癌と化学療法
2004, 31巻Supplement II
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第15 回日本在宅医療研究会学術集会
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教育講演在宅化学療法の現状と将来在宅化学療法の現状と将来
31巻Supplement II(2004);View Description Hide Description【目的】在宅化学療法が外来化学療法と同等の効果が得られるならば, 患者のQOL 向上につながると考えられる。進行・再発大腸癌の治療成績から在宅化学療法の現状と将来について明らかにした。【方法】切除不能肝転移に対するHAI 療法(5-FU 2,000 mg /週の7 日間持続肝動注療法, n=123), 肝転移以外の再発に対するFL 療法(5-FU 1,500 mg /週+l -LV 375mg /週の混注による7 日間持続全身化学療法, n=32)を携帯用ポンプで, 1 週おきに在宅で施行した。【結果と考察】奏効率はHAI 療法: 61.2, 18.8%で, MST はHAI : 14.7 か月, FL : 10.8 か月で, 比較的良好な治療成績であった。有害事象に対する24 時間の監視体制が可能であれば実施可能で, 患者のQOL を維持した化学療法として有効な新たな方法になることが予想された。 -
教育講演内視鏡的胃瘻造設術(PEG )と在宅栄養管理内視鏡的胃瘻造設術(PEG )と在宅栄養管理
31巻Supplement II(2004);View Description Hide Description栄養サポートチーム(NST )の活動を通じて, 地域の栄養ケアの重要性が認識されてきた。病院とその地域の栄養ケアを引き受ける地域一体型NST の存在は低栄養患者の「シームレス」な栄養管理を病院内だけでなく, 在宅においても同じスタンダードで提供する。われわれは, 地域一体型NST の一環として医療連携に基づいたPEG システムを構築した。造設に関しては地域連携PEG クリニカルパスに基づいて施行される。また胃瘻チューブ交換に際しては, ㈰ 外来交換, ㈪ 在宅支援NSTによる往診交換, ㈫ 交換のための短期入院, PEG 交換ショートステイという三つのコースを用意している。 -
シンポジウム地域医療連携体制の構築退院支援実践の現状と課題
31巻Supplement II(2004);View Description Hide Description退院支援とは,「患者とその家族が退院後の適切なケアプランを作るのを助けるために利用可能でなくてはならない, 部門を越えた病院全体のプロセス」である。昨今, 退院支援の重要性についての認識が高まっているが, 実施していく上で検討すべき課題は多く残されている。本稿では特に, だれを支援するか(ハイリスク患者のスクリーニング), どのように支援するか(支援方法の標準化と評価), だれが支援するか(退院支援の体制整備)の3 点に絞って現状と課題を整理した。 -
演題発表地域連携1新宿管内における紹介患者動向調査
31巻Supplement II(2004);View Description Hide Description2003 年7 月22 日〜12 月末までの紹介患者数は10,329 名で, 新宿管内からの紹介は2,175 名(21.1%)に及んでいた。新宿管内からの紹介患者2,175 名を男女比, 年齢別, 診療科別, 住所地別, 住所地別年齢分布, 住所地別紹介元形態の視点から調査した。新宿区は昼間の労働人口が突出し, 大学病院を多数擁しているなど東京都内にあっても特異な医療圏である。当院への紹介患者の現状把握を行うことにより地域ニーズを分析し, 当院が担う医療機能の方向性を検討するとともに地域連携室の役割について考察した。 -
悪性腫瘍患者の退院支援の必要性
31巻Supplement II(2004);View Description Hide Description悪性腫瘍患者は退院する時に, 患者・家族は今後の病状変化や在宅介護, 再入院の可否など様々な不安をもつ。当院が診療にかかわった悪性腫瘍患者148 名に対して, 退院支援による不安軽減の効果と在宅診療期間について検討した。適切な退院支援は患者・家族の不安を軽減し, 在宅診療期間を有意に延長した。退院支援は有効な手段であるが, 適切に行うためには早期からの支援開始やメディカルソーシャルワーカー(MSW ), 看護師らの関与が必要であると考えられた。そのためには,病棟看護師が退院支援の必要な患者を選択するための訓練と退院支援を専門に行うMSW や看護師が所属する部署の設置が必要である。 -
演題発表地域連携2在宅医療におけるリハビリテーションのかかわり高次脳機能障害が疑われた症例を通して
31巻Supplement II(2004);View Description Hide Description今学術集会のテーマである「地域医療連携の継続性」について考える時, リハビリテーション(リハビリ)的視点からは一般に急性期リハビリから回復期(専門)リハビリを経て, 維持期リハビリへの移行が望ましいと考えられるが, 多くの人が必ずしもこのような流れに沿って在宅生活に戻るわけではない。今回われわれは, 急性期病院から在宅生活に戻ったが地域医療連携が不十分だったために日常生活に支障を来していた症例について, 在宅生活のQOL を高めるよう援助したので報告する。 -
演題発表薬剤師の役割1在宅医療を支援する薬局ネットワーク構築について第2 報
31巻Supplement II(2004);View Description Hide Description医療の機能分化と診療報酬体系の包括化が加速される今日, 病院は在院日数の短縮を余儀なくされ, その結果, 患者の受け皿として在宅医療が位置付けされている。そして, 在宅医療では, 医療依存度の高い患者が退院して在宅医療へ移ることになるので医療処置を伴うケースが増加すると推測される。このような在宅医療を支援する上から, 薬局は内服薬の他に栄養管理や疼痛管理に使用する注射薬の供給を, 一方, 薬剤師は在宅患者訪問薬剤管理指導を通して在宅療養者の適正な薬物療法を推進することになる。しかし, 注射薬の供給ができる薬局は全国規模で50 薬局もない現状である。今後の在宅医療の進展を考えると, 薬局ネットワークを構築して薬剤供給面の整備が急務である。 -
褥瘡治療でお困りではないですか?
