Volume 51,
Issue 11,
2024
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投稿規定
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癌と化学療法 51巻11号, 1186-1187 (2024);
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癌と化学療法 51巻11号, 1188-1189 (2024);
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総説
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癌と化学療法 51巻11号, 1089-1094 (2024);
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DNA メチル化やヒストンアセチル化などによるエピゲノム調節機構はゲノムレベルの遺伝子発現調節を介する様々な生命現象のコントロ-ルに重要であり,環境要因により変化する可逆的なシステムである.エピゲノムの異常は発達や加齢異常,神経疾患や悪性腫瘍など種々の疾患の発症と関連する.大腸癌の発生・進展における重要なエピゲノム変化として,DNA メチル化異常があげられる.腫瘍組織におけるDNA メチル化は主に遺伝子のプロモ-タ-領域のCpG アイランドに生じ,転写を負に抑制することで遺伝子の機能を失活させる.DNA メチル化が関連する大腸癌の重要な発がん機構としてCpG island methylator phenotype(CIMP)があげられ,全大腸癌のおよそ20% にかかわるとされている.CIMP は一般的にCIMP マ-カ-として抽出された遺伝子セットに一定以上の割合でメチル化を認めた場合にCIMP 陽性と判定され,これまで多くのCIMP マ-カ-に関する報告がなされている.しかし,大腸癌のゲノムワイドなDNA メチル化状態を分類するための確立されたマ-カ-セットはなかった.また,われわれはDNA メチル化状態が大腸癌の標準治療薬である抗EGFR抗体薬の感受性と予後の予測因子となることを見いだした.そこでわれわれは,ゲノムワイドなDNA メチル化状態を簡便に判定する方法を新たに開発し,大腸癌に対する抗EGFR 抗体薬の感受性を予測する新しい体外診断薬として薬事承認を取得した.
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特集
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新しい治療標的クロ-ディン
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癌と化学療法 51巻11号, 1095-1099 (2024);
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タイトジャンクション(tight junction,密着結合: TJ)は脊椎動物の上皮細胞,内皮細胞に存在する細胞間結合の一種で,細胞間隙における水溶性分子の漏れを制限することにより,上皮や内皮のバリア機能に寄与する.クロ-ディンはTJの構築と機能に中心的な役割を果たす膜蛋白質で,20 を超えるサブタイプからなるクロ-ディンファミリ-を形成する.上皮細胞では複数のクロ-ディンサブタイプが共発現していることが多く,細胞種により発現するクロ-ディンの組み合わせが異なる.重要なことは,クロ-ディンのサブタイプには電解質の透過を妨げるTJ を形成するバリア形成型に加え,TJ に電解質を透過させる小さい穴を形成するポア形成型が存在することである.これらの組み合わせの違いによりTJ の機能的な多様性が生みだされ,各上皮に必要な細胞間隙の透過性がチュ-ニングされている.クロ-ディンの遺伝子欠失マウスの表現型やクロ-ディン遺伝子の変異に起因する遺伝病の解析から,TJ の器官レベルの機能やTJ の機能低下と病態の関連について理解が進んでいる.
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癌と化学療法 51巻11号, 1100-1104 (2024);
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多くの固形がん組織で細胞間接着分子であるクロ-ディン(CLDN)の発現増加が報告されているが,発現調節機構や病態生理機能は不明な点が多い.われわれは,肺腺がん細胞にCLDN2 が,大腸がん細胞にCLDN14 が高発現しており,細胞増殖能を亢進することを見いだした.さらにがん細胞を三次元培養して構築されるスフェロイドを用いて,CLDN2 とCLDN14 が抗がん剤抵抗性の獲得に寄与することを解明した.また,これらのCLDN はスフェロイド内の酸化ストレスを亢進し,Nrf2 経路の活性化を介して抗がん剤抵抗性を亢進した.CLDN2 によるNrf2 経路の活性化には,グルコ-ス供給の制限,グルコ-ス代謝の解糖系から酸化的リン酸化経路への移行,ミトコンドリア活性の増大が関与することが示唆された.CLDN 発現低下薬にはがん細胞の増殖阻害効果と抗がん剤抵抗性改善効果が期待できる.がん種によってCLDN サブタイプの発現パタ-ンが異なるため,治療標的となる最適なCLDN サブタイプを探索する必要がある.
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癌と化学療法 51巻11号, 1105-1110 (2024);
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クロ-ディン(CLDN)は密着結合の主要な構成因子であり,細胞の種類ごとに特定の組み合わせで分布している.最近は,腫瘍細胞で過剰発現したCLDN ががん悪性形質を正と負の両方に制御することが様々な研究から明らかになってきた.そのメカニズムは,CLDN とシグナル分子との融合遺伝子形成,腫瘍細胞と非腫瘍細胞との異細胞間接着によるニッチ形成,細胞膜上での他の膜貫通分子との共役,細胞間接着装置複合体のシグナル起点となる場合などに大別される.本稿では,これらについて代表的な例をいくつか提示し解説したい.
