Volume 52,
Issue 12,
2025
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投稿規定
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癌と化学療法 52巻12号, 946-947 (2025);
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癌と化学療法 52巻12号, 948-949 (2025);
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総説
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癌と化学療法 52巻12号, 851-857 (2025);
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個体老化はがん,心血管疾患,神経疾患など多くの疾患の最大危険因子の一つである.個体老化を制御する要因の一つである細胞老化はDNA 損傷や酸化ストレスなどによって引き起こされ,不可逆的な細胞増殖の停止や炎症性サイトカインの分泌を特徴とする.炎症性物質の分泌は組織・臓器の微小環境に慢性炎症を誘導し,様々な老年病発症や加齢に伴う臓器機能の低下をもたらすと考えられる.このため,慢性炎症を抑制する技術として,老化細胞やその他の炎症を誘発する細胞を選択的に除去する「senolysis」が注目されている.また,これら細胞から分泌される炎症性物質を抑制する「senomorphics」も研究が進んでいる.これら技術は老化関連疾患の発症抑制や健康寿命延伸への応用が期待されるが,炎症を誘発する細胞の不均一性や炎症誘発細胞がもつ組織修復の促進などよい面を妨げる可能性もあり,標的とする炎症誘発細胞の層別化が今後の課題である.
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特集
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婦人科癌の最新の薬物療法
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癌と化学療法 52巻12号, 858-863 (2025);
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子宮頸がんは依然として世界的に主要ながんの一つであり,進行・再発例の予後は今なお不良である.局所進行期では長らくシスプラチン併用化学放射線療法(CRT)が標準であったが,近年免疫チェックポイント阻害薬(ICI)および抗体薬物複合体(ADC)の登場により治療体系が大きく変化した.ICI ではKEYNOTE826 試験により,再発・転移例においてペムブロリズマブ併用化学療法が全生存期間(OS)を有意に延長し標準治療となった.さらにKEYNOTEA18試験では,局所進行期におけるCRT+ペムブロリズマブ併用・維持療法が36 か月OS 率82.6% を示し,約25 年ぶりに標準治療を刷新した.一方,ADC のチソツマブ ベドチンはinnovaTV 301 試験で既治療再発・転移例に対しOS を11.5 か月へ延長し,2025 年3 月に日本で承認された.NCCN v1,2025 およびESMO/ESGO/ESTRO 合同ガイドラインは,局所進行ではICI 併用CRT,再発・転移ではICI+化学療法一次治療,ADC 二次治療を推奨しており,国際的にも治療体系が再編されつつある.今後はバイオマ-カ-の確立,腫瘍微小環境研究,ICI+ADC 併用戦略などが課題であり,免疫・分子標的治療を基盤とした個別化治療体系の構築が期待される.
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癌と化学療法 52巻12号, 864-868 (2025);
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子宮体癌の薬物療法は長年アドリアマイシン+シスプラチン併用(AP)療法やパクリタキセル+カルボプラチン併用(TC)療法が中心であったが,近年免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の導入により治療体系が大きく変化した.複数の第Ⅲ相試験(NRGGY018試験,DUOE試験など)においてTC 療法へのICI 併用が有効性を示し,2024 年にはペムブロリズマブやデュルバルマブの併用療法が進行・再発子宮体癌に承認された.また,抗体薬物複合体(ADC)の開発も進んでおり,HER2 やTROP2 などを標的としたADC が新たな治療選択肢として期待される.
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癌と化学療法 52巻12号, 869-873 (2025);
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卵巣がん(卵管がん・原発性腹膜がん)の初回化学療法は,TC(パクリタキセルday 1/カルボプラチンday 1)3 週毎±ベバシズマブ,もしくはdosedense TC(パクリタキセルday 1,8,15/カルボプラチンday 1 毎週投与)3 週毎が標準化学療法である.進行卵巣がん(Stage Ⅲ~Ⅳ)の初回化学療法後の維持療法として,PARP 阻害剤であるolaparib,niraparib が承認された.olaparib は,BRCA 遺伝子変異陽性(tBRCAmt)患者の初回化学療法後の維持療法として,また相同組換え修復欠損(homologous recombination deficiency: HRD)を有するベバシズマブを併用した初回化学療法後,ベバシズマブと併用した維持療法として承認,niraparib は初回化学療法後の維持療法として承認された.再発卵巣がんの治療薬として,niraparib がプラチナ製剤感受性の再発卵巣がんにおける化学療法後の維持療法,三つ以上の化学療法歴のあるプラチナ製剤感受性のHRD を有する再発卵巣がんの治療薬として承認された.