31巻Supplement II(2004);View Description Hide Description「愛知県褥瘡ケアを考える会」は主に名古屋市周辺の街の薬局薬剤師, 十数名で構成され, 1997 年より褥瘡治療薬に関する情報提供を行っている。褥瘡治療には適度な湿潤環境が必要とされている。この考えに基づいて創の湿潤状態に適した外用薬を選択する方法を提案してきた。これまでに, 初心者にもわかりやすい薬剤選択方法を詳述した「在宅医療における褥瘡治療薬マニュアル」とその「解説」の冊子を作成している。2002 年, 愛知県薬剤師会では, 同冊子を用いた褥瘡治療の研修会を県内26 地区で開催し, 国立長寿医療センター・薬剤部がかかわる褥瘡治療見学研修, さらに名古屋市立大学・薬学部と共同で提案薬剤の安定性などに関する研究を行ってきた。こうして褥瘡治療薬の適正使用を広く医療福祉関係者に情報提供するために開局薬剤師・病院薬剤師・薬学系大学研究者が協働することとなり, 褥瘡治療の治療効果や経済的効果について比較検討している。 -
小児における在宅医療の問題点
31巻Supplement II(2004);View Description Hide Description重度の障害をもつ小児患者の在宅医療は, 小児科の往診医がいないなどの理由から進んでいない。今回, 在宅でTPNを行っているミトコンドリア脳筋症の患者のケースについて検討し, 小児における在宅医療の問題点を検討したので報告する。 -
演題発表薬剤師の役割2在宅中心静脈栄養法導入における病院薬剤師のかかわりと薬薬連携
31巻Supplement II(2004);View Description Hide Description在宅中心静脈栄養法(home parenteral nutrition : HPN )導入に当たり, 薬物療法という点から薬剤師のかかわるところは大きい。当院では, 在宅担当薬剤師が病棟担当薬剤師との連携によって患者が退院するまでの指導や調整役の一端を担っている。また, 開局薬剤師との連携も進めている。しかし, 輸液調製が可能な院外薬局はまだその数が限られているため, 患者のニーズに対応できないのが現状である。輸液調製可能な院外薬局の整備が期待されるなか, ダブルバッグやプレフィルドシリンジなどの製品開発により, 輸液調製だけではなく薬物療法全体を管理できる院外薬局が必要とされる。そして在宅医療を進めていく上で病院薬剤師と開局薬剤師の連携は必須であり, その基本は“情報の共有化”である。 -
地域医師会に対する在宅中心静脈栄養法(HPN )の意識調査
31巻Supplement II(2004);View Description Hide Description当院では1989 年ころより在宅中心静脈栄養法(HPN )を開始し, 現在までに延べ96 例の症例を経験している。しかし,その大半は管理上の問題から地域医師会での受け入れが進まず当院管理となっていた。在宅医療推進が叫ばれるなかで, 2003年2 月よりNST による地域医師会との合同勉強会が始まり, HPN はそのテーマとして地域医師会より要望された。これに先駆けて, まず地域医師会医師のHPN に対する意識を確認すべくアンケート調査を行った。対象は箕面市医師会に所属する医師約100 名で, HPN 施行状況を調査, 疑問点の有無や問題点, またHPN に対する幅広い意見を聴取する形で箕面市医師会の協力の下行われた。今回のアンケートにより医師会医師の意見, 疑問点, 抱える問題点を直接聞くことができ, 併せて病院側との密接な連携を望んでいることがわかった。今後HPN 連携システムを構築していく上で, 病院での医療と在宅での医療の現実的な違いを踏まえ, それをどう埋めていくかが課題となる。 -
演題発表 疼痛管理在宅疼痛緩和療法 デュロテップパッチ長期投与例の検討
31巻Supplement II(2004);View Description Hide Descriptiontransdermal fentanyl (デュロテップパッチ)が国内で保険適応されて2 年が経過する。様々な理由で経口剤が服用できない場合などに有効であり, 特に長期の在宅使用において有用と思われる症例を経験したのでここに報告する。当院にて2002 年6 月より本薬剤を使用した症例は52 例。男性28 例, 女性24 例, 平均年齢63.5 歳で, 内訳は食道癌6 例,胃癌10 例, 膵癌6 例, 胆管癌・肝癌3 例, 結腸・直腸癌14 例, 乳癌8 例, 他5 例である。