癌と化学療法
Volume 48, Issue 6, 2021
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総説
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Antibody-Drug Conjugates(ADCs)の基礎と臨床―固形がんを中心に―
48巻6号(2021);View Description Hide Description抗体‒薬物複合体(antibody‒drug conjugate: ADC)やradioimmunotherapy(RIT)製剤などの総称として用いられる武装化抗体は,高い効果と少ない副作用をもつ次世代抗体医薬品として注目されている。武装化抗体においては,有機化学・蛋白質化学・イメージング技術・構造生物学・バイオマーカー探索などの基本技術の融合に加えて,臨床への最適化されたアダプテーションと開発戦略が必要となる。武装化抗体では,抗体は単なるキャリアであり,治療効果は結合するエフェクターであるpayload の特異性に影響する。また,バイスタンダー効果を有するADC は,標的分子発現が不均一な固形がんに期待される薬剤である。次世代ADC であるDS8201 を皮切りに新しいADC は加速的に開発されており,新しい治療の可能性を示している。今後,ADC のMOA に基づいた治療効果の予測因子の最適化が必要である。
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特集
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- がん医療における地域連携
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がん診療連携拠点病院等と地域との連携について
48巻6号(2021);View Description Hide Descriptionがん対策推進基本計画に基づくがん診療連携拠点病院等と,地域との連携の概要について概説した。二次医療圏のがん医療の提供体制の整備を担う地域がん診療連携拠点病院,地域がん診療病院と都道府県を取りまとめる都道府県がん診療連携拠点病院の体制と連携を支援する地域連携マップや地域連携クリティカルパスの共有,地域連携推進のための多施設合同会議の開催など体制は進みつつあるが地域格差も生じており,よりいっそうの推進が必要であると考える。 -
地域連携パスによる医療連携の効果
48巻6号(2021);View Description Hide Description患者および医療機関にアンケート調査を行い,がん地域連携クリティカルパス(連携パス)の利用状況や問題点について検討した。医療機関に対する調査で連携パスを用いた共同診療にメリットがあるという意見は65% でみられ,これは前回調査の2014年と比較して大きく増加した。業務量に関する調査では,2014年と同様2018年でも業務量が増えたと感じている医師が30% 程度いた。一方で,増収につながったと答えてくれた医療機関が2014年と比較し倍増しており,連携パスの収益面でのメリットも明らかとなった。患者に対する調査でも連携パスを用いてよかったと答えたのは80% でおおむね良好な意見であったが,ごくわずかではあるが悪かったという意見も聞かれた。今回のアンケート調査で,連携パスのメリットを医師のみならず患者も理解してくれており,これまでのがん地域連携専門部会の活動が一定の効果を上げていることがわかった。 -
がん患者の希望を支える緩和ケアの地域連携
48巻6号(2021);View Description Hide Description進行がんの緩和ケアにおける地域連携について,病院の事情,地域の事情,そして患者自身の希望という三つの要素がそれぞれ異なるのが問題を難しくしている。病院によって患者を最期までみることができるかが異なり,地域によって緩和ケアのリソースが充実しているかが異なり,そして患者自身の希望も時期によって変わっていく。がん患者が最期にたどる特徴的な軌跡を考えた時,早めに準備しておくことが欠かせないが,ここで大切になるのががん治療医と緩和ケア医の2人主治医制となる。ただ,この緩和ケアを導入しようとする際のコミュニケーションにおいては,そのタイミングと患者が見捨てられ感を払拭できるような配慮が大切となる。この時期は人生の最期をどう過ごすかという,患者にとっては重要なポイントであり,地域に応じてどのように臨むかよく考えることが望ましい。緩和ケアは看取りのための医療だけではなく,人生の最期をどう生きるか支える医療なのだから。 -
がん診療医科歯科連携
48巻6号(2021);View Description Hide Descriptionがん治療中の患者は口腔合併症が起こりやすく,それを原因として肺炎や敗血症などの全身合併症が続発することがある。これらの口腔関連合併症は,がん治療の延期または休止の原因となり得る。現在では合併症に対する支持療法の重要性が認識されてきており,がん口腔支持療法においては医科歯科連携が問題解決の鍵となる。医師と歯科医師の間で緊密な協力を行うことで,がん治療中の口腔関連合併症を予防し得る。それはがん治療を遅滞することなく継続できるだけでなく,がん患者の療養生活の質を向上させることにもつながる。しかし,すべてのがん患者の口腔管理を病院内の歯科だけで完結することは不可能であり,病診連携による掛かりつけ歯科診療所との協力体制の構築が必要となる。日本の歯科診療所では,日本歯科医師会により全国どこでもがん治療を受ける患者に適切な口腔支援をシームレスに提供できる連携体制が作られている。がん治療の状況や患者のニーズに応じて,病院の医師と掛かりつけ歯科医が情報交換を行うことで適切な患者サポートと歯科治療を提供することができる。
