Volume 52,
Issue 11,
2025
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投稿規定
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癌と化学療法 52巻11号, 856-857 (2025);
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癌と化学療法 52巻11号, 858-859 (2025);
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総説
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癌と化学療法 52巻11号, 775-780 (2025);
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患者・市民参画とは,患者や市民が研究チ-ムの一員として立案から普及啓発まで研究者と協働することを指し,英国ではpatientを市民に包括し,public involvementと呼ばれるようになってきた.日本では2010年ごろから患者・市民の政策医療への参画が活発になってきたが研究の参画は認知が広がらず(内閣府2023年調査,知っている市民2%),参画を妨げている理由として「医学知識が不足」と市民の60%が回答していた.近年,市民向けがん医療の研修会は様々なところで開催されるようになってきたが体系化されておらず,課題解決には体系的カリキュラムの開発が有効であると考えられた.がん研究に市民が参画に手をあげることができる(自信をもつことができる)ことをアウトカムとして抽出したコンピテンシ-は,6のカテゴリ-(コア)と13のコンピテンシ-に調整され,欠損,重複がないことが確認され,それを活用した教育コンテンツは教育効果が示された.今後,第4期がん対策推進基本計画の中間報告ロジックモデルへの対応と,カリキュラムの普及や研究者側の啓発および体制整備が課題と考える.
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特集
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口腔ケアにおける多職種連携
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癌と化学療法 52巻11号, 781-785 (2025);
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がん薬物療法中に起こる様々な口腔合併症は患者のQOLを低下させ,がん治療の妨げとなる.がん患者への口腔ケアの提供は,口腔合併症の発症や重症化のリスクを軽減し,患者の食事や会話を支援し,QOLを維持するために有用である.質の高い口腔ケアの提供には,看護師・薬剤師をはじめとする多職種との協働が必要不可欠である.各々の職種がその専門性を発揮することで口腔ケアの質を高め,患者のQOL向上と治療成績向上に寄与すると考える.
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癌と化学療法 52巻11号, 786-791 (2025);
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がん治療に伴う口腔関連合併症や口腔有害事象はあらゆる場面で起こるため,網羅的,継続的な介入が必要である.治療の多くは入院して行われるため,入院中の患者の口腔機能管理については,歯科だけでなく看護師との連携が不可欠である.各病棟や部署に口腔ケアリンクナ-スを配置することで看護師の口腔ケア活動の実践,教育を可能としている.また,入院前,退院後においては地域歯科診療所との連携,すなわち地域歯科連携による口腔機能管理が重要となる.入院前から退院後も含め継続した口腔ケア介入を行うことができるシステムを構築することが必要となる.口腔ケア介入が必要な患者の抽出にはスクリ-ニングが鍵となる.入院前に歯科衛生士が口腔ケアスクリ-ニングや口腔衛生指導を行い,入院中に病院内の歯科での介入が必要な患者の抽出や地域歯科連携を行う.そして入院時に看護師が口腔ケアスクリ-ニングを行い,入院中に口腔ケア介入が必要な患者の抽出を行う.口腔ケア介入が必要な患者を早期に抽出し,入院中は看護師・病院内の歯科,入院前・退院後は地域歯科診療所で,適した時期に適した職種が口腔ケア介入を行うことで,患者はがん治療中,継続した口腔機能管理を受けることが可能となる.
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癌と化学療法 52巻11号, 792-798 (2025);
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多職種連携とは,異なる専門性をもつ職種が共通の目標に向かって協働する医療提供体制を指す.看護師は治療前から治療後に至るまで患者の全身状態を的確に把握し,一貫した日常生活支援を通じて回復を支える重要な役割を担っている.なかでも口腔ケアは,感染予防,栄養摂取,コミュニケ-ション,生活の質(quality of life: QOL)の維持に直結する基本的かつ重要なケアである.がん治療の各段階に応じた口腔ケアの内容を理解し,看護師の継続的な観察・ケア能力と他職種の専門的意見を融合することで,より質の高いケアの提供が可能となる.また,がん治療に伴う有害事象の評価や適切なケアの実施に加え,異常が発見された場合には専門性の高い職種への迅速な依頼といった円滑な対応が不可欠である.国内外のガイドラインや指針を踏まえつつ,患者の状態に応じた個別的かつ継続的な口腔ケアを多職種と連携して実現することが重要である.