投与期間は最短2 日〜最長630 日であり, 疼痛コントロール不良例などで早期に投与中止となったのが8 例(2〜37 日), また本薬剤使用500 日以上は2 例であった。長期使用2 例については以下のとおりである。症例1: 女性, 72 歳。背部痛, 腹痛(膵癌再発)。ジクロフェナクナトリウム(ボルタレン)よりMS コンチンを経て本薬剤2.5〜7.5 mg まで。使用期間は601 日, うち入院回数は6 回。在宅期間は319/601 日, 53%であった。またレスキューモルヒネとしてはアンペック坐薬を使用した。症例2: 男性, 73 歳。臀部痛(直腸癌再発による腫瘍再発部痛)。ロキソプロフェンナトリウム(ロキソニン)よりMS コンチンを経て本薬剤2.5〜20 mg まで。使用期間は630 日, うち入院回数は1 回のみで在宅期間は622/630 日, 99%であり, 現在も疼痛緩和治療を継続中である。また, レスキューモルヒネとしてはMS コンチン末を使用し, 補助モルヒネとしてMS コンチン錠を使用した。両症例ともに疼痛および本薬剤の副作用に関するコントロールは良好であった。上記2 例を中心に貼付剤であるデュロテップパッチの在宅疼痛緩和治療での有用性について検討した。 -
レスキュードーズを在宅ホスピスで使いこなす極意
31巻Supplement II(2004);View Description Hide Description在宅ホスピスケアでは, 入院ケア以上に確実な鎮痛, 薬剤への理解, 不安の除去に努めなければならない。そのためにはレスキュー薬の準備, 使用について服薬指導の充実, QOL を考慮した薬剤の検討, 患者・家族への傾聴が絶対必要条件である。 -
演題発表慢性疾患の在宅支援 非癌疾患の在宅ホスピスの現状と課題についての考察
31巻Supplement II(2004);View Description Hide Description非癌疾患の在宅ホスピスの課題を明らかにするために, 当院の非癌疾患の在宅死例を末期癌例と比較検討を行った。非癌群では女性が多く, 平均年齢は6.7 歳高く, 在宅療養期間が長期であった。基礎疾患は, 痴呆症, 慢性呼吸不全, 神経難病,脳卒中が主であった。治療内容では, 非癌群では末期癌群に比べて複雑な症状緩和の手技を必要とせず, オピオイドの使用や死亡当日, 前日の輸液が少なかった。非癌群で死を予測できたのは57.1%で, 痴呆症や延命治療を選択しない慢性呼吸不全や神経難病, 腎不全では予後予測が比較的容易であったが, 脳卒中では困難であった。decision making は非痴呆性疾患では延命治療を選択しないliving -will (LW )が必須であり, 痴呆性疾患では家族と医療者によるconsensus -based approach が重要であった。今後わが国の疾患構造や医療システム, 国民の価値観に基づいた非癌疾患のホスピスケアのあり方についてさらなる検討が必要である。 -
ALS 患者の在宅療養から
31巻Supplement II(2004);View Description Hide Description社会の変化や医療技術の向上・介護保険の導入などにより, 人工呼吸器での在宅生活が可能となった。今回, 人工呼吸器装着ALS 患者の在宅支援を通して経験した具体的な問題について報告する。患者は68 歳, 男性。2001 年, 腰痛で発症急速な呼吸状態悪化により本人の意志未確認のまま人工呼吸器装着となり, 2002年在宅生活に入る。主たる介護者は妻と娘である。発症した問題は, ㈰ 支援に当たる訪問看護の連携が不十分であった。そのため介護者に不必要な混乱を生じさせていた, ㈪ 短期入所や移送システムが整っていないため, 介護が長期化するに従って介護者の負担が大きくなる, ㈫ 病状進行に伴って必要度が増す呼びだしコールやコミュニケーション方法の開発や変更のための窓口がない, である。どの問題も一つの病院で解決できるものではない。当院としては地域包括する看護システム作りが急務であると思われるが, 全国規模で企業や行政に働き掛ける横の連携の現実化も強く要望される。 -
地域の糖尿病診療連携に果たす糖尿病療養指導士(CDE )の役割 地域共有のCDE をめざして
31巻Supplement II(2004);View Description Hide Description千葉県は糖尿病による年齢調整死亡率が全国平均を上回っている。当院が位置する山武医療圏は, 糖尿病に対する住民の認識が低いためその合併症に苦しむ患者が多い。一方, 医師配置数は全国平均の半数以下と極めて少ない。2003 年6 月, 糖尿病診療の向上をめざして開設された生活習慣病療養指導室について糖尿病療養指導士(CDE )を中心としたこれまでの活動状況を紹介する。今後, 糖尿病診療チームの一員としてさらに指導経験を積み, 療養指導の質の向上に常に努めていかなければならない。 -
