Volume 69,
Issue 11,
2014
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特集【難治性貧血-診断と病態・治療の進歩-】
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最新医学 69巻11号, 2057-2057 (2014);
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座談会
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最新医学 69巻11号, 2058-2068 (2014);
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最新医学 69巻11号, 2069-2075 (2014);
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我が国においては食事からの鉄の摂取量が戦後一貫して減り続けており,特に若年女性で鉄欠乏性貧血の頻度が高い.これはQOL を低下させるだけでなく,胎児や小児の発達障害を引き起こす可能性もあり,栄養や健康に関する啓蒙が必要である.一般内科医が原因不明の鉄欠乏性貧血患者に遭遇した場合には,Helicobacter pylori 菌感染症,自己免疫性萎縮性胃炎,および遺伝的素因もその原因になりうることを認識しておく必要がある.
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最新医学 69巻11号, 2076-2083 (2014);
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難治性貧血疾患では,頻回の赤血球輸血のために鉄過剰症を来すことが多い.過剰鉄は活性酸素種の産生を介して臓器障害を引き起こすとされており,低リスクMDSでは予後に悪影響を与えることが示唆されている.輸血後鉄過剰症では鉄キレート剤による治療が行われるが,十分な除鉄は単なる臓器障害の改善にとどまらず,低リスクMDS 患者において生存期間を延長することが分かってきた.そして興味深いことに,鉄キレート剤の投与後に血球数の改善が認められる症例があることも分かり,注目を集めている.
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最新医学 69巻11号, 2084-2095 (2014);
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自己免疫性溶血性貧血(AIHA)の診断は,貧血と黄疸があり,直接クームス試験が陽性であると比較的容易であるが,クームス陰性AIHA や低力価寒冷凝集素症などの特殊病型では診断に苦慮することが多い.特発性温式AIHA 治療において,ステロイド不応例への治療としてリツキシマブが注目されている.特発性慢性寒冷凝集素症の多くにB細胞性非ホジキンリンパ腫が認められ,リツキシマブとフルダラビン併用の有用性が報告されているが,副作用も多く,適応には患者ごとのリスクに配慮した慎重な判断が必要である.
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最新医学 69巻11号, 2096-2102 (2014);
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発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の平成25年度改訂診断基準において,PNHタイプ赤血球(Ⅲ型)が1% 以上で,血清LDH 値が正常上限の1.5倍以上であれば,臨床的PNH と診断して良いと具体的目安が明示された.一方治療面では,ヒト化抗C5 モノクローナル抗体エクリズマブ(ソリリス)が全く溶血抑制効果を示さない不応例が本邦において報告され,新規治療薬開発の必要性が認識され,開発に向けた動きも加速しつつあるようである.
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最新医学 69巻11号, 2103-2110 (2014);
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再生不良性貧血や骨髄異形成症候群などの骨髄不全症は,各疾患が病態ではなく形態や検査所見によって定義される症候群であるため,病態に応じた適切な治療が行われていないことが非常に多い.免疫病態の存在を示唆する臨床所見やマーカーが陽性の場合には,診断名にこだわることなく自己免疫性造血不全(狭義の再生不良性貧血)として速やかに免疫抑制療法を開始することが重要である.従来の治療が奏効しない難治例に対しては,トロンボポエチン受容体アゴニストであるエルトロンボパグの治療効果が期待されている.
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最新医学 69巻11号, 2111-2118 (2014);
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赤芽球癆は,網赤血球の減少と骨髄赤芽球の著減を特徴とする貧血である.赤芽球癆の原因は多様で,大きく先天性と後天性に,後天性は急性と慢性に分類され,急性型の多くは感染症および薬剤による.本邦で多い慢性赤芽球癆の病因は特発性,胸腺腫およびリンパ増殖性疾患である.病因により治療方針が異なるため,被疑薬があれば中止した後に病因診断を行う.自然軽快しない場合や基礎疾患の治療により貧血が改善しない場合には,免疫抑制療法を考慮する.
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最新医学 69巻11号, 2119-2124 (2014);
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巨赤芽球性貧血は,ビタミンB12 欠乏や葉酸欠乏によるDNA 合成障害が原因で生じる.ビタミンB12 欠乏を来す代表的な疾患が悪性貧血であり,自己免疫性の萎縮性胃炎による内因子分泌低下からビタミンB12 吸収障害を起こす.抗内因子抗体の存在下では,血清ビタミンB12 値の低下がなくとも悪性貧血は否定できない.標準治療はビタミンB12 の非経口投与であるが,神経障害の合併がなく重篤でない場合は高用量のビタミンB12 内服でも有効なケースがある.
