薬理と治療
Volume 44, Issue 1, 2016
Volumes & issues:
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扉・目次
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所感
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OPINION
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ORIGINAL ARTICLES
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健康成人男性を対象としたグルコースクランプ法によるインスリングラルギンBS 注の臨床薬理試験
44巻1号(2016);View Description Hide Description健康成人男性を対象としたグルコースクランプ法による無作為化二重盲検クロスオーバー比較試験において,FFP-112 とランタス(R) 注との薬物動態および薬力学的作用の同等性を検証した。被験者81 例に治験薬が投与された。薬物動態において,AUC0-30およびCmaxの製剤間の平均値の比は,それぞれ0.9520 および0.9590 で,製剤間の平均値の比の90%信頼区間は,それぞれ0.9100~0.9960 および0.9097~1.0109 であった。薬力学的作用では,AUCGIR0-30およびGIRmaxの製剤間の平均値の比は,それぞれ0.9885 および0.9990 で,製剤間の平均値の比の95%信頼区間は,それぞれ0.9026~1.0826 および0.9243~1.0797 であった。したがって,薬物動態および薬力学的作用は,いずれも同等性の判定基準(0.8~1.25)を満たした。有害事象の発現割合は,FFP-112 投与時9.9%,ランタス(R) 注投与時11.1%であり,類似の頻度で認められた。認められた有害事象はいずれも軽度であり,両製剤で副作用は認められなかった。以上より,FFP-112 はランタス(R) 注との薬物動態および薬力学的作用の同等性が検証された。FFP-112 投与時の血糖降下作用は,ランタス(R) 注投与時と同様,ほぼ24 時間にわたる作用を有することが確認された。また,FFP-112 およびランタス(R) 注の単回皮下投与時の安全性に問題ないことが確認されたことから,本薬はインスリン療法が適応となる糖尿病に対する治療への応用が可能であると考える。【利益相反】筆頭著者加来浩平は,ノボノルディスクファーマ㈱,㈱三和化学研究所,武田薬品工業㈱,大正製薬㈱,MSD㈱,興和㈱,大日本住友製薬㈱,ノバルティスファーマ㈱,田辺三菱製薬㈱,アストラゼネカ㈱,日本ベーリンガーインゲルハイム㈱,中外製薬㈱,第一三共㈱,富士フイルムファーマ㈱およびサノフィ㈱から,医学アドバイザーとして講演料および奨学金を受けている。共著者角間辰之は,久留米大学バイオ統計コンサルティングユニットとして富士フイルムファーマ㈱から統計アドバイザーとして業務を受けている。その他の著者は,申告すべきものなし。【謝辞】本試験を実施するにあたり,多大なるご助言を賜りました東京慈恵会医科大学特命教授臨床研究支援センター長の景山茂先生に厚く御礼申し上げます。 -
強化インスリン療法実施中の1 型糖尿病患者を対象としたインスリングラルギンBS 注の第Ⅲ相臨床試験
44巻1号(2016);View Description Hide Description強化インスリン療法実施中の日本人1 型糖尿病患者を対象として,FFP-112 とランタス(R) 注との有効性の同等性および安全性の類似性を検討した。被験者260 例(FFP-112 投与群131 例,ランタス(R)注投与群129 例)に治験薬が投与された。主要評価項目である投与開始時から投与24 週後のHbA1c 変化量(平均値±標準偏差)は,FFP-112 投与群-0.01±0.54%,ランタス(R) 注投与群-0.05±0.62%であった。FFP-112 投与群のランタス(R) 注投与群に対する調整済み平均の差の推定値(95%信頼区間)は0.03%(-0.10~0.17)であった。したがって,同等性の判定基準(-0.45~0.45)を満たしたことから,FFP-112 のランタス(R) 注に対する同等性が検証された。副次評価項目として,有効性に関するHbA1c,朝食前空腹時血糖値,7 点血糖自己測定値およびインスリン指示投与量のそれぞれの推移および,安全性に関する有害事象,副作用,低血糖,抗インスリングラルギン抗体および抗インスリン抗体の発現割合,各種検査項目などをそれぞれ検証した結果,試験期間を通して両投与群で臨床的に大きな差がなく,FFP-112 はランタス(R) 注と類似していた。以上より,FFP-112 はランタス(R) 注との有効性の同等性が検証され,同様な投与量にて,同等の血糖コントロールを有することが確認された。追加インスリンと併用投与することで,ランタス(R) 注と同様,長期にわたり安定した血糖コントロールを示すことが期待できる。また,安全性プロファイルの類似性が確認されたことから,本薬はインスリン療法が適応となる糖尿病患者に対して有用な薬剤であると考えられる。【利益相反】筆頭著者加来浩平は,ノボノルディスクファーマ㈱,㈱三和化学研究所,武田薬品工業㈱,大正製薬㈱,MSD㈱,興和㈱,大日本住友製薬㈱,ノバルティスファーマ㈱,田辺三菱製薬㈱,アストラゼネカ㈱,日本ベーリンガーインゲルハイム㈱,中外製薬㈱,第一三共㈱,サノフィ㈱および富士フイルムファーマ㈱から,医学アドバイザーとして講演料および奨学金を受けている。共著者河盛隆造は,日本イーライリリー㈱,サノフィ㈱,ノボノルディスクファーマ㈱,武田薬品工業㈱,ノバルティスファーマ㈱,日本ベーリンガーインゲルハイム㈱,大日本住友製薬㈱および富士フイルムファーマ㈱から,医学アドバイザーとして講演謝礼を受けている。共著者角間辰之は,久留米大学バイオ統計コンサルティングユニットとして富士フイルムファーマ㈱から統計アドバイザーとして業務を受けている。その他の著者は,申告すべきものなし。 -
2 型糖尿病患者に対する当院でのダパグリフロジンの使用経験
