Volume 69,
Issue 12,
2014
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特集【がん分子診断のパラダイムシフト】
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最新医学 69巻12号, 2487-2488 (2014);
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座談会
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最新医学 69巻12号, 2489-2497 (2014);
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最新医学 69巻12号, 2498-2502 (2014);
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がん細胞のゲノム解析を網羅的に行うことにより,直接的な発がんの原因遺伝子が同定されるだけでなく,浸潤・転移などがんのさまざまな異常形質の分子基盤も明らかにされると期待される.これらのゲノム・エピゲノム情報は,有効な分子標的治療薬の開発あるいは精度の良い分子診断法の実用化につながると予想され,実際,発がん原因キナーゼを特異的に阻害する薬剤が全く新しいがんの治療法になることが証明された.
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最新医学 69巻12号, 2503-2511 (2014);
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次世代シークエンシングによるがんゲノム解析に関する最初の論文報告が行われた2008年以来,大規模ながんゲノム解析が世界中で進行し,解析データはすでに1万症例を超える.新たなドライバー遺伝子の同定に加えて,がん細胞集団の不均一性が治療上の課題として改めて認識されつつある.血中遊離DNA の解析は,再発あるいは抵抗性獲得のモニタリングに有用である.
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最新医学 69巻12号, 2512-2519 (2014);
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標準的な外科切除を行っても,非小細胞肺がんのすべての症例を根治することはできず,一部の症例は再発する.そのような予後不良症例を特定し,術後補助化学療法を行うことで,治療成績が改善することが期待される.マイクロアレイによってゲノム網羅的な遺伝子発現解析が可能になり,患者の層別化に応用が期待されている.しかし,多遺伝子マーカーを実臨床に応用するには,再現性やコストの面で克服せねばならない点も多い.
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最新医学 69巻12号, 2520-2527 (2014);
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近年,大量並列シークエンス技術の開発によって,がんゲノムに生じた異常を高速かつ安価に解析できるようになった結果,ますます加速するシークエンス技術に立脚したがんの遺伝学的基盤の研究は,今や国際的な潮流となっている.造血器腫瘍についても,白血病やリンパ腫など,主要な疾患の発症にかかわる重要なドライバー変異の全容の解明が急速に進んだことにより,今後その診断・治療に大きな展開がもたらされると期待される.
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最新医学 69巻12号, 2528-2534 (2014);
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乳がんにおけるHER2 異常は,診断および治療のターゲットとして高い価値を有しており,HER2 陽性乳がんは最も予後良好なサブタイプと言える.近年,分子標的治療の選択肢が豊富になり,HER2 陽性乳がんの治療は飽和したかに見えたが,治療抵抗性がクローズアップされている.分子生物学的プロファイリングと実地臨床のさらなる連携により,HER2 陽性乳がんの予後はより明るいものとなろう.
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最新医学 69巻12号, 2535-2541 (2014);
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肺がん初の分子標的薬として登場したEGFR–TKI は,効果予測因子であるEGFR変異に基づく個別化治療によって初めて実臨床での有用性が示された.日本を中心として感度の高いEGFR 変異診断法の開発が進み,同変異陽性例を対象とした複数の臨床試験によるエビデンスが発信されたことで,現在EGFR 変異陽性肺がんに対する標準療法は世界的にEGFR–TKI となっている.今後はEGFR 変異別の治療戦略や耐性変異に基づく個別化治療などの展開も期待される.
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最新医学 69巻12号, 2542-2547 (2014);
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染色体転座をはじめとする融合遺伝子の形成は,血液系腫瘍や軟部腫瘍に特有と考えられていた時代もあったが,いまや固形腫瘍においても重要な役割を果たすことが明らかになっている.その少なからずが分子標的薬の対象となり,実際の臨床に応用されているものもある.本稿では肺がんにおける融合遺伝子について概説し,その検出法について触れる.
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最新医学 69巻12号, 2548-2552 (2014);
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悪性黒色腫は極めて予後の悪い疾患であるが,その治療薬は1970年代にダカルバジンの使用が開始されてから約40年間,新薬の登場がなかった.しかし2002年に遺伝子変異が網羅的に解析され,がん遺伝子変異を標的とする分子標的薬の開発が加速した.2011年,米国食品医薬品局(FDA)はRAF 阻害薬ベムラフェニブを悪性黒色腫の治療薬として認可した.その後RAF 阻害薬ダブラフェニブ,MEK 阻害薬トラメチニブも認可されたことにより,悪性黒色腫の化学療法による治療効果は劇的に改善されることとなった.
