Volume 45,
Issue 11,
2018
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総説
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癌と化学療法 45巻11号, 1561-1566 (2018);
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近年のがん臨床試験において,ランダム化第Ⅱ相と呼ばれる試験デザインがしばしば用いられる。そのなかには,これまでに多く行われた典型的な試験とは異なる試験デザインを用いて実施されたものも多く存在する。従来から用いられてきたものとしては,Simonの選択デザインと呼ばれるものや同時対照を伴うスクリーニングデザイン,用量探索のためのランダム化デザインなどがあるが,これらの試験デザインとは異なる目的に対応するものも多く実施されている。スクリーニングを目的とする第Ⅱ相試験では,開発しようとする治療法または薬剤の特性に合わせた試験デザインが求められることは本質的である。典型的なデザインにとどまることも多い第Ⅰ相試験や第Ⅲ相試験とは異なり,多彩な試験目的に合わせた多彩な選択肢が試験デザインにおいても当然あるべきであろう。現状,ランダム化第Ⅱ相試験デザインは異質な試験デザインの集合体である。実際の試験計画に適切なデザインを適用するに当たっては,研究者に適切な洗練が求められる。さらには必要性に応じて,状況に合わせた新しい試験デザインの開発も統計家に求められていくであろう。
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特集
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MSI-H Cancerの診断と治療
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癌と化学療法 45巻11号, 1567-1572 (2018);
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近年,がんに対する免疫療法,特に免疫チェックポイント分子を標的とした抗cytotoxic T lymphocyte-associatedantigen 4(CTLA-4)抗体,抗programmed death 1(PD-1)抗体やPD-1 のリガンドであるPD-L1に対する抗体などの開発進歩が著しい。特に,大腸がんにおいてはマイクロサテライト不安定(MSI-high),またはDNAミスマッチ修復機能欠損(mismatch repair deficient: dMMR)に対する免疫チェックポイント阻害薬の有効性が多数報告され,2017 年5 月大腸がんを含む標準治療抵抗性もしくは標準治療のない MSI-high/dMMR 固形がんに対して,ペンブロリズマブが臓器横断的に米国食品医薬品局(FDA)より承認された。2017年8月には,フルオロピリミジン・オキサリプラチンおよびイリノテカンによる治療後に病勢進行した MSI-high/dMMR の転移性大腸がんに対してニボルマブが承認された。今後がん治療を行う上で,MSI statusを評価することが重要となる。
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癌と化学療法 45巻11号, 1573-1576 (2018);
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2017 年5 月米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)は,高頻度マイクロサテライト不安定性(microsatellite instability-high:MSI-H)またはミスマッチ修復遺伝子の欠損(deficient mismatch repair:dMMR)を認める固形癌に対して,発生臓器にかかわらずpembrolizumabの使用を迅速承認した。MSI-Hを発生する疾患としてLynch 症候群があげられるが,散発性癌でも一定頻度でMSI-Hを有する。泌尿器科癌におけるLynch 症候群,MSI-Hの頻度について概説する。
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癌と化学療法 45巻11号, 1577-1581 (2018);