演題発表在宅医療研究 在宅ケア実習について
31巻Supplement II(2004);View Description Hide Description本学では, 1998 年度より医学部3 年生を対象として在宅ケア実習を行ってきた。目的は, 地域の訪問看護ステーション(施設)での体験実習を通し将来医師になる者として地域医療・在宅医療のあり方について考える機会を得るとともに, チームワーキングの素養も身に付けるためである。方法は, 医学部3 年生を1 週間施設に派遣し, 訪問看護師とともに療養者宅での医療に参加するものである。実習後に学生および施設へのアンケート調査を行った。実際の質問事項は実習の必要性, 実習期間, 学生の実習態度(時間, 注意事項の厳守, 実習での積極性など), 実習指導の状況などであった。1998〜2004 年度の6 年間に合計621 人が在宅ケア実習を履修した。施設は毎年約30 施設, 約90 人の指導者に協力してもらった。アンケートの回答率は学生98%, 施設の実習指導者97%で, 内容より主なものをあげると,「在宅ケア実習の必要性」については「必要である」と答えた学生95.1%, 施設97.8%。実施学年については「3 年生が適当」が学生70%, 施設48%。「実習期間は適当」であった学生80%, 施設87%などで学生・指導者ともに在宅ケア実習が重要なプログラムであるとしていた。しかし何人かの学生・指導者は実習を行うのに困難を感じていた。これは実習を行うのに何か困難な要因の存在を示唆していると感じた。現行の医学教育では大学附属病院での病棟実習が中心であるため, 地域での患者の生活支援についての経験ができない。また, 疾患の時間軸についても学生の理解が困難である。このような生活支援や時間軸についての学習の場として, 在宅ケアでの実習が有意義なものであると考えている。 -
IT を活用した在宅要介護者のヘルスケアに関する効率的情報交換の検討
31巻Supplement II(2004);View Description Hide Description[背景]在宅患者への効率的サービスを可能とするため, 携帯電話を利用した情報交換の試行を行った。[方法]在宅療養者99 例を対象に訪問診療医とヘルスケアサービス提供者との間でデジタルカメラ機能付き携帯電話を使用した情報交換を試みた。[結果]在宅患者99 例中40 名について, ヘルスケアサービス提供者9 名からデータが得られた。総計61 件(画像24,動画3, メールなど34)。静止画像については, 患者の顔色・褥瘡・カテーテル挿入口の状態などの画像は, 診断や治療経過を判断するのに十分な画質が得られ, これによって適切な対応を迅速に決定できた。[結論]身近なコミュニケーションツールである携帯電話の操作を習熟することによって, 在宅患者の職種間の情報交換が有効かつ容易となり, ケアの質を高めることが可能となるものと考えられた。 -
医療的ケアを必要とする要介護高齢者を在宅介護する家族に対する支援のための基礎的研究「外部資源利用に伴う心地悪さ」に焦点を当てて
31巻Supplement II(2004);View Description Hide Description医療依存度の高い要介護高齢者を在宅介護する家族の外部資源活用を明らかにし, 支援のための一助を得ること目的として研究を行った。医療的ケアを必要としながら在宅療養する要介護高齢者を在宅介護する16 家族それぞれに面接および参加観察を行い, その内容をデータとしてグラウンデッド・セオリー法に準じて分析した。医療的ケアを必要とする要介護高齢者を在宅介護する家族が外部資源の活用に向かう強さを左右する要因の一つとして,「外部資源利用に伴う心地悪さ」が見いだされ, さらにその源泉となる3 要因が明らかとなった。本研究の結果より, 外部資源利用に伴う心地悪さを軽減するための方略を考察した。 -
ALS 在宅人工呼吸療養者の外出時におけるリスクマネジメント