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癌と化学療法 52巻11号, 799-803 (2025);
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がん患者は多彩な病態だけでなく,予後が限られたり,治療自体が困難な症例が多い.そのような特徴をよく考慮し,多方面からのアプロ-チが必要である.また,がん治療が高度に専門化・複雑化し,今までの抗がん薬と作用機序が異なる分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害薬の登場,今までにない重篤な有害事象の発現などから,がん薬物療法における薬剤師の役割は治療効果だけでなく安全対策面でも重要性を増している.このような医療現場において患者の安全性を確保するためには,高度な専門知識や技能,経験をもつ医療スタッフがチ-ムとして治療に当たらなければならない.ほとんどの抗がん薬による副作用は,予防をすることで未然回避や症状を軽減することが可能である.支持療法の質を高めることは治療効果に直結するため,がん薬物療法を行う上で支持療法の質的向上は必要不可欠である.しかし,実地臨床において口腔粘膜炎は軽視されがちな副作用の一つである.そのため,当院では化学療法や化学放射線療法などの口腔粘膜炎が発現しやすい治療を受けている患者に治療開始前から主治医とNSTで連携して介入している.実地臨床での副作用マネジメントは,がん薬物療法を支える大きな柱の一つである.日々目の前の患者とのかかわりを大切にし,患者のQOL向上をめざし,安心して治療を継続してもらうために最善を尽くし,よりよい医療を提供するために熟考するのに終わりはない.現状維持で満足せず,常にもう一つ上のステップを考えながら日々探求心をもって業務に当たるべきである.今回,病院薬剤師が実地臨床における口腔粘膜炎にチ-ムの一員としてどうかかわり,実地臨床業務を行うべきかそのポイントを記載する.
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医事
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癌と化学療法 52巻11号, 805-808 (2025);
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食道癌術後の肝転移に対する局所コントロ-ル目的にて肝動注化学療法を施行し,その治療成績を報告する.19例に肝動注化学療法を施行し,その内訳は6例(32%)に肝転移後の初回治療,3例に全身化学療法有効例の維持療法,10例に全身化学療法無効例の二次治療として施行した.治療奏効率37%で,Grade 3以上の有害事象は6例(32%)に認めた.全症例の肝転移後の生存期間中央値は10.8か月で,1年生存率は42%,3年生存例はなかった.初回治療および維持療法例の1年生存率は67%であったが,全身化学療法無効例に対する二次治療例の1年生存率は20%であった(p=0.0291).肝動注化学療法は,初回治療無効例に対する二次治療としての有用性は少ないが,初回治療あるいは初回治療有効例の維持療法としては有用である可能性が示唆された.
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癌と化学療法 52巻11号, 809-814 (2025);
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目的: メサドンは難治性がん疼痛に対し有効な選択肢となり得る強オピオイドである.本邦のガイドラインでは,メサドンの切り替え方法として先行オピオイドの中止と同時にメサドンを開始するstop‒and‒go(SAG)法が推奨されているが,先行オピオイドからのスイッチングの方法は十分に確立されていない.方法: 難治性がん疼痛に対してメサドンで治療を受けた34名の患者を対象に後方視的に解析し,メサドンのスイッチング方法,効果および有害事象を評価した.結果: 評価可能な32例のうち18.7%がSAG法を,81.2%が先行オピオイドにメサドンを上乗せする(add‒on)方法を行った.numerical rating scaleのスコアは93.7%の患者で改善し,SAG群で66.6%,add‒on群では100%が痛みの軽減を認めた.至適用量への到達は62.5%の患者で達成され,add‒on群では有害事象が比較的少なく,疼痛管理を行うことが可能であった.結論: メサドンは難治性がん疼痛に対して有効であり,特にadd‒on法ではSAG法に比し先行オピオイドとの併用が可能であるため,疼痛コントロ-ルを維持しつつメサドンの導入が可能であり,有害事象も比較的抑えながら細やかな用量調整を可能にすることが示唆された.