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婦人科がんのなかで,マイクロサテライト不安定性(microsatellite instability: MSI)が最も多く認められるのは,子宮内膜癌(内膜癌)である。複数のマイクロサテライト領域にアレル変動が認められる場合にはMSI-high(MSI-H)と呼ばれ,MSI-H cancerである内膜癌は,ミスマッチ修復(mismatch repair: MMR)遺伝子の生殖細胞系列変異であるLynch 症候群と体細胞系列変異あるいはメチル化の異常による散発性MSI-H 内膜癌に分けられる。Lynch 症候群関連腫瘍のなかで大腸癌に次いで多く発生する内膜癌では,散発性に比較して発症年齢が若く,子宮峡部の発生が多い。また,早期癌が多く,内膜癌で頻度の高い類内膜癌だけではなく他の組織型もみられる。一方,散発性のMSI-H内膜癌では,異型度が高い傾向にあるものの,MSI-Hのないものと比較しても予後に差がない。最近,大腸癌に対して,MSI-Hをバイオマーカーとして免疫チェックポイント阻害薬が有効とするランダム化比較試験(RCT)が発表されたことを契機に,内膜癌を含むMSI-H 固形癌にも有効であるとするRCT が報告された。本邦において増加傾向にある内膜癌に対し,MSI-Hを診断ツールとした新しい薬剤の導入と適応拡大が今後注目される。Lynch 症候群に伴う内膜癌は遺伝性腫瘍であることから,患者自身の他の関連腫瘍ならびにその家族における内膜癌を含めた関連腫瘍の発生に対するスクリーニングが重要であることは論を俟たない。しかし,内膜癌を含む多くのLynch症候群関連腫瘍では確立されたスクリーニングの方法はないのが現状である。Lynch 症候群家族におけるがんの早期発見と予後改善のためには遺伝カウンセリングの導入や診療科横断的な管理が必要であり,そのシステム構築が焦眉の課題である。
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癌と化学療法 45巻11号, 1582-1586 (2018);
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MSI-H腫瘍は,他の腫瘍とはまったく異なる癌化メカニズムによって形成されていることから,形態学的にも異なることが知られている。特にMSI-H大腸癌では改訂ベセスダ分類においてもその組織学的特徴がMSI検査の施行を推奨する項目の一つに組み入れられている。本稿では,大腸癌の組織学的特徴を解説するとともに,プロモーターメチル化によるMSIの多い婦人科腫瘍との関連や免疫組織学的検査についてまとめた。
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特別寄稿
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癌と化学療法 45巻11号, 1609-1613 (2018);
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ペメトレキセド(アリムタ®)は,複数の葉酸代謝酵素を同時に阻害することで抗腫瘍効果を示す葉酸代謝拮抗薬で,日本では非扁平上皮非小細胞肺癌に対する標準治療薬として用いられている。本稿では,これまでに実施したペメトレキセドの初回化学療法・継続維持療法に関する大規模臨床試験の有効性および安全性のエビデンスを概説し,近年承認された免疫チェックポイント阻害剤との併用に関する今後の展望を述べる。
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原著
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癌と化学療法 45巻11号, 1615-1618 (2018);
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目的: S-1,シスプラチン,イリノテカン,タキサン製剤に耐性となった進行胃癌症例におけるCapeOX療法の有効性と安全性を検討する。方法: 対象はS-1,シスプラチン,イリノテカン,タキサン製剤に耐性となりCapeOX を施行した12例の進行胃癌症例とし,その有効性と安全性について後方視的に解析した。結果:奏効率16.7%,病勢コントロール率は75.0%であった。無増悪生存期間の中央値3.1か月,CapeOX開始後の全生存期間の中央値は8.3 か月であった。有害事象はGrade 3 の好中球減少,Grade 1〜2 の末梢神経障害を半数の症例で認めた。結論: CapeOX 療法は既治療の進行胃癌症例に一定の効果がみられ,また有害事象も忍容可能なものであり,救済治療の選択肢の一つになり得ることが示唆された。
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癌と化学療法 45巻11号, 1619-1623 (2018);
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イリノテカン塩酸塩(CPT-11)によるコリン様症状の発現状況を調査し,臨床因子との関連性について検討した。2008 年5 月〜2014 年12 月にCPT-11 併用化学療法の適応となった大腸がん症例61 例を対象とし,CPT-11 によるコリン様症状の発現状況を調査した。46 例(75.4%)で何らかのコリン様症状が認められ,うち29 例(47.5%)でGrade 2 以上の症状を呈した。鼻汁(47.5%),流涙(39.3%),悪心・嘔吐(29.5%),水様便(26.2%)が多かった。多変量解析の結果から,「CPT-11高用量(150 mg/m2)投与」がコリン様症状発現の有意な危険因子として,「PS 0」が症状発現を軽減する有意な因子として抽出された。これらの臨床因子を踏まえ適切に対応することが重要である。
