Volume 62,
Issue 11,
2007
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特集【ABC タンパク質の基礎と臨床】
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最新医学 62巻11号, 2431-2432 (2007);
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アプローチ
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最新医学 62巻11号, 2433-2438 (2007);
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ABC タンパク質はよく保存されたATP 結合領域を1機能分子当たり2つ有する膜タンパク質のファミリーであり,バクテリアからヒトまで広く存在する.これらは類似した2次構造を持ち,細胞内ATP によって駆動あるいは制御され,トランスポーター,チャネル,レギュレーターとさまざまな機能を有する特徴がある.ヒトでは約50種類の遺伝子が知られているが,最近ではそれらの異常によってさまざまな疾患を起こしうることも明らかになってきた.
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ABC タンパク質と個体維持機構
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最新医学 62巻11号, 2439-2446 (2007);
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LolCDE 複合体は,大腸菌の外膜特異的リポタンパク質を内膜から遊離するABCトランスポーターである.LolCDE は,基質結合型として精製できること,プロテオリポソームに再構成しなくてもシングルサイクルのリポタンパク質遊離反応を再現できることが大きな特徴である.この特徴を生かし,ATP の結合,加水分解,リン酸とADP の解離がLolCDE にどのような変化をもたらすかが詳細に解析されている.
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最新医学 62巻11号, 2447-2453 (2007);
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高等植物のゲノム配列がシロイヌナズナやイネで次々に解読され,植物にはヒトの2倍以上のABC タンパク質遺伝子があることが明らかになった.本ファミリーには植物特有のグループが存在することや,フルサイズABCA が単子葉植物にはないこと,さらに植物特有のオルガネラである液胞ならびに葉緑体に局在する分子の機能などが解明されてきたが,動物と共通の生理的役割も見られる.本稿では個体維持機構の観点から,植物ABC タンパク質の最新情報を動物との比較において概説する.
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最新医学 62巻11号, 2454-2460 (2007);
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脳毛細血管内皮細胞血液側膜にMDR1,MRP4,BCRP が,脈絡叢上皮細胞血液側膜にMRP1,MRP4 が発現し,脳内への薬物移行を防いでいる.ABCA1,ABCG1は脊髄液中のコレステロール保持を担っている.胎児,乳児期にMDR1 はほとんど発現していないこと,MRP4 はプロスタグランジンを輸送することなど,安全で有効な薬物療法にはABC トランスポーターの働きを十分に理解することが必要である.
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最新医学 62巻11号, 2461-2466 (2007);
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脂質恒常性および薬剤輸送に関与するABC タンパク質の機能を比較した結果,ABC タンパク質の基質認識はこれまでの酵素・基質相互作用の基本である特異的なone-to-one 対応ではなく,非常に柔軟なone-to-many 対応であること,ABC タンパク質の柔軟な基質認識に細胞膜中のコレステロールが重要な役割を果たしていることが分かった.「コレステロールFill-in モデル」と呼びたいと考えている.
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ABC タンパク質の異常と疾患
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最新医学 62巻11号, 2467-2474 (2007);
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ABCA1 を介したアポリポタンパク質と細胞脂質からのHDL 新生反応は,非特異的物理化学的交換反応と並んで細胞コレステロールの主要な放出機構の1つであり,血漿HDL のほとんどはこの反応で生成される.したがって,ABCA1 の遺伝子変異は血漿HDL の消失を招き,ABCA1 活性の阻害薬であるプロブコールによるHDL 低下も同様の機序による.本稿では,ABCA1 によるHDL 新生反応の機構とABCA1の活性制御についての知見をまとめ,HDL 代謝にかかわる新しいアプローチを概説する.
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最新医学 62巻11号, 2475-2481 (2007);
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ABCA3 は,肺胞II型細胞においてサーファクタント貯蔵器官であるラメラ体の限界膜に局在するタンパク質である.2004 年に,致死的サーファクタント欠損症患者にABCA3 遺伝子変異が存在することが初めて報告された.その後,変異型ABCA3タンパク質やAbca3遺伝子欠損マウスの解析などにより,ABCA3 の生理的機能と病態における役割が徐々に明らかになってきた.
