Volume 67,
Issue 11,
2012
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【特集】感染症医薬品開発の現況
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最新医学 67巻11号, 2545-2546 (2012);
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座談会
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最新医学 67巻11号, 2547-2557 (2012);
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診断用試薬・機器分野でのイノベーション
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最新医学 67巻11号, 2558-2565 (2012);
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感染症の迅速診断に応用できる新しい技術が開発されてきた.質量分析装置は迅速性と経済性を兼ね備えた微生物同定機器で,ルーチンワークとしての利用も期待されている.また遺伝子検査も汎用性に優れた方法で,微生物の検出以外にも工夫次第で薬剤耐性遺伝子や病原遺伝子の検出が可能である.診断方法の選択肢が広がる一方で,我々はその特徴をよく理解し,結果を正確に解釈して利用しなければならない.
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最新医学 67巻11号, 2566-2571 (2012);
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従来の形態学的な菌種同定から,真菌種や属に特異的な微生物由来の物質や遺伝子を検出する方向にある.遺伝子検査法は病原体の同定に関しては中心的役割を果たすようになっており,検体から直接的に検出する方法も期待される.また,質量分析法を取り入れた同定機器も現在開発中である.現行の血清診断法は簡便かつ迅速で有用性が高いため,さらに多くの真菌症を対象とすべく,さまざまな真菌を対象とした検討がなされている.
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最新医学 67巻11号, 2572-2576 (2012);
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ヒトプリオン病,特にクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)は,急速進行性の致死性の神経変性疾患である.伝達性であることから発症早期の診断が求められており,その確立が望まれてきた.最近我々は,CJD 患者由来の髄液中の異常型プリオンタンパク質を増幅し検出する新規アッセイ法(Real–time QUIC 法)を開発し,脳生検を行わずにCJD 確定診断する可能性を示した.現在,CJD 診断への有用性を検証している.
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感染症医薬品開発の現況と今後の展望
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最新医学 67巻11号, 2577-2582 (2012);
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我が国における抗菌薬の開発は停滞してきており,同分野の新薬開発から撤退もしくは縮小する製薬企業が相次いでいる.しかも近年では,PK–PD 理論の活用により高用量化するなど既存の抗菌薬の改善・改良に開発がシフトしており,新薬の開発は危機的状況とも言える.現時点で発売が予定されている新規抗菌薬は,多剤耐性グラム陰性桿菌による各種感染症に対する静注用のチゲサイクリンとコリスチンである.いずれも海外ですでに使用されている薬剤を早期に導入するもので,我が国で開発された薬剤ではない.本邦ではこれ以降の新規抗菌薬の発売はしばらく予定されていないが,海外では新規抗MRSA 薬やClostridium difficile 感染症に対する薬剤の開発が始まりつつある.
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最新医学 67巻11号, 2583-2589 (2012);
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抗感染症薬に関しても,未承認薬の問題,すなわち「ドラッグラグ」の問題が存在し,感染症治療のグローバル化の障壁となってきた.未承認薬とは,すでに海外では有効性が証明され,承認・市販されているにもかかわらず,国情の違いから日本では未承認となっている薬剤のことである.最近では,産官学共同でこの未承認薬の問題解決に向けた努力が続けられており,今後の見通しは明るい.
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最新医学 67巻11号, 2590-2599 (2012);
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治療法のない死に至る病であったHIV 感染症が,抗HIV 薬の進歩に伴い治療可能な慢性疾患へと変化した.2012 版の米国ガイドラインでは,CD4 値によらず全HIV 患者へ抗HIV 療法の導入を推奨するに至った.また7月には米国食品医薬品局(FDA)が,ツルバダを性行為でのHIV 感染のリスクを下げるための薬として認可した.2012 年は,慢性疾患となったHIV 感染症への戦略が「予防としての治療」へと転換された節目の年である.
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最新医学 67巻11号, 2600-2607 (2012);
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多剤耐性結核(MDR–TB)の治療は,効果の乏しい既存の第二次抗結核薬4~6剤を組み合わせた18~20 ヵ月間の長期治療が基本である.現在世界では,臨床試験第Ⅲ相:5,第Ⅱ相:8,第Ⅰ相:1,計14 の臨床開発プロジェクトを含む45 の新規抗結核薬開発プロジェクトが進行中である.このうち6剤がMDR–TB に有効な新薬として1~5年以内に臨床導入が見込まれており,結核とMDR–TB の化学療法は歴史的な変換点を迎えようとしている.
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最新医学 67巻11号, 2608-2613 (2012);
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肺非結核性抗酸菌(NTM)症の診断は,画像所見と喀痰検査で行う.しかし軽症例では菌が検出できないこともあり,その場合キャピリアMAC TM などの血清診断が有益なことがある.NTM 症に対する新規薬剤の開発は乏しいのが現状である.しかし我が国では2008 年以降,正式に健康保険適応となる既存の薬剤が増加しており,学会として「化学療法の見解」を発表できるようになった.
