最新医学

Volume 71, Issue 3, 2016
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特集【がん低侵襲治療の最新知見】
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- 座談会
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脳腫瘍に対する低侵襲治療
71巻3号(2016);View Description
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脳腫瘍は中枢神経系に発生する腫瘍であり,その罹患自体が生命維持に直結する特異性から,安全な医療の確立に注力されてきた.しかし,CT やMRI といった神経放射線学的画像技術の進歩から無症候性腫瘍が指摘されるようになり,その自然歴が明らかになるにつれ,低侵襲性医療介入の必要性に迫られている.現在のこの領域での取り組みにつき,治療のみならず診断技術も含めて横断的に総括する. -
頭頸部悪性腫瘍に対する低侵襲治療
71巻3号(2016);View Description
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頭頸部領域は「食べる」,「話す」といった,人間が生きていくうえで欠かせない機能を担っている.それに加えて「外見」も大変重要な要素である.よって,頭頸部領域の悪性腫瘍を治療するにあたり,根治性はもちろんのこと,「食べる」,「話す」,「外見」などの障害を最小限にする配慮が必要である.今回はがん治療の3本の柱である手術,放射線,化学療法に分けて,頭頸部領域の低侵襲治療について述べる. -
消化器がんに対する内視鏡治療(消化管)
71巻3号(2016);View Description
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リンパ節転移の可能性が極めて低いと考えられる消化管がんにおいては,内視鏡による低侵襲治療によって治癒切除が得られる.ポリープ切除術,内視鏡的粘膜切除術(EMR),内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)などさまざまなバリエーションがあり,腫瘍の肉眼型や大きさに応じて選択される.近年ではESD 技術を用いて内視鏡治療のさらなる適応拡大が模索されており,手技の確立と普及が期待される. -
膵胆道がんに対する内視鏡治療の現状
71巻3号(2016);View Description
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近年,内視鏡機器や技術の発達により,膵胆道がんに対してもさまざまな治療が内視鏡下で行えるようになり,内視鏡的胆道ドレナージや十二指腸ステント留置術,内視鏡的乳頭切除術,胆道鏡下治療,超音波内視鏡下インターベンションなど,その治療法は多岐にわたっている.しかしながら,まだ十分なエビデンスが得られていない領域も多く,今後のさらなる検討,手技の標準化,デバイスの開発が必要である. -
肺がんに対する低侵襲治療の現状
71巻3号(2016);View Description
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肺がん診断の進歩により,早期肺がんと遭遇する頻度が増加した.このような病変の治療に際し,根治と低侵襲の両立が望まれる.胸腔鏡手術は本邦の肺がん手術の70% を占めるに至り,また区域切除をはじめとする縮小手術の割合も増加している.ロボット手術は肺がん領域では黎明期であるが,近い将来,新たな精密な手術法となることが期待されている.本稿ではこれらの手術法の現状に関して報告する. -
消化管がん(食道・胃・大腸)に対する腹腔鏡下手術の現況と展望
71巻3号(2016);View Description
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1990年代初めより,低侵襲化を目指し,消化管がん(食道・胃・大腸)に対する腹腔鏡下手術および胸腔鏡下手術が導入され,国内外の臨床試験から生み出される膨大なエビデンスのもと,現在の目覚ましい治療成績に至った.しかし実臨床で広く行われている治療はいまだ立証されていないことも事実であり,科学的根拠に基づく医療(EBM)を構築していくために,さらなる臨床試験などによる検証の継続が必要であると考えられる. -
肝胆膵悪性腫瘍に対する腹腔鏡下手術の現況
71巻3号(2016);View Description
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肝胆膵悪性腫瘍に対する腹腔鏡下手術は普及しつつあるが,各臓器の特性によりその適応に格差がある.いずれの臓器も開腹術と成績を比較したランダム化比較試験は行われていないが,症例が蓄積されたことにより,低侵襲の評価だけではなく腫瘍学的な長期成績も報告されるようになった.また最近では,多施設共同研究による大規模なpropensity score matching analysis も行われ,より高いエビデンスの獲得へ向けて努力がなされている. -
内視鏡・腹腔鏡合同手術の現状と展望
71巻3号(2016);View Description
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腹腔鏡・内視鏡合同手術(LECS)は,内視鏡と腹腔鏡によって至適な胃切除範囲を決定し,切除および縫合閉鎖を行う術式である.胃粘膜下腫瘍に対する低侵襲手術として確立され,胃がん治療への応用が期待されている.胃がんに対してLECS を行うにあたり,胃内容の腹腔内への漏出とそれによる腹膜播種が懸念されている.Inverted LECS with crown method やNEWS,CLEAN–NET は胃内容の漏出を防ぐことを目指した手法である.「LECS+センチネルリンパ節生検」は,胃がんに対する究極の低侵襲治療として期待される. -
泌尿器科がんに対する腹腔鏡手術・ロボット支援手術
71巻3号(2016);View Description
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泌尿器科では,前立腺がんや腎細胞がん,腎盂尿管がん,膀胱がんを中心にがん診療を行っている.その治療過程の中で手術は非常に大きなウエートを占め,患者の予後およびQOL を大きく左右する.そのため我々は,高い治療効果を有し,かつ低侵襲な手術を目指して,腹腔鏡手術やロボット支援手術を積極的に取り入れながら,日々進歩を続けている.今回,泌尿器科がんにおける腹腔鏡手術とロボット支援手術の概要と現状を解説する. -
