最新医学
Volume 62, Issue 6, 2007
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特集【医療工学の進歩とがん画像診断への応用】
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アプローチ
62巻6号(2007);View Description Hide Descriptionがん医療における画像診断の重要性は日ごとに増しており,存在診断,質的診断,病変の広がり診断,がん治療の効果判定にも幅広く利用されている.これらのがん診断には医療工学の進歩によって開発されたUS,CT,MRI,PET が利用されているが,これらの診断用ME 機器の使用に際しては,機器画像の性能,検査方法を十分に理解し,病変に対してどのようなことが分かるのか,またどのようなものが適用であるのかを十分に考えて検査を行うべきである.
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超音波診断(US)
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超音波とがん画像診断
62巻6号(2007);View Description Hide Description超音波診断法はがんの診断において,スクリーニングから精査,治療,治療後の効果判定まで広い範囲で用いられている.非侵襲的で簡便なため安易に使用されているが,超音波の原理を十分に理解し適切に用いることにより,安全により多くの情報を正しく認識できる.最近の工学技術の進歩に伴って開発されてきたBモード画像の画質向上,血流画像としてのドプラ,造影,3次元・4次元表示,エラストグラフィーなどについて紹介する. -
ティッシュハーモニックイメージング(THI)の進歩と新しい超音波診断用造影剤ソナゾイドを用いた造影超音波
62巻6号(2007);View Description Hide Description超音波映像技術のハーモニックイメージングには,ティッシュハーモニックイメージング(THI)とコントラストハーモニックイメージング(CHI)がある.THI はDifferential THI の登場により,さらにBモード画質が向上した.CHI は,新しく発売された超音波診断用造影剤であるソナゾイドを用いた造影検査に有用である.
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コンピューター断層撮影(CT)
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マルチスライス CT—現状そして未来—
62巻6号(2007);View Description Hide Description多列検出器型CT(マルチスライスCT:MDCT)の導入によって,実用的な撮像時間内にx,y,z各軸方向の空間分解能が等しいデータセット(等方向ボクセルデータ)が得られるようになり,広い範囲における多断層再構成画像(MPR)や3次元画像(3D 画像)などの高分解能画像作成および多時相造影撮像がルーチン検査として行われるようになった.本稿では,MDCT における技術的進歩を振り返り,MDCT の臨床的有用性,将来展望と問題点について概説する. -
MDCT の頭部領域への応用
62巻6号(2007);View Description Hide Description頭部領域において,複数の検出器列を有するマルチスライスCT(MDCT)によって高分解能の等方性ボリュームデータを短時間に取得できることは,大きな臨床的意義を有している.これにより,多断面再構成(MPR)やボリュームレンダリング法などによる3次元画像診断がより高度なものとなった.3次元表示によって立体的構造の把握が容易となり,手術のためのシミュレーションとして応用可能である.また,MDCT により取得されたデータは,手術支援や放射線治療計画などにも臨床応用されている. -
MDCT の胸腹部領域への応用
62巻6号(2007);View Description Hide DescriptionマルチスライスCT(MDCT)の登場は,胸腹部領域におけるCT の適応をさらに拡大し,近年では検出器の多列化に伴い,その検査手技および診断方法は大きく変化してきている.0.5mm 厚といった薄いスライス厚での撮影が一般化するに至り,MDCT の性能を遺憾なく発揮するためには,診断用画像サーバーおよびワークステーション群を統合した診断システムの導入が必要である. -
MDCT と3次元画像
62巻6号(2007);View Description Hide Descriptionがん,心臓病および脳血管障害の3大死因疾患の死亡率を低減するためには,コンピューターによる支援は不可欠である.インターネットなどの情報通信産業の技術の熟度が高まるとともに,医学分野における生命活動の解明が進展し知見が蓄積してきた結果,医学とコンピューター科学が統合して,生命活動のマルチスケール3次元モデルの構築,および生体メカニズムに迫るレベルのシミュレーションをもとにした病態の進行予測や手術支援が可能な時代が到来した.また臨床現場においても,マルチスライスCT(MDCT)が飛躍的に普及した結果,今日では3次元画像処理は臨床診断や治療において欠くことのできない重要な役割を担っている.本稿では,MDCTにおける3次元画像の活用やその再構成方法,また利点やピットフォールについて解説する.