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最新医学 69巻12号, 2553-2559 (2014);
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がん薬物療法は,殺細胞性抗がん剤のみではなく,分子標的薬が使用されるようになり大きく変貌を遂げている.特にドライバー遺伝子異常を持つがんには,分子標的薬にて劇的な効果がもたらされる.分子標的薬と殺細胞性抗がん剤では,治療効果やその機序,有害事象,耐性機序などの臨床効果の特徴が異なり,それをよく理解して日常診療に臨むことが重要である.また,両者の併用療法などの新たな治療戦略も期待されている.
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最新医学 69巻12号, 2560-2564 (2014);
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Oncogenic driver の発見とその特異的阻害薬の開発は,さまざまながん腫において標準治療を塗り替えてきた.治療成績を効率良く臨床導入するために,早期臨床試験ではスクリーニングとして短期に評価可能なエンドポイントが,第Ⅲ相試験においては薬剤の特性を踏まえたエンドポイントが要求される.また近年,統計学的な有意差のみならず,効果の絶対値についても再評価する向きがあることも重要である.
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最新医学 69巻12号, 2565-2570 (2014);
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分子標的薬と1対1で対応する遺伝子変異検査薬を,コンパニオン診断薬と呼ぶ機会が増えてきた.開発手順も整備されてきている.しかし,コンパニオン診断薬という考え方は,少数の分子標的薬,標的遺伝子のみが臨床応用されている分子標的治療黎明期特有のものと思われる.分子標的薬,標的遺伝子数が増加するにつれ,薬剤と結びつくのはあくまでバイオマーカーであり,診断薬は薬剤とは独立したものと位置づけられていくだろう.
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最新医学 69巻12号, 2571-2576 (2014);
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がん分子診断(効果予測)と治療の連動は,バイオマーカー診断に基づく予測医療(Precision medicine)と言われ,将来のがん個別化医療(Personalized medicine)における中心的な位置づけとなると考えられている.がん分子診断の開発には,複雑な特許の調整,診断薬は医薬品が承認されなければ使用されないという開発リスク,国民皆保険制度下での収益リスクなどが伴う.さらに,研究段階から検査の品質管理・保証にも特段の注意が必要である.これらに加え,BRCA 遺伝子特許を巡る米国最高裁判決や,米国で実施されているLung–MAP 試験(SWOG1400)とNCI MATCH試験を紹介し,がん分子診断の臨床への展開の課題と展望を解説する.
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【連 載】
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最新医学 69巻12号, 2578-2581 (2014);
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うつ病において不眠や過眠など睡眠の問題は頻度が高く,診断を行ううえで最も重要な身体症状の1つである.それだけでなく,不眠がうつ病のリスクになることも近年明らかになってきた.うつ病における不眠治療について研究が行われるようになり,不眠への積極的治療がうつ病改善に役立つことが明らかになってきた.こうした知見を背景に,睡眠への介入でうつ病発症を低下させようという試みが現在考えられている.ここでは,これらについて臨床的観点から紹介した.
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最新医学 69巻12号, 2582-2587 (2014);
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最新医学 69巻12号, 2588-2593 (2014);
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【トピックス】
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最新医学 69巻12号, 2594-2600 (2014);
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大動脈解離は致命的な合併症を併発する可能性があり,的確な早期診断と治療が必要な循環器の急性疾患である.本疾患は,虚血性心疾患に次いで多く見られる急死の原因となる循環器疾患であるうえに,年々増加している.大動脈解離は心臓血管領域の臨床,研究ともにおける最重要課題の1つである.画像診断の進歩とともに早期診断法の開発が注目されており,バイオマーカーの開発も急務となっている.
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最新医学 69巻12号, 2601-2605 (2014);
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がん幹細胞は,がん組織内で多分化能,自己複製能を持つ幹細胞様の細胞で,CD44陽性細胞の中に多く含まれるため,CD44はがん幹細胞のマーカーと称されることが多い.CD44 のスプライシングバリアントであるCD44v9 は,細胞膜上のシスチントランスポーターの安定化・グルタチオンの蓄積により,酸化ストレス抵抗性を保持し治療抵抗性を獲得する.我々は,早期胃がんの内視鏡的切除組織でCD44v9 発現を評価することで異時性再発を予測できることを報告し,内視鏡治療後の経過観察計画の策定において重要なマーカーになることを示した.他のがんでもCD44v9 陽性細胞はがん幹細胞としての性質を持つことが示されており,がん幹細胞マーカーというだけでなく,革新的バイオ医薬による,がん幹細胞のニッチの治療標的としての有用性も期待されている.
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【今月の略語】
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最新医学 69巻12号, 2606-2610 (2014);
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