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症例
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癌と化学療法 52巻11号, 815-817 (2025);
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症例は67歳,女性.臍部の発赤腫脹を主訴に近医受診後,形成外科で尿膜管遺残による臍部膿瘍の疑いで外科的切除の予定となっていた.同時期に体重減少,腫瘍マ-カ-高値も認め,精査の結果,Sister Mary Josephʼs noduleを伴う膵体尾部癌と診断,全身化学療法を開始,いったんは腫瘍縮小効果および腫瘍マ-カ-減少を認めたが,その後腫瘍は増大し治療開始7か月後に死亡した.臍腫瘤を認めた場合,内臓悪性腫瘍の臍転移の可能性を念頭に置く必要があると考えられた.
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癌と化学療法 52巻11号, 819-821 (2025);
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トラスツズマブ デルクステカン(TDXd)は,HER2陽性の進行・再発乳癌の二次治療の薬剤として用いられてきたが,近年新たに「化学療法歴のあるHER2低発現の進行・再発乳癌」にも適応が拡大された.全乳癌におけるHER2低発現の割合は45~55%であると報告されており,今後ますます期待される薬物である.DESTINYBreast04試験は進行・再発病変に対して1または2レジメンの化学療法歴を有するHER2低発現転移乳癌を対象としているが,今回われわれはHER2低発現再発乳癌の再発九次治療としてTDXdが奏効している1例を経験したので報告する.
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癌と化学療法 52巻11号, 823-824 (2025);
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症例は50歳台,女性.約19年前に子宮頸がんⅢB期にて同時化学放射線療法を受け経過は良好であった.3か月前にイレウスになり,2か月前に試験開腹し癌性腹膜炎であり,腹膜の腫瘍を生検した.組織検査の結果,悪性腹膜中皮腫(MPM)であった.術後2か月で死亡した.組織検査が最も重要な診断法であり,HE染色,免疫染色,遺伝子検査も行いMPMの診断を得た.子宮頸がん治療後の二次がんでMPMは極めてまれである.
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癌と化学療法 52巻11号, 825-827 (2025);
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Trousseau症候群は悪性腫瘍に合併する予後不良の病態である.多くの症例は血栓症の治療のために抗凝固療法中で生検を行うことは困難である.今回われわれは,リキッドバイオプシ-で診断し治療,長期生存を得た肺癌を2例経験したので報告する.
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癌と化学療法 52巻11号, 829-831 (2025);
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症例は70歳,女性.直腸癌Ra,cT3N1bM0,cStage Ⅲaの診断に対して腹腔鏡下人工肛門造設術を施行後,術前化学療法としてpanitumumab+FOLFOX療法を開始した.panitumumab投与4週後に人工肛門周囲に微小潰瘍が発生したため,panitumumabを休薬した.治療開始8週後,人工肛門周囲の発赤,腫脹,疼痛の訴えがあり,潰瘍形成部位から排膿を認めた.CT検査で人工肛門周囲に広範な皮下膿瘍形成を認めた.原発巣は50%縮小していたため化学療法を中止し,腹腔鏡下低位前方切除術+人工肛門閉鎖術+デブリ-ドマン手術を施行した.術後,人工肛門閉鎖創に対して局所陰圧閉鎖療法を施行し改善を認めた.オストメイト患者に化学療法を行う場合,特に抗EGFR抗体薬を使用する場合は定期的なスト-マ外来受診を促す必要がある.面板貼付部はスト-マケア時にしか詳細な観察ができない部位であるため皮膚障害の早期発見に努めるとともに,WOCNや主治医,皮膚科専門医との綿密な連携が重要であると考える.
