薬理と治療
2024, 52巻Suppl1
Volumes & issues:
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日本臨床試験学会雑誌27
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- 扉・目次
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- 日本臨床試験学会 第15回学術集会 倶(とも)に織りなし,走り継ぐ臨床試験 Experts hands over, weave and advance Clinical Trials together!
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中扉 倶(とも)に織りなし,走り継ぐ臨床試験 Experts hands over, weave and advance Clinical Trials together!
52巻Suppl1(2024);
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特別講演1 ●日本臨床試験学会―米国Society of Clinical Trials 合同シンポジウム:世界における臨床試験のトレンドを知ろう
52巻Suppl1(2024);
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2024 年3 月7~9 日に開催された日本臨床試験学会第15 回学術集会にて,米国Society of Clinical Trials(SCT)との合同シンポジウムを初めて開催した.SCT は,いわば米国における日本臨床試験学会のカウンタ-パ-トであり,“Clinical Trials”という雑誌の発行母体としても知られている. 日本臨床試験学会は臨床試験に関わる多職種からなる学術団体であるが,これまではどちらかというと国内のオペレ-ションや規制に関するトピックを中心的に議論してきた.一方で,臨床試験のなかで国際共同試験の占める割合が増え1),GCP renovation が全世界で進み,WHO からも臨床試験の基盤強化に関する声明が出るなど2),臨床試験に関する世界的な動きに日本が直接影響を受ける機会が増えている. このような背景のもと,世界における臨床試験のトレンドを知り,日本臨床試験学会の参加者もグロ-バルの臨床試験コミュニティの一員であるという意識をあらためて醸成すべく,米国SCT との合同シンポジウムを企画した.本稿では第15回学術集会における合同シンポジウムの様子を紹介する. -
学生セッション●学生とプロフェッショナルで共に学ぶ臨床試験業界の人材育成:日本臨床試験学会初の学生セッションを開催して
52巻Suppl1(2024);
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2023 年まで日本臨床試験学会(JSCTR)の学術集会総会において,学生を対象とした企画はなく,学生会員も少ない.2024 年3 月にコングレコンベンションセンタ-で開催された日本臨床試験学会 第15 回学術集会総会in大阪(岩崎幸司会長)では,初めての取り組みとして「学生セッション」が開催された.本稿では,オ-ガナイザ-を担当した筆者の視点から,実際に企画に参加した参加者のコメントも交えて,本セッションについて報告する. -
シンポジウム5 ●超急性期治療の臨床試験における同意を考える:シンポジウムの背景と実施概要
52巻Suppl1(2024);
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超急性期治療を対象とした臨床試験では,限られた治療可能時間内に効果的な治療介入を行うために,適時に適切な同意を得ることが大きな課題である.本シンポジウムは,脳卒中などの超急性期治療の臨床試験を対象に,わが国の現状や諸外国の取り組みを紹介し,適切な同意のあり方を検討することを目的として企画された.本稿では,シンポジウム企画の背景を詳述し,当日の発表内容や検討事項を振り返る. -
シンポジウム2 ●治験における症例デ-タ記録・収集業務の効率化を目指して―HL7 FHIR 等電子カルテデ-タの標準化を基盤としたデ-タ連携の活用:講演およびパネルディスカッションの概要
52巻Suppl1(2024);
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臨床試験における症例デ-タはCRC やCRA をはじめとした関係者の手入力と確認作業などにより収集され負担と時間を要しており,臨床開発コストの増大や新薬の開発スピ-ドを鈍化させる一因となっている.臨床試験デ-タを収集する新たな手法として,電子カルテからEDC 等へのデ-タ連携が注目されている.これにより,医師・CRC によるデ-タの入力負担やCRA によるSDVが軽減され,試験コスト低減への寄与が期待される.しかし,電子カルテシステムへのカスタマイズを要することや,電子カルテには臨床試験デ-タに変換可能なかたちで記録されていないなどの課題がある. 本シンポジウム企画は,関係する最前線の活動をリ-ドされる専門家に最新動向,最新事例をお話しいただき,臨床試験効率化の将来像について議論した.多くの参加者で会場は満席となり,本テ-マへの関心の高さがうかがえた.本稿では,3 名の演者による講演とパネルディスカッションの概要を報告する. -