44巻1号(2016);View Description Hide Description目的 実地診療下におけるダパグリフロジンの有効性および安全性を評価する。方法当院に通院治療中の2 型糖尿病患者45 例にダパグリフロジン5 mg を投与し,投与開始時,投与1,3 および6 ヵ月後の外来受診時に採血,採尿および身体測定を行った。6 ヵ月間の投与・受診を完遂した35 例について有効性(血糖,体組成,血圧および臨床検査値の推移など)の評価を行い,ダパグリフロジンを投与した45 例について副作用発現を指標に安全性の評価を行った。結果 ダパグリフロジンの投与により,投与1 ヵ月後にはHbA1c とグリコアルブミンが有意に低下し,6 ヵ月後までその低下効果は維持された。BMI および腹囲も投与1 ヵ月後に有意に減少し,さらに6 ヵ月後まで経時的に減少した。また,血圧,尿酸および肝機能パラメータの有意な低下ならびにヘマトクリットおよび推算糸球体濾過量の有意な上昇が認められた。インスリン併用患者6 例を層別解析した結果,ダパグリフロジン併用投与開始後にインスリンを28.3%減量しながら,6 ヵ月後のHbA1c を投与開始前と同等の7.2%(平均値)に維持することができた。副作用は45 例中の2 例にのみ,重度ではない尿路感染症が発現した。結論 ダパグリフロジンは2 型糖尿病患者の血糖を有意に改善し,BMI および腹囲を有意に減少させた。少数例に尿路感染症の副作用が発現したが,重度の副作用発現は認めず,ダパグリフロジンは実地診療下において血糖の改善のみでなく,肥満の是正も期待できる有用な薬剤であると考えられた。【COI】本論文の作成にあたっては,小野薬品工業㈱,アストラゼネカ㈱より資金提供を受けている。【謝辞】本論文の作成にあたり,編集支援をいただきました㈱インターサイエンス社に御礼申し上げます。 -
健康成人男性におけるミチグリニドカルシウム水和物口腔内崩壊錠10 mg の生物学的同等性試験
44巻1号(2016);View Description Hide DescriptionBackground GLUFAST(R) tablet, containing Mitiglinide Calcium Hydrate, is on the market under the indication of“Type-2 diabetes mellitus”. To improve the drug adherence in patients, we developed orally disintegrating tablet of Mitiglinide Calcium Hydrate. Bioequivalence of two formulations, each taken with or without water, was assessed in healthy adult male subjects. Methods The study was an open-label, 2-formulation, 2-treatment, 2-period crossover study in healthy volunteers. Bioequivalence was assessed using 90% confidence interval of the ratios of AUC0-5 and Cmax after dosing under fasting condition. Results A total of 60 subjects was enrolled and 56 subjects completed the study. When administered without water, the 90% confidence interval of AUC0-5 and Cmax were log(0.99)-log(1.03)and log(0.81)-log(1.01), respectively. When administered with water, the 90% confidence interval of AUC0-5 and Cmax were log(1.00)-log(1.03)and log(0.83)-log(1.01), respectively. All values were within the range of the equivalence judgment criteria of log (0.8)-log(1.25)specified in the guideline for bioequivalence studies. Conclusions The orally disintegrating tablet of Mitiglinide Calcium Hydrate which is new formulation is concluded to be bioequivalent with GLUFAST(R) tablet 10 mg. -
パリペリドン錠一包化後の放出特性と患者の評価
44巻1号(2016);View Description Hide Description目的 パリペリドン錠(インヴェガTM)は浸透圧を利用した徐放性製剤であるため,服用直前までPTPシートから取り出さず,一包化を避けるように規定されている。しかしながら,非力な患者にとって,本剤はPTP シートから取り出しにくい。そこで,パリペリドン錠を一包化し,溶出特性と患者の印象を調査した。方法一包化したパリペリドン錠の目視試験と溶出試験を行った。また,パリペリドン錠を一包化して投薬した患者にアンケート調査を行った。結果 一包化後90 日以上経過しても,パリペリドン錠の外観変化と含量低下はなかった。一包化後90日以上経過しても,パリペリドンの溶出特性は標準品と同様であった。調査対象患者8 名のうち,7 名がパリペリドン錠の一包化投薬は飲み忘れの回避に有用と評価した。また,すべての患者が一包化での投薬を希望した。結論 パリペリドン錠の一包化投薬は服薬アドヒアランスの向上をもたらす可能性が高い。【利益相反】なし -
タンパク質およびビタミンB 群強化食の摂取による暑熱順化への影響―女子大学生ボランティアを対象とした,運動負荷をしない7 日間の一重盲検法を用いた食事介入研究―