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癌と化学療法 52巻11号, 833-835 (2025);
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症例は54歳,女性.左乳癌に対して手術を施行し,浸潤性乳管癌pT2pN0(sn)M0,Stage ⅡA,Luminal B,HER2タイプの診断で術後補助療法(全乳房照射,ドセタキセル+カルボプラチン+トラスツズマブ6コ-ス,タモキシフェン)を行った.術後4年経過後に肺転移,胸膜播種再発を来し化学療法を開始した.firstlineでトラスツズマブ+ペルツズマブ+エリブリンの投与を行ったが胸膜播種が増悪し,secondlineのトラスツズマブエムタンシン(TDM1)に変更した.その後多発脳転移が出現したため,定位脳照射施行後にthirdlineのトラスツズマブデルクステカン(TDXd)の投与を開始した.TDXd初回投与から8日後に咳嗽が出現し精査の結果,TDXdによる薬剤性間質性肺疾患の診断に至った.入院中に挿管管理を要したがステロイド療法が著効し,状態は改善した.退院後に施行した体幹部CT,頭部MRI検査でcCRと診断した.TDXd投与1コ-ス目から間質性肺疾患を発症する可能性を念頭に置く必要がある.
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薬事
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癌と化学療法 52巻11号, 837-841 (2025);
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アベマシクリブはホルモン受容体陽性かつHER2陰性乳癌に対する有効性が認められている一方,有害事象として下痢,肝機能障害,間質性肺疾患,血液毒性などが報告されており,重症度に応じて減量・休薬が行われる.そこで,アベマシクリブ投与後に副作用などによって減量となった患者のリスク因子を明らかにすることを目的に調査を行った.アベマシクリブが投与された乳癌患者を対象とし,非減量群と減量群について後方視的に調査し,減量に関係するリスク因子を調べるためロジスティック回帰分析を行った.対象患者は73例,年齢中央値は61歳で,35例(47.9%)が減量していた.減量理由は下痢(15例)が最多で,次いで好中球減少(10例)であった.多変量解析により,年齢≧65歳(odds ratio: 4.84, 95% CI: 1.55-15.10, p=0.007)と治療開始前の好中球数<3,660/μL(odds ratio: 5.24, 95% CI: 1.58-17.40, p=0.007)の2因子に有意差を認めたことから,年齢65歳以上,治療開始前の好中球数3,660/μL未満がアベマシクリブ開始後の減量リスク因子である可能性が示唆された.さらに,二段階目の減量を要する要因として好中球減少が多かったことから,治療中は好中球数の推移を注意深くモニタリングする必要があると考える.また,減量による治療効果への影響や治療継続期間との関連性についても今後検討していく必要がある.
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癌と化学療法 52巻11号, 843-845 (2025);
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症例は70歳台,男性.S状結腸がん・肝転移に対して10年前にS状結腸切除術,D3郭清を施行した.術後にFOLFOX4+ベバシズマブ(BEV),テガフ-ル・ウラシルを投与した.2年前にリンパ節転移増大を認め,テガフ-ル・ギメラシル・オテラシルが開始されたが腫瘍が増大し,CAPOX+BEVに変更となった.初回オキサリプラチン(LOHP)投与終了時に尿閉を認めた.投与速度を半分とし2コ-ス目投与を行ったがLOHP投与中に尿閉となり,投与中止となった.以後はCAPIRI+BEVに治療が変更され,投与時に尿閉の症状は認めなくなった.今回の症例における尿閉は,LOHPによる急性末梢神経障害と考えられる.術後のFOLFOX4+BEV投与時に尿閉を認めず,今回のCAPOX+BEV投与時に認めた要因として,5年前に発症した前立腺肥大症があげられる.前立腺肥大症はLOHPの急性末梢神経障害による尿閉のリスク因子になり得ると考えられる.