最新医学

Volume 65, Issue 5, 2010
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特集【膠原病−病態への新たなアプローチと治療展開−】
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アプローチ
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膠原病発症にかかわる免疫細胞と免疫分子— 標的と制御へのアプローチ—
65巻5号(2010);View Description
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膠原病の発症機序はいまだ明らかにはされていないが,自己抗原に対する自己反応性T細胞や自己抗体が存在することから,自己免疫応答が重要な役割を担っていると考えられる.本稿では,膠原病発症にかかわる免疫細胞,免疫分子をターゲットとした分子標的治療の現状と将来展望を概説した.
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膠原病の分子標的と制御へのアプローチ
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関節リウマチの分子標的と制御
65巻5号(2010);View Description
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関節リウマチ(RA)に対する薬物治療は,TNFα,IL-6 などの炎症性サイトカインの作用を抑止する分子標的治療薬の登場によって飛躍的に進歩した.昨今のRA治療においては,早期診断,治療はもちろん,活動性の強い患者および骨破壊の早期抑止目的に対しても,より積極的に強力な治療を考える方向にある.この総論では,RA での分子標的,製剤とおのおのの制御の現状について総論を述べる. -
全身性エリテマトーデスの分子標的と制御
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全身性エリテマトーデス(SLE)に対し,ステロイドに加え,種々の免疫抑制薬による治療が積極的に行われるようになり,その予後は著しく改善した.しかし,副作用やそれらの治療に抵抗する難治性病態の存在などの問題を認め,より特異性の高い効果的な治療法の開発が求められている.そのような中,SLE の病態形成に重要な役割を有する分子が次々に同定され,それを標的とした新たな治療法の開発が進められている. -
シェーグレン症候群の分子標的と制御
65巻5号(2010);View Description
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シェーグレン症候群は,その発症機序として自己免疫応答が関与した自己免疫性唾液腺炎と考えられている.T細胞およびB細胞が認識する自己抗原として,ムスカリン作動性アセチルコリン受容体3(M3R)が1つの候補として報告されてきた.本稿においては,M3R に対する自己免疫応答およびM3R 分子を標的とした抗原特異的制御戦略へのアプローチについて概説した. -
全身性強皮症における分子標的療法
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全身性強皮症は線維化と血管障害を主徴とする全身性疾患であり,自己免疫の関与が考えられている.本症に対してはステロイドや免疫抑制薬を用いた治療やおのおのの症状への対症療法が行われているが,発症機序に特異的な分子経路を標的として高い効果を上げる治療法の開発が待望されている.本症に対する分子標的療法の現況として,TGFβ 阻害薬,チロシンキナーゼ阻害薬,主として自己免疫機序を標的にしたB細胞標的療法について概説した. -
多発性筋炎・皮膚筋炎の分子標的と制御
65巻5号(2010);View Description
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組織学的検討から,多発性筋炎(PM)と皮膚筋炎(DM)はそれぞれCD8,CD4T細胞が主役を演じ,ことにDM は液性免疫による血管障害が原因とされてきた.しかし,現代免疫学や臨床所見の多くはこの歴史的見解を必ずしも支持しない.かかる基本研究の遅れを克服するために,筆者らはCタンパク質誘導性筋炎を新たなPMモデルマウスとして開発した.このモデルを用いて,IL-6 が治療のために新たな制御分子候補であることを見いだした. -
混合性結合組織病における肺高血圧症治療とその標的分子
65巻5号(2010);View Description
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混合性結合組織病(MCTD)の生命予後を規定する最も大切な病態は,肺動脈性肺高血圧症(PAH)である.近年プロスタサイクリン徐放剤,エンドセリン受容体拮抗薬,ホスホジエステラーゼ−5 阻害薬が使用できるようになり,MCTD-PAH に対して積極的な治療が行えるようになった.さらに最近,PAH 患者におけるPDGF受容体阻害薬やRho キナーゼ阻害薬の有効性が報告され,PAH の標的分子治療として注目されている. -
血管炎症候群の分子標的と制御
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血管炎症候群の病態や治療の研究は抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎において最も進んでおり,ANCA の産生からANCA による好中球の活性化に至る過程の関連分子が明らかにされ,また病態関連遺伝子やペプチドも網羅的に解析されている.しかし,現時点ではそのような候補分子を標的とした血管炎特異的な治療法はない.ステロイドと免疫抑制薬の併用療法からなる標準的治療法に抵抗性の症例に対して,生物学的製剤などの新規代替療法が試みられている. -
ベーチェット病の分子標的と制御
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ベーチェット病の基本病態は,T細胞の過剰反応性に基づくサイトカインの産生による好中球の機能(活性酸素産生能・遊走能)の亢進である.近年,新しい治療として難治性眼病変に対する抗TNFα 抗体(インフリキシマブ)の有用性が証明された.また,特に難治性眼病変ではIL-17 の病態への関与も示唆される.難治性の慢性進行型神経ベーチェット病では髄液のIL-6 が持続的に上昇するが,これはインフリキシマブで制御できる.