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Current Organ Topics:Central Nervous System Tumor 脳腫瘍 がん患者の神経合併症Update
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特別寄稿
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BRAF 変異陽性大腸癌の新たな治療戦略
48巻6号(2021);View Description Hide Description近年,大腸癌診療では採取した腫瘍組織・腫瘍細胞を用いて遺伝子レベルの解析を行い,治療方針の決定に役立てるプレシジョン・メディシンが進みつつある。しかし,BRAF 変異陽性大腸癌では治療選択のための検査は行われているものの,BRAF を標的とした薬剤が承認されておらず,プレシジョン・メディシンの目的を達することができていなかった。また,BRAF 変異陽性大腸癌に特化した治療が確立されていないなか,既存の薬物治療の効果は低く,予後は極めて不良であった。そのため,BRAF 変異陽性大腸癌に特異的な新たな治療選択が必要とされていた。本稿ではBRAF 変異陽性大腸癌の特徴,治療開発,そして新たな治療戦略について概説するとともに,BRAFV600E変異陽性の治癒切除不能な進行・再発の大腸癌に対して有効性が認められたエンコラフェニブ(BRAF 阻害剤),ビニメチニブ(MEK 阻害剤),セツキシマブ(抗EGFR 抗体)併用療法の大規模前向き臨床試験「BEACON CRC 試験」の結果を紹介する。 -
切除不能進行・再発大腸癌に対するFOLFIRI+ラムシルマブ療法―日本人実臨床エビデンスからの考察―
48巻6号(2021);View Description Hide Description切除不能進行・再発の結腸・直腸癌に対するFOLFIRI+ラムシルマブ療法の日本の実臨床下での有効性・安全性を確認するため,日本人結腸・直腸癌患者にFOLFIRI+ラムシルマブ療法を実施した臨床研究(症例報告を含む)の論文ならびに特定使用成績調査の中間報告をレビューした。FOLFIRI療法で用いられるイリノテカンの初回投与量が150mg/m2の日本の実臨床下でも,初回投与量180 mg/m2で実施した国際共同第Ⅲ相RAISE 試験と同様の有効性が認められ,新たな安全性の懸念は認められなかった。
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原著
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Olaparib 投与に伴う悪心に及ぼす影響因子の解明
48巻6号(2021);View Description Hide Descriptionolaparib は連日投与する抗がん薬であるが,高頻度に悪心を伴う。治療を継続する上で悪心の影響因子の解明は重要となる。olaparib を投与された23名の患者について,治療中の継続的な制吐薬処方の有無により患者を悪心発現群および非発現群に分類し,両群間の患者背景および臨床検査値を比較した。悪心発現群および非発現群の患者はそれぞれ9名および14名であり,治療開始時の平均体重はそれぞれ49.9±9.8kg および60.0±13.9 kg であった。悪心発現群の患者の体重は非発現群よりも有意に低かった。olaparib 投与から4週間後の好中球数の対数変動率は悪心発現群および非発現群において,好中球数-0.145±0.154および0.095±0.0242,リンパ球数で-0.169±0.053 および-0.060±0.110であり,悪心発現群では非発現群よりも有意に減少した。悪心発現群の治療期間は非発現群よりも有意に長かった。olaparib は同一用量で投与されるため,体重当たりの用量は体重が少ない患者で増加する。したがって,低体重の患者では悪心や血液毒性といった副作用を含むolaparib の薬効に影響を及ぼす可能性が示唆された。 -
タペンタドールのがん患者における神経障害性疼痛に対する効果についての検討
48巻6号(2021);View Description Hide Descriptionがん患者の神経障害性疼痛は,オピオイド,非オピオイド鎮痛薬といった鎮痛薬の効果が乏しい。一方,タペンタドールはμオピオイド受容体への作用とノルアドレナリン再取り込み阻害作用の二つの作用を有しており,神経障害性疼痛に対する効果が期待できる。2017年6月~2020年5月に名古屋第二赤十字病院にて神経障害性疼痛を有したがん患者のうち,タペンタドールが投与された40名を対象とし後方視的に検討した。タペンタドールの投与前後の神経障害性疼痛をNRS を用いて比較した。投与開始あるいは増量後15日以内に,中央値でNRS7から4.5 へ低下がみられた(p<0.05)。NRS 改善率33% をカットオフ値とした時,55% の患者で有効であった。以上の結果から,タペンタドールが神経障害性疼痛の軽減に寄与している可能性が示唆された。 -