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最新医学 69巻11号, 2125-2133 (2014);
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骨髄異形成症候群(MDS)は,不応性貧血と前白血病状態という元来異なる概念が統合された後天性骨髄障害としてFAB 分類で提唱され,WHO 分類に引き継がれている.血球減少と血球異形成所見,骨髄染色体核型の評価が診断上重要であるが,近年では病因・病態の分子基盤の解明が急速に進展し,分子診断の開発研究や新規治療薬の開拓など,本疾患を取り巻く状況に新たな展開が期待される.
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最新医学 69巻11号, 2134-2141 (2014);
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骨髄異形成症候群(MDS)には決め手となる薬物療法がない時代が長く続いていた.しかし,アザシチジンとレナリドミドの登場により,薬物療法による治療戦略は大きく変貌した.米国NCCN のMDS 診療ガイドライン(Version 1,2015)では,予後予測システムによりMDS を低リスク群と高リスク群に層別化した治療戦略が示されている.我が国でもこの治療戦略は浸透してきた.
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最新医学 69巻11号, 2142-2148 (2014);
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原発性骨髄線維症,あるいは真性多血症,本態性血小板血症を基礎疾患とする二次性骨髄線維症は,サイトカインのシグナル伝達経路をつかさどるJAK2 変異により,あるいはJAK2 変異とエピゲノム制御分子であるTET2 変異などとの協調作用により発症する.JAK 阻害薬であるルキソリチニブは,骨髄線維症に伴う脾腫,全身症状の改善効果に優れている.
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最新医学 69巻11号, 2149-2152 (2014);
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同種造血幹細胞移植は,再生不良性貧血,骨髄異形成症候群,骨髄線維症といった難治性貧血に対する唯一の根治療法である.移植後の治癒の拡大とその質の向上を達成するためには,拒絶や移植片対宿主病に伴う移植後早期の死亡と移植後後期の合併症の制御が克服すべき課題であるが,至適な移植施行時期の検討に加えて骨髄非破壊的移植前処置の普及により,移植成績および移植後QOL がさらに向上することが期待される.
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最新医学 69巻11号, 2153-2158 (2014);
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造血器に対する新WHO 分類では,小児不応性血球減少症(RCC)が小児骨髄異形成症候群(MDS)の一型として取り上げられたが,再生不良性貧血との鑑別が困難である.我が国の骨髄不全症に対する中央診断の結果では,従来,再生不良性貧血と診断されてきた症例の70% はRCC と診断されており,両疾患の異同について免疫学的あるいは分子生物学的手法を用いての検討が必要であると思われる.
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最新医学 69巻11号, 2159-2165 (2014);
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小児の先天性骨髄不全は,頻度はまれながら多くの疾患がある.先天性骨髄不全症候群は臨床症状や通常の臨床検査では診断が困難であり,遺伝子の検索が重要であるが,近年多くの疾患で責任遺伝子が同定されてきた.小児の先天性骨髄不全症候群は再生不良性貧血あるいは骨髄異形成症候群とのオーバーラップも多く,中央診断を通じた丁寧な診断と多施設共同治療研究が必須である.
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【連 載】
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最新医学 69巻11号, 2166-2170 (2014);
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薬物療法はうつ病治療に不可欠であり,再発予防上も服薬継続が必須である.しかし,添付文書上,服薬中の運転中止が明記され,薬剤や疾患の影響下にある交通事故の厳罰化も法制化されるなど,患者の社会生活に大きな支障が生じ得る状況にある.疾患や治療薬と運転に関する実証的データは乏しく,十分な証左がないまま議論されている.本稿は,うつ病や抗うつ薬と自動車運転に関する知見を概説し,議論を進めるうえでの方向性を示す.
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最新医学 69巻11号, 2171-2174 (2014);
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【トピックス】
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最新医学 69巻11号, 2175-2180 (2014);
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人工多能性幹細胞(iPS 細胞)を利用した難病治療戦略は,大きく(1)直接的アプローチ,(2)間接的アプローチに分けられる.前者は狭義には再生治療を指しており注目度が高いが,後者もまた治療法の改良,開発へとつながるiPS 細胞の特徴を生かした有用な活用法である.それぞれに課題は多く残されており,iPS 細胞への理解が深まり研究の裾野が広がることが期待される.
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最新医学 69巻11号, 2181-2186 (2014);
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動脈硬化をはじめとして,さまざまな疾患の共通病態に「慢性炎症」がかかわっている.魚油に含まれるw–3 系脂肪酸は抗動脈硬化作用や抗炎症作用を有しており,その作用に脂質メディエーターであるレゾルビンやプロテクチンが関与することや,炎症細胞膜表面上のGタンパク質共役型受容体を介していることが明らかとなってきた.本稿では,w–3 系脂肪酸の抗炎症作用に関する最近の知見を中心に概説する.
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【今月の略語】
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最新医学 69巻11号, 2187-2192 (2014);
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