癌と化学療法
Volume 52, Issue 9, 2025
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投稿規定
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INSTRUCTIONS FOR AUTHORS OF JAPANESE JOURNAL OF CANCER AND CHEMOTHERAPY
52巻9号(2025);
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総説
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Precision Oncology 実現に向けたAI の三層的活用―非構造化情報の構造化・オミクス再分類・統合解析―
52巻9号(2025);
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近年,がん医療における人工知能(AI)技術の応用は急速に進展しており,precision oncologyの実装に向けて大きな役割を果たしている.AI活用の第一の柱は,病理画像やCT/MRI画像などの非構造アナログ情報を深層学習によって構造化・定量化する技術である.これにより,診断のばらつきや見落としを抑制し,専門医と同等またはそれ以上の精度で腫瘍検出・分類・予後推定が可能となっている.第二の柱は,RNAseqやDNAメチル化デ-タなどのオミクスデ-タに対するAIによる高次元解析である.従来の統計手法ではとらえきれなかった細胞状態の分類,スプライシング異常の予測,依存遺伝子の同定などが可能となり,新たな分子分類や創薬標的の抽出に成功している.第三の柱に,画像とゲノム情報を同時に学習・解析するマルチモ-ダルAIが登場し,遺伝子変異や免疫応答の非侵襲的予測,治療反応性の評価といった臨床的に有用な統合解析が進んでいる.さらに大規模言語モデル(LLM)との統合により,テキスト・画像・オミクスデ-タを横断的に解析するシステムの開発が加速している.これらのAI技術は,がんの発生起源,分子生物学的本質,悪性化経路に対する理解を深め,真のprecision oncologyの実現に貢献する.
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特集
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- 癌と三次リンパ様構造TLS
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食道がんにおけるICI 治療バイオマ-カ-としてのTLS
52巻9号(2025);
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食道がんに対する免疫チェックポイント阻害剤(ICI)の治療効果が近年飛躍的に進展している一方,治療反応性には患者間で大きなばらつきがあり,予測可能なバイオマ-カ-の確立が急務の課題である.従来のバイオマ-カ-であるPDL1,腫瘍変異負荷(TMB),マイクロサテライト不安定性(MSI)といった指標は一定の有用性を示すものの,いずれも食道がんにおける予測精度や実用性に限界があり,より包括的かつ腫瘍免疫環境を反映した指標が求められている.三次リンパ様構造(TLS)は腫瘍微小環境に形成される免疫細胞の集合体であり,ICI治療の新たなバイオマ-カ-として注目されている.本稿では,食道がんにおけるICI関連主要臨床試験と使用バイオマ-カ-を振り返りつつ,TLSの構造的・機能的特性およびその治療効果予測因子としての有用性をまとめた.加えて,既存バイオマ-カ-とTLSの比較を通じてTLS評価の利点と限界を考察しつつ,TLSの標的化を含む将来的な治療戦略やバイオマ-カ-としての課題と展望についても議論を行う. -
胃癌におけるTLS の意義
52巻9号(2025);
