Volume 47,
Issue 11,
2020
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投稿規定
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癌と化学療法 47巻11号, 0-0 (2020);
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総説
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癌と化学療法 47巻11号, 1531-1536 (2020);
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がん領域の医薬品・医療機器の研究においてリアルワールドデータ(RWD)活用への期待が高まっている。RWD として利用可能なものには,病院情報システムに由来する電子カルテデータやDPC データ,診療報酬明細書に由来するレセプトデータ,学会レジストリに由来する疾患登録データなどが含まれる。日本において商用RWD として汎用されているDPC データベースを用いた解析は利用可能なデータ項目が限られ,がん臨床研究に不可欠な患者背景,有効性,安全性の評価に制限が生じる場合がある。米国において電子カルテデータ由来のRWD として活用されているFlatiron Health 社のデータベースは,がんに特化した電子カルテを用いて,がん特有の基本情報を収集できるようにしており,さらに医療資格保持者による臨床情報の構造化を行っている。RWD の解析では「解析目的」に応じてデータベースを選択する視点が重要であり,またデータベースの品質が多様であることを理解する必要がある。
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特集
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がん薬物療法におけるサルコペニアの意味と現状
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癌と化学療法 47巻11号, 1537-1541 (2020);
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肺癌はすべての癌種において年間死亡者数は最も多く,さらに過去50 年で右肩上がりに増加している。遠隔転移のある肺癌は5 年生存率が6.4%と最も予後の悪い癌の一つである。進行期肺癌患者はおよそ70%が診断時点で前悪液質/悪液質に陥っており,予後悪化の重要な要因の一つとなっている。悪液質は多因子性の症候群であり,単一の介入方法を検討した試験では有効な結果が得られておらず,多方面からの複合介入療法の確立が望まれている。現在開発中のグレリン様作用薬アナモレリンは進行期の非小細胞肺癌/消化器癌の悪液質患者の除脂肪体重を有意に改善させ,また「高齢者進行非小細胞肺がん/膵がん患者に対する早期栄養・運動介入の安全性・忍容性試験」(NEXTAC プログラム)は,高齢進行期の非小細胞肺癌/膵癌患者における運動・栄養の複合介入療法の安全性と持続可能性を示した。これらにより悪液質の治療法が確立し,これからの進行期癌治療の新たな選択肢になると期待される。
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癌と化学療法 47巻11号, 1542-1546 (2020);
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サルコペニアは良性,悪性を問わず種々の疾患における予後不良因子として知られている。サルコペニアと胃癌における関連は主に切除可能胃癌,周術期領域において知見が集積している一方,進行・再発胃癌における情報が未だ限られている。本稿では,サルコペニアと胃癌における最近までの知見,栄養療法の意義について切除可能・周術期胃癌,進行・再発胃癌,特にがん薬物療法との関連を中心に議論する。
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癌と化学療法 47巻11号, 1547-1551 (2020);
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サルコペニアは,悪液質とともに悪性腫瘍に対する予後不良因子と認識されている。大腸癌におけるサルコペニア,がん悪液質は他癌種と比較して注目されることは少ない。しかし大腸癌においてもサルコペニアやがん悪液質に関する報告はいくつかされており,それぞれ効果や予後との関連が示唆されていることからも決して無視できない事象である。ここでは,切除可能もしくは切除不能大腸癌におけるサルコペニア,がん悪液質の与える影響について述べる。また,サルコペニアとがん悪液質は共存する可能性があり,まずはそのような状況を認知することが重要である。本稿では,大腸癌とサルコペニア,がん悪液質の関係性について最新の知見を交えて紹介する。
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癌と化学療法 47巻11号, 1552-1556 (2020);