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癌と化学療法 45巻11号, 1625-1629 (2018);
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抗悪性腫瘍薬による過敏症反応は全薬剤で生じ得るがその予測は困難である。過敏症反応の薬剤ごとの特徴や適切な対処方法を明らかにするため,2011年4 月〜2015年3 月までの当院外来化学療法センターにおける過敏症反応・インフュージョンリアクションを後方視的に検討した。外来化学療法施行患者55,046名のうち過敏症反応141 例(0.26%),インフュージョンリアクションは70 例(0.13%)に認められた。過敏症反応は,オキサリプラチン41 例(29.1%),ドセタキセル38 例(27.0%),カルボプラチン11 例(7.8%)の順で多く,インフュージョンリアクションは,インフリキシマブ26 例(37.1%),リツキシマブ19 例(27.1%),トラスツズマブ18 例(25.7%)の順で多かった。臓器別の過敏症反応症状は,皮膚症状88 例(62.4%),消化器症状49 例(34.8%),呼吸器症状43 例(30.5%)の順に多く認められた。オキサリプラチンによる過敏症反応発現までの期間中央値は7 サイクルであったが,2 サイクルで発現した症例が最も多かった。一方,ドセタキセルによる過敏症反応はすべて3 サイクル以内で発現しており,初回治療時が最も多かった。本結果は,安全な外来化学療法の実施,薬剤に応じた適切なリスクアセスメントをする上での貴重なデータと考える。
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医事レポート
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癌と化学療法 45巻11号, 1631-1635 (2018);
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目的: 医師の終末期の栄養に関する意識調査を基にその傾向を分析する。方法:楽天リサーチ株式会社(東京,世田谷)の調査パネルに登録している登録者のうち,計2,773人の医師に対して無作為に調査に対する参加依頼メールを配信し,計500 人より回答を得た時点で回収を終了,回答を集計した。結果:治る見込みがなく意思の疎通が取れない患者に対し,栄養を中止するという医師が500人中112人(22.4%),拘束の上栄養を継続すると答えた医師が500 人中104 人(20.8%)であった。開業医と比較して,病院勤務医がより患者を拘束の上栄養を継続すると回答していた(27% vs 3%,p<0.00001)。考察:本調査により,20.8%の医師が患者の尊厳を保つことを目的とした最新の終末期医療のエビデンスを知らないことがわかった。この結果は,他国で通常行われている診療とは異なるものと考えられる。終末期に関するガイドラインを実践させていくためにも,医師のみならず医学生へのガイドラインの周知が望まれる。
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症例
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癌と化学療法 45巻11号, 1637-1639 (2018);
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症例は88 歳,女性。X 年7 月より労作時の呼吸苦を自覚し症状悪化のため近医を受診した。胸部X線上,著明な心拡大と左胸水貯留を指摘され,当院循環器内科に紹介となった。入院後,経皮的心嚢穿刺細胞診により腺癌と診断されたが原発巣の同定は困難であった。年齢,心タンポナーデを呈す癌性心嚢水貯留があることから,予後不良と判断されBSC の方針となった。しかし患者本人ならびに家族から精査加療の希望があり,当科転科となった。直ちに左胸水からセルブロックを作製し,病理組織化学的検査にてALK 陽性肺腺癌と診断された。performance status(PS)3 まで悪化進展した病態は,ALK阻害薬導入により速やかに改善した。治療開始後1年経過した現在も通院加療中である。高齢で心タンポナーデを呈した癌性心嚢水貯留例といえども,侵襲に考慮しつつ病態の解明を図ることの重要性が強く示唆された。また,セルブロックを用いた迅速な解析は正確な診断に非常に有用と考えられた。
