Volume 73,
Issue 11,
2018
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特集【悪性リンパ腫の最新分類と新規治療 】
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最新医学 73巻11号, 1409-1410 (2018);
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鼎談
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最新医学 73巻11号, 1411-1423 (2018);
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注目の疾患
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最新医学 73巻11号, 1424-1429 (2018);
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びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は臨床的,生物学的に非常に不均一 な疾患単位であり,さまざまな分子遺伝学的異常が腫瘍形成にかかわっていると考え られる.最近の遺伝子解析技術の進歩により,新規遺伝子異常が次々に発見され,ま たそれらに基づく分子病態の解明と細分類化が進んでいる.本稿ではDLBCLの分子 病態の最新の知見を紹介しながら,それらの臨床的意義についても述べる.
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最新医学 73巻11号, 1430-1435 (2018);
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2017年版のWHO分類では生物学的/臨床的にアグレッシブな成熟B細胞リンパ 腫をHigh‒grade B‒cell lymphomaと定義しているが,その大部分を占める病型が double hit lymphomaである.本病型は MYC と BCL2 ,あるいは MYC と BCL6 の 遺伝子再構成を認めるB細胞リンパ腫である.R‒CHOP療法による予後は不良であり, 強力な初回寛解導入療法の効果が注目されている.節外病変を多く有する症例が多い ことや初診時あるいは治療中に中枢神経浸潤を生じる症例が多いことが知られている.
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最新医学 73巻11号, 1436-1440 (2018);
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原発性マクログロブリン血症/リンパ形質細胞性リンパ腫(WM/LPL)はIgM型 M蛋白血症を呈し,骨髄を病変の首座とする稀少な低悪性度B細胞リンパ腫である. 過粘稠度症候群などの多様な臨床症状を合併し,MYD88 L265P変異が90%前後の 症例に認められると報告されている.WM/LPLの分子病態は急速に解明されつつあ り,また,その分子標的薬も精力的に開発されている.まさに注目に値する疾患と言 えよう.
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最新医学 73巻11号, 1441-1449 (2018);
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中枢神経系悪性リンパ腫は,そのほとんどがびまん性大細胞型B細胞リンパ腫が占 める代表的悪性脳腫瘍である.血液脳関門の障壁があるものの,大量メトトレキサー ト療法を基盤とした多剤併用薬物療法の有効性が近年報告されている.さらに包括的 遺伝子解析の結果, CD79B や MYD88 遺伝子を主とした高頻度の変異とNF‒kBシ グナル経路亢進などの分子病態が明らかとなり,新規の分子標的治療や免疫療法への 期待が高まっている.本稿ではこれらの治療法に注目し,現状と展望を概説する.
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最新医学 73巻11号, 1450-1454 (2018);
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WHO分類2017年度版では,末梢性T細胞リンパ腫非特定型の再分類が提案された. 新たに定義されたT濾胞ヘルパー細胞形質を伴う節性末梢性T細胞リンパ腫(nPTCL with TFH phenotype)では,腫瘍細胞が濾胞性ヘルパーT細胞(TFH)の性質を持 つという点で,血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)と類似する一方,AITLに 特異な血管や濾胞樹状細胞の増生といった病理組織学的所見を欠く.これらのTFH の性質を持つリンパ腫では,遺伝子変異の種類や頻度も共通している.今後は従来の 病理組織学的な分類に加えて,遺伝子変異を組み合わせた診断や治療が進むと思われる.
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注目の新薬
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最新医学 73巻11号, 1455-1460 (2018);
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近年,悪性リンパ腫の多彩な病型の背景にある遺伝子異常や,細胞内シグナル伝達 経路が明らかになり,それらを標的とする分子標的薬剤の臨床導入が始まっている. 2013年,初めて臨床的効果が示されたBTK阻害薬イブルチニブは,単剤のみならず, 他剤との併用まで,すでにその臨床開発が及んでいる.目覚ましいその開発展開は, B細胞性腫瘍だけにとどまらず,自己免疫疾患に対する治療薬などとして検討も進ん でいる.
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最新医学 73巻11号, 1461-1465 (2018);
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近年,B細胞リンパ腫に対するB細胞受容体を介したシグナル伝達系を標的とし た新規薬剤の開発が進んでおり,PI3K阻害薬であるidelalisibとcopanlisibがすでに 欧米では臨床導入されている.それぞれ既治療に抵抗性の低悪性度B細胞リンパ腫 に対する高い有効性が報告されている.Idelalisibは,現在日本での開発は中断中で あるが,copanlisibは国際共同治験として開発が進行中である.
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最新医学 73巻11号, 1466-1474 (2018);
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EZH2はヒストンH3K27のメチル化によって,その領域の遺伝子の転写を抑制す る.EZH2の機能獲得型変異は,FLおよびDLBCLの30%に認められ,腫瘍形成・ 増殖に関与している.現在,EZH2に対する阻害薬の開発が進められており,最近, tazemetostatの第Ⅱ相試験の中間解析結果が報告された.再発/治療抵抗性FLに対 して有望な治療成績が認められており,今後の進捗が待たれる.