肝胆膵悪性腫瘍に対する各種局所治療
71巻3号(2016);View Description
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肝胆膵領域の悪性腫瘍に対する治療の主体は外科切除とされるが,実際は病気の進行により切除が困難な症例も多い.また侵襲が大きい治療のため,高齢者や併存症を抱える患者では全身状態により適応外となる場合もある.近年,医療技術の発達に伴い,低侵襲の局所治療は肝胆膵領域においても治療の選択肢となるケースが増加し,より一層注目されている. -
乳がんに対する低侵襲治療の新展開―ラジオ波熱焼灼療法を中心に―
71巻3号(2016);View Description
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乳がんの外科治療は乳房温存療法やセンチネルリンパ節生検法がすでに標準化し,治療の低侵襲化ばかりでなく,高い整容性も要求されている.本邦においても乳がんの罹患率が上昇するとともに,マンモグラフィ検診の普及や画像診断法の進歩により早期乳がんの発見機会の割合が増加してきている.このような時代的背景と患者の要望に応えるため,低侵襲的療法であるnon–surgical ablation が注目されている. -
婦人科がんに対する低侵襲治療としての妊孕性温存治療に関する最近の話題
71巻3号(2016);View Description
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近年,婦人科がんの罹患率も増加傾向を示しているが,集学的治療の進歩に伴い,多くの患者が「がん」を克服できるようになってきた.若年婦人科がん患者においてがん治療による妊孕性消失を回避するためには,妊娠・出産に必要な婦人科臓器とその機能を温存する必要がある.しかしながら,元来妊娠・出産にかかわる臓器を対象とする婦人科がん領域においては,一部の状況を除いて最初から将来の妊娠・出産をあきらめて臓器を摘出し,がんと闘わなければならない状況が少なくない.そこで本稿では,将来の妊娠・出産のための機能を残す,いわば低侵襲治療の1つである,婦人科がんに対する妊孕性温存治療の最近の話題に関して概説させていただく. -
重粒子線を用いた低侵襲がん放射線治療
71巻3号(2016);View Description
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重粒子線治療は情報処理技術の目覚ましい進歩とその応用により,過去20年の間に飛躍的な進歩を遂げてきた.当初世界で1ヵ所のみであった重粒子線治療施設は国内で5ヵ所,海外を含めると10ヵ所となり,さらに増加しつつある.高齢化に伴うがん罹患率の増加と患者自身による治療法の選択という全世界的な流れの中で,重粒子線治療は低侵襲で機能と形態温存が可能ながん治療として,日本のみならず海外からも大きな期待を集めている. -
低侵襲内視鏡治療の技術革新に向けた新しい機器の開発
71巻3号(2016);View Description
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近年,軟性鏡(消化器内視鏡)と硬性鏡(腹腔鏡)に「統合」の動きが見られる.両者の長所を活かし,短所を補完し合う「次世代内視鏡」においては,消化管の内・外の概念は事実上失われ,管腔,腹腔を自在に行き来しながら最適なアプローチで低侵襲に消化器疾患の治療が可能となると考えられる.必要な機器の開発は緒についたばかりであるが,その一部は現行治療へ積極的にスピンオフされ,威力を発揮するものと期待されている.
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【連 載】
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肉眼解剖学者がみたヒト大脳の立体構造(12) 外側・下方からのアプローチ(1)海馬 海馬(頭/指,体,尾,采,歯状回,歯状縁,アンモン角,海馬台),嗅内皮質(仮称),脳弓(脚,体,頸,交連前線維,交連後線維),小帯回,脳梁,内側・外側縦条,灰白層,上衣,海馬白板
71巻3号(2016);View Description
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ノーベル賞と医学の進歩・発展(39) T細胞の抗原認識機構の解明―Zinkernagel とDoherty―
71巻3号(2016);View Description
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【トピックス】
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膵β細胞の再生―最近の進歩―
71巻3号(2016);View Description
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より良い糖尿病治療法の確立に向け,膵β細胞再生の研究が盛んに行われている.そのアプローチとして,膵β細胞の増殖促進,他細胞種から膵b 細胞へのリプログラミング,多能性幹細胞から膵β細胞への段階的分化誘導がある.膵β細胞再生の研究進捗は目覚ましく,再生膵β細胞を用いた細胞療法や創薬が現実へと近づきつつある.しかし一方で,膵b 細胞再生は効率の低さや安定性,安全面やコストなどの課題もあり,今後の研究の進展が期待される. -
次世代シークエンサーを用いた先天性甲状腺機能低下症の遺伝子診断
71巻3号(2016);View Description
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従来法の数万倍以上の解析力を持つ次世代シークエンシング(NGS)は,研究的解析のみならず臨床遺伝子診断においても利用が広がってきている.本稿では,NGSの原理とワークフローを解説し,筆者らが2012年から運用している先天性内分泌疾患(先天性甲状腺機能低下症を含む)の網羅的遺伝子解析系Endocrinome システムを例に,その解析経験を紹介する.
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【今月の略語】
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