31巻Supplement II(2004);View Description Hide DescriptionALS 在宅人工呼吸療養者12 名を対象に, ① 外出時に生じた事故事象とその発生要因の分析を行った。② 収集された外出時の事故事象は227 件であり, うち人工呼吸器系の問題は115 件(50.7%)であった。③ その要因の分類では, 環境105 件(46.3%), 介護者73 件(32.2%), 機器21 件(9.3%), その他28 件(12.3%)であった。④ 要因を外出過程別に分類すると,外出前は自宅および周辺環境により, 外出中は外部環境と介護者により, 外出後は介護者と原因不詳が主たる要因であった。以上より, 外出前には居宅の環境整備, 外出中には移動および環境変化により生じる健康問題に即対応できる支援, 帰宅後は療養者と支援者の疲労や注意力の低下に対する支援の重要性が示唆された。 -
演題発表チーム医療 新城市民病院における在宅療養の現況について
31巻Supplement II(2004);View Description Hide Description新城市民病院は愛知県東部の奥三河地区に位置している。そのため日本の他の地域に比べて, 高齢で一人暮らしの患者の割合が高い。われわれの病院は一般病床(255 床)と療養病床(46 床), 外来(訪問看護)で成り立っている。われわれはこの特色のあるシステムを使って他の医療従事者との緊密な連携の下で, 入院から退院, 在宅医療に至るまでのチーム医療システムを強化しようとしている。しかし, 高齢や一人暮らしの多くの患者は在宅を選べない状況がある。訪問看護は24 時間体制をとり在宅ケアが可能な患者には積極的に訪問看護を紹介している。われわれの努力があっても高齢や一人暮らしの問題を処理することは難しい。高齢者の問題は一般病床と療養病床と訪問看護の連携でよくなるであろう。訪問看護は新体制が2003 年4 月に始まり, われわれはこれらの問題を解決しようと心掛け, 患者達に安心で安全な在宅ケアを勧めようとしている。 -
演題発表現場の取組み1 当ステーションでの時間外緊急時電話相談の検討
31巻Supplement II(2004);View Description Hide Description当訪問看護ステーションは設立当初から利用者の医療依存度が高いこともあり, 24 時間対応を実施してきた。介護保険制度が導入されてからも「緊急時訪問看護加算」の契約にて電話での相談, また緊急時訪問看護を実施してきた。今回, 在宅療養者または介護者からの時間外の電話相談の内容を基に分析し検討したので報告する。 -
地域医療支援病院における計画的在宅移行 在宅中心静脈栄養法導入患者の指導計画書作成
31巻Supplement II(2004);View Description Hide Description当院は, 在宅中心静脈栄養法(以下, 在宅IVH )の導入を1998 年から行っており, 対象の事例ごとに担当医師や看護師などと個別に情報交換を行いながらその導入指導を実施してきた。在宅IVH の導入指導を始めてから5 年が経過し, 南多摩医療圏およびその近隣地域での在宅IVH の医療連携体制が定着してきた。そこで今回, 過去2 年間の在宅IVH 導入指導を実施した57 事例を整理検討し, 導入開始から退院後の病診連携までの流れを標準化して「在宅IVH 導入指導計画書」を作成した。これにより患者にかかわる各医療者の役割が明確になり, 情報の共有化と院内体制整備ができ, 円滑な在宅移行が実施できた。 -
演題発表現場の取組み2 乳癌患者と在宅医療
31巻Supplement II(2004);View Description Hide Description乳癌患者における在宅医療は, 乳癌という癌種の特徴と問題点から社会的側面と医療的側面それらを合わせた問題点を十分に考慮検討し, 在宅医療を行う必要がある。 -
演題発表現場の取組み3 当科における在宅医療の現況
31巻Supplement II(2004);View Description Hide Description当科における在宅医療の現況について報告する。1996 年7 月より在宅医療を行った患者総数は76 名, 男性46 名, 女性30 名であった。年齢は32〜92 歳で平均73 歳であった。訪問日数は最短1 日で最長は5 年5 か月に及ぶ。70 名が悪性疾患の患者で, そのうち53 名が終末期の患者であった。76 名中63 名が亡くなり, 半数を超える35 名を在宅で看取った。14 名は他病院, 診療所からの紹介患者で, 病診連携として在宅医療を行った。退院調整, 看護連携について当院では特に問題を認めていない。
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