドロン酸(ZOL)製剤の継続率,治療者の中断理由について,3 年以上治療を継続した36 例に対するアンケ-ト調査により検討を行った.その結果,2 年目継続率が76%,3 年目継続率が57%であった.36 例中30 例ではZOL 製剤治療継続が容易であり,29例では骨粗鬆治療を医師の指示があるまで続けると回答した.本結果から骨粗鬆症治療の継続の重要性や患者の認知性に対して考察する.

Introduction:The relationship between nutritional status and physical function in pneumonia patients remains unclear. This study investigated this association in older adults with pneumonia, classifying them based on their Mini Nutritional Assessment Short‒Form scores into undernourished(0‒7 points)and at‒risk(8‒11 points)groups. We hypothesized that physical function would be lower in the undernourished group, that lower leg and upper arm circumference would be useful in determining undernutrition, and that survival would be lower with undernutrition and low body mass index(BMI). 　　Methods:Multivariate logistic regression analysis was used to identify predictors of malnutrition, incorporating significant variables. Additionally, 2‒year mortality rates were examined in relation to BMI. We enrolled 141 patients, comprising 82 and 59 patients in the undernourished and at‒risk groups, respectively. 　　Results:The analysis identified BMI(odds ratio[OR], 1.416;p<0.05), maximum upper arm circumference(OR, 0.677;p<0.05), maximum lower leg circumference(OR, 1.259;p<0.05), and functional independence measure score at hospital admission(OR, 1.040;p<0.001)as independent predictors of undernutrition. BMI<18.5 kg/m2 was significantly associated with increased mortality(p<0.05). 　　Conclusion:Assessing physical function is crucial when determining treatment strategies for poor nutritional status.