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特別寄稿
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癌と化学療法 52巻12号, 875-880 (2025);
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KRAS 変異は,切除不能な進行・再発大腸癌の約40% で認められる主要な遺伝子変異である.KRAS は,構造的特徴などから長らく"undruggable"な標的とされてきたが,近年,KRAS G12C 変異型タンパクに対する阻害薬が開発され,分子標的治療が可能となった.ソトラシブはKRAS G12C 阻害薬として初めて臨床実装された薬剤であり,非小細胞肺癌に続いて大腸癌に対しても化学療法歴のある進行・再発大腸癌の治療として承認された.大腸癌では,KRAS 阻害により誘導されるEGFR の活性化を抑制するため,KRAS 阻害薬と抗EGFR 抗体薬の併用療法が必要である.現在,G12C を含むKRAS変異の有無は一次治療開始前に確認することが推奨されている.ソトラシブはこれらの結果を基に投与可能なことから,KRAS G12C 変異を有する大腸癌患者の治療選択肢が広がるものと期待される.
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症例
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癌と化学療法 52巻12号, 881-883 (2025);
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乳癌の胃転移は臨床的にはまれであり,また原発性胃癌との鑑別が困難であることから,診断が遅れることがある.今回われわれは,左乳癌術後12 年目に乳癌胃転移を認めた1 例を経験したので報告する.消化器症状を契機に上部消化管内視鏡検査を施行し,胃内隆起性病変の免疫染色にてCK7 陽性,CK20 陰性,GATA3・mammaglobin・GCDFP15陽性であり,乳癌胃転移の診断に至った.乳癌患者において消化器症状を認めた場合,乳癌胃転移も鑑別にあげ免疫染色を含めた精査を行うことが重要である.
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癌と化学療法 52巻12号, 885-887 (2025);
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S-1の有害事象として横紋筋融解症の報告がある.今回,S-1が原因の一つと考えられる横紋筋融解症を経験したので報告する.症例は56 歳,女性.既往歴に高血圧,脂質異常症あり,アムロジピンベシル酸塩,プラバスタチンナトリウム内服中である.16 か月前に,右乳癌に対し右乳輪温存乳房全切除術+SN(1/5)→Ax(Ⅱ)+TRAM 再建を施行された.病理結果は,浸潤性乳管癌,浸潤径80 mm,pT3,pN1a(1/20),ER 99%,PgR negative,HER2 1+,Ki677% であった.術後補助療法としてdosedense EC を4 コ-ス終了し,ドセタキセル施行予定も1 コ-ス目で薬剤性肺炎を認めステロイド加療を行った.薬剤性肺炎軽快後,レトロゾ-ル+S-1内服を開始した.治療開始時の血清CK 値は正常値であった.13 コ-ス目の血液検査ではCK 1,057 U/L で筋肉痛を認め,14 コ-ス目ではCK 4,419 U/L とさらに増加し,症状も軽快せずS-1中止となった.プラバスタチンナトリウム,ランソプラゾ-ルは継続していたが,S-1中止1 か月後の血液検査では休薬のみでCK は正常値となっていた.その後も血清CK 値の上昇は認めなかった.S-1内服による横紋筋融解症が強く疑われた1 例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
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癌と化学療法 52巻12号, 889-892 (2025);
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症例は53 歳,女性.右乳房腫瘤自覚を主訴に来院し,精査の結果,右乳癌cT2N2bM0,cStage ⅢA の診断,病理学的所見はinvasive ductal carcinoma,NG2,HG2,ER 90%,PgR 30%,HER2 3+,Ki6750% であった.術前化学療法を行う方針となり,心機能検査を施行したところ,LVEF 39.7%,左室全体のhypokinesis を認めた.乳癌の治療としてはトラスツズマブ投与が望ましいと考え,循環器内科と相談の上,ARB,β遮断薬併用の下,トラスツズマブ+ペルツズマブ+パクリタキセル投与を術前化学療法として施行し,手術後はnonpCRでありTDM1+アロマタ-ゼ阻害薬の投与を施行した.抗HER2 薬投与中,心機能低下することなく完遂できた.著明な心機能低下を伴うHER2 陽性患者に対し,抗HER2 薬投与を行った1 例を経験した.定期的な検査と循環器内科併診察,心保護薬投与により,心機能低下症例においても抗HER2薬を投与できる可能性について文献的考察も加え報告する.
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癌と化学療法 52巻12号, 893-895 (2025);
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症例は60 代,男性.基礎疾患に白血病があるも化学療法後で完全寛解(CR)の状態であった.健診で右肺門部にINSM1陽性小細胞肺癌が発見され,cT2aN1M0 と診断された.放射線(肺門・縦隔に45 Gy)+化学療法(CDDP 80 mg/m2+VP16100 mg/m2)4 コ-ス,全脳照射(25 Gy)を行ってCR が得られた.右上葉の末梢に小結節が出現した.気管支鏡で非小細胞肺癌と診断された.PET 検査で遠隔転移やリンパ節転移がないため,右上葉切除+リンパ節郭清を行った.多形癌と診断され,リンパ節転移はなく小細胞肺癌の遺残もなかった.小細胞肺癌治療後の長期生存条件は,二次癌の早期発見も重要である.外科的切除による予後改善が期待できるため,適応があれば積極的に切除に踏み切るべきである.