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免疫チェックポイント阻害剤(ICI)の出現で,進行再発胃癌における治療は新たなパラダイムシフトを迎えている.ICIは癌細胞による免疫回避機構を解除し,腫瘍浸潤CD8+T細胞による抗腫瘍効果を増強すると考えられている.腫瘍周囲の免疫環境の重要性は論をまたないが,近年そのなかでも癌組織周囲の三次リンパ構造(TLS)が注目を集めている.B細胞のクラスタ-を含むTLSの存在は,様々な癌種で予後良好との関係が報告されてきている.われわれの教室においてもこれまで,胃癌組織にTLSが存在し予後の延長やICIの有効性との関連を認めること,さらにCD8+T細胞の誘導や腫瘍組織内でのレジデントメモリ-T細胞の発現と関連していることを報告してきた.今後,TLSの機能の解明が免疫療法による治療効果のさらなる向上につながることが期待される. -
肺がんにおけるTertiary Lymphoid Structure の臨床的意義と今後の展望
52巻9号(2025);
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難治がんの代表である肺がんは,世界的に最も多くの死亡をもたらす悪性腫瘍の一つである.免疫チェックポイント阻害薬(ICIs)の登場によりその治療体系が一変したが,効果予測因子は未だ十分とはいえない.本稿では,ICIs効果や予後との関連が報告されている三次リンパ様構造(tertiary lymphoid structure: TLS)に注目し,その臨床的意義と将来展望を概説する.TLSは腫瘍局所に形成されるリンパ組織様構造であり,抗腫瘍免疫のハブとして機能する.肺がんにおいてTLSの存在は予後良好因子とされ,PDL1発現やTMBとは独立した新たなバイオマ-カ-として期待される.さらにTLSの成熟度や構成細胞の質が免疫応答やICIs効果に影響を与える可能性が示唆されている.今後は,TLS誘導を目的とした治療法の開発やAIを用いた評価法の標準化,空間的オミックス解析による機能解明など基礎と臨床の連携による研究の深化が求められる. -
婦人科癌における三次リンパ様構造(TLS)の臨床的意義と治療応用
52巻9号(2025);
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三次リンパ様構造(TLS)はがんに対する免疫応答の場として注目されており,婦人科癌を代表する子宮体癌や子宮頸癌,卵巣癌などの婦人科腫瘍組織にも認め,それらの分布や成熟度,分子遺伝学的因子,患者予後,腫瘍局所のTLSを効率よく誘導することで抗がん治療の向上が期待されている.特に,TLS内での抗腫瘍免疫を再活性化する基礎研究を基に,免疫チェックポイント阻害薬や免疫賦活化分子,化学療法,放射線治療などを最適に組み合わせることによりTLSを誘導したり,TLS陽性がんに対する新たな複合治療の臨床試験も数多く進んでおり,新たながん治療開発が展開している. -
膠原病におけるTLS の意義
52巻9号(2025);
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三次リンパ組織様構造(tertiary lymphoid structures: TLS)は非リンパ系組織における組織化されたリンパ様集合体であり,持続的な炎症浸潤がある部位で形成される.TLSが,がん,自己免疫疾患,移植拒絶反応,感染症,加齢に伴う慢性炎症性疾患など,様々な疾患と関連していることを示唆する報告が近年増えている.がんや感染症ではTLSの存在は良好な臨床経過と関連するが,自己免疫疾患ではTLSが疾患特異的自己抗体の産生の場となり,病態形成に関与することが示されている.しかし,全身性自己免疫疾患である膠原病におけるTLS形成や病態誘導の詳細なメカニズムはまだ解明されていない.TLSの形成メカニズムや細胞および分子レベルでの機能をより深く理解することは,膠原病の新たな病態解明につながる可能性がある.本稿では,われわれが報告した悪性腫瘍関連筋炎とTLSに関する研究成果を含め,膠原病(関節リウマチ,シェ-グレン病,ル-プス腎炎,IgG4関連涙腺炎・唾液腺炎,特発性炎症性筋疾患)とTLSとの関連について最近の知見を概説する.特に,二次リンパ組織外でのB細胞分化に注目して,末梢ヘルパ-T細胞(Tph)と濾胞ヘルパ-T細胞(Tfh)とのかかわりについても触れる.