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がん患者における栄養管理には,① がん治療に伴う生体侵襲に対する代謝学的緩和と早期回復をめざした栄養管理,② がん自体の進行に伴う悪液質(cachexia)などの代謝変動に対する栄養管理,③ 終末期の病態,患者環境,倫理感を配慮した栄養管理,④ 食を中心とする生活の質(QOL)を人生の最期まで担保,維持する社会的な栄養管理などがある。がん患者に対する栄養管理法の原則は,十分量のエネルギー補給に加えサルコペニアの予防を目的とした蛋白・アミノ酸の投与とリハビリテーションの併施やビタミンD をはじめとする各種微量栄養素の補充である。しかし,がん化学療法などの身体への薬物的な侵襲と副作用などによって惹起される食欲不振に伴う飢餓がともに混在する代謝動態においては,栄養管理の投与方法,投与内容,そして投与時期・タイミングなど栄養療法に関係する多くの重要なポイントが指摘される。本稿では,がん自体の進行によってもたらされる種々の代謝障害に加え,がん治療に伴う健常組織への影響を,特に骨格筋量および筋力などの蛋白代謝の立場,すなわちサルコペニアの発現機序とその回避の有用性を中心に概説した。
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原著
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癌と化学療法 47巻11号, 1577-1581 (2020);
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食道癌の根治的化学放射線療法(CRT)は非外科的治療を行う場合の標準治療であるが,高齢者の忍容性は明らかではない。そこで2015 年1 月~2017 年9 月に当院で根治的CRT[5-FU 700 mg/m2,シスプラチン(CDDP)70 mg/m2,放射線60 Gy]を行った食道癌₆₀ 例を,高齢者群(75 歳以上)16 例と非高齢者群(74 歳以下)44 例の2 群で後方視的に比較検討を行った。CDDP の相対用量強度は高齢者群で有意に低かった。放射線治療完遂症例の割合は両群でほぼ同等であった。有害事象は重篤な肺臓炎の発症割合が高齢者群25%,非高齢者群7%と高齢者群で多い傾向で,高齢者群の重篤な肺臓炎症例は全例治療関連死に至った。特に,高齢者で胸膜直下に索状網状影を有する症例のCRT 導入は慎重に判断し,放射線照射法を検討する必要がある。
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癌と化学療法 47巻11号, 1583-1587 (2020);
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背景: R0 切除後のStage Ⅲ胃癌症例に対する術後補助化学療法(AC)は2019 年以降,S-1・docetaxel(DOC)併用療法に統一されたが,非治癒因子を有するR1 切除例の至適AC レジメンは未だ不明である。目的: R1 切除例に対する術後S-1・DOC 療法の治療効果を検討する。方法: 肉眼的R0 切除例のうち,腹腔洗浄細胞診陽性(CY1),切除断端陽性[断端(+)],組織学的腹膜転移(pP1),組織学的リンパ節転移16 個以上(pN3b)を臨床的非治癒例とし,S-1・DOC 療法(S-180 mg/m2 day 1~14,DOC 40 mg/m2 day 1,休薬₇ 日間を含めた1 コース21 日間)を行った。術後1 年間を目標とし,以降継続する場合はS-1 単剤投与を行った。結果: 術式は胃全摘6 例,幽門側胃切除が5 例で,全例他臓器合併切除を施行した。臨床的非治癒因子は,pP1 5 例,pN3b 5 例,CY1 3 例,断端(+)1 例であった(重複あり)。治療終了理由は完遂6例,再発4 例,副作用中止1 例であり,主な副作用(Grade 3 以上)は顆粒球減少(46%)であった。7 例(63.6%)に再発を認め,内訳は播種再発6 例(54.5%),リンパ節転移1 例(9.1%)であった。生存率は1 年100 %,3 年72.7%,5 年72.7%で,無再発生存期間は64.0 か月であった。結語: R1 切除後のS-1・DOC 療法は治療選択肢の一つになり得ると考えられた。
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癌と化学療法 47巻11号, 1589-1591 (2020);
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発熱性好中球減少症(febrile neutropenia: FN)は,化学療法施行中に注意すべき副作用の一つである。適切な治療強度(dose intensity: DI)を維持することは生存率の向上につながるため,FN 発症を抑制することは重要である。従来よりTC 療法のFN 発症頻度は高いと認識されているにもかかわらず,AC 療法は欧米人においてFN 発症頻度が低いとされており,granulocyte-colony stimulating factor(G-CSF)製剤の一次予防は推奨されていない。しかし日常診療において,AC療法のFN 発症症例を経験する機会は比較的多い。今回,当院のAC 療法によるFN 発症頻度をTC 療法と比較して後方視的に検討した。2014 年1 月~2018 年9 月の期間に当院で周術期化学療法としてAC 療法を施行した原発性乳癌症例2₆ 例とTC 療法を施行した22 例を対象とし,FN 発症頻度を検討した。FN 発症はAC 療法2₆ 例のうち₇ 例(26.9%),TC 療法で22 例中5 例(22.7%)であった。G-CSF 製剤による一次予防例を除くと,AC 療法23 例のうち7 例(30.4%),TC 療法で18 例中5 例(27.8%)であった。当院のAC 療法施行例のFN 発症頻度はTC 療法と比較しても高く,AC 療法施行時にDIを低下させず,かつ安全性を保つために積極的なG-CSF 製剤の使用が必要と考えられた。