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最新医学 73巻11号, 1475-1480 (2018);
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BCL2は,濾胞性リンパ腫のみならずB細胞リンパ腫の発症に重要な役割を果たし ている.B細胞リンパ腫の治療標的として,BCL2阻害薬の開発が進められてきた. Venetoclaxは特異性の高いBCL2阻害薬であり,慢性リンパ性白血病に対する有効 性が臨床試験で示されている.最近では,venetoclaxは,慢性リンパ性白血病以外の B細胞リンパ腫,さらには,急性骨髄性白血病などリンパ球系以外の腫瘍でも臨床試 験が進められている.
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最新医学 73巻11号, 1481-1486 (2018);
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染色体転座によるALK遺伝子の異常は,ALK陽性未分化大細胞型リンパ腫 (ALCL)のドライバー変異であり,その阻害薬は高い効果が期待されている.ALK 遺伝子転座陽性の肺がんを対象に3種類のALK阻害薬が上市されているが,ALK 陽性ALCLに対する開発の進捗は遅い.クリゾチニブはALK陽性ALCLに対する 開発が行われたが,現在,適応拡大の承認を得ている国はなく,医師主導の研究が進 んでいる.本邦では,医師主導でALK陽性未分化大細胞型リンパ腫 でのALK阻害 薬(クリゾチニブ,アレクチニブ)の開発が行われており,早期の適応拡大が望まれる.
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最新医学 73巻11号, 1487-1491 (2018);
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免疫チェックポイント阻害薬は,免疫抑制性の細胞間シグナルを阻害することによっ て悪性腫瘍に対するT細胞免疫を活性化させる薬剤であり,その中でも2種類の PD‒1阻害薬が,再発・難治性のホジキンリンパ腫に対して国内で承認されている. ホジキンリンパ腫以外のリンパ腫病型においてもPD‒1阻害薬が奏効するものがある ことが知られるようになりつつあり,今後,造血器腫瘍領域でより大きな役割を担う 薬剤となる可能性がある.
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最新医学 73巻11号, 1492-1497 (2018);
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Polatuzumab vedotin(Pola)は,成熟B細胞表面に発現しているCD79bに対する 抗体と,微小管阻害薬であるmonomethyl auristatin Eを結合させた抗体薬物複合体 で,B細胞腫瘍に対する実験レベルでの高い抗腫瘍効果が確認された後,単剤治療お よび化学療法併用での効果が確認され,治療開発が進んでいる.とりわけ,びまん性 大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)での効果が高いことが確認されつつあり,DLBCL の標準治療であるR‒CHOP療法とPola併用の第Ⅲ相試験も進行中である.
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最新医学 73巻11号, 1498-1503 (2018);
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リツキシマブの臨床導入以降,B細胞リンパ腫の予後は著しく改善した.近年,新 規抗CD20抗体・オビヌツズマブが,未治療の濾胞性リンパ腫に対して化学療法との 併用でリツキシマブを上回る効果を示した.また,リツキシマブのバイオシミラーの 開発も進んでおり,日常診療でもCD20陽性B細胞リンパ腫の治療について再考す る必要が出てきている.本稿では,これまでに報告されているエビデンスについて解 説する.
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最新医学 73巻11号, 1504-1512 (2018);
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キメラ抗原受容体発現T細胞(CAR‒T細胞)は,遺伝子改変T細胞の一種であ り,抗CD19 CARを発現させたCAR‒T細胞療法の臨床開発が進んでいる.再発/ 治療抵抗性Bリンパ芽球性白血病や,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対する pivotal studiesで高い有効性が示唆され,既存の化学療法に奏効しない血液腫瘍に対 する新規治療として期待されている.
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【トピックス】
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最新医学 73巻11号, 1514-1518 (2018);
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糖尿病におけるb細胞機能不全の一因と して,近年,b 細胞脱分化が提唱された. これは,糖尿病状態において,成熟b細胞 マーカーの発現が減弱し,前駆細胞マー カーが増加するb 細胞の幼若化現象であ る.b細胞脱分化が起こる要因は不明だが, さまざまな糖尿病モデルや,糖尿病患者で b細胞脱分化現象が確認され,既存の糖尿 病治療でb細胞脱分化の進行が防がれるこ とも示されており,新しい糖尿病治療ター ゲットとして注目されている.
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最新医学 73巻11号, 1519-1523 (2018);
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非結核性抗酸菌(NTM)は水系,土壌の 環境菌で,現在約190種類が知られている. 元来,ヒトへの病変性は低いが,近年同菌 による感染症が増加しており,特に呼吸器 感染症の罹患率は結核をしのぐことが報告 された.我が国では Mycobacterium avium complex(MAC)がその原因菌として約 90%を占めるが,一般的にヒトからヒトへ は感染しないとされており,その感染,発 病にはホスト側と菌側の要因と複雑に関連 していると思われる.有効な治療法は確立 されておらず,検査法の確立とともに病態 の解明が期待される.
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最新医学 73巻11号, 1524-1530 (2018);
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高尿酸血症は,痛風の原因となる基礎病 態として古くから知られている.食生活の 欧米化に伴って高尿酸血症の患者数が増加 しており,メタボリックシンドロームや心 血管イベントの合併が高頻度で認められる. 高尿酸血症はこれらの疾患のマーカーとな るほか,尿酸降下薬による慢性腎臓病の進 展抑制効果が確認されており,慢性腎臓病 の新たな治療標的としても注目されている.
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【今月の略語】
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最新医学 73巻11号, 1531-1536 (2018);
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