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原著
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Efficacy and Safety of RminiCHP Combined with PolatuzumabVedotin Used for Previously Untreated Diffuse Large Bcell Lymphoma in Very Elderly Patients Aged ≥80 Years ―A SingleCenter Retrospective Analysis
52巻9号(2025);
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背景: 80歳以上の未治療のびまん性大細胞B細胞リンパ腫(DLBCL)の治療法は確立していない.埼玉県立がんセンタ-(当施設)で施行したPola‒R‒mini‒CHP療法の有効性と安全性を後方視的に検討し,過去に報告された前向き試験のR‒mini‒CHOP療法と比較した.方法: 当施設において80歳以上の未治療のDLBCLに対して,Pola‒R‒mini‒CHP療法が施行された23例を後方視的に解析した.年齢中央値は83(range 80~92)歳.観察期間中央値は8.9(3~22)か月,投与cycle中央値は8(2~8)であった.結果: 治療完遂15例,中止3例(1例は死亡),継続中が5例であった.完全寛解率(CRR)は100%であり,累積生存率は94.7%であった.血液学的有害事象(Hem‒AE)では,≧Grade(G)3を12例(52.2%)認めた.貧血4例(17.4%),好中球減少4例(17.4%),白血球減少3例(13.0%),血小板減少を1例(4.3%)認めた.非血液学的有害事象(non‒Hem‒AE)では,≧G3を3例(13.0%)認めた.G3のCOVID‒19肺炎と菌血症を1例(4.3%)ずつ認めた.G5の間質性肺炎を1例(4.3%)認めた.≦G2の便秘を5例(21.7%),≦G2の末梢神経障害と下痢を1例(4.3%)ずつ認めた.結論: Pola‒R‒mini‒CHP療法は,R‒mini‒CHOP療法と比較して有効でかつ安全と考えられた.貧血は高頻度,感染は同程度,消化器毒性と末梢神経障害は低頻度であった.外来で治療継続が可能であった. -
EGFR ex19del とex21L858R の生物学的相違―CRISPR 技術により遺伝子操作した1 対の同質遺伝子系統のNSCLC 細胞株を用いた非臨床モデル―
52巻9号(2025);
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上皮成長因子受容体(EGFR)変異は非小細胞肺癌(NSCLC)でよくみられる遺伝子変異であり,エクソン19欠失(ex19del)およびエクソン21のロイシンからアルギニンへの置換(ex21L858R)が最も多い.EGFRチロシンキナ-ゼ阻害薬(EGFRTKI)による効果はex19del変異のほうがL858R変異より良好である.第Ⅲ相RELAY試験において,一次治療としてのラムシルマブ+エルロチニブは,二つの変異に対し同程度の無増悪生存期間を示した.こうした臨床結果の分子的機序を探索し,二つの変異による細胞生物学的な影響やEGFRTKIおよびラムシルマブに対する反応への影響を評価するため,NSCLC細胞株PC9(ex19del)およびCRISPR技術により操作した亜系統株PC9EX21(L858R変異)を用いた非臨床試験を実施した.PC9細胞とPC9EX21細胞の形態は類似していたが,PC9EX21細胞のほうが大きく,成長が遅く,遊走能が高く,in vivoでの腫瘍形成が遅かった.蛍光活性化細胞分取(FACS)解析において,PC9EX21細胞ではex19delと比較してEGFR発現は低く,ヒト上皮増殖因子受容体(HER2およびHER3)発現は高く,VEGF受容体2のmRNAレベルは8倍高かった.トランスクリプト-ムプロファイリングおよび多重プロテオミクス解析において,遺伝子発現(受容体型チロシンキナ-ゼ)の有意な差およびPC9EX21細胞におけるシグナル伝達経路の変化が検出された.PC9EX21細胞においてラムシルマブはエルロチニブの増殖抑制作用を増強したが,ex19del変異では限定的であった.これらの知見は,ex19delとL858R変異の間の重要な生物学的な相違を浮き彫りにし,NSCLCにおける個別化治療計画の重要性を強調している.
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医事
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患者アメニティと輸液管理の両方を考慮して独自設計,製作した薬物療法室サイドワゴン
52巻9号(2025);
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東京歯科大学市川総合病院は地域がん診療連携拠点病院であり,2023年9月に新しい薬物療法室が開設された.新しい薬物療法室の患者ブ-スでは,①患者の安全とアメニティを最優先として,患者がテ-ブルや荷物置きに使える,②スタッフが患者の治療や輸液管理に活用でき薬剤トレ-や器材を置けて,患者のケアが行いやすいという二つの目的が両立できるステンレス製丸パイプ骨組みの上・中・下3段サイドワゴンを独自に設計,製作した.中段を患者用のテ-ブルにするようにチェアのア-ムレストに合わせた高さを考えたのが最大の工夫である.上段はスタッフが薬剤トレ-を置けて,下段は患者の荷物置き用で4輪キャスタ-付きで安定自立,自由に移動できた.オリジナルのサイドワゴンに対して患者の満足度は高く,スタッフの評価も良好であった.