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症例
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癌と化学療法 47巻11号, 1593-1595 (2020);
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症例は70 歳,男性。胸部食道扁平上皮癌術後3 年目に孤立性脳転移で開頭腫瘍摘出術と全脳照射を受けた。照射後左下肢痛のためFDG-PET/CT 検査と造影MRI 検査を行い,脊髄左右S1 転移を指摘され,髄液検査にて癌性髄膜症と診断された。脊髄照射,5-FU+シスプラチン(FP)療法後も髄膜症以外の再発は認めなかった。その後,脳転移の診断から8 か月で死亡する直前までメソトレキセート,シタラビンの髄腔内投与を行いながら脳神経学的症状の増悪と改善を繰り返しながらも予後を延長することができた。
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癌と化学療法 47巻11号, 1597-1600 (2020);
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切除不能進行食道胃接合部癌に対しnab⊖paclitaxel+ramucirumab(nab⊖PTX+RAM)療法が著効しCR が得られ,サルベージ手術を実施し得た症例を経験したので報告する。症例は₅₇ 歳,男性。糖尿病で通院中に上腹部の違和感を訴えたため,上部消化管内視鏡検査を施行した。胃噴門部から腹部食道に突出する腫瘍を指摘され,組織検査で高分化型腺癌の診断であった。腹部造影CT 検査にて多発肝転移,傍大動脈リンパ節転移を認めたためstage Ⅳと診断し,切除不能進行食道胃接合部癌として化学療法の方針とした。一次治療として,まずS⊖1+CDDP 療法を開始した。2 コース実施したところで腫瘍マーカーの上昇を認め,また毒性が強く不応不耐であると判断し,二次治療としてnab⊖PTX+RAM 療法を開始した。4 コース後に腫瘍マーカーの正常化,肝転移巣の消失,腫大リンパ節の著明な縮小を認めた。しかしPET⊖CT で原発巣に一致した集積亢進が残存するため癌の遺残を否定できず,胃全摘を実施した。手術摘出標本の病理組織学的検査結果では癌の遺残を認めなかった。
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癌と化学療法 47巻11号, 1601-1604 (2020);
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症例は77 歳,男性。口側結腸の拡張と大腰筋,腸骨筋への浸潤を伴う閉塞性S 状結腸癌と診断された。このままの浸潤状態では大腰筋浸潤部の切除により左下肢麻痺が不可避と考えられたため,大腸ステント留置後に術前補助化学療法を行った。SOX 療法を 4 コース施行し根治手術を行った。術後,左下肢のしびれを認めたものの麻痺は認めなかった(Clavien⊖Dindo 分類GradeⅠ-d)。術後2 年3 か月経過し無再発生存中である。大腸ステント留置後の術前補助化学療法は,局所進行閉塞性大腸癌の治療選択肢の一つになると考えられた。
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癌と化学療法 47巻11号, 1605-1608 (2020);
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放射線照射後の放射線食道炎で高度の狭窄を来すことはまれである。この度,乳癌の胸椎転移に対する緩和的放射線照射後にベバシズマブ(Bev)+パクリタキセル(PTX)療法を施行し,高度食道狭窄を来した再発乳癌を経験したので報告する。症例は59 歳,女性。Stage ⅢB 左乳癌に対し術前化学療法後にBt+Ax を施行した。術後23 か月経過後にCEA の上昇を認め,PET‒CT 検査にて多発骨転移が認められた。Th8~L1 に20 Gy/5 回の放射線照射を行った後,Bev+PTX 療法+ゾレドロン酸を投与した。Bev+PTX 療法を4 サイクル終了後に嚥下困難を訴えはじめ,以後,症状が増悪したため上部内視鏡検査を施行した。内視鏡所見は切歯より31~37 cm の胸部食道に全周性の狭窄を認め,内視鏡的治療を行うこととしバルーン拡張術を3 回施行し,経口摂取可能なまでに回復した。食道狭窄の原因として放射線に加えBev の創傷治癒遅延作用により食道炎が増悪した可能性があることが考えられた。
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癌と化学療法 47巻11号, 1609-1613 (2020);
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症例は4 年前に左腎細胞癌および多発肺転移に対し左腎臓摘出後の80 歳,男性。当院泌尿器科で分子標的薬(sunitinib)による内服加療を行っていた。フォローアップの腹部造影CT で造影効果を伴う胆囊腫瘍を認め,その5 か月後のCTで増大傾向を示したため,胆囊癌の疑いで当科紹介となった。早期胆囊癌と判断し腹腔鏡下胆囊摘出術を施行したところ,術中迅速,病理診断で淡明細胞型腎細胞癌と診断された。そのため前回の腎摘時の摘出標本と比較したところ,形態的類似性を認めた。さらに免疫染色でCK7 は陰性であり,CD10,PAX8 が陽性であることから腎細胞癌の胆囊転移の診断とした。腎細胞癌の既往をもつ患者の胆囊腫瘤には,鑑別に腎細胞癌の胆囊転移を考慮する必要があると思われた。