44巻1号(2016);View Description Hide Description目的 本研究では,熱中症を予防するための適切な食生活に関する提案を行うことを目的とした。対象と方法研究デザインは,一重盲検法による前向き介入試験,無作為2 群間比較試験とした。18 名の健常女子大学生ボランティアを対象とし,タンパク質とビタミンB 類制限(対照食)群(n=8),タンパク質とビタミンB 類強化(介入食)群(n=10)の2 群に無作為に分けた。積極的な運動負荷は加えず,被験者に対して対照食および介入食を7 日間ずつ摂取させた。それぞれの摂取前後において,遠赤外線により湿球黒球温度を36.0~37.0℃の範囲に維持したサウナ室に30 分間入室させ,サウナ負荷開始後の5 分,10 分,20 分,30 分の時点で評価を行った。評価項目は,サウナ負荷開始後からの深部体温と表面体温の変化,皮膚血流量の変化および発汗量の変化とした。また,暑熱環境への順応性に関する対象者の主観的評価として,5 段階評価である自己記入式アンケート調査をサウナ負荷直後に実施した。結果 深部体温,皮膚血流量および発汗量は,両群においてどの時点でも上昇率に差は認められなかった。しかし,表面体温の上昇率は,介入食群においてサウナ負荷5 分後で0.30±0.20%から,0.53±0.21%に増加した(P=0.02)。自己記入式アンケート調査<質問3 サウナの温度に関して>において介入食群では2.50±0.97 点から3.50±1.08 点と増加(P=0.02)した。すなわち,介入群では介入後のほうがより快適に感じられた。結論 本研究の結果から,食事介入による暑熱環境下における身体の順応性は,客観的な評価項目では示されなかった。しかし,主観的評価では,順応性が示唆された。【利益相反】研究資金は,㈱明治と神奈川県立保健福祉大学が受託研究契約を締結し,受託研究費を用いた。 -
Effect of Partially Hydrolyzed Guar Gum on Postprandial Hyperglycemia―A Randomized Double—blind, Placebo—controlled Crossover—study―
44巻1号(2016);View Description Hide DescriptionObjectives The aim of this study was to evaluate the efficacy of partially hydrolyzed guar gum (PHGG)-containing supplement on the postprandial increase in blood glucose level in subjects with moderate postprandial hyperglycemia. Methods Volunteers(70 subjects)with their fasting blood glucose levels of 71-118 mg╱dL and postprandial blood glucose levels of 141-194 mg╱dL were enrolled in a randomized, double-blind, placebo︱controlled, crossover- study. Subjects ingested high-carbohydrate meal(115.6 g carbohydrate)together with either test supplement containing 4 g PHGG as 3 g dietary fiber or placebo supplement. Blood glucose and insulin levels were determined before and 30, 60, 90 and 120 minutes after the meal ingestion. Results The intake of PHGG supplement resulted in a significant decrease in postprandial blood glucose level compared to the level in placebo group. The area under the curve(AUC)for blood glucose level was 277.8±5.3 mg・h/dL(mean±SE)for PHGG group and 285.3 ±6.0 mg・h/dL for placebo group(P=0.043). Furthermore Cmax for blood glucose level was 168.1±3.0 mg/dL (mean±SE)for PHGG group and 174.1±3.3 mg/dL for placebo group(P=0.004) -
ローヤルゼリーならびにビーエナジー(R) を用いたアンケートによる食品の有効性の網羅的評価方法の検証
44巻1号(2016);View Description Hide DescriptionObjectives The aim of this study was to validate the use of questionnaires as food supplements efficacy evaluation method. Methods Five hundred healthy volunteers(men and women)aged 20-80 years were randomly divided into a protease treated Royal jelly(p-RJ)group(n=250)and a Bee energy(R) group (n=250). Four g of p-RJ╱day or 3 g╱day Bee energy(R) were administered for 8 weeks to each group. Written questionnaires about the present health condition and blood pressure measurements were performed before and after intake. Results The results obtained for p-RJ group showed that the