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シンポジウム10 ●臨床試験における評価項目に関する意見交換(掌蹠膿疱症を例に):より有用な評価指標や評価方法とは(掌蹠膿疱症を例に)
52巻Suppl1(2024);
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難治性疾患に対する有用な治療薬がない状況の開発においては,開発薬剤の有効性評価にあたり,該当する疾患の患者を対象とした臨床試験において,症状スコア等を指標に,改善方向への変化量がプラセボよりも大きいことを示すことで十分な場合がある.一方,既存薬が存在する状況においては,いわゆるresponder rate 等の臨床的に意味のある改善を評価指標として開発薬剤の有効性を説明することが望まれる場合も考えられる.本シンポジウムは,将来的な評価指標や評価方法策定の一助となるよう,掌蹠膿疱症(palmoplantar pustulosis: PPP)に対する薬剤開発を題材として,治験の立案,実施,評価に関わるそれぞれの立場から忌憚のない意見を述べていただき,より有用な評価指標や評価方法の考え方について自由な意見交換を行うことを目的とした. -
シンポジウム11 ● Decentralized Clinical Trial(DCT)におけるデ-タの流れ・信頼性確保への課題とその取組み:講演の内容およびパネルディスカッションの概要
52巻Suppl1(2024);
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医薬品開発において,patient centricity/patient and public involvement の概念の浸透や近年デジタル技術の発展などにより,治験参加者の自宅や近隣のかかりつけ医などのパ-トナ-医療機関を活用した臨床試験への参加が可能になりつつある.さまざまなデジタル技術を活用することによって,医療機関への来院に依存しないdecentralized clinical trial(DCT)の実現に向けた取り組みが加速しており,これまで臨床試験に参加できなかった患者に参加機会を提供することは,日本の臨床試験や臨床研究の選択肢を増やすことにつながり,被験者背景の多様性が広がることも期待されている. 一方,DCTを助ける個々のデジタル技術は国内でも浸透しつつあるが,デ-タの流れも多様化/複雑化し,DCT を行ううえでデ-タの品質/信頼性確保も重要な点である.そこで,DCT の最新の動向と,デ-タの品質/信頼性確保に向けた規制面,技術面,運用面での課題・留意点について,ディスカッションを行い,理解を深めることを目的としたシンポジウムを企画した. 本シンポジウムでは,実際にDCT を実施している専門家より最新動向,最新事例が共有され,課題や可能性について議論した.多くの方に聴講いただき,本テ-マへの関心の高さがうかがえた.本稿では,3 名の演者による講演と2 名の座長によるパネルディスカッションの概要を報告する. -
シンポジウム13 ●リアルワ-ルドデ-タ(RWD)を利活用した医薬品・医療機器開発:RWD の利活用による医薬品・医療機器開発の促進
52巻Suppl1(2024);
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リアルワ-ルドデ-タ(RWD)は,日常臨床で記録蓄積される患者デ-タである.国内外において,治験の実施が困難な希少疾病等に対し,RWD を利活用した迅速な薬事申請を進めることが期待されている.そのために,レジストリの利活用など,産官学が認識を一致させ,相互に協力していく必要性も高い. 本シンポジウムでは,医薬品開発の過程において,RWD を活用した海外における薬事申請状況の紹介,希少疾病領域における活用事例,法規制として次世代医療基盤法をご紹介した.これらをきっかけに,今後RWDの利活用が,医薬品や医療機器の開発を促進する架け橋となることを期待する. -
ワ-クショップ3 ●多様化するグロ-バル医薬品開発の主人公へ―いま,私たちができることを一緒に考えよう!:日本が牽引する理想的なグロ-バル開発の実現に向けて
52巻Suppl1(2024);
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近年,日本の医薬品開発のグロ-バル化が進んでいる.私たちはグロ-バル開発が日本を含む世界中の人々の健康に貢献できる手段であることを理解しているが,実際にはグロ-バル開発でリ-ダ-シップを発揮することが難しく,もどかしさを感じている.日本発の創薬でもグロ-バル開発の重要性は認識されているが,グロ-バル業務の経験不足や日本に焦点を当てた開発計画が進められるなどの課題が残っている.日本臨床試験学会第15 回学術集会において産・官・学の医薬品開発における長年の課題や思いを本音で語り合い,グロ-バル開発でリ-ダ-シップを発揮するための新たな発想を探求した. -
ワ-クショップ6 ●【CReP 共催チャッティングセッション】:医学系研究と規制(個情法と生命科学・医学系倫理指針)を考える!