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癌と化学療法 45巻11号, 1641-1644 (2018);
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症例は66 歳,男性。右上葉肺腺癌術後,術後補助化学療法後に再発した。PD-L1高発現であり免疫チェックポイント阻害薬pembrolizumab(キイトルーダ®)での治療を行った。初回投与後に重症薬疹を発症し,ステロイド点滴静注および内服に外用を併用しいったんは改善したが,早期に再燃し中毒性表皮壊死症を発症した。ガンマグロブリン療法,全身ステロイド投与,広域抗生剤など集学的治療により皮膚障害は改善した。肺癌に対するpembrolizumab投与中の中毒性表皮壊死症の報告はなく,本症例はいったん軽快後により重篤な病態として早期に再燃するという特異な経過をたどった。
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癌と化学療法 45巻11号, 1645-1647 (2018);
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ホルモン受容体陽性乳癌の手術拒否・不適格例では,有害事象が少なく,長期投与が可能な内分泌療法が選択されることがある。今回,2012〜2015年に当科および関連施設においてホルモン受容体陽性乳癌と診断され,非切除かつ内分泌療法を施行したStageⅠ〜Ⅲの8 例を対象とし,内分泌療法の意義について検討した。平均治療期間は20.1 か月であり,治療を中断した症例はなかった。またPD となった症例はなく,手術拒否・不適格例においては内分泌療法も有用・安全な選択肢であると考えられた。
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癌と化学療法 45巻11号, 1649-1652 (2018);
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症例は67 歳,男性。上部消化管内視鏡検査で食道癌と診断された。術前CT で両側肺門にリンパ節腫大を多数認めた。採血上,可溶性インターロイキン2 レセプター(sIL-2R)は高値であったがアンギオテンシン転換酵素(ACE)は正常範囲内でサルコイドーシスの確定診断には至らなかった。食道亜全摘術(3領域郭清)を施行した。上縦隔から腹部リンパ節に非乾酪性類上皮肉芽腫を多数認め,サルコイドーシスと確定診断した。サルコイドーシスに合併した食道癌はまれである。腫大リンパ節が反応性変化か転移かを術前CTやPET で鑑別することは困難である。術前化学療法を行っていればリンパ節の形態を経時的に捉えることで,鑑別がついた可能性はある。
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癌と化学療法 45巻11号, 1653-1655 (2018);
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症例は72 歳,女性。胃体上部癌に対して腹腔鏡下胃全摘を施行した。pT3,N1,M0,pStageⅡB であり,術後48 日目より補助化学療法としてティーエスワン®(TS-1)配合OD 錠の投与を開始した。1 コース目は好中球減少により7 日目以降スキップした。減量して2 コース目を行い,好中球減少を認めず完遂できた。臨床試験参加症例であり,後発医薬品の使用は認められていなかったが,患者への聞き取りで2 コース目はエヌケーエスワン®配合OD 錠が投与されていたことが判明した。3 コース目以降はTS-1 に戻して継続したが,毎コース好中球減少を認め,減量と投与スケジュールの変更を行った。後発医薬品内服時のみ好中球減少が軽快しており,先発医薬品と薬理作用の違いがある可能性が考えられた。
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癌と化学療法 45巻11号, 1657-1660 (2018);
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症例は69 歳,女性。盲腸癌,pMP,pN1,sH1,sP0,cM0,fStage Ⅳで,原発巣に対して2015 年1 月腹腔鏡下回盲部切除,D3 郭清施行。病理組織診断は,moderately differentiated adenocarcinoma>mucinous adenocarcinoma,ly1,v0,RAS wild type(化学療法一次治療開始時には判明しておらず)であった。肝転移巣は下大静脈に浸潤している可能性が高く切除困難と診断して,肝転移巣に対しmFOLFOX6+bevacizumab(Bmab)療法を4 コース施行し,効果判定はprogressivedisease(PD)であった。このため二次治療へ移行し,FOLFIRI+panitumumab(Pmab)療法を開始した。16 コース施行後のCT で新規病変として肺転移巣が出現し,PD の判断の下でsalvage line へ移行した。TFTD+Bmab 療法を施行しlong stable disease(SD)を得られた。TFTD は,Bmabの併用により有効性の増強が示唆された。また,比較的安全に施行できると考えられた。