超高齢初発多発性骨髄腫に対するボルテゾミブまたはレナリドミドの後方視的研究
48巻6号(2021);View Description Hide Description80歳以上の超高齢初発多発性骨髄腫患者では,bortezomib(Bor)やlenalidomide(Len)の適切な初回投与量は不明である。今回,2010年7月~2019年12 月に当院でBor またはLen を含む初回治療を受けた20例を後方視的に検討した。Bor 群の次回治療までの期間(TTNT)中央値は4.2か月で,1 回平均投与量の中央値は1.0mg/m2であった。国際病期分類(ISS)ⅢやeGFR<40mL/min/1.73m2の症例では減量を要したが,用量によってTTNT に有意差を認めなかった。Len群のTTNT 中央値は14.6か月で,1 日平均投与量の中央値は10.0mg であった。初回投与量10mg/日以下の症例では初回投与量継続率が100% で,15~20mg/日では全例減量を要した。疾病増悪(PD)による中止は20例中2 例のみであり,15例は有害事象(AE)で中止となった。初回投与量をBor 1.0mg/m2,Len 10mg/日にすることでPD を起こさずAE を抑え,安全に継続可能である可能性が示唆された。
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症例
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特発性血小板減少性紫斑病を併発した白金抵抗性再発卵巣癌の1 例
48巻6号(2021);View Description Hide Description症例は55歳,女性。2016年10月に卵巣癌に対して卵巣摘出術を施行し,術後補助療法としてpaclitaxel(PTX)+carboplatin(CBDCA)療法を6コース施行した。2017年8月に再発卵巣癌の診断となり,白金抵抗性として抗癌剤治療予定も血小板値が2.4×104/μL へと著明な減少がみられたため血液内科へ紹介となり,特発性血小板減少性紫斑病(idiopathicthrombocytopenic purpura: ITP)の診断となった。eltrombopag(EPAG)を内服開始し,68日目に血小板値が5.8×104/μL まで回復したため,gemcitabine(GEM)+bevacizumab(BV)療法が開始された。しかし開始₈ 日目に再度血小板値が1.6×104/μL へと減少したため,EPAG の投与量を抗癌剤投与day 1 の前後5日間のみ増量した。結果的に,EPAG の増量後は一度も中止することなく抗癌剤治療を遂行し,GEM の増量も図れた。今回,ITP を併発した白金抵抗性再発卵巣癌患者に対し,day 1 前後5日間の経口造血刺激薬増量が抗癌剤治療継続において有益な結果をもたらしたため,ここに報告する。 -
化学療法と手術により長期生存を得ている大動脈周囲リンパ節転移を伴う胃癌の1 例
48巻6号(2021);View Description Hide Description切除不能胃癌の標準治療は化学療法であるが,腫瘍が縮小した際のconversion surgery における治療的リンパ節郭清について,また周術期化学療法の併用効果についての明確な証拠はない。症例は63歳,男性。上部消化管内視鏡検査にて進行胃癌と診断され,CT で胃所属リンパ節,腹部大動脈周囲リンパ節および左鎖骨上窩リンパ節の腫大を認めた。S-1+シプラチン併用療法(SP 療法)を4コース施行後のCT で,左鎖骨上窩リンパ節の消失,腹部大動脈周囲リンパ節転移の縮小を認めた。conversion surgery として幽門側胃切除術,D2+大動脈周囲リンパ節郭清を施行した。術後SP 療法を2コース行い,S-1 単剤療法を2年6か月継続した。術後から5年1 か月経過し,無再発生存中である。SP 療法は切除不能胃癌に対する化学療法として有効となり得る。また,化学療法後のconversion surgery が無再発生存に寄与し得る。 -
集学的治療により長期生存が得られている原発性腹膜癌の1 例
48巻6号(2021);View Description Hide Description症例は62歳,女性。2009年1月の上部内視鏡検査で胃前庭部前壁大弯に約3cm の壁外性圧排を認めた。精査にて原発不明の腹膜癌と考えられたため,2009年5月審査腹腔鏡を行った。右上腹部から右側腹部にかけて大小多数の白色結節が散在しており,大網からの生検で乳頭状漿液性腺癌と診断した。子宮卵巣に異常を認めなかったため,原発性腹膜癌疑いにて2009年7月腫瘍が局在している大網,胃幽門側,胆囊,右半結腸を一括に摘出,また子宮両側付属器切除も行った。術中所見,術後組織診断から腹膜原発高異型度漿液性腺癌と診断,術後paclitaxel とcarboplatin 併用による化学療法を行った。その後定期検査のPET-CT などで,腸間膜や残胃周囲,骨盤底の再発を繰り返し,その都度プラチナ製剤を含む化学療法を行い,奏効,休薬を繰り返していた。2019年9月からはolaparib の内服を開始し,2020年9月のPET-CT でCR 継続中である。 -