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癌と化学療法 47巻11号, 1615-1617 (2020);
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症例は63 歳,女性。脂肪肉腫。腫瘍切除術後に骨盤内再発し,化学療法を行ったが無効となった。増悪する腹部膨満感の症状緩和に難渋した。経静脈的モルヒネを増量したが,副作用である眠気が出現し,苦痛症状が持続した。リドカインを用いた硬膜外鎮痛法を併用したところ,腹部膨満感による苦痛は改善して穏やかに過ごすことができた。巨大腫瘍による腹部膨満感による苦痛に対して,経静脈的オピオイド投与と並行した局所麻酔薬による硬膜外鎮痛法は症状緩和の選択肢となり得る。
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特別寄稿
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第41回癌免疫外科研究会
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癌と化学療法 47巻11号, 1621-1623 (2020);
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2005 年7 月~2020 年3 月に3,164 例の進行再発癌患者に樹状細胞療法を施行した。3 回以上投与した症例の有効率は1₉.₀%であり,ネオアンチゲンとの使用例でも38.7%と上昇した。このうち免疫チェックポイント阻害薬と併用した有効率は54.1%と上昇し,樹状細胞療法に免疫チェックポイント阻害薬を併用し,かつネオアンチゲンを使用した症例の有効率は60.7%であった。ネオアンチゲンを使用して著効した症例も示した。それぞれ100 例近い症例の有効性を比較検討した初めての報告である。
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癌と化学療法 47巻11号, 1624-1626 (2020);
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症例は77 歳,男性。心窩部不快感と吐血を主訴に当院を救急受診した。精査にて多発リンパ節転移および膵浸潤を伴う切除不能進行胃癌(UM,type 3,cT4b,N₃,M₀,Stage ⅢC)と診断された。S-1+oxaliplatin(SOX)療法,nab-paclitaxel(PTX)+ramucirumab(RAM)療法を施行した後,三次治療としてnivolumab 療法を施行した。3 コース施行したところ著効し根治切除が可能となったため,脾合併切除を伴う胃全摘術,D2 リンパ節郭清,胆囊摘出術,空腸瘻造設術を施行した。病理検査の結果は極めてCR に近いPR で,リンパ節はNo. 2 にわずかに転移を認めるのみでR₀ 切除が可能であった。補助化学療法は行わず経過観察中であるが,術後₆ か月間再発の兆候はなく経過している。免疫チェックポイント阻害薬はこれまでの殺細胞性抗癌剤とは作用機序が異なり,既存の標準的な化学療法が無効であっても著効する例が報告されている。効果予測因子が同定されれば,切除不能胃癌に対しても免疫チェックポイント阻害薬と外科的治療によって効率的で根治性の高い治療が行える可能性がある。
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癌と化学療法 47巻11号, 1627-1629 (2020);
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今回,胃癌に対する幽門側胃切除後の残胃癌に対して,内視鏡的粘膜下層剝離術(endoscopic submucosal dissection:ESD)を行った症例を経験した。症例は64 歳,女性。11 年前に進行胃癌に対し幽門側胃切除,D2 郭清,Billroth Ⅰ法再建を施行した。無再発で経過し,定期的に行っていた術後11 年目の上部消化管内視鏡検査で,残胃小弯後壁の小隆起からの生検でGroup 4 が指摘された。同病変に対しESD を施行した。切離は縫合線の一部にかかっている線維化があったが,穿孔なく一括切除を施行できた。経過は順調であり,病理結果は₀⊖I,pT1a,tub1,3×3 mm,UL(-),ly(-),v(-),HM0(8 mm),VM0(800 μm)であり,治癒切除であった。胃癌手術後₅ 年目以降も定期的に上部消化管内視鏡検査を行うことで残胃癌の早期発見ができ,内視鏡的治療で根治が得られた。
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癌と化学療法 47巻11号, 1630-1632 (2020);
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今回われわれは,肝臓癌に対する肝左葉切除後に発生した横隔膜ヘルニアに対し,腹腔鏡下の修復術を施行した症例を経験した。症例は70 歳台,女性。肝細胞癌に対し,9 か月前に肝左葉切除施行,術後フォローのCT 撮影直後に嘔吐があり,その後から心窩部痛が出現し当院を受診した。受診後胃管を留置し減圧するも心窩部痛は改善せず,翌日の造影CT で横隔膜ヘルニア嵌頓と診断し,腹腔鏡下横隔膜ヘルニア修復術を施行した。4 ポートで手術を開始し,前回手術の癒着はほとんどなかった。横隔膜ヘルニアに嵌頓している胃を腹腔内に還納し,横隔膜を2-0 プロリンで縫合閉鎖した。嵌頓していた胃は徐々に血流が改善したため,胃切除は行わなかった。術後経過良好で術後7 日目に退院,外来経過観察中であるがヘルニアの再発は認めていない。