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癌と化学療法 51巻11号, 1111-1118 (2024);
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切除不能進行・再発胃癌/食道胃接合部癌に対する標準的な一次治療はフッ化ピリミジン系薬剤とプラチナ系薬剤の併用療法であり,HER2 陽性であればトラスツズマブ,HER2 陰性であればニボルマブなどの免疫チェックポイント阻害剤(immune checkpoint inhibitor: ICI)を追加することが標準治療となっている.しかしHER2 を標的とした分子標的薬やICIの恩恵を得られない患者は依然として多く,新たな治療標的が探索されてきた.そのようななか,CLDN18.2 は胃における組織特異的治療標的として注目され,CLDN18.2 に対するファ-ストインクラスのキメラIgG1 モノクロ-ナル抗体であるゾルベツキシマブが開発された.ゾルベツキシマブは抗体依存性細胞傷害作用(ADCC)および補体依存性細胞傷害作用(CDC)を介してがん細胞死を誘導する.最近,ゾルベツキシマブと化学療法の併用が,HER2 陰性CLDN18.2 陽性未治療切除不能進行・再発胃癌/食道胃接合部癌患者を対象とした臨床試験において生存割合の向上を示した.2024 年3 月ゾルベツキシマブは本邦で承認され,HER2 陰性CLDN18.2 陽性例の新たな標準治療となった.CLDN18.2 陽性例には,若年者やスキルス胃癌あるいは腹膜播種・腹水を伴う難治性胃癌の患者集団が多く含まれており,新たな治療選択肢が登場した意義は大きい.今後,ゾルベツキシマブの新たな併用療法の可能性や他のCLDN18.2 を標的とした治療(モノクロ-ナル抗体,抗体薬物複合体,キメラ抗原受容体T 細胞療法,二重特異性抗体)の開発にも期待が寄せられている.本稿では,ゾルベツキシマブを中心にCLDN18.2 陽性胃癌/食道胃接合部癌における治療について概説する.
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原著
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癌と化学療法 51巻11号, 1139-1142 (2024);
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目的: CEA 測定法変更によるCEA 値の変動を評価することを目的とした.対象と方法: 2023 年1~3 月に新規CEA 測定を行った大腸癌163 例を対象とした.2022 年12 月まで(旧測定法)は,測定機器としてCentaur XP,XPT を使用,試薬はケミルミCEA を用いていた.2023 年1 月以降(新測定法)は測定機器としてAlinity i,試薬はCEA・アボットを使用している.結果: 対象163 例のうち再発16 例,他癌併存2 例を除いた145 例を解析した.男性76 名,女性69 名,年齢中央値は74 歳であった.新旧CEA 値の採血間隔は中央値で91 日であった.1 例を除いてCEA 値が前回値よりも高値となっていた(99.3%).CEA 平均値は2.06 ng/mL(旧測定法)から3.14 ng/mL(新測定法)に上昇し,新測定法で有意に上昇していた(p<0.0001).旧CEA 値をx,新CEA 値をy とした近似曲線を作成すると,y=1.3281x+0.4112(R2=0.8334)となった.結論: CEA 値は測定法により違いがあり,その評価には注意が必要である.
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癌と化学療法 51巻11号, 1143-1152 (2024);
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目的: 日本人の実臨床におけるvenetoclax+azacitidine(VEN+AZA)療法の有効性,安全性,予後因子,継続に影響する因子,至適投与患者群,至適投与法を解析する.方法: 当科において未治療もしくは再発/難治のAML でVEN+AZAが施行された39 例を後方視的に解析する.結果: 観察期間中央値は6 か月,投与サイクル中央値は2 サイクル,composide complete remission(CRc)+complete remission with incomplete hematological recovery(CRi)到達は61.5%,治療中止率は76.9%,overall survival(OS)の中央値が7.7 か月,event‒free survival(EFS)の中央値は4.8 か月.サブ解析においてOS に有意差を認めたのは,cytogenetic risk,CRc 到達率,CCI≦7 であった.EFS に有意差を認めたのは,cytogenetic risk とCRc 到達率であった.cytogenetic risk 分類別では,adverse 群で奏効率が低い傾向であった.1 cycle 目でのVEN の投与期間が21 日以下の群がOS で良好な傾向であった.結語: 中止率が高いこと,投与サイクルが少ないこと,CRc 到達率が低いことがVIALE‒A 試験と比較してOS とEFS が低い原因と考えられた.予後改善には治療を継続することが重要と考えられた.VEN+AZA 療法の至適投与患者群の選別と投与スケ-ジュ-ルの工夫が必要と考えられた.