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癌と化学療法 52巻12号, 897-899 (2025);
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症例は50 歳台,男性.C 型肝硬変による多発肝細胞癌と右房内腫瘍栓,多発肺転移を認めた.全身化学療法を開始する方針としたが,治療開始直前(初診から20 日後)に閉塞性黄疸を発症した.進行度からも早急な治療を要すると考えられ,黄疸発症前の肝機能がChildPugh 分類A(6 点)と保たれていたためドレナ-ジを行わずレンバチニブ投与先行で治療開始した.治療開始10 日後には黄疸は改善傾向を認め,治療開始14 日目の腹部CT では肝細胞癌の縮小と肝内胆管拡張の改善を認めた.その後もレンバチニブ投与を継続でき,治療開始9 か月後に原病死するまで黄疸の再燃は認めなかった.ドレナ-ジによる減黄を待つ時間的猶予のない肝細胞癌による閉塞性黄疸症例に対しては,直近まで肝機能が保たれていれば,早期の腫瘍縮小効果を期待してレンバチニブを先行投与することは有用な治療になり得ると考えられた.
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癌と化学療法 52巻12号, 901-904 (2025);
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症例は50 歳台,女性.人間ドックで行われた腹部超音波検査で巨大肝腫瘍を指摘され当院紹介となった.大腸内視鏡検査で直腸S 状部に半周を占める3 型病変を認め,生検より高分化型管状腺癌と診断された.造影CT 検査で肝両葉に多発転移を認め,腹腔鏡下直腸高位前方切除術のみ先行して行った(pT3N0M1a,Stage Ⅳ).術後,残存肝転移に対し初回のみmFOLFOX6 療法を単独で行った後,mFOLFOX6+bevacizumab を11 コ-ス,末梢神経障害増悪後はFOLFIRI+bevacizumab に変更して43 コ-ス行った.肝転移は順調に縮小したものの判定はpartial response(PR)にとどまっていた.化学療法開始から2 年6 か月経過時点で患者希望により化学療法は中止し,以後経過観察のみ継続することとなった.現在,化学療法中止から3 年4 か月が経過したものの肝転移は引き続き退縮傾向で,臨床的完全奏効が得られたと考えている.
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癌と化学療法 52巻12号, 905-907 (2025);
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症例は62 歳,男性.上部消化管内視鏡検査にて中下部食道に黒色隆起性腫瘍を認め,生検で悪性黒色腫と診断した.胸腹部造影CT,PET 検査にて遠隔,リンパ節転移を認めず,胸腔鏡下食道亜全摘,胃管再建を施行した.食道癌取扱い規約第11 版に準じて,pT2(MP)N1M0,Stage Ⅱと診断した.術後4 週目より術後化学療法としてニボルマブ240 mg 投与を開始したが,術後3 か月目に肝転移が出現した.さらにニボルマブ+イピリムマブ投与を施行したが奏効は得られず,術後8 か月目に原病死した.食道原発悪性黒色腫はまれな疾患であり,また免疫チェックポイント阻害薬の効果に関する報告は少なく,文献的考察を加えて報告する.
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医事
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癌と化学療法 52巻12号, 909-911 (2025);
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症例は86 歳,女性.局所進行膵頭部癌URLAに対するゲムシタビン単独療法目的に他院より紹介となった.8 コ-ス終了時の評価CT で部分奏効であったが,8 か月前に留置した胆管金属ステントが十二指腸下行脚に逸脱していた.翌日,上部消化管内視鏡検査を行いステントを回収した.その後も肝胆道系酵素上昇は認めず,胆管ステント再留置は行わずに経過観察中である.逸脱した胆管ステントが消化管穿孔や腸閉塞の原因となった報告が散見されており,化学療法が奏効し胆管ステント留置期間が長期に及ぶ症例については,腹部X 線の頻度を増やして胆管ステントの逸脱に注意しつつ経過観察する必要がある.
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癌と化学療法 52巻12号, 913-915 (2025);
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症例は70 歳台,女性.膵頭部癌に対し術前化学放射線療法後,膵頭十二指腸切除術を施行した.術後5 か月目に大量腹水を認め,門脈狭窄の診断にて門脈ステントを留置した.留置後3 年より下血を繰り返すようになるも明らかな出血源を同定できなかった.留置後4 年目,造影CT 検査にてステント内血栓と挙上空腸静脈瘤の発達を認めた.経皮経肝門脈造影検査では,門脈ステント留置部上端より胆管および挙上空腸内に直接的な造影剤漏出を認め,門脈胆管空腸吻合部の瘻孔による消化管出血と診断した.挙上空腸静脈瘤の硬化療法およびステント内狭窄と瘻孔部を覆うようにカバ-ドステントを再留置し,門脈狭窄解除と瘻孔部位からの血管外漏出の消失を確認した.再留置後10 か月現在,再発なく経過観察中である.門脈ステント留置後の晩期合併症の報告は少なく,特に門脈胆管空腸吻合部瘻は極めてまれながらも致死的な合併症であるため,文献的考察を加えて報告する.