ENDOSCOPIC FORUM for digestive disease
Volume 34, Issue 1, 2018
Volumes & issues:
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<巻頭言>
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<会告>
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第85 回日本消化器内視鏡学会甲信越支部例会/第30 回日本消化器内視鏡学会甲信越支部セミナー/第5 回大腸ESD ハンズオンセミナー in 北陸/第112 回日本消化器内視鏡学会北陸支部例会
34巻1号(2018);View Description Hide Description
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<臨床研究>
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一般市中病院における総胆管結石症に対する内視鏡治療の検討
34巻1号(2018);View Description Hide Description総胆管結石症に対して内視鏡的に治療した59 例を対象にその治療成績について検討した。内視鏡的に結石の完全除去を行った完全結石除去群45 例と胆管ステント留置術のみで経過観察した胆管ステント留置群14 例の患者背景を比較すると,高齢者や女性に対して胆管ステント留置術が有意に多く実施された。内視鏡治療時間は胆管ステント留置群が完全結石除去群に比べて有意に短時間であった。胆管炎の再発率は,完全結石除去群では胆管ステント留置群に比べて低い傾向を認めたが,胆管炎の再発率および再発までの期間は両群間で有意な差を認めなかった。たとえ患者が高齢であっても総胆管結石症に対する内視鏡治療は結石除去術が第一選択であるが,結石の完全除去が困難な場合にはリスク軽減のため,より短時間で施行できる胆管ステント留置術も選択肢の一つになると思われた。 -
成人健常者サイトメガロウイルス感染症における上部消化管病変の検討
34巻1号(2018);View Description Hide Description近年の成人におけるサイトメガロウイルス(cytomegalovirus: CMV)感染症は増加している。成人健常者における上部消化管内視鏡像と上部消化管病変を有する症例の特徴を明らかにした。2005 年1 月~2017 年3 月までに当院にて健常者と考えられる成人においてCMV 肝炎と診断された36 名のうち,上部消化管内視鏡検査を行った12 例[男性:女性; 8:4 例,平均年齢40.2 歳(21~58 歳)]を対象とした。7 例に上部消化管病変を認め,そのうち5 例において病理学的にCMV 感染による上部消化管病変と診断し得た。5 例の病変の局在と種類は,① 胃体部の打ち抜き潰瘍,② 胃前庭部の類円形多発潰瘍および十二指腸の打ち抜き潰瘍,③ 胃前庭部の小隆起を伴った多発びらんおよび食道の打ち抜き潰瘍,④ 胃前庭部の小隆起を伴った多発びらんおよび十二指腸下行脚における白色調の多発びらん,⑤ 胃前庭部における小隆起を伴った多発びらんであった。いずれも酸分泌抑制薬の投与のみで改善を認めた。また,CMV 関連の上部消化管病変を認めた5 例のうち,血小板減少や脾梗塞を合併した症例を1 例ずつ認めた。
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<症例報告>
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- 【胃】
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悪性リンパ腫とGastrointestinal Stromal Tumor(GIST)が併存した胃病変の1 例
34巻1号(2018);View Description Hide Description症例は87 歳,男性。黒色便と貧血を主訴に当院紹介受診となった。上部消化管内視鏡検査(esophagogastroduodenoscopy:EGD)で胃体上部前壁側に耳介様の潰瘍性病変と粘膜下腫瘍様の隆起が併存する所見を認めた。潰瘍辺縁からの生検にて,肉芽組織のなかに腫大した類円形核を有する異型細胞を認めた。また,免疫染色ではCD20 陽性の異型細胞がmonotonous に浸潤した像を認め,diffuse large B‒cell lymphoma(DLBCL)と診断した。遺伝子検索のためEGD を再検したところ,耳介様潰瘍は平坦化し,粘膜下腫瘍は残存した。隆起部のボーリング生検では紡錘形の異型細胞を認め,免疫染色ではc‒kit 陽性,CD20 陰性であったことより,gastrointestinal stromal tumor(GIST)の診断となった。現在,悪性リンパ腫の治療にて経過観察中である。胃に悪性リンパ腫とGIST が併存した報告は本邦において1 例と極めてまれであり,内視鏡的に悪性リンパ腫とGIST の特徴的な所見を併せもった貴重な症例であった。 -
左肺上葉切除2 か月後に発症した胃間膜軸性捻転の1 例