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症例
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癌と化学療法 51巻11号, 1153-1155 (2024);
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局所進行乳癌は自壊や壊死を起こし,悪臭などを伴うことで患者のQOL を低下させることがある.局所進行乳癌に対してMohs 軟膏と全身薬物療法を併用することで,QOL の向上と著明な病勢コントロ-ルを得ることができた1 例を経験した.症例は70 歳台,女性.右乳房腫瘤を主訴に前医を受診し,右乳癌の疑いで当科紹介となった.右乳房全体に自壊と潰瘍形成を伴う腫瘤を認め,精査の結果,cT4bN3aM1(PUL),cStage Ⅳの浸潤性乳管癌,HER2 type と診断された.患者の都合により第1 病日ではなく,第8 病日より右乳房腫瘤に対するMohs 軟膏処置が開始され,第22 病日からは全身薬物療法も開始された.Mohs 軟膏処置は1 週間に1 回,計4 回施行され,乳房腫瘤の著明な縮小を認めた.治療開始6 か月以上が経過し,肺転移巣を含めCR を継続している.Mohs 軟膏は自壊や壊死を伴う局所進行乳癌に対する局所治療として有用であると考えられる.
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癌と化学療法 51巻11号, 1157-1159 (2024);
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症例は50 歳,女性.左乳癌術後11 年経過し多発肝転移,骨転移のため右上腕にポ-トを作成し,化学療法を開始した.治療は奏効していたが,治療開始10 か月後にポ-ト挿入部の創哆開を認め,感染と判断しポ-ト抜去した.3 週間後,右鼠径部にも壊死を伴う潰瘍形成を認めたため皮膚科を受診した.臨床所見より壊疽性膿皮症(PG)と診断された.化学療法を中止しプレドニゾロン(PSL)の内服を開始した.治療が奏効し,1 か月後には化学療法治療の再開が可能となった.今回,乳癌術後再発症例に合併したPG を経験したため若干の考察を加え報告する.
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癌と化学療法 51巻11号, 1161-1164 (2024);
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症例は67 歳,女性.食事の通過障害を主訴に上部消化管内視鏡検査を受け食道扁平上皮癌と診断され紹介となった.精査にて食道癌UtMt,cT4(気管・左主気管支),cN1(No. 101R),cM0,cStage Ⅳa と診断し,根治的化学放射線療法(FP 2 コ-ス+放射線治療60.6 Gy)を施行した.有害事象はGrade 3 の咽頭炎および食道炎を認めた.治療終了後の効果判定にて部分奏効と診断し,維持療法としてFP 療法を2 コ-ス追加で施行した.維持療法終了後も部分奏効を維持し,最終的に完全奏効と診断した.CT・内視鏡検査を定期的に施行し,初回治療開始後9 年経過した現在も,完全奏効を維持している.現在の状況としては,食道狭窄は改善せず経口摂取に若干苦労しているが,体重減少や栄養状態には問題なく過ごしている.局所進行食道癌に化学放射線療法が有効であっても,治療の影響が残る場合がある.本症例の治療方針について,考察を加えて報告する.
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癌と化学療法 51巻11号, 1165-1167 (2024);
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症例は72 歳,男性.切除不能進行胃癌に対して化学療法を4 年以上受けていた.食事のつかえ感を認め,上部消化管内視鏡検査を施行したところ,腫瘍増大による食道狭窄を認めた.症状緩和目的にpartially covered stent(HANAROSTENT®Esophagus,M. I. Tech 社製,直径18 mm,長さ15 cm)を留置した.ステント留置9 日後に急性の背部痛を生じ,造影CT検査では右気胸ならびに膿胸を認めた.上部消化管内視鏡検査では口側のuncovered 部分に食道穿孔を認め,ガストログラフィン造影では胸腔内への造影剤の漏出を認めた.そこで,ステント口側にfully covered stent(HANAROSTENT® Esophagus,M. I. Tech 社製,直径18 mm,長さ8 cm)を追加留置したが,膿胸は改善しなかった.本症例は,最初のステント留置から2 か月後に原病増悪により死亡した.
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癌と化学療法 51巻11号, 1169-1171 (2024);
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症例は60 歳台,男性.胃内容逆流感の精査で幽門狭窄を伴う進行胃癌(tub1,por1)と診断された.CT で傍大動脈リンパ節(PALN,#16a2)に腫大を認め,術前診断はcT4aN2M1(LYM),cStage Ⅳb であった.幽門通過障害に対する腹腔鏡下胃空腸バイパス術後に,S1+LOHP(SOX)による術前化学療法を2 コ-ス施行した.原発巣,周囲リンパ節転移はともに著明に縮小し,PALN も増大傾向を認めなかったため手術の方針とした.開腹下にPALN#16a2 のサンプリングを先行し,術中迅速病理診断で転移陽性であったため,幽門側胃切除D2+#16a2+b1 郭清を施行した.再建は胃空腸バイパスを温存した.病理組織診断ではypT2N3(15/60)であった.退院後,S1+DTX(DS)による術後補助化学療法を1 年間施行し,現在1 年6 か月間無再発生存中である.PALN 転移陽性を認め,幽門狭窄を伴う進行胃癌において胃空腸バイパス作製後に速やかに術前化学療法を導入することでD2+大動脈周囲リンパ節郭清による手術に至る可能性が示唆された.