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薬事
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がん薬物療法においてバイオシミラ-導入が同効薬の使用量および医薬品費に与える影響
52巻9号(2025);
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横浜市立大学附属病院(以下,当院)では,バイオシミラ-(以下,BS)が承認取得または適応追加となった場合に新規導入患者ではBS使用を推奨している.既報ではBSへの切り替えによる使用量変化や医薬品費削減効果が示されているが,同一薬のみの比較であり同効薬の使用量変化は評価されていない.本研究ではBS導入が抗CD20抗体および抗VEGF抗体の使用状況に与えた影響を調査し,同効薬を含めた医薬品費の推移も検討した.当院において,リツキシマブBS導入前後の2017~2021年における抗CD20抗体の使用バイアル数と,ベバシズマブBS導入前後の2018~2022年における抗VEGF抗体の使用バイアル数を調査した.数量シェアは使用したバイアル数を用いて算出し,医薬品費は各年の抗CD20抗体および抗VEGF抗体全体,各製剤の医薬品費を算出した.また,BS導入による医薬品費削減率を求めるために実際の医薬品費を基に,すべて先行品を使用した場合の医薬品費で除した医薬品費削減率を算出した.さらに,施行1回当たりの平均医薬品費の算出も実施した.抗CD20抗体の2017~2021年のシェアは,リツキシマブ先行品100.0%から0.0%,リツキシマブBS 0.0%から93.9%,オビヌツズマブは0.0%から6.1%と変化していた.BSによる医薬品費削減率は,2021年は22.9%であった.2017年と比較した2021年の施行1回当たりの平均医薬品費は30.0%増加していた.抗VEGF抗体の2018~2022年のシェアは,ベバシズマブ先行品89.5%から3.0%,ベバシズマブBS 0.0%から96.5%,ラムシルマブ6.4%から0.5%,アフリベルセプト・ベ-タは4.1%から0.0%と変化していた.BSによる医薬品費削減率は,2022年は64.7%であった.2018年と比較した2022年の施行1回当たりの平均医薬品費は65.5%減少していた.BS導入による効果をより正確に把握するためには,各ガイドラインの推奨やエビデンスを加味し,同効薬を含めた評価が必要であることが示唆された.
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症例
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ホスネツピタント(アロカリス®)投与にて薬剤アレルギ-を発症した乳癌の4 例
52巻9号(2025);
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症例1: 患者は67歳,女性.左乳癌術後,骨転移再発にてトラスツズマブデルクステカンを投与予定となり,ホスネツピタント(fosnetupitant: ProNETU,商品名アロカリス®)を含む前投薬を行った際,数分後に顔面紅潮,頻脈,呼吸苦を認めた.投与中止後,上記症状は10分で改善したため,ProNETUを除外して前投薬を行ったところ上記症状の出現はなかった.症例2: 患者は50歳,女性.乳癌治療としてEC療法施行の際,ProNETUを含む前投薬を開始したところ数分後に紅潮,呼吸苦,傾眠を認めたため投与を中止し,1分後には症状は改善した.症例3: 患者は41歳,女性.乳癌術後補助療法としてのEC療法を施行する際,ProNETUを含む前投薬を行ったところ2分後に顔面紅潮,頻脈,呼吸困難感が出現した.薬剤投与を中止し,抗ヒスタミン薬,副腎皮質ステロイド投与にて軽快した.症例4: 患者は50歳,女性.乳癌術後補助療法としてEC療法予定となりProNETUを含む前投薬を行ったところ3分で顔面紅潮と動悸あり.投与中止にて改善がみられた.制吐剤をホスアプレピタントに変更するとアレルギ-はなかった.症例2~4はドセタキセルのアレルギ-もみられた.症例4のアレルギ-の原因は不明であるが,症例1~3はアレルギ-の原因としてドセタキセルとホスアプレピタンと,ProNETUに含まれるポリソルベ-ト80が抗原となっている可能性も考えられた. -
肝右三区域切除術を施行した肝原発巨大神経内分泌腫瘍の1 例
52巻9号(2025);