34巻1号(2018);View Description Hide Description肺葉切除後に胃間膜軸性捻転を来し,内視鏡的整復が困難であった1 例を報告する。症例は80 歳台,男性。以前より滑脱型の食道裂孔ヘルニアを指摘されていた。左肺腺癌に対して左肺上葉切除を施行された2 か月後に左胸腹痛を自覚し,造影CT で食道裂孔ヘルニアの悪化と周囲に腹水出現を認めたため入院した。保存的治療で症状は改善したが,食事再開に伴い再度症状が悪化した。造影CT では胃が短軸性に捻転している所見を認めた。内視鏡的整復を試みたが困難であり,外科的にヘルニア修復および胃壁固定術を施行し,以後,再発なく軽快している。特発性胃軸捻転症は内視鏡的整復成功例が散見されるが,二次性胃軸捻転症では癒着などのため困難なことが多い。本症例も肺葉切除後の二次性胃軸捻転症として,内視鏡的整復術を施行するも困難であった。 - 【十二指腸】
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超音波内視鏡検査時の十二指腸穿孔に対しOver‒The‒Scope Clip(OTSC)による創閉鎖が有効であった1 例
34巻1号(2018);View Description Hide Description症例は認知症のある80 歳台,女性。黄疸を主訴に当院を受診した。腹部CT 検査で胆管,十二指腸浸潤を伴う膵頭部癌を疑われ,腫瘍部の細胞診を目的とした超音波内視鏡検査を施行した際に十二指腸球部の穿孔を来した。全身麻酔下の開腹手術を回避すべく,Over‒The‒Scope Clip(OTSC)を用いて内視鏡的に創部を縫縮した。術後より禁食管理,抗生剤投与を行った。症状の悪化なく,2 日後の消化管造影検査では穿孔部からの造影剤漏出を認めず,食事を再開した。その後も腹膜炎の発症なく良好な経過を得た。胆膵内視鏡検査・治療時に伴う重篤な合併症の一つに消化管穿孔がある。穿孔に対する治療の第一選択は外科手術であるが,穿孔に伴う死亡率は依然高い。OTSC は腸管の全層縫合を可能とする画期的な内視鏡治療器具であり,腸管穿孔や術後縫合不全,難治性出血の止血などに汎用されている。外科的な創閉鎖に伴うリスクが憂慮される症例に対しても高い治療効果が報告されており,手術治療の代替手段として活用されることが期待される。 - 【小腸】
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ダブルバルーン小腸内視鏡と気管支鏡にて診断し得た肺扁平上皮癌小腸転移の1 例
34巻1号(2018);View Description Hide Description症例は77 歳,男性。労作時の息切れと左頸部リンパ節腫大の精査にて入院した。血液検査で著明な貧血を認め,また造影CT から肺癌の小腸転移が疑われた。ダブルバルーン小腸内視鏡と気管支鏡を施行し,肺扁平上皮癌の小腸転移と診断した。化学療法を開始したが,小腸転移巣による腸閉塞を来したため回盲部切除を施行した。その後も化学療法を継続したが,診断後5 か月で死亡した。 -
バルーン式小腸内視鏡で診断した高度狭窄を伴う空腸原発濾胞性リンパ腫の1 例
34巻1号(2018);View Description Hide Description症例は50 歳台,女性。腹腔鏡下胆囊摘出術後第5 病日にイレウスを認めたため,消化器内科転科となった。イレウス管挿入により改善後,小腸造影で高度の小腸狭窄を認め口側腸管も拡張していた。ダブルバルーン内視鏡による小腸の検査では,瘢痕を伴うpin‒hole 状の狭窄を認め,生検を行いB 細胞リンパ腫と診断された。通過障害症状が改善しないため,腹腔鏡補助下小腸部分切除術が行われ,術後は血液内科でリツキシマブによる維持療法を施行中である。濾胞性リンパ腫は,X 線や内視鏡形態でmultiple lymphomatouspolyposis(MLP)型を呈する例が多いが,本症例は潰瘍型で狭窄を呈したまれな症例と考えられた。 - 【大腸】
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Over‒The‒Scope Clip( OTSC) Systemで内視鏡的に瘻孔閉鎖した胆囊結腸瘻の1 例
34巻1号(2018);View Description Hide Description症例は89 歳,男性。2015 年2 月に発熱,意識障害で当院に救急搬送された。血液検査で炎症所見の軽度上昇,肝胆道系酵素の上昇を認めた。腹部CT で結石ははっきりとしなかったが,胆囊内にair を認め,胆管炎および胆囊結腸瘻の疑いで緊急入院した。禁食・抗生剤で保存的に治療を行い第5 病日にEUSを施行し,下部胆管に 10 mm 大の結石を認めたため,内視鏡的乳頭切開術( endoscopic sphincterotomy:EST) 後に截石した。胆囊管からの造影で胆囊結石および胆囊から結腸への造影剤の流出を認め,胆囊結腸瘻と診断した。要介護3 の寝たきりの状態であり外科手術は希望されず,内視鏡的瘻孔縫縮術の方針とした。第9病日に大腸内視鏡検査を施行し,瘻孔部をOver‒The‒Scope Clip( OTSC) systemで縫縮した。第50 病日にERCP 再検し,胆囊管から圧をかけて造影したが結腸への造影剤の流出は認めず,瘻孔の閉鎖を確認した。一般的に胆囊結腸瘻は外科手術を要するが,外科手術が困難な場合はOTSC system を用いた内視鏡的瘻孔縫縮術も考慮すべきであると思われる。
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<抄録>
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<その他>
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