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癌と化学療法 45巻11号, 1661-1664 (2018);
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症例は57 歳,女性。上行結腸癌にて回盲部切除術を施行した。病理診断はpSSN2M0(pStage Ⅲb)であった。術後補助化学療法としてCapeOX 療法を開始したが,開始13 日目に多発性口内炎による食事摂取困難が出現し,以後19 日間Grade 4 の骨髄抑制を認め治療に難渋したがG-CSF 投与および厳重な感染予防にて軽快した。有害事象発生の原因を検討したところ,5-FU 代謝酵素であるDPD 活性が3.49%でDPD 欠損が認められた。5-FU 代謝酵素であるDPD の欠損が認められた。DPD 欠損は先天的で極めてまれであるが,フッ化ピリミジン系抗癌剤の代謝障害により極めて重篤な有害事象を招く危険性があり適切な対応が必要である。
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癌と化学療法 45巻11号, 1665-1668 (2018);
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症例は60 歳,女性。fStage Ⅲaの上行結腸癌に対し術後補助化学療法としてmFOLFOX6療法を開始したところ,投与終了直後に意識障害[Japan Coma Scale(JCS)Ⅲ-200]を来した。血中アンモニア値は319 mg/dLと高値であり,高アンモニア血症による意識障害と診断し,分枝鎖アミノ酸(BCAA)製剤と酸素投与により翌日には血中アンモニア値低下とともに意識状態も改善した。2 か月後,悪心・嘔吐への副作用対策強化と5-FU の減量で再度mFOLFOX6療法を試みたが,再び意識障害(JCS Ⅲ-200)を来した。これら一連の高アンモニア血症の原因としては,5-FU 投与速度が考えられた。5-FUによる高アンモニア血症の頻度は5〜9%と比較的まれであるが,現状の5-FU の高濃度持続投与レジメンが推奨されている大腸癌の抗がん剤治療においては,注意が必要な重要な副作用の一つと考えられた。
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癌と化学療法 45巻11号, 1669-1672 (2018);
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当院ではmFOLFOX6とFOLFIRI をそれぞれの有害事象を減らすため,4 回ずつ交互に行う交代療法(FIREFOX)にbevacizumabを加えた化学療法を施行し,切除不能大腸癌に対して100%の奏効率を示してきた。しかしながら,術前化学療法になると原発巣からの出血や穿孔が懸念され,bevacizumabは使用しにくい。そこで,最初の8 コースはcetuximabを用い,次の8 コースでbevacizumabを使用し手術可能となった1 例を経験した。症例は77 歳,女性。肛門縁から約7 cmの下部直腸にⅡ型腫瘍と多発性肝転移を認めた。FIREFOX+cetuximab を8 コース施行した。腫瘍の縮小を待って,FIREFOX+bevacizumabを8 コース施行した。腫瘍マーカーは正常値化し,基幹病院に紹介し肝切除と低位前方切除術を施行,現在,無再発で生存中である。
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癌と化学療法 45巻11号, 1673-1676 (2018);
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レゴラフェニブは切除不能結腸直腸癌で使用されているが,副作用の発現頻度が高く注意深い観察や処置が必要な薬剤である。これまで減量投与の有効性は報告されているが,われわれは80 mgへの減量と1 週投与1 週休薬の期間短縮を加えた投与法で開始し,徐々に増量と期間延長を行った。2015 年9 月〜2017年3 月までに切除不能遠隔転移,再発を認めた結腸直腸癌に対し,標準化学療法後にレゴラフェニブを投与した7 症例について検討を行った。平均年齢73 歳,平均BMI23.3,平均総投与量15,960(2,240〜28,000)mg,平均投与期間は243(50〜379)日であった。投与開始からの平均生存期間は399(中央値407,262〜622)日であった。Grade 3 以上の副作用は1 症例(14%)に認められた。低い副作用の発生割合と長期の生存を認めたので報告する。