52巻Suppl1(2024);
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日本臨床試験学会企画研修委員会(以下,JSCTR 企画研修)で主催する教育セミナ-「倫理審査委員会を考える!」(以下,IRB セミナ-企画)では,これまでシリ-ズとして9 回にわたり,倫理審査委員会関係者をタ-ゲットに教育セミナ-を開催してきた(表1).そのなかでも「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針(以下,生命・医学系指針)」(令和5 年3 月27 日一部改正)1)の改正に係るセミナ-では,令和2 年および3 年の個人情報保護法(以下,個情法)の改正の影響を大きく受け,臨床現場では,個情法と生命・医学系指針との関係性がわかりにくいとの声や混乱が続いていた.これらの悩みを解決すべく,第9 回IRB セミナ-企画では「医学系研究と個情法の関係性を考えよう!」2)をテ-マに掲げて開催した. 第9 回IRB セミナ-企画では,参加希望者によるグル-プディスカッション(以下,GD)も行われた.ファシリテ-タ-は,JSCTR 認定GCP エキスパ-ト保持者および倫理審査専門職CReP 認定保持者(以下,CReP 認定者)3)から公募を行い,6 名より協力が得られた.このセミナ-企画では,GD を含め個情法や生命・医学系指針の運用や解釈についての活発な議論がなされ,その結果,多くの意見や質問を集約することができた(表2). IRB セミナ-企画の活動として,CReP とのコラボレ-ションのほかに,日本臨床試験学会特別委員会 生命科学・医学系倫理指針タスクフォ-ス(以下,倫理指針TF)とも連携を行ってきた.倫理指針TF では,個情法や生命・医学系指針における現状の課題検討や臨床研究関係者(研究者・研究支援者,倫理審査委員会委員・事務局など)の理解促進に繋げるツ-ルとしての成果物(個人情報保護法と医学研究に関する手引書)の作成に取り組んでいる.第9 回IRB セミナ-企画の結果(表2)については,倫理指針TF へも共有し成果物製作時の参考として活用されている. これらの活動を通じて抽出された課題や解決策の意見交換を目的に,第15 回学術集会内でも,倫理指針TF との協同およびCReP コラボセッションとして,CReP 共催チャッティングセッション(以下,本セッション)を開催した.本稿ではその取り組みの概要と,その後に続く展望を報告する. - Review Article
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リアルワ-ルドデ-タとして発生する患者報告アウトカムのソ-スの種類と特徴―医薬品の安全性監視活動における利活用の観点からの考察―
52巻Suppl1(2024);
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患者報告アウトカム(patient reported outcome: PRO)は,患者が最も適切に評価できる概念,主に主観的な症状や健康関連QOL などの臨床アウトカムの評価に対して使用が推奨されており,特に,がん,精神,中枢神経系領域での臨床研究で多く用いられている.また,近年における日常診療,疾患レジストリでのePRO の利用や,医薬品のコンパニオンアプリ,ヘルスケアアプリ,パ-ソナルヘルスレコ-ド(personal health record: PHR)などが日常生活で普及しており,PRO デ-タが電子化された形式で発生している.リアルワ-ルドデ-タ(real world data: RWD)の特徴をもつこれらのPRO デ-タは,デジタルバイオマ-カ-とも関連し議論も進展するなか,新規医薬品の薬事申請デ-タとして利用された事例は見当たらないものの,医薬品の製造販売後安全性監視活動では利活用の試行が進んでいる.本総説では,RWD として発生するPRO のデ-タソ-スの種類と特徴を整理し,医薬品の安全性監視活動におけるPROの利活用の状況についての用途を事例も含めて整理する.(Jpn Pharmacol Ther 2024;52 suppl 1:s39‒45) -
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