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新たな分子標的治療と新展開
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TNF 阻害製剤
65巻5号(2010);View Description
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TNF 阻害生物学的製剤は,関節リウマチの治療にパラダイムシフトをもたらした.従来の製剤とは異なり,多くの患者において関節破壊をほぼ完全に阻止することで,専門外来からの高度機能障害患者の新生は皆無になっているようである.既存製剤の至適投与法(適応,開始時期,投与量の決定など)の検討と適応拡大,そしてさらに有用性の高い製剤の開発が今後の課題である. -
IL-6 ブロッカー
65巻5号(2010);View Description
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IL-6 は多彩な作用を持つサイトカインであり,関節リウマチ(RA)をはじめ,さまざまなリウマチ性疾患の病態に関与している.トシリズマブはIL-6 の作用を特異的に阻害することから,IL-6 の過剰産生が病態形成にかかわる疾患の治療薬として開発された.RA に加えてキャッスルマン病と若年性特発性関節炎に承認されているが,それ以外にもIL-6 のかかわる疾患は多い.本稿では,RA 以外の疾患に対するIL-6 阻害治療の可能性について解説したい. -
JAK-3 阻害薬
65巻5号(2010);View Description
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膠原病治療では生物学的製剤などの有用性が注目されているが,問題点も少なくない.JAK はサイトカイン受容体に結合したキナーゼで,細胞内シグナル伝達には必須の酵素である.中でもJAK-3 を特異的に阻害する経口剤が新規免疫抑制薬として開発され,関節リウマチにおける著明な抗リウマチ効果が示されつつある.今後の臨床試験によるさらなる有用性の証明が期待される. -
T細胞標的療法
65巻5号(2010);View Description
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アバタセプトは,B7 分子と結合することによって共刺激を抑制するCTLA4と,ヒト免疫グロブリンのFc 部分との融合タンパク質(CTLA4-Ig)である.アバタセプトによるT細胞を標的としたRA 治療法は,さまざまな臨床試験においてRA 患者への治療効果や安全性が示された.RA におけるアバタセプトの有効性は,RA の病態におけるT細胞の重要性を示唆しており,今後さらにT細胞を標的としたRA治療法の開発が望まれる. -
B細胞標的療法
65巻5号(2010);View Description
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関節リウマチ(RA)や全身性エリテマトーデス(SLE)などの膠原病の治療は,ステロイドや免疫抑制薬のような副作用の多い非特異的な治療に終始してきた.しかし,病態形成過程において中心的な役割を担う分子を標的とした生物学的製剤の台頭に伴い,治療が一変した.B細胞標的療法は幾つかの膠原病疾患に対して高い臨床効果を示したが,海外でのSLE に対するリツキシマブの治験の失敗,重篤な日和見感染症の併発などの問題点も浮き彫りになった.SLE に対する抗CD20 抗体療法を中心に,膠原病治療の新展開を概説する.
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【エッセー】
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- 学会の旅・留学の旅−私の呼吸器病学−(17)
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【対 談】
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【トピックス】
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【症 例】
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【今月の略語】
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