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磁気共鳴画像(MRI)
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MR 機器,撮像法の最近の進歩
62巻6号(2007);View Description Hide Description従来の装置に比較してガントリーはコンパクトになり,傾斜磁場コイルやRF 送信システムの最適化により,3.0T でも1.5T の装置と同等に使用できるようになった.マルチサーフェスコイルを用いた高速撮像やラジアルスキャンなど,従来とは異なる原理に基づく撮像方法が登場し,臨床応用が検討されている.新しいタイプの磁気シールドによると,MR 検査室の壁全体をシースルーの観察窓として利用でき,被検者の気持ちを和らげることができる. -
MRI の頭部領域への応用
62巻6号(2007);View Description Hide Description頭部領域の画像診断において,MRI は最も重要なモダリティーとなっている.CTと比べてコントラスト分解能に優れ,病変の診断能力が向上する利点とともに,単なる存在診断だけではなく機能評価としても利用されているためである.MRI の発展は目覚ましく,さまざまな機能評価の方法が現れてくる中,診断に利用されている最近の撮像法および次世代を担うであろう超高磁場MRI について,簡単に説明をしたいと思う. -
骨・関節疾患への MRI の応用
62巻6号(2007);View Description Hide Description骨・関節領域におけるMR の発展を,拡散強調画像,全身MRI スキャン,関節軟骨イメージング,3.0T 高磁場装置による骨・関節の評価,microscopy coil による関節の評価,造影剤と関節造影の現況,そして人工関節の評価への応用の各領域について述べた.骨・関節領域におけるMR 画像の役割の重要さには変化がない.このような新たな成果が骨・関節診断に新しい発展をもたらすことが期待されている. -
MRI による最新画像診断—腹部・骨盤領域—
62巻6号(2007);View Description Hide Description近年MRI 撮像法には急速な進歩が見られる.中でもエコープラナーイメージング(EPI)をはじめとする高速撮像法の開発と,複数のコイルを使用してその位置情報を活用してデータ収集効率を向上させるパラレルイメージングの発展により,最新のCTに迫るものがある.これら技術の内容とともに,腹部・骨盤領域におけるMRI 診断の有用性について概説する. -
腫瘍イメージングとしての拡散強調 MRI
62巻6号(2007);View Description Hide Description近年の著しい技術革新の結果可能になった躯幹部における拡散強調画像(DWI)は,悪性腫瘍を高い感度で高信号領域として描出することが可能である.特に肝,乳腺,前立腺における有用性は特筆すべきものがある.ただしDWI 上の高信号は非特異的であり,またアーチファクトが発生しやすい画像なので,適切に評価を行うためにはこの画像の成り立ちを正確に理解する必要があろう.
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陽電子断層撮影(PET)
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PET 機器の進歩と臨床応用
62巻6号(2007);View Description Hide DescriptionPET/CT はPET とCT が一体となった最新の画像診断装置である.本来PET とCT は別々の検査法であるが,空間分解能に優れるCT とコントラスト分解能に優れるPET の融合画像は,両者の長所を足した以上の有用性がある.PET/CT では単に診断としての有用性だけではなく,放射線治療や3次元画像への応用も期待されている.今後のPET はPET/CT が主流であるが,読影の際にはPET の知識だけではなくCT 診断の知識(解剖学的知識)も必要であり,両者に精通した読影医の養成が急務である.
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【エッセー】
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- 白血病医の御礼奉公(18)
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【対 談】
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【トピックス】
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【総 説】
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覚醒および摂食調節におけるニューロペプチドSおよびその受容体
62巻6号(2007);View Description Hide DescriptionニューロペプチドS(NPS)は,オーファンGタンパク質共役型受容体(GPCR)の内因性リガンドとして同定された新規神経ペプチドである.NPS 前駆体の最も多い発現は,ラット脳幹の青斑核とBarrington 核の間に局在するこれまで未知とされてきたニューロン群に見られる.NPS 受容体のmRNA は大脳皮質,視床下部,扁桃核,正中視床核群を含む領域に広く分布している.NPS は覚醒を促し,すべての睡眠ステージを抑制し,恐怖反応や摂食の調節にも関与していることが示唆されている.本稿ではこれらの生理作用について概説する.
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【今月の略語】
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