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最新医学 67巻11号, 2614-2620 (2012);
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私たちは薬剤耐性マラリアに有効な抗マラリア薬の探索を試み,環状過酸化構造に焦点を当て,500 種の有機合成化合物を合成し,この中から優れた抗マラリア活性と低い細胞毒性を示す新規環状過酸化化合物(1,2,6,7–tetraoxaspiro[7. 11]nonadecane:N–89,および1,2,6,7–tetraoxaspiro[7. 11]nonadecane–4–hexanol:N–251)を見いだした.これら化合物はin vitro およびin vivo のマウスを用いた実験系で優れた抗マラリア活性と単剤でマラリアを完治させる能力を有しており,動物を用いた安全性試験においても極めて毒性が低いことから,次世代の新規抗マラリア薬として期待できる.
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最新医学 67巻11号, 2621-2629 (2012);
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従前,日本から新規性の高い抗菌薬が次々と創製されてきたが,今日では抗菌薬の開発から撤退した企業も多く,医薬品開発は慢性疾患や悪性腫瘍等志向にあると言われている.感染症領域においても,Unmet Medical Needs はいまだ存在し続けている.感染症領域における世界の試験実施状況を踏まえ,Unmet Medical Needs の解消に向けて,関係者一丸となって問題解決に臨むべきである.
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最新医学 67巻11号, 2630-2635 (2012);
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近年の薬剤耐性微生物の耐性化とこれに対抗する新規抗微生物薬不足のアンバランスは,非常に憂慮される状態にある.小児科領域は特に新規抗微生物薬が乏しい事態が今後も続くことが予想される.子どもの生命を守るために皆が協力して耐性菌対策を行い,新規抗微生物薬の開発を加速する必要がある.抗菌薬開発で世界をリードした日本は,Major player として貢献できることが多いと考える.
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最新医学 67巻11号, 2636-2642 (2012);
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予防抗菌薬においては,腸内グラム陰性桿菌に占めるESBL 産生菌の分離頻度が上昇傾向にある.また,嫌気性菌であるバクテロイデス属の耐性化がnon–fragilis group を中心に進行しており,予防抗菌薬として下部消化管手術で一般的に使用されているセフメタゾールへの耐性率はBacteroides thetaiotaomicron では85% に達している.このような腸内細菌属の耐性化が今後の予防抗菌薬の選択に影響を与えないか,薬剤感受性の推移と手術部位感染発症率のサーベイランスデータとの比較を注視すべきである.
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最新医学 67巻11号, 2643-2654 (2012);
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我が国は元来世界最先端のワクチン開発技術と実績を有していたにもかかわらず,ワクチン禍に伴う国民意識の低下とワクチン行政の不備から「ワクチンギャップ」に陥っていた.近年その遅れを取り返すように多くのワクチンが導入され,DaPT–IPV(不活化ポリオを含めた4種混合ワクチン)や13 価肺炎球菌コンジュゲートワクチンも導入間近である.その他,新たな手法でのインフルエンザワクチン,先天性サイトメガロウイルス感染症を防ぐためのワクチン,そしてHIV ワクチンなどの開発が期待されている.
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【連 載】
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最新医学 67巻11号, 2656-2659 (2012);
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うつ病の治療に際して最も重要なことは,正確な診断である.DSM–Ⅳ–TR などに準拠して診断されることが多いが,これらの診断基準は操作的なものであり,病因に関しては一切考慮されていない.治療者は,このような診断基準の限界を知り,自ら立ち位置を定めて治療法を選択する.どのような治療法を選択するにしろ,治療が効果的かつ安全に行われるためには,アドヒアランスの確保が何より望まれる.
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最新医学 67巻11号, 2660-2664 (2012);
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最新医学 67巻11号, 2665-2669 (2012);
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最新医学 67巻11号, 2670-2672 (2012);
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【トピックス】
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最新医学 67巻11号, 2673-2677 (2012);
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インスリンによる骨格筋の糖取り込みが起こるためには,インスリンが毛細血管に到達し,血管内皮細胞を介して間質に移行しなければならない.我々は最近,血管内皮細胞のインスリンシグナルによるeNOSの活性化が毛細血管を拡張させ,インスリンを骨格筋間質に移行して糖取り込みが起こること,肥満ではインスリンシグナルによるeNOS の活性化の低下によりこれらが障害されることを明らかにした.今後,この発見が新たな薬剤開発に繋がることを期待したい.
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最新医学 67巻11号, 2678-2686 (2012);
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再生医療ではES/iPS 細胞が期待されるが,分化誘導効率の低さ,腫瘍形成能などの問題を抱えている.線維芽細胞から心筋細胞への作製法はiPS 細胞を経由することが定説であるが,2010 年に我々が報告したダイレクト・リプログラミングによる心筋分化誘導以降,さまざまなリプログラミングの経路が存在することが判明した.本稿では心筋誘導に関する最新の知見をまとめ,また生体内の心筋誘導についても言及し,再生医療への応用展開を模索したい.
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【今月の略語】
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最新医学 67巻11号, 2687-2692 (2012);
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