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症例は75歳,女性.健診の腹部超音波検査で肝巨大腫瘤を指摘され,画像検査で肝内側区域を主座とする単発の巨大腫瘤(φ>12 cm)を認めた.肝生検により病理組織学的に神経内分泌腫瘍(NET)G1の診断となり,PETCTおよびソマトスタチン受容体シンチグラフィ(SRS)検査では肝腫瘍のみに集積を認め,肝原発NET(PHNET)と診断した.根治的切除には肝右三区域切除が必要であったが,予測残肝容積が小さく,門脈塞栓術後に根治的切除を行った.術後1年が経過し,明らかな再発は認めていない.PHNETはまれな腫瘍で,通常の画像検査での診断は困難である.多くは病理組織学的検査で診断され,PETCTやSRSは肝外病変の除外に有用である.PHNETに対する治療の第一選択は外科的切除であり,巨大腫瘍であっても根治的切除により良好な予後が得られる可能性がある. -
術前ホルモン療法により周囲臓器を温存し完全切除が可能であった侵襲性血管粘液腫の1 例
52巻9号(2025);
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症例は34歳,女性.第一子妊娠時,ダグラス窩に腫瘍を指摘されたがデスモイド腫瘍疑いで経過観察となっていた.第二子の帝王切開術の際,腫瘍を生検し侵襲性血管粘液腫の診断となる.出産後より腫瘍の増大を認めたため,ホルモン療法を開始した.gonadotropin-releasing hormone agonist(リュ-プロレリン酢酸塩1.88 mg)を4週に1回投与し,16か月間行った.投与開始前20×13 cmであった腫瘍は,12回目の治療後には10×7.5 cmまで縮小を認めた.しかしながら,全身倦怠感,嘔気などの有害事象が出現し,それ以上の腫瘍縮小効果も乏しく手術の方針とした.腫瘍切除術は経仙骨の左後方アプロ-チで行い,直腸,生殖器,自律神経を温存し腫瘍を切除することができた.侵襲性血管粘液腫は若年女性の骨盤内,外陰部に発生するまれな腫瘍であり,治療は原則として外科的切除であるが,治療方針は確立していない.今回われわれは,術前ホルモン療法により腫瘍を縮小させ,周囲臓器温存下に腫瘍を完全切除し得た症例を経験した.侵襲性血管粘液腫におけるホルモン療法の有用性を示唆することができた. -
Capivasertib による薬剤性尿細管性間質性腎炎の1 例
52巻9号(2025);
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われわれは,capivasertibによる薬剤性間質性腎炎と思われる症例を経験したため報告する.症例は79歳,女性.転移再発乳癌にてcapivasertibとfulvestrantの併用療法を開始した.capivasertib内服開始後11日,Grade 1の食思不振,Grade 2の紅斑と高血糖を認めたため入院となり,インスリン持続投与により治療を行ったが,翌日よりCRE 3点台の腎機能障害が発生した.尿蛋白上昇や血清β2ミクログロブリンおよびNアセチルグルコサミニダ-ゼの上昇といった所見より尿細管を主座とした薬剤性尿細管性間質性腎炎と判断し,ステロイドパルス療法を開始,その後腎機能・尿蛋白も徐々に改善した.capivasertibは2024年6月に承認された本邦初のAKT阻害薬であり,高血糖・紅斑・下痢が主な有害事象として知られているが尿細管性間質性腎炎の報告は未だない.
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薬事
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当院のirAE 対策チ-ムの活動と今後の展望
52巻9号(2025);
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市立東大阪医療センタ-(当院)では免疫関連有害事象(irAE)対策チ-ムを立ち上げ,多職種でirAEの「早期発見・早期対応」と「情報共有」の二つを活動指針として活動してきた.irAE発現時の受診契機はirAEの重症度が高くなるほど,また緊急性があるほど予定外受診が増加している傾向が認められるが,予定受診まで待機する症例がGrade 3以上においても49.3%存在している.今後も継続的なirAE対策チ-ムの活動により,患者および患者家族からの自発報告を促し,重篤化前の早期発見・早期対応につなげたいと考えている.
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