symptoms like dizziness, chest pains, itchiness, arthralgia, irritation, and lumbago were significantly improved(P<0.05). The tinnitus and cold intolerance symptoms that already reported of efficacy in other studies have been ameliorated by RJ intake(P=0.13). The Bee energy(R) group evaluation pointed out a considerable decrease of symptoms like dizziness, tinnitus, palpitations, insomnia, eye strain, constipation and dysuria(P<0.05). Both groups showed the reduction of systolic blood pressure after intake(p︱RJ group, P=0.046;Bee energy(R) group, P=0.053). Conclusions The beneficial effects of p-RJ intake have been recomfirmed with questionnaires, so this method could be considered an effective food evaluation method with minimum costs. Additionally, the useful information obtained from these questionnaires may lead to future strategies for other clinical trials. -
水酸化マグネシウムおよびグロビン蛋白分解物配合食品のⅠ度高血圧者に対する8 週間摂取による降圧効果―プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験―
44巻1号(2016);View Description Hide DescriptionGlobin digest(GD), an oligopeptide mixture derived from edible globin proteins, used as Food for Specified Health Use(FOSHU)in Japan, Health Food in China and Functional Food in Korea. We have reported that the combination of magnesium hydroxide and GD has the antihypertensive effect in spontaneously hypertensive rats and protective effect against stroke in stroke-prone spontaneously hypertensive rats. The present clinical study attempted to evaluate the hypotensive effect and the safety of magnesium hydroxide and GD in a double blind, placebo-controlled, parallel group study. The study was conducted on 42 subjects with mild hypertension(male╱female=16╱26). These subjects were randomly divided into two groups. The test group ingested the supplements containing magnesium hydroxide 700 mg╱day(as Mg 292 mg╱day) and GD 1000 mg╱day. Control group ingested this active placebo. Each group was given 6 tablets by orally twice a day for 8 weeks. After 8 weeks ingestion, the systolic blood pressure and the diastolic blood pressure of the test group were significantly suppressed 7.6 mmHg(P<0.01)and 3.1 mmHg(P<0.05) compared to 0 week values. Any abnormal changes in clinical findings such as blood test, urinalysis and physical examination were not observed. These results demonstrated that the supplements containing of magnesium hydroxide and globin digest are safety and useful for suppressing blood pressure in the subjects with mild hypertension.
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INFORMATION
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CONSORT 2010 声明─ランダム化並行群間比較試験報告のための最新版ガイドライン─(薬理と治療2010;38:939-49. より再掲載)
44巻1号(2016);View Description Hide Description -
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