術後10 年目に吻合部再発を来したS 状結腸SM 癌の1 例
48巻6号(2021);View Description Hide Description症例は72歳,女性。2008年にendoscopic mucosal resection(EMR)後の追加切除にてS 状結腸切除術+D2 リンパ節郭清を施行された。病理組織診断はEMR 瘢痕部に異型腺管を認めるのみで,粘膜下層以下への浸潤は認めなかった。リンパ管侵襲,静脈侵襲,神経侵襲は確認されず,口側および肛門側断端,リンパ節転移は陰性であった。術後5年間外来経過観察を行い,再発なく終診となっていた。2018年に下痢と便秘を主訴に当院を受診した。大腸内視鏡検査で吻合部近傍に全周性の隆起性病変を認めた。吻合部再発疑いに対し腹腔鏡下低位前方切除術を施行され,病理組織診断は吻合部再発であった。リンパ節転移や脈管因子が陰性の大腸SM 癌の術後10年目に吻合部再発を来した症例は極めてまれであり,術後5年目以降のサーベイランスの重要性を認識した。 -
非小細胞肺がんに対するペムブロリズマブ治療により関節リウマチを生じた1 例
48巻6号(2021);View Description Hide Description症例は40歳台,男性。経気管支肺生検により右上葉肺腺がん,cT4N0M0,Stage Ⅲ(EGFR 遺伝子変異陰性,ALK融合遺伝子陰性,ROS1 融合遺伝子陰性,TPS50~74%)と診断された。手術施行後の経過観察中に,右鎖骨上窩リンパ節および右上下部気管傍リンパ節の腫大が認められた。positron emission tomography-CT 画像から再発と診断された。リウマトイド因子は陽性であったが,関節リウマチ(rheumatoid arthritis: RA)症状は認められなかったためペムブロリズマブ療法が開始となった。2 コース目の投与前に薬剤師が患者から手指疼痛を聴取し,治療の継続可否および検査項目について担当医と協議した。その結果,追加検査が実施され,RA の診断に至った。 -
EGFR 遺伝子変異陽性の肺腺扁平上皮癌の術後再発例に対してエルロチニブ+ベバシズマブ併用療法が奏効した1 例
48巻6号(2021);View Description Hide Description症例は59 歳,男性。左下葉切除ND2a‒2 を行い,術後病理診断で腺扁平上皮癌,pT2aN0M0,stage ⅠB となった。また,上皮成長因子受容体(EGFR)変異は陽性(exon 21: L858R)であった。術後30か月後に再発病変(左胸水貯留および胸膜播種)を認め,一次治療としてカルボプラチン+nab‒パクリタキセル×4 コース施行したが,その10 か月後に病変増悪を認め,二次治療としてペムブロリズマブ投与を開始した。7 か月後に新規病変として胸膜病変再増大および肋間筋転移を認めたため,肋間筋転移巣を照射後,エルロチニブ+ベバシズマブ併用療法を開始し14 か月後(術後67か月後,再発後37か月)の現在,完全奏効維持となっている。EGFR 変異陽性の肺腺扁平上皮癌に対するチロシンキナーゼ阻害剤投与の治療成績は予後不良といわれており,エルロチニブ+ベバシズマブ併用療法が完全奏効した希少な症例と思われたため報告する。 -
A Case of Advanced Lung Adenocarcinoma Harboring an Epidermal Growth Factor Receptor(EGFR)Exon 20 Insertion, D770_N771insSVD
48巻6号(2021);View Description Hide Description症例は57 歳,女性。進行肺腺癌と診断され,シスプラチンとペメトレキセドによる併用化学療法が導入された。ペメトレキセドによる維持療法中に病勢が進行し,二次・三次治療でも制御が困難であった。その後,上皮成長因子受容体(epidermalgrowth factor receptor: EGFR)exon 20挿入変異D770_N771insSVD 陽性であることが判明したため,四次治療として第二世代EGFR チロシンキナーゼ阻害薬(tyrosine kinase inhibitor: TKI)であるアファチニブを用いたところ,複数の病巣で縮小が認められた。EGFR exon 20 挿入変異に対するEGFR‒TKI の一次治療としての利用は推奨されていないが,この挿入変異に対するアファチニブは,二次治療以降の有用な治療選択肢になり得ると思われる。 -
漢方の追加投与が癌の制御と抗癌剤の副作用の軽減に寄与した3 症例
48巻6号(2021);View Description Hide Description漢方を追加投与することにより,抗癌剤の副作用の軽減や癌の増殖の制御を強化できる可能性があることを示唆した3 症例を経験した。2 症例は抗癌剤に対する耐性ができつつある時に,他の漢方を追加投与することにより再び癌の増殖を制御することができるようになった。残りの1 症例に関しては化学療法中に血小板減少が生じたが,他の漢方を追加投与することにより血小板減少症を回避することができるようになった。漢方を内服していても期待しているような効果がでない時には,他の漢方を追加投与することが重要と考えられた。
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