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最新医学 62巻11号, 2482-2488 (2007);
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道化師様魚鱗癬は,出生時より全身の皮膚が非常に厚い板状の角層に覆われる最も重症の遺伝性皮膚疾患である.我々は,道化師様魚鱗癬の病因がABCA12 の機能欠損であることを明らかにした.ABCA12 の役割は,表皮細胞の層板顆粒への脂質輸送であり,層板顆粒内脂質は角層細胞間脂質層を形成し,皮膚バリアの要となる.ABCA12 の欠損は角層細胞間脂質層の低形成,バリア機能障害を来し,魚鱗癬の病因となる.
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最新医学 62巻11号, 2489-2493 (2007);
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胆汁酸,リン脂質,コレステロールの胆汁中への分泌には,BSEP/ABCB11,MDR3/ ABCB4,ABCG5/ABCG8 などのABC タンパク質をはじめとするさまざまなトランスポーターが関与しており,その機能異常は胆汁うっ滞などの遺伝性疾患をもたらす.本稿では,FIC1/ATP8B1 異常による病態発症,NPC1L1 によるコレステロール再吸収と合わせ,胆汁脂質分泌研究の最新の動向を紹介する.
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最新医学 62巻11号, 2494-2501 (2007);
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ペルオキシソームは,極長鎖脂肪酸のβ酸化,コレステロールの胆汁酸への変換など脂質代謝と密接にかかわっている.哺乳動物のペルオキシソーム膜上には3種のABC タンパク質が存在し,脂肪酸輸送に重要な役割を担っている.因みにALDP(ABCD1)の欠損は,極長鎖脂肪酸の蓄積を特徴とする副腎白質ジストロフィー(ALD)の原因となる.ペルオキシソームABC タンパク質の構造と機能,ALD とのかかわりについて解説する.
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最新医学 62巻11号, 2502-2508 (2007);
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インスリン分泌調節機序において,K ATP チャネルは重要な役割を担っている.膵β細胞型K ATP チャネルは,ABC タンパク質に属するSUR1 とK+ チャネルに属するKir6.2 の2種類のサブユニットにより構成されており,これら構成サブユニットタンパク質をコードする遺伝子異常により,低血糖症および糖尿病が惹起されることが明らかとなった.遺伝子変異部位による疾患重篤度および薬剤反応性変化の多様性も報告され,今後の知見の集積が期待されている.
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最新医学 62巻11号, 2509-2515 (2007);
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遺伝学的にヒト耳垢型座をマップ後,ゲノム・関連解析でABCC11遺伝子のcSNP(c. 538G>A)が耳垢型決定因子であると結論した.乾型は,例外のΔ27 を除いて,変異Aアリルのホモ接合体である.乾型Aアリル由来のMRP8 膜タンパク質の移送能は,野生型Gアリルに比べて低下していた.33 民族におけるAアリル頻度地図は,中国北部と韓国をピークとして南方・西方へ減少する地理的勾配を示し,乾型人類集団の拡散を反映すると思われる.湿型は腋臭症および産婦の初乳量との強い関連を認めた.
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ABC タンパク質と薬物動態
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最新医学 62巻11号, 2516-2527 (2007);
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薬物トランスポーターを介した担体介在輸送は,薬物代謝酵素とともに医薬品の体内動態を決定する因子として重要であることが広く認識されている.近年,有機アニオン排出ポンプであるMRP ファミリーに分類されるMRP3 とMRP4 の機能解析が進み,肝疾患時の生体防御機構としての役割のほかに,正常時の薬物体内動態における重要性も明らかとなってきた.
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最新医学 62巻11号, 2528-2533 (2007);
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P-gp(ABCB1),BCRP(ABCG2)は抗癌剤排出トランスポーターであり,正常の消化管上皮や血管内皮細胞などに発現して,種々の抗癌剤の体外への排出の促進および脳や精巣への侵入の阻止を担う.このため,P-gp,BCRP の阻害剤の投与,あるいはP-gp,BCRP の発現と機能を低下させるSNP は,その基質となる抗癌剤の腸管吸収の上昇,血中濃度の上昇,脳移行の亢進などの効果を示す.
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【エッセー】
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白血病医の御礼奉公(23)
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最新医学 62巻11号, 2534-2537 (2007);
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【対 談】
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最新医学 62巻11号, 2538-2544 (2007);
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【トピックス】
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最新医学 62巻11号, 2545-2550 (2007);
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最新医学 62巻11号, 2551-2556 (2007);
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【今月の略語】
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最新医学 62巻